えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

本と生きる女優のミムラ

2016-09-30 09:39:31 | 歌う

              本と生きる女優のミムラ

♠ 本という本が背をむけ立ちならぶ振りむかないで、そのままでいて  松井多絵子

 朝刊をひらけば本の広告がわっと迫ってくる。スーパーへ行きながらつい書店に入ってしまう。私の街には書店は2店になってしまった。書店に入ると私は森のなかにいるような気分になる。書棚の本は木々のようだ。並木のように立ち並ぶ。それを手に取ったら買いたくなる。我が家には私に読まれるのを待ちわびている本がどっさりあるのに、、。

 何年も前から本が売れないと騒がれているのに、自宅とは別にマンションの一室を書庫にしている若い女性がいる。昨日の☀リレーおぴにおん <本と生きる>は俳優・ミムラ。
1984年生まれ。2003年にデビューし、ドラマや映画で活躍。最新作は、10月公開の映画 「カノン」 著書に「文集」ほか。

 ミムラは9年前から借りているマンションの一室で、多いときはは漫画や絵本も含めて月200冊も読む。本棚に並んだ背表紙を眺めるのも好き。自宅ではブックカートを使って、好きな本を数十冊並べて寝室、居間に移動する。本は気軽に入れ替えて新陣代謝する。

 イタリア在住の作家、内田洋子や向田邦子全集はミムラのお守り。5年前、向田の役をテレビで演じたとき「人生のピースが圧倒的に足りないと感じた。本を読むことで、さまざまな感情のかけらみたいなものが自分の中に溜まっていく。役者って、一つの言葉にどれだけグラデーションを持てるかが問われるようなところがありますから。

 いつか役者をやめることがあっても、本を読まなくなることはない。私にとっては寡黙な友であり、雄弁な師でもあります。顔写真のミムラは微笑している。まるでモナリザのように。

     ♠ 古書店の奥処に立ちているひとよ、振り向くなかれ暫し父なれ

                     9月30日  松井多絵子

 

 


ピーターラビット展

2016-09-29 09:20:26 | 歌う

              ピーターラビット展

 渋谷BUNKAMURAザ・ミュージアムで 「ピーターラビット展」を見た。一昨日火曜午後の会場は女性で賑わっていた。動物がユーモラスに描かれた素描や水彩画など約200点が愉しい。作者ビアトリクス・ボスターの「生誕150周年」を記念して、ほとんどの作品が日本で初めて公開されている。彼女は1866年ロンドンに生まれた。幼いころから動物や植物が好き、家族で訪れた湖水地方の避暑地で自然に親しみ、絵本を書いた。が当時は絵本作家として女性であるため認められず自立できなかったらしい。

 ♠ ペットショップのうさぎの耳を撫でしのち店より去りゆく細身の男

 うさぎは愛らしい動物でペットとして今、人気が高まっているらしい。犬のように吠えず、散歩をさせる必要もない。うさぎは喜んだり、怒ったり甘えたりする。寿命は5年~8年、生後3年で青年期、3年から6年まで中年、7年をすぎたら高齢になる。音や寒さに弱い。食用の市販の草が500gパックで500円から1500円、餌代が高いのが悩みだが。

 ♠ 淋しいとうさぎは死んでしまうとかペットショップにうさぎはいない

 絵本の✿「ピーターラビットのおはなし」は当時、出版社はみな刊行を断ったらしい。やむなく自費出版をしたらベストセラーに。英国の湖水地帯の水彩画が心地よく見飽きない。ウサギのゆたかな表情と愛らしい仕草に人びとは癒される、ウサギの体は繊細で湿気にも弱く高音に驚きで家具にぶっかって骨折するなど放し飼いは無理だ。大切に護ってあげたくなる。飼ったら疲れる。「ピーターラビットのおはなし」の人気は衰えないであろう。 

     ♠ 少しだけ月のうさぎに近づける塔かもしれぬスカイツリーは

               9月29日  松井多絵子


親子貧困

2016-09-28 09:25:09 | 歌う

               ~ 親子貧困 ~

♦ 図書館の隅でうたた寝してるのはホームレスかも、痩せた青年  松井多絵子

 「貧困老人」「貧困女子」そして「親子貧困」、新聞をひらくと「貧困」がうようよしている。10月11号「婦人公論」の広告を見ていたら寒くなった。貧困という寒波が押し寄せる。

    ▴ 「親子貧困」に陥らないために、あなたの老後を守るには

    ▴ 上野千鶴子×雨宮処凛 「親が死んだらホームレス」の時代がやってくる。

    ▴ Q&A 崖っぷち家族、これからどうすれば?
         ニートのこども、夫のリストラ、親の介護で離職

     <シングルマザーの生きる道>
       手塚理美 思春期の難しさに何度も泣いて
       マルシア  母は母、娘は娘。1人で背負いこむのは無理

    ▴ ちょっと待って「介護離職」 その収入は取り戻せない

    ▴ ルポ・大学卒業時には数百万の負債に

    ▴ 恩恵か、足枷かー奨学金という名の借金を抱えて

          ~     ~     ~    ~

   「そのうちに何とかなるさ」「そのうちに冬が来てそしていつまでも冬」

  もうじき10月なのに残暑が続いている。私は冬は来ないような気がする今年は。

                9月28日  松井多絵子  

  

   

 

 

 


新刊歌集のお知らせ

2016-09-27 09:24:40 | 歌う

             新刊歌集のお知らせ

 斉藤斎籐歌集と奥村晃作の歌集が刊行された。お二人とも著名な歌人でありツイッターでもお馴染みである。80歳の奥村と43歳の斉藤、気の若いオヤジとジャジャ馬息子の如し。

 ✿ 奥村晃作歌集 『ビビッと動く』 (六花書林・本体2500円)

 あるがままを自由に詠む独特の境地。80歳の第15歌集。
   (石橋の荒人神橋の名称が「荒神橋」と深く彫られて)

 「ただごとの歌」の標榜者として知られている奥村晃作は宮柊二に師事し、現在歌誌コスモスの選者である。当たり前のことを当たり前に歌う。私も「ただごとの歌」を試みているが簡単なようで難しい。<コロンブスの卵>のような作品を詠むのだから。

 ♦ 次々に走り過ぎゆく自動車の運転する人みな前を向く

 ♦ 船虫の無数の足が一斉に動きて船虫のからだを運ぶ

    奥村晃作先生はコロンブスの末裔かしらと思わせる歌である。

              ~  ~  ~  ~  ~

 ✿ 斉藤斎籐歌集 『人の道、死ぬと町』  短歌研究社・本体3000円           2004年~15年の作品を収めた第2歌集。歌論あり、詩や散文のようなものもあり。

 斉藤斎籐という名前は目立つ。大歌人の斉藤茂吉の斉藤を姓と名に重ねる。その機知が彼の鋭い才気を伝える。しかも姓は「斉籐」であり、名は「斎籐」などとずらしている。早大卒業後、5年間もフリーターだったらしい。2005年に歌集「渡辺のわたし」を刊行、渡辺とは
他界した彼の母上の旧姓だそうだ。歌誌「短歌人」に所属。今後も面白そうだ。

 ♦ 雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられたこれはのり弁

 この歌の作者は斉藤斎藤だから通用しますが、もし私の歌だったら「松井多絵子は認知症
なの?」なんて思われますよ。(怒りと笑い)

                  9月27日  松井多絵子


古代日本の女帝

2016-09-26 09:33:58 | 歌う

               古代日本の女帝

 9月25日の☀朝刊で脳科学者・中野信子は次のように書いている。~女性は脳の「言語野」が男性より大きく、言語能力が高い。男性が1日あたり7千の単語を話すのに対して、女性は2万語を越えるという研究結果があります。女性は言語的存在であり、言葉を使って大衆を束ねるリーダーに向いていると言えます。~

 古代日本 女帝の時代」という次のような特集記事がおなじ頁に掲載されている。~かつての日本には、女性が政治の権力を握っていた「女帝」の時代があった。彼女たちは特定の時期に集中したようだ。✿卑弥呼 3世紀半ばころ。✿推古(592~^628)   ✿皇極(642~645) ✿斉明(655~661) ✿持統(690~697) ✿ 元明(707~715)
✿元正(715~724) ✿孝謙(749~758) ✿称徳(764~770)

 約30国を統治して3世紀に日本の女帝になったといわれる「卑弥呼」は謎の女帝である。

               豊満なれ卑弥呼    松井多絵子

     いたような、いなかったようなひと卑弥呼、マンガの卑弥呼の眸は大きい

     女帝・卑弥呼は男を支配したのなら、女にやさしい女帝だったら

     米づくり始めしひとは卑弥呼なれ浅きみどりの棚田ひろがる

     茶店にて食むおにぎりが美味しくて卑弥呼はたぶん豊満なひと

     手足なき木の人形に王冠をかぶせ卑弥呼と名をつけたなら

                              歌集「厚着の王さま」より 

 「過去の指導者には言語より戦での能力が求められる傾向がありました。その点では男性が有利、「脳頂連合野」が女性より発達していて空間認知力が高いので、戦場での陣形や地形を把握するのが得意だからです。今後、女性の得意な言語能力がより求められる世界になれば、日本にも女性のトップが現れる可能性があります」と。中野信子の言葉。   

 女帝の時期は戦争や争乱を推察させる資料が比較的少ないそうである。ならば私は女帝の時代が来て欲しい。戦争は絶対にイヤ。 

               9月26日 松井多絵子