えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

歌とミニエッセイ

2012-12-02 21:03:16 | 歌う

  「未来」12月号   ミニエッセイ  松井多絵子

 この7月からパソコンが私の短歌の相棒になった。長いことワープロの日本語入力になじんでいたせいか、ローマ字での歌稿の入力に悩まされている。パソコンのキーの上をよちよち歩く指。あるいは指を動かす脳の指令塔が老朽化しているのだろうか。10月からインターネットをはじめる予定だが、私の十指が頼りない。パソコン教室の先生はまるでジャズピアニストのようにキーを操る。二十五歳の彼女がまぶしい。   

 ※ミニミニエッセイですみません。明日は癌のため世を去らなければならなかった妹の誕生日にちなんで、「いもうと」二十首を書きます。  松井多絵子


歌とミニエッセイ

2012-12-02 20:08:23 | 歌う

わたくしの所属している歌誌『未来』12月号より 

「今月の一人」

     ★ すすき&すすき    松井多絵子

ぽつぽつと・・その後ざあざあ降ってきた今なら思う存分泣ける

うれしくて泣いた五輪のメダリスト涙は熱い油だったか

ばら色の仮定のなかにいる真昼いずくともなく不穏な響き

のんびりとしてはいられぬ震度九の南海トラフ地震、仮想の

涼風の運びてきたる音信は去年より寡婦の七十二歳

入りつ日の海ほのあかき絵はがきに「わたしも沈みそうです」とあり

中年の男(お)と女(め)の語らいぬめぬめとテレビドラマのすすきは揺れて

芒でも薄でもなく変換は「すすき」に決めて今日と別れる

すすきにはなれないキミとこの秋はすすきになっていたいワタシと