えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

殻ちゃん⑫

2013-11-30 14:39:43 | 歌う

           「殻ちゃん⑫」

☀ 走りつつエスカレーター上り行くあのひと林真理子かもしれぬ (松井多絵子)

 朝食の後かたずけをしているアキに鈴鹿ひろ美から電話がかかる。

鈴鹿★「今日のお昼ご飯はウチで食べようよ。殻ちゃんも一緒に」

 昨夜、水口から印度屋のカレーのコマーシャルのことを聞いていた。鈴鹿ひろ美と共演でアキはひろ美の娘になる。うれしくてたまらないアキ。鈴鹿ひろ美も喜んでいる。同じマンションに住んでいるが、鈴鹿は最上階、アキの住まいの4倍のスペース。しかも庭園までついている。中古で買ったが改装してまるでホテル。高級レストランみたいな食堂のテーブルには、すでに
おつまみ、サラダ、くだものが用意されていた。

鈴鹿★「今日はカレーを作ったの。殻ちゃんが食べられるように辛くないカレー」。

アキ✿「黄色いのはカボチャのルー?肉もやわらかい。やさしい味だなあ。おいしいなあ」

 殻♪♪「おいしいっていうより不思議な味だよ」

鈴鹿★「不思議な味か、殻ちゃんは詩人だねえ」

 食後のアイスクリームを食べ終わると鈴鹿はアキを衣裳部屋へ案内する。まるでブティックだ。その入り口に何枚もの服、スカーフ、バッグ。「これはわたしには若すぎるから、アキにぜひ着てほしいの」。高級ブランドの服やバッグをアキは買ったことがない。遠慮なく皆いただいて大きな紙袋を6つ、殻ちゃんも両手にぶら下げて12階から2階へ降りる。

 アキは林真理子の語録のひとつを思う。❤<階段を上り始めると、もっと上があることがわかってくる>❤  オラはいまタレントの階段を上りはじめたところだ。鈴鹿ひろ美はすでにオラより何十段も高い所にいる。そしてさらに上り続けているのだ。 (今日はここまで)

    次回の「殻ちゃん⑬」もどうぞよろしくね。  11月30日 松井多絵子


すりへらない心

2013-11-29 14:58:29 | 歌う

          ❤ 「すりへらない心」 ❤

❤ 心とはこんな形かピーマンを手にとり握ればつぶれてしまう (松井多絵子)

 『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』、この長い題名の本が10万部も売れているとか。
10万人の読者の心を覗きたくなる。体のなかに心などなければ気楽なのに、心なんてお荷物だ。この1年、心が踊るようなうれしいことなど1度もなった。体は太り心は痩せ細った。

◆ 「ぺしゃんこ」になる前にちょっとやってみてほしい習慣」を著者の心屋仁之助さんが提案。

✿ 「やらなきゃいけないこと」を優先しない。

 わたしは今日中にやらなければならないことに毎日追われています。これらを後回しにできたら毎日がルンルン気分。でも怠けたバチが怖くて心がすりへってしまいます。とりあえずチラシの広告を見てスーパーへ駆けつけるのは止めます。新聞の読みたい記事を優先します。

✿ 「聞き上手」になるより、「弱さを表にだす」

 弱さを表にだした方が可愛げがありますね。才色兼備のひとの場合は相手の心を捉えることでしょう。よぼよぼの老女はこれ以上弱さを見せたら、自分も落ち込むかもしれません。

✿ 「ま、いっか」で目の前の問題から手を放してみる。

 「なるほど、やってみようかしら。気が楽になりますね。だけど、呑気にしていたらお金がわたしから離れてしまう。もうじき師走、時間もわたしから逃げてゆく師走。

心屋仁之助先生 「心にしみるアドバイス」をわたしの心は聞いてくれませんの。
                                   11月29日 松井多絵子 


黄葉の上野のターナーさま

2013-11-28 14:44:52 | 歌う

         「黄葉の上野のターナーさま」

 ターナーさま  英国からはるばる日本へお越しくださりありがとうございます。一昨日、午前10時半の光を浴びている上野の銀杏の黄葉の見事だったこと。この黄色はまさにターナーさまのお好きな黄色。古いベレー帽を被ったわたしは東京都美術館であなたに会うことできました。

 ターナーさまはロンドンの理髪店の息子さんで、幼いころから絵が上手、あなたの描かれた絵を店さきに飾るとよく売れたとか、本当ですか?十代から美術展に出品し、その絵が売れてその収入で旅をして、旅先で描かれた風景画がよく売れたとか。さぞ気分が良かったことでしょう。生きているときには全く認められず死んでから有名になり、1枚の絵が何億の画家もいますよ。

☁ いちまいの絵より絶叫きこえくる強風に薙ぎ倒されし樹の (松井多絵子)

 100点余りの作品を拝見しながらターナーさまは頑張られたんだなあと感服しました。暴風に荒らされた被災地、荒波のなかの難破船、雪崩も現場を描く。いま報道写真のカメラマンたちが命がけで写真を撮るように、でも写真のようにリアルではなく、荒波も雪崩もターナーさまの色やタッチには妖しい恐ろしさが漂っていて、、、。アトリエで描く画家ではない、私も机に向かって短歌を書かない、旅先などの現場で書く。これがターナーさまと私の接点でしょうか。

☁ 落日の湖あかきターナーの晩年の絵より去りかねており

☁ 光のみ残りていたる一枚を描きしのちに世を去りしひと 

   わたしも光の残る一首を詠めたなら   11月28日  松井多絵子


おめでとう山田航さん

2013-11-27 14:34:02 | 歌う

              ✿✿✿ 「おめでとう山田航さん」 ✿✿✿                   

 このたび歌人の山田さんが第4回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞を受賞。22日の授賞式で回文を織り込んだ彼のスピーチが会場を沸かせた。

 ★ つつしんでおいわい おでんしつつ  

  1983年生まれの山田航さんは、少年時代は小説を読むのが大の苦手、だったそうです。私は少女時代は小説が大好きでしたが今は苦手です。小説は作者の世界に入るまでかなり時間がかかります。入り口で引き返してしまった小説がどっさりあります。短歌や現代詩なら面白く、韻文こそが自分の呼吸に近い言葉なのだという山田さんに私も共感しています。

 山田航(わたる)さんは数年前までは札幌の郊外の実家で過ごし、無職。ただ家にいるだけの変化のない毎日。のり巻きを食べて自分を慰めていたそうです。

 ★おきまりのまいにちに いま のりまきを

 「自分はこのままでは終わらない」と思っていたこと。言葉の世界を変えたいと願っていたことがいま結実した」   ~よかったですね。山田航さん。~「自分はこのままでは終わりたくないと思っている人間は、私を含めてわんさといますよ。ほとんどの日本人はそう思っているのではないかしら。そう思いながらこの世を去った人々、墓地を歩いているとき私は死者の無念の漂うなかを歩いているような気がします。さらに「言葉で世界を変えたい」と願う元気な山田航さん、わたしも「言葉で日本を変えたい」と願っております。  11月27日 松井多絵子


うつ地獄に行ってきた

2013-11-25 14:25:31 | 歌う

          「うつ地獄に行ってきた」

 ❤納豆のねばねばの糸が鬱の字になる鬱になどなってはならぬ  (松井多絵子)

 『仕事を休んでうつ地獄に行ってきた』という本が売れているらしい。著者の丸岡いずみは元日本テレビのニュースキャスター。突然、うつ病になり、自分自身で治せると考えて薬を飲まず
に放置した結果、こじらせてしまった。番組を降板し実家で自室にこもり自殺までおもい、母親に毒薬を盛られたという妄想に襲われる苦しい日々を過ごした。結局入院し薬を飲むことで解放へ向かい、社会復帰することができたのである。

 著者は深く思い悩まずに行動してみるタイプだそうである。彼女の周囲の人々からも鬱になるタイプではないと言われている。しかし鬱の多くは性格や考え方が原因なのではなく、脳の神経伝達物質の働きが悪くなることでも起きる病気らしい。強いストレスや過労が引き金でこれらの物質の分泌が悪くなると、感情のコントロールができなくなり鬱になる人がいるのだ。

 <気配り老女A子>は還暦過ぎた頃から鬱がはじまった。薬を飲み半年ほどで正常になり、薬を止めたらまた鬱。薬の副作用が怖くて飲まずにいたらどんどん悪化、電車のホームで飛び込みたくなったこともあったらしい。「薬を飲み続けて全快まで6年かかったわ」と言っていた。彼女は真面目で律儀、気配り屋さんだ。群れたがり屋さんでもある。人間関係のややこしさが彼女をストレス過剰にしていたのか。しかし副作用をおそれて薬を避けたために鬱の闇をさらに暗くしたのだろう。

 「薬の副作用」についての研究をしている方々、よろしくお願いしますね。
                              11月25日  松井多絵子