★★★ 「星夜の電飾」 ★★★ 松井多絵子
★★
地下鉄とメトロは異なる乗り物のような気がする、地下鉄に乗る
地下鉄を降りて高層ビル街へ、三年前は鉄骨の森
むかしむかしすれ違うたびときめきし光の君を今夜も避ける
敵なのか味方なのかもわからない才色兼備の小百合と乾杯
言いだすまでどこに隠せばいいのやら真っ赤な嘘はそわそわしている
会場と外の気温の差をおもう差があるということは苦しい
幾百か、地球に穴をあけながらスカイツリーよ何をしている
すこしだけ月へ近づくための塔、、月の砂漠へ近づくための
年末の夜道をひとり歩くとき火星の孤独がわれに近づく
電飾のなかりし頃はわが町を冬の星座が飾りていたり
※ 電飾に浮かれる町を見下ろす冬星たちはさぞ不愉快なことでしょう。毒々しい色の点滅「にんげんは何て下品なんだろう」ですね。ごめんなさいね。もうじき電飾は消えます。