えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

続「男の宿題・あれこれ」

2018-04-25 13:59:18 | 歌う
お洒落老女A子は20年も前から短歌の結社に入り歌集や歌誌が6畳に山積み、服は8畳から溢れそうらしい。一年前に夫を亡くしマンションの2Kに越そうとしている。すでに歌誌歌集の半分以上は捨てたが服はまだ2割だけ、と吐息、私の歌集は捨ててもいいわよと言うと「そんな失礼なこと」と言ったがすでに捨てたかもしれない。

短歌研究5月号の「男の宿題」を読んでいると「捨てる」ことが宿題の男性もいる。服ではなく本なのである。

🌷「宿題は生きる力」
金子貞雄(作風)

離れ家の二階の本の五千冊処分すること妻よりの宿題

宿題は妻から与えられて、夫はあらためて本の山を見上げている。

🌷「脅されながら」
中地俊夫(短歌人)

本だけは処分しといてくださいね私にはとても出来ませんから

この歌も妻から宿題を、強引な宿題である。本の中には私の歌集もあるとしたら、すみません中地先生、

🌷「楊桃」
伊勢方信(朱竹・笛)

一室に収まりきれず廊下まで積みたる歌書類いかに処するか

私はベッドの下も溢れて次は廊下です。桃のように食べられないですし、

🌷「二〇〇七年ごろ・その他」
真中朋久(塔)

一冊を購ふは一冊を捨てること捨てるために読むこの一冊を

親切な真中氏は宿題のやり方を教えてくださいました。本は脳に捨てればいいのですね。

「男の宿題」あれこれ

2018-04-24 09:47:47 | 歌う
「短歌研究5月号」の特集は「男の宿題」、いまの歌壇の代表男性歌人100人の七首とエッセイ。

宿題とは、なんでしょう?単なる「宿題」と「男の宿題」と、違って思えるのはなぜでしょう? からはじまるこの大特集を読みはじめる。

▼「オトコのおもちゃ」
千々和久幸(香蘭)

戦争はオトコの玩具ユウコサ一ンこの男らも宿題に飽き

ユウコサ一ンは河野裕子、子供達は母をまるで親しい友のように呼んでいたらしい。この特集でまず目についた宿題の歌である。

▼「使ひ古しの青春」
甲村秀雄(ナィル)

宿題をかかへたままの春の日に形容動詞の桜は咲かう

この春は寒かった。雪かと思ったら桜吹雪、わたしは形容動詞の桜を見損なってしまって残念である。

▼「恐竜のこだま」
高野公彦(コスモス)

この国は迷宮の国 原発といふ宿題を持ちて花冷え

迷宮の国に私は生き長らえている。宿題を真剣に考えるている男の多い迷宮の国、この歌は私を羊にする。

▼「宿題」
穂村弘 (かばん)

友だちの家で宿題していたら犬が庭から誉めに来た夏

宿題をしているのは小学生の穂村弘君、友だちの家の犬が彼に寄ってくる、思い出ではなく現在のことのように伝わってくる。

「男の宿題」は読みはじめたばかりである。100人それぞれに宿題を受け止めているようである。後日に解決を委ねることになりそうな、宿題は男に任せたいですね、私は。

「自分のことだけ考える」

2018-04-21 14:18:59 | 歌う
🌼転んでも起き上がればいい失っても見つければいい、春が来ている

「自分のことだけ考える」という本が13万部も売れているという新聞広告、著書はあの堀江貴文、刑務所に何年いたのか、転んでもタダでは起きない男だ。他人のことを考えていたら起き上がれないだろう。広告も過激だ。

▲人の目なんか気にするな。
▲嫉妬したら負ける。
▲真面目だから評価される時代は終わった。
▲炎上される者になれ!
▲他人の「正義感」はスル一する。

たしかに今の世の中は自分のことだけ考えるのに精一杯だ。しかし堀江貴文は抜け目がない。どん底から這い上がった男、弱者の気持ちが分かる。

「プライドは捨てよ」「恥をかくほど仲間は増える」「他者への優しさだけは忘れてはならない」と。自分だけのことを考えているようで結局、他者に配慮している、だからこの本は売れるのですね。13万部❓

話しかけること

2018-04-19 14:03:56 | 歌う
私は親しくない人に話しかけるのは苦手である。着慣れない服を着る心地がする。そんな私が私の作歌信条は「話しかけること」などと書いている。4年前の「東京歌人ジャ一ナル」3月30日発行。4年も前の私の拙文だが、

初夏のある夜、ベランダから火星を見ていたら火星も私を見ている。予報では翌日から雨が続くとのこと。しばらく火星に会えないだろう。「火星には雨が降らないそうですね」と話しか
けると「地球には不幸が降るそうですね」と火星も話しかけてくる。作歌信条などと言うほどの自信はないが、自然や人へ話しかけることが歌を詠むきっかけになる。

熱っぽく話しかけると時には素敵な返事を聞くこともできる。容易に会えない人、もう会えないあの世の人に話しかけるのは風や雨の夜がよい。風雨の音は短歌のリズムになりやすい。夜は耳が詠い昼は目が詠う。雨は直線、曲線、斜線、点線に。風は木々や花々を踊らせる。自然はその感情をストレ一トに表現するので分かりやすい。

ときには私が私に話しかけるが直に私がうるさくなり散策する。歩いていると何かが私に話しかけてくる。「久しぶりだねぇ」という声にふりむくと
沙羅の小枝が揺れている。「ここへ来いよ」と手招きしている。痩身痩躯の青年のような沙羅の木にやさしく話しかけたくなる。しかし甘い言葉は控える。話しすぎないように言葉を押さえる。思いきり言葉の捨てる。そして作品の誕生を気長に待つことにしている。

鈴木美紀子の歌集を語る会

2018-04-15 10:50:17 | 歌う
昨日14日、13:10~16・45 中野サンブラザで「風のアンダ一スタディ」を語る会があり72名が参加した。

第一部は穂村弘と文月悠光の対談 鈴木の歌集から二人が10首抄出している。
🌼折り返し電話するよと言うけれどそのときはもう虹は消えてる

穂村弘も文月悠光もこの歌を2首目に選出している。下句の作者の見事な皮肉に二人がすぐに反応したのだ。

第2部は天野慶、伊波真人、岡崎裕美子の語らい、司会は朽木裕、総合司会は岸原さや
🌼容疑者にかぶされているブルゾンの色違いならたぶん、持ってる

岡崎裕子、天野慶の抄出10首そして穂村弘もである。

🌼乗り物の酔い止め薬の眠くなる成分は蝶にとっての致死量

岡崎裕子の選んだこの歌は穂村弘も選び、私もこれはかなりの発見だと思っていた。「容疑者に」もテレビの画面を見逃さず1首にする作者に注目。

🌼この辺は海だったんだというように思いだしてねわたしのことを

この歌を贈られた彼は鈴木美紀子の虜になったであろう。もっと早くこの歌を知っていたら。私はあの人を虜にできたのに、この歌集を読んだとき私が思ったこと、歌は自分の心の代役になるのですね。