えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

追いかけるな

2015-11-30 09:24:44 | 歌う

               → 追いかけるな →

♥ 追い越して振り向けばまるで違うひと母はあの春この世を去った  松井多絵子

 もうじき桜が咲くだろうと思いながら並木道を歩いていたときだった。前方を歩いている和服のひとが母のように見えてきた。やや太っていた母はもたもた歩いていた。外出は和服だった。還暦のころから体調をくずし検査のため入院していた時に急死したのだ。退院したら、東南アジアの旅をしたいと言っていた数日後の死、とても信じられない死だった。享年64歳、女性の平均寿命より20年も早い急死。3月上旬、もうじき桜が咲くころだった。

 私は急いで歩き、前方を歩いていた和服の女を追い越し振り向いた。母ではない、母とはまるで違う高齢の女性だった。なぜ母だと思い込んで追いかけたのだろう。母の死後10数年も過ぎていたのに。伊集院静の✿『追いかけるな』の新聞広告は私に古い記憶を甦らせていた。あのときもし私があの和服の女を追いかけなかったら、。あのとき私は母の死を確認したのだ。

          追いかけるから、苦しくなる。

          追いかけるから、負ける。

          追いかけるから、捨てられる。

          人はすべて、一人で生まれ、

          一人で去っていく生き物である。

          失ったものはかえってこない。

          立ち止まる勇気を持ちなさい。

 『追いかけるな』という本の広告のキャッチフレーズは一偏の詩だ。朝食後の珈琲を飲みながら私はゆっくりこの広告を見る。明日からは12月、掃除、買い物などなど「追いかけられる」師走だ。北風、借金取りにも追いかけられる?ことのないように。

 伊集院静さま  私はもう 追いかけるひとはいません。
             私を追いかけてくれるひともいませんけれど。  

                              11月30日 松井多絵子

 


羽生結弦の語録

2015-11-29 09:13:59 | 歌う

            ・・・ 羽生結弦の語録 ・・・

 ♥ テレビには試合の前の選手たち彼らは自分を信じているらし 松井多絵子

 自分を信じることができるなんて幸せな人だ。これから試合をする選手たちは、テレビの視聴者に「自分を信じています」と宣言することが多い。自身に言い聞かせているのかもしれない。その一人の羽生結弦が昨日NHK杯男子世界歴代最高得点で優勝した。万歳!

 和太鼓の音が鳴りやむ。羽生はまるで大空を仰ぐように拳をつきあげる。自身でも満足できる演技だったのだろう。前日のショートプログラムで世界最高得点を記録し、さらにフリーでも世界最高得点、。。テレビのおかげで私は居間で羽生の快挙を見ることができた。「やってやると思ってた」とインタビューで語る、19歳らしい言葉、素直で気持ちがいい。12月7日は彼の誕生日だ。もうじき20歳。10代最後の快挙、自分への豪勢なご褒美となった。

 ☀ 朝刊の本の広告に✿羽生結絃語録 ~初のフォト&メッセージ集~

 ♦ 壁を乗り越えたら次の壁しかなかった。

 ※、すごく実感のこもった言葉だ。この一言は彼の語録のN01ではないか。現在までは。

 ♦ 僕は、挑戦してなんぼですから。

 ♦ 逆境や自分の弱さが見えたときが好きです。

 ※ 弱い自分を愛しむ、負けるな、がんばれ と自分を励ます、私もやらなければ、、。

 ♦ いかなる状態でも全力を出し切ることがスケーターとしての流儀です。

 ※ スケーターだけではない。歌人だって、主婦だって全力を出し切らなければ。

 ♦ 氷にはすごく感謝。 

 ※ これは羽生結絃語録の 私の好きな語録のNO2だ。現在までは。

 

       羽生結絃さま 「あなたは歌人になってください」と言いたくりなりました。

                            11月29日  松井多絵子

                         

  


地球そぞろ歩き (17)

2015-11-28 09:17:10 | 歌う

             ・・・ 地球そぞろ歩き (17) ・・・

♦ 歩きましょう、向こうの銀杏の木の下を、外苑銀杏は黄金まとう  松井多絵子

 昨日の今ごろ私は外苑銀杏並木を歩いていた。いま東京で最も輝いている道を、彼と?ではなく26人の旅友と 「シェ松尾青山サロン」へ向かって歩いていた。千駄ヶ谷駅前を10時に出発したクラブツーリズム一行は先ず♦外苑のシンボル・聖徳記念館を見学する。明治天皇と皇后、昭憲皇太后を永く世に伝える絵画館だ。明治時代が私たちに近寄ってくる。

 明治神宮外苑は親しい処だが、NP0のガイドさんの説明ではじめて知ることが多かった。とくに、クロマツ、葉は松だが、幹は灰色でなめらか、斑模様がおもしろい。中国産の松の大木である。この松と別れて青山梅窓院へ。江戸時代から先祖の御霊を見守ってきた墓地、

 30年も営業している シェ松尾青山サロン は和の食材を使いこなす正統派フレンチのレストランとして知られている。ツアーの26名のうち24名は女性。日ごろはインスタントラーメンや冷蔵庫の残り物などの昼食は私だけではないらしい。時には高級な昼食をしたい、お落な服でを着て、、。古きよき頃の巴里を想わせる部屋での昼食を、、。

、 テーブルに置かれている CHEZ MATUO MENU SPECLAUXは

   ◉ スモークサーモンで巻き込んだ鮭とクリームチーズ、根セロリのサラダ

   ◉ 茸のフラン(茶碗蒸し)と、そのエキス

   ◉ 牛フィレ肉のポ ワレ、プ リンスオルロフ風

   ◉ デザート盛り合わせ  珈琲

 私は前菜の根セロリのサラダと茸の茶わん蒸しが特においしかった。食器もアート的た。
食べるのは口だけではない、目も食べるのだ、目にもオイシかった。昼食を美味しくさせたのはシェ松尾に来るまでの2時間のそぞろ歩きだ。お腹が空いていなければどんなご馳走も美味しくないですもの。 歩行7567歩、4.7キロ、消費Cal 193、脂肪燃焼13g、
   ※ ツアー料金は8980円 (飲み物は別料金、ワイン、ビールは税込1000円。

   今日のお昼はカップラーメンにしょうかしら。  11月29日 松井多絵子         

 

 


二人の飯田彩乃

2015-11-26 09:29:16 | 歌う

               ✿ 二人の飯田彩乃 ✿

 昨夜9時頃、ツイッターで飯田彩乃の歌壇賞受賞を知った。彼女は「未来」の会員である。

♦ 空の眼は潤みはじめて明日きみは花の名をもつ町より来る  飯田彩乃

 ~雨は降りそうな、ではなく 「空の眼は潤みはじめて」と書きだせば歌になるのだ。~2016年4月6日のこのブログで、この歌を取りあげている。未来新年会出席者の出詠約1割に未来誌上で私はトヤカク書いた。そのなかでこの歌も取り上げた。意地悪バアサンにならないように好意的なコメントを書いたつもりだ。飯田彩乃を知らなかった。いまだに面識がない。昨夜、検索したら旅客機の研究開発をしている、、に驚いたが、同姓同名であろう。

         未来11月号には飯田彩乃の作品が8首掲載されている。 黒瀬珂瀾選

     蒸し鶏のバジルパスタがわたくしの前にくるまでの遙かな旅路

     喩とはさうすなはち贅のことだからようく選んで枝に刺すのよ

     年上のひとの発話を待ちをれば耳元へ押し寄せるさへづり

     読みさしの本を伏せるやうに目を閉ぢてそのままいつてしまうふのだろう

     祈るとは祈らないこと足ゆびのあひだに指を差し入れながら

     ホームに落ちる硬貨の音の鋭く響きユダは確かにイエスを売つた

     花も星も茨ものせられる髪を揺らして人は微笑むばかり

     咲く道にああことごとく花は散りきみは腕をひろげて歩く

 選者の黒瀬呵瀾はこの8首のなかの7首目 花も星も茨も、、に注目したというコメントを、
私もこの歌が好き。2首目の 喩とはすなはち、、にも共感した。

 飯田彩乃さま 天空の歌もどんどん詠んでネ。もう一人の飯田彩乃に負けないように。

                               11月26日  松井多絵子  


あるきだす俳句新人

2015-11-25 09:20:59 | 歌う

            ・・・ あるきだす俳句新人 ・・・

 6年前から俳句を作り始めて新人賞を受賞した能美顕之。38歳で日本伝統俳句協会新人賞、である。昨日☀「あるきだす言葉たち」の12句を読みながらベテランの俳人の作品のように思えた。若い人も老人と同じように和食を好んで食べるような、能美顕之の俳句。

               風音  より四句

        ♦ 秋風の膨らむ路地や鞆の浦

※ 広島県福山市は万葉の時代から潮待ち港として栄え、歴史のある処である。
吹き寄せる風は路地で膨らむ、潮の匂いが満ちているであろう。「膨らむ」が利いている。

        ♦ 曇天に存在感の紅葉かな

※ 晴天より曇天の方が紅葉は鮮やかかもしれない。「存在感」という散文の言葉を使い、結句は「紅葉かな」といかにも古風である。なるほど、だから。新人の伝統俳句か。

        ♦ 落葉踏む音に生まれるるリズムかな

※ 歩きながら落ち葉を踏むと歌っているような気分になる。歩くことは歌うことですね。

        ♦ 大空と一つになりて日向ぼこ

※ 「日向ぼこ」は愉しいが現代人は紫外線を怖れて避けるのではないか。「日向ぼっこ」は
昼のひととき私たちの 「ゆとり」 になるのに。大空と一つになれば、若くなれるのに。

 能美顕之は1977年島根県生まれ。「ホトトギス」同人。今年の日本伝統俳句協会新人賞

                                11月25日  松井多絵子

 

   ✿ 文芸情報   「ショートショート大賞」

 原稿用紙1枚から応募できる「ショートショート大賞」が創設される。キノブックス主催。
 来年2月29日まで作品を募集している。審査員長 作家の、田丸雅智
 作品は400字詰め原稿用紙1~20枚にまとめる。
 大賞は副賞30万円のほか書籍の刊行など。投稿先など詳細は特設サイト

         (http://shortshortawards.com)へ。