えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

紅葉の残業

2014-11-30 09:11:58 | 歌う

            ・・・・ 紅葉の残業 ・・・・

❤ 紅葉と黄葉競い合う道は山へと向かう空へと向かう   松井多絵子

 28日朝8時半、新宿を出発し京都へ向かう。新東名高速道路を走るバスの旅。神奈川県に入ると野、そして彼方に山々、黄葉の木々と紅葉の木々がまるで競い合うように車窓に広がる。私は乗り物のなかでバスが一番好きだ。新東名高速道は平日は渋滞せず京都まで5時間半で行ける。何より富士山をじっくり眺めることができる。28日午前中の富士山は雪山、8月に見た富士山とは違う冬山。その雪の富士へと続く山々の紅葉、黄葉は見事だ。

 2時過ぎに京都の真如堂に着く。坂道を上り裏口入園。今年産のワインのボトルを開けるような気分になる。文句なしの紅葉、やはり京都だ。いかにも成熟した紅。境内の三重の塔が紅葉を更にうつくしくしている。真如堂は正式には鈴聲山真正極楽寺。まさに極楽だ。

 4時半に知恩院駐車場で解散、6時まで自由行動。クラブツーリズムのいつものように。私は与謝野晶子気取りで丸山公園を歩く。6時半から永観堂のライトアップまでここで過ごす、が寒くなってきた。公園内のスナックに入りカフェオレを飲み、たこ焼きを食べる。表面がカリッとしたたこ焼き、カフェオレのおつまみにもなる。500円で10個。オイシカッタ。

 6時過ぎ、もう暗闇、永観堂の境内は満員。すでに紅葉は枯れかけているが、ライトを浴び華やいでいる。まずは「みかえり阿弥陀」を拝む。遅れる者を待ってくださる仏さま。

 ♠ 庭園の池のなかにも紅葉の木々がひろがり水がよろこぶ、  

 池を眺めているともう一つこの世と同じ世界が地下にあるような気がする。

 ♠ 「キミたちは残業なのね」古都の古寺ライトアップの紅葉の木々

    夜の8時過ぎに永観堂の境内を去るとき私は紅葉に酔っていました。2日前。

                           11月尽日   松井多絵子

                          


26歳・ユキオの死

2014-11-27 09:23:24 | 歌う

             ~26歳・ユキオの死~

 11月25日、まだ26歳のユキオが急性膵炎で死んだ。私が1度も会うとのなかった「ユキオ」は上野動物園の北極熊、ドイツに生まれた。2000年に岡山の池田動物園から上野動物園に来園、雌の「レイコ」と名コンビで人気を集めていたらしい。氷や鮭を食べる動作が愛らしかったそうだ。熊の寿命は30~40年とか聞いたことがある。26歳のユキオは人間の中年の頃か。医療の進歩で熊の寿命も伸びているらしいから残念だ。2年前の4月から釧路市動物園へ繁殖のため移りこの4月に上野に戻った。今月15日から食欲がなくなり、寝室に入るのを拒み、投薬を続けたが25日朝死去。「ユキオ氏のご冥福をお祈りします」

 2年前の10月、私は熊との距離・1m位に接近した。旭山動物園の真っ白い熊と。

        ♠ 白熊の白が目に染む紅葉の旭川獣園めぐりいしとき

        ♠ いちまいの硬質ガラスは白熊をやさしく見せて我を寄らしむ

        ♠ 白いコートの少女のわれに会いたくて白熊のそばを離れられない

  あの白熊の名前を憶えていない。硬質ガラスの広い空間のなかに1匹だけ。巨大なぬいぐるみの白熊みたいだった。旭川は寒さが厳しい。今も元気だろうか、あの白熊。

          ※      ※      ※      ※      ※

◆動物情報  =^_^=

 多摩動物園では22日にカモシカのなかま「ゴールデンターキンの「ボウズ」が死んだ。

  ▲ ボウズは多摩動物園生まれ。雄。17歳。繁殖に貢献し、同園にいる7頭中5頭は
        ボウズと血縁関係らしい。ボウズの死因は心筋梗塞。

                               11月27日   松井多絵子


冬眠したい

2014-11-26 09:02:06 | 歌う

           ・・・・ 冬眠したい ・・・・

❤ 貴女だって冬眠したらいいのにと夢の草葉の鈴虫が言う   松井多絵子

 寒くなってきた。さらに寒くなるだろう。夜更けの鈴虫のなき声は全く聞こえない。すでに冬眠しているのだろう。哺乳類や鳥類の一部は食糧の少ない冬は冬眠する。爬虫類や昆虫は極めて不活発な状態で「冬越」する。うとうとしているのだ。地下はやや暖かいから。

 紅葉が燃え尽き散りはじめる頃から寒さが厳しくなる。私の歩く距離か短くなる。家で本を読んでいると居眠りしてしまう。冬は無気力になる。人間だって冬眠したらいいのに。昆虫のように冬越できる処があればいいのに。例えばケアーホームやカプセルホテル。ベッドだけあればいい。食べないのだから安上がりだ。室温22度は人間が最も心地よい温度らしい。その部屋で眠って越冬する。三月の下旬にモーニングコール。桜が咲きはじめている。菜の花がすでに野を黄色に染めている。

 ♠ A面とB面のわれが添いながら眠りの森を歩きはじめる

 ♠ いくつもの鍵に守られ眠る夜の耳に寄せては遠のく風波

 ♠ 濃くなりし深夜の闇に横たわり海底の魚になりゆくような

    昨日の深夜から私は人魚になり海の底で眠っていたのに、現実に戻されて、、。

 ♠ まだ生きていたのか時計のアラームに目ざめて今日の朝(あした)がひらく

    もし人間が冬眠したら、そのまま永遠の眠りになるかもしれませんね。

                           11月26日  松井多絵子

           ※      ※      ※      ※      ※

 ◆ 俳句情報

  七田谷まりうす句集 『通奏低音』 第4句集。角川学芸出版・本体2200円

              ✿ 折鶴の折り方忘れ雪の暮

  奥田好子句集  『陽だまり』 第1句集 日本伝統俳句協会・税込2500円

              ✿ 勝敗の汗拭きながら泣きながら


歳を忘れた金子兜太

2014-11-25 09:22:29 | 歌う

           ~ 歳を忘れた金子兜太 ~

 昨日、11月24日の朝日俳壇 の新鮮な句が目についた。選んだのは大正生まれの95歳の金子兜太。「私は死なないのではないか」と最近彼が言ったとか。どうぞ遠慮なくこの世に居すわってください。次の句は金子兜太だけが選んだ入選句です。

♠ 秋深き茶の間に人類二人かな   (岐阜市)  阿部恭久

 もし「茶の間に老いたる二人かな」ならボツになっただろう。「人類二人」が冴えている。

♠ 舌に乗せふゆといふ語を出せば冬  (三郷市)  岡崎正宏

 「ふゆ」と言えばあたりの空気がひやりとする、体が冷えてくる。実感がこもっている。

♠ 冬の雲見上ぐる吾が流れおり  (高槻市)  山岡 猛

 雲を眺めていると白い綿に包まれて私が空にいるような、雲が動けば私も流れる。

♠ ぢつと見てゐれば浮きたる林檎かな  (横浜市)  三玉 一郎

 一郎さん、あなたは21世紀のニュートン。落ちないで浮いている林檎、幻想的ですね。

 金子兜太は「私自身が俳句」であることを自負している俳人だ。俳句は理屈でなく感覚で伝える。そうでなければ理屈は成熟しないと。 ✿「句作しようなどと構えるな、理屈をこねる前にどんどん作れ」。俳句を知らない方もどんどん作ってみましょう。  松井多絵子

✿ 短歌最新情報 

  第19回若山牧水賞 (宮崎県など主催)

   大松達知さん(43) 『ゆりかごのうた』 (六花書林)  副賞100万円

   授賞式は2015年2月9日、宮崎市の宮崎観光ホテルで。

      大松達知さま  おめでとうございます。  11月25日 松井多絵子

                                                      

 


殻ちゃん~30回

2014-11-24 10:19:13 | 歌う

                     ~ 殻ちゃん 30回 ~

 明日から夏休みなのに、殻ちゃんは猛勉強しなければならなくなった。運よく神山中学に合格したツケが1月期の成績表。約束の3時半に川上先生と会う、アキと殻ちゃん。

 川上 ◆ 「まあ、殻ちゃん。背が高くなりましたね。学力もどんどん伸びますよ。QA会の阿部先生はとても忙しい方なので、急いで行きましょう。」

 QA会へは5分足らずで着いた。雑居ビルの1階、入り口近くのドアーを開けると小部屋がいくつか並んでいる。一番手前の小部屋に中年のどっしりした男、それが阿部先生だ。まるで医者のような男だ

            ※      ※      ※      ※

 川上 ◆ 「こちらが水口殻です。とても素質のいい子なのに、ノンキすから、阿部先生、どうぞビシビシ鍛えてください。」 まるで母親のような川上先生。              

 阿部 ◆ 「夏休みを有効に使いましょう。このプリント3枚を今日予習してください。明日の午後1時から英語、数学、古文のテストをします。1科目40分、その後すぐに私が採点し解説します。水口さんのQA会申込書は既に川上先生からいただいています。川上先生はすぐに自分の塾へ引き返していた。

 阿部先生と別れ部屋を出たとき、ビルの入り口にあらわれた長身細身の男を見るなり殻ちゃんは「タワーだ」という、そしてタワーに近づき話しかける。

 殻  ◆ 「足立さん、今日からですか。こちらは私の母です。」

  アキは驚く、いつも自分のことを「ボク」と云っているのに、 ママでなく「わたしの母」とは。いつのまにか殻ちゃんは大人だ。そしてユイの息子は既に青年だ。何てカッコイイ青年だろう。目鼻立ちはユイに似ている、聡明そうなタワー君はセンパイには全く似ていない。父親は誰だろうか。アキにはユイが更に謎の女になってきた。

   ♠ 運命というのは実は意志なのだ。林真理子の語録をおもいだすアキ。 

          まだ続きます。どうぞよろしく。 11月24日  松井多絵子