えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

不食という生き方

2016-05-29 09:33:21 | 歌う

           ・・・ 不食という生き方 ・・・

 ♥ パンのみに生きているのか私は食べながら世を嘆いているのか  松井多絵子

 週末の新聞の本の広告はど派手だ。そのなかでも目立つ▲『不食という生き方』。著者は弁護士・医学博士と知れば一応信用したくなる。しかも著者自身の全身が載っている広告。8年間、「食べない」を実践する弁護士・秋山佳胤。やさしそうな中年の男だ。この人が私の夫だったらいいなあと思う。私は毎日、食べることに追われている。私だけではない、夫の食事の支度がヤレヤレなのだ。毎晩欠かさず飲む、おつまみをあれこれ欲しがる。しかもかなりの偏食。もし、不食・秋山氏が私の夫だったら、私が夫のために費やす時間はほとんどゼロなのに。

          秋山先生、 ホントですか 「食べなくてもいい」。

     ▴ 2008年以降、一切の飲食が不要、
     ▴ ある不食者との運命的な出会い
     ▴ 食べる量を減らすと頭がさえる
     ▴ コツは食べない生活に体を慣らすこと
     ▴ 空腹に慣れたとき、プラーナだけで生きられた
     ▴ 不食と断食は違う

 悲しいと食べたくなる。つまらないと食べたくなる。悩みが増えると食べたくなる。これは秋山先生の場合。私は反対だ。悲しいとき、つまらないとき、悩みがあるときは食欲がない。楽しい時こそ食べたくなる。私はオシャレよりグルメ、旅行社のグルメツアーにしばしば参加し、先日はエチオピア料理まで楽しんだ。いまや生きがいはグルメ。このグルメツアーの常連のAさんは、夫が糖尿病でキャベツが主食。彼女はグルメ女だが、定年後の粗食の夫との3度の食事が苦痛だと言う。広告の秋山先生は私の好みの風貌だし、手もかからない理想の男性だが、彼と暮らしたらAさんのように欲求不満になるだろう。

  もうじき11時半。今日は冷やし中華にしようかな。いや、卵かけごはんがいい。

    ☯ 卵かけごはん、味噌汁、一夜漬け、みずほの国はやはりよき国

                      5月29日  松井多絵子 


広島のオバマ

2016-05-28 09:25:27 | 歌う

                ~ 広島のオバマ ~

 5月27日夕、オバマは米国の現職大統領として初めて広島を訪れた。献花後、慰霊碑前に招待した被爆者らを前に演説、「広島に原爆が投下された日の記憶を薄れさせてはならない」と訴えた。阿倍首相も「広島の人びとのみならず、全ての国民が待ち臨んだ歴史的な訪問を心から歓迎したい」と語った。オバマの広島訪問を待ち望んだ日々の長かったこと!

                「待つ」 九首       松井多絵子

       キウィーを輪切りにすればたちまちに緑ひろがり平和を待つ野

       いますぐに海を見たいな夏を待つあの海原をを独り占めして

       胸の底よりひと筋の道が続いてる遙か彼方に我を待つ海

       私のみ、、いいえ私の影もゆく夕べの海辺を、夏を待つ海 

       夏を待つ海辺の砂を握りしめ夕日を見ており今日も去りゆく

       あと幾度ここに来て骨を拾うのか火葬を待つこの40分は

       高層のビルは地下へも伸びていてB4階に我を待つ酒場

       駅ビルの地下に私を待つ滝が、か細い滝が、人工の滝が

       コンビニの前のベンチに腰かけて夕風を待つしなやかな風を

                                               

 あと8か月でオバマ大統領の任期は終わる。昨日、広島で「戦争の悲惨さ」を強調したのち日本を去ったオバマ。被爆地から「核なき世界」をあらためて発信して。 

                  5月28日   松井多絵子


駅をテーマにした短歌④ 

2016-05-27 09:50:05 | 歌う

            駅をテーマにした短歌④~待つ~

 染野太朗・吉岡太朗「短歌同名誌」に寄せられた駅をテーマにし短歌に「待つ」」を詠まれた歌が多い。駅から生まれる様々なドラマ、ことに「待つ」は情感を込めやすい。
待つには様々な形やサイズがある。私たちは待ちながら生きているのだから。

 ♦ 私にも乗れる電車があるという 手を振り手を振りうつむいて待つ  (千束)

 ※ 乗れない電車とはふさわしくない相手なのか。相性のいい相手が現れるまで待つ、この電車は生涯を伴にできる相手のことか、同じ目的地へ行く電車のように。

 ♦ 春の駅のホームできみを待っていて明るいうちに眠たくなるね (嶋田さくらこ)

 ※ この駅は地下鉄ではなくホームには春の光。そこできみを待つ。信頼できる君なのであろう。下句の「明るいうちに眠たくなるね」から作者ののどかな気分が伝わってくる。

 ♦ 次を待つ十三分が長くって空が描かれたコーヒーを買う (月丘ナイル)

 ※ 駅のホームに立ち電車を待つ間の長さ。13分は何とも長い。缶珈琲を飲みながら待つのもいい。青い空を、珈琲の缶に描かれた空を見ながら飲む珈琲はオイシイでしょうね。

 ♦ 屋根のないホームの端で待ってゐる待ってゐる待ってゐる待ってゐた (本多真弓) 

 ※ 「待ってゐる」が三度繰り返され作者がどれほど待っているかが強調されている。結句は「待ってゐた」。待ちくたびれて屋根のないホームを去った。切ない一首だ。たぶん恋の。

 ♦ 金沢の駅(うまや)に君を連れてくる<かがやき>という高速を待つ (喜多昭夫)

 ※ <かがやき>とは列車の名か。或いは高速バスか。作者の大切な君が乗っている。古都・金沢で君を待つ作者。駅ではなく「うまや」で君を待つ、愉しいひととき。

       あゝ私も金沢に行きたい。鈍行列車で。 5月27日  松井多絵子

 


歌人クラブの文学散歩

2016-05-26 09:22:29 | 歌う

            ・・・ 歌人クラブの文学散歩 ・・・

  ♥ 白鳥は哀しからずや空の青海の青にも染まずただよふ  若山牧水

 昨日は歌人クラブ東京ブロックの文学散歩。31名は朝8時半にバスで沼津へ向った。まず沼津御用邸公園内で昼食、公園内を散策し若山牧水館へ。宮崎県日向市にも牧水館があり遺品などが展示され、牧水の生家も近くにある。沼津の牧水館は、晩年の彼が過ごした処。歌人牧水の生涯の作品が幅広く紹介されている。亡くなったのは43歳、彼は青春の終わりとともに世を去った。青を恋いながら。 昨日の沼津の空は灰色、海も灰色の曇天。

  ♥ 白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり 

 牧水と言えば「酒」といわれるほど「酒」が好きだったらしい。牧水の酒の歌だけを集めた歌集が売店で売られていた。牧水が愛用した杯や徳利に見入る男性が多かった。その中に牧水が特に愛用し柩のなかに納め焼かれたが、その青が鮮やかに美しくなったので遺骨の中から取り出して保管し展示されている杯と徳利。牧水の代表歌の短冊の墨筆は無邪気な字で見ていて楽しい。休憩室には本のコーナーもあり、私の歌集『えくぼ』を今井千草さん(短歌人)が見つけてくださった。8年も前か、この記念館にお贈りしたのは。

 記念館を見学したのち海岸沿いの千本松原を歩く。海も空もシルバーグレイ、青春時代を終えた、晩年の牧水は海も空もいつまでも鮮やかな青であることを願っていたであろう。全国に300余もある牧水の歌碑の第一号が千本浜公園に立っていた。

  ♥ 幾山河越えさり行かば寂しさの終(は)てなむ国ぞけふも旅ゆく

 旅と酒が生きがいだった牧水、もし彼が酒と女に生きた歌人だったら私はイヤだ。自然へののめり方がすばらしい。文学散歩の最後は乗運寺、牧水の墓があり若山家の菩提寺である。紫陽花がもう咲いていてまるで公園のような墓地の片隅にある牧水の墓に私たちは花を供えた。「缶ビールのほうが牧水は喜ぶかしら」、などと話しながら。

                    5月26日  松井多絵子


どうしたらいいのか

2016-05-24 09:36:05 | 歌う

             ・・・ どうしたらいいのか ・・・ 

 ☀ あえぎつつ砂丘を登りのぼるとき遠き夕日に見られていたり  松井多絵子

 今、舛添都知事は砂嵐の砂漠のなかにいる。たった一人で重い荷物を担ぎ砂丘を登っている。彼方には夕日。まもなく沈む夕日が、、。本日朝刊の広告「週間朝日6月3日号」はきびしい。 舛添都知事ドケチの原点 「飲んべえの父はすぐ死んだ」・・・製鉄の街・北九州で育った貧困時代/ 結婚3回+愛人2人・・・欲望と表裏一体のプライド/日光千姫物語 宿泊8万円、『クレヨンしんちゃん400円』・・・疑惑総まとめ/ 止まらないトップの暴走・・・元凶は石原都政

 都知事選で私は舛添にも石原にも投票していない。この二人は優秀でカッコいい。頼れそうな男だが。私はイメージを信用しない。カッコイイ男はあてにならない、むしろ危ない例をイヤというほど見聞きしている。週刊誌などでトヤカク書かれることの多い人は要注意だ。

 ☀ どうしたらいいのだろうというような砂丘斜面のわれの足あと

 まだ老人になったばかりの舛添都知事はまさに稔りの時期、貧困のなかで育ったのなら今、名誉ある都知事を辞任などさぞ辛いことだろう。新聞の本の広告で目立つのはお金の儲け方。今日も『お金に困まらない生き方』が目立つ。お金に困れば下流老人に、お金があればハッピー老人に。女性問題でズッコケながら、そのゴシップで知名度を上げたのか舛添は都知事になった。なったらすぐに自身のための財テク、やりたい放題だ。ノーモア舛添!、

 ☀ ほんとうのことを話せどフィクションと思われている、ような気がする

  長年舛添氏を支援してきた人達も彼のことを恥ずかしいと思うようになったらしい。彼はますます孤立するだろう。砂漠の砂嵐のなかに一人さまよう初老の男。

                     5月24日  松井多絵子