えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

心の花のシンポジゥム

2014-08-31 08:55:14 | 歌う

            ✿ 心の花のシンポジゥム ✿

 夏は涼しい国、冬は暖かい国で老後を過ごすのが、わたしの長年の夢である。昨日、「心の花」の全国大会のシンポジゥムで 「われわれは国際化の中で何を歌うか?」 を拝聴した。海外から来日された会員を交えて、7人の方々の活発なお話は楽しかった。

① 青木泰子  アメリカに永住し、望郷の歌にならないように気をつけて日本を詠む。

  ♠ 腕の中で眠りはじめる児の重さ いざという時いついざのアメリカ

② 梅原ひろみ 2年前まで8年弱、ベトナムに。短歌を始めて数年の一番多作だった頃。

  ♠ 君は我を忘れゆくらむ過ぎし日のマングローブの水漬く根元に

③ 宇都宮とよ お子様の滞在なさるニューヨークでの生活。日本を見る目に少し変化。

  ♠ 三人の家族となりて子らは立つフォレストヒルズの合歓の木の下

④ 谷岡亜紀  私にとって海外詠とは、すなわち旅の歌です。

  ♠ 徴兵にやがて話が及ぶとき黄砂激しくけぶる国境

⑤ 佐佐木頼綱  カンボジアは私の価値観を揺さぶる国でした。

  ♠ 広げれば風に膨らむ地図を抱き今カンボジア国境を越ゆ

⑥ 佐藤モニカ 海外で生まれ育ち沖縄に留学。日本語で表現したい欲求は強い。

  ♠ 空見上げ星を探して祖父思ふブラジルは今朝だけれども

⑦ 藤島秀憲 日本の本州以外は知らない。想像力と言葉で海外詠を越えられるか。

  ♠ 幸せだ 青葉若葉を通り抜け日差しが届くジャムを塗る手に

 2時間におよぶシンポジウム。ほんの一部しかご紹介できないのが残念です。小塩卓也
氏の講演 「短歌の国際化」 佐佐木定綱氏の 「心の花と国際化」は割愛しました。

                        8月最後の涼しい日曜日  松井多絵子


歌っている風

2014-08-29 09:04:01 | 歌う

           { 歌っている風 }

 ながく生きていると時には棚から牡丹餅ということもある。でも一つだけ。オイシイことはめったにない。「会心の作をふと思いつくことはない」。とある歌人が言った。「歩けば歌ができるのはかなりキャリアのある歌人ではないか。なかなか歌ができないときは風を吹かせればいいんだよ」と。風は目にみえないが風により動かされている木々や草花は歌える。風のさまざまな音も歌になる。春の風は甘い歌になりがちだが、秋風は身に染みる歌を詠ませてくれる。私の歌集『えくぼ』には風の歌がたくさん収められている。6首を抄出する。

           歌っている風         松井多絵子

 ゆうぐれの風が乗りてはすぐ降りる今日も空き地にある三輪車

 ひと坪の砂漠となりて公園のゆうべの砂場に風紋があり

 滑る子を待つすべり台のスロープの急なる傾斜を微風がすべる

 耳飾りのひとつを失くし右の耳ばかりが風のうたごえを聞く

 だれかが風につれてゆかれたような夜だれかが星になるような夜

 目標に遠く離れた位置にいて何を捨てればいいのか風よ

             ※   ※   ※   ※

 ✿ 漱石情報8月29日

 8月30日より世田谷区 五島美術館  漱石の直筆原稿751枚を展示

  散在していた夏目漱石(1867~1961)の長編小説 「門」 の直筆原稿751枚が揃い所在不明だった4枚も加わった。この4枚の原稿は推敲のあとがよくわかり、全集や文庫本に比べると漢字や読点などに違いもあるなど、漱石研究上も注目されている。 以上。


甘党だった漱石

2014-08-28 09:13:21 | 歌う

             { 甘党だった漱石 }

✿ 花よりもケーキが欲しい雪山のあのモンブランの写真に触れる   松井多絵子 

 『断糖のすすめ』という本の広告にしばし目を奪われる。♠ 糖をやめるだけで翌日には体質改善を実感。 ♠ がん細胞は「糖」が大好物  ♠ 「動脈硬化」「がん」「うつ」も改善 ♠ ボケたくないなら糖を抜け  著者・西脇俊二は52歳の医師らしい。自ら断糖を実践し3か月で17キロ減量した、そうである。「糖を食べている限り病気と隣り合わせ」という西脇俊二ドクターの説を読みながら漱石を思った。49歳で世を去った漱石の夭折を。

 朝日新聞に掲載されている 「こころ」 には漱石についての情報が載っている。
「先生の遺書」 六十七  ▲ 漱石はこんな人  甘党  次のように書かれている。

 漱石は甘いものが大好きだった。汁粉は10代のときから大好物。毎晩下宿の前に汁粉屋が来たので、欠かさず食べた。家庭を持つと、朝食は紅茶とパンで、パンには砂糖をつけたようだ。ジャムやアイスクリームにも目がなかった。「坊ちゃん」では、越後の笹飴や温泉の団子がキーワードで登場する。一方で酒が入り、座が乱れる宴会シーンは、いかにも不快そうに描かれる。晩年になっても甘糖は変わず、胃腸に悪いと鏡子夫人が菓子を隠した。

 もし『断糖のすすめ』を漱石が読み,糖ぬきの食生活をしていたら、70歳くらいまで生きて
さらなる名作を生んだだろうか。あるいは若いときから酒に溺れて体を壊し、作品は駄作ばかりで30代で世を去ったかかもしれない。糖はコワイが酒はもっとコワイような気がする。糖と酒を避けることができたら、人間は最良の生き物になれるかだろうか。戦争の好きな破壊的な人間になることだってある。糖も酒もほどほどに付き合うことができるなら、、。

   今日の東京は暑くも寒くもなくほどほど、束の間の安らぎ、水がおいしい。  

                        8月28日    松井多絵子


芥川&直木賞贈呈式

2014-08-27 09:17:22 | 歌う

           ✿ 芥川&直木賞贈呈式 ✿

★ 電話器が金の器になることも文学賞の受賞伝える   松井多絵子

 第151回の芥川・直木賞の贈呈式が東京都内で22日に開かれた。昨日の朝日夕刊に受賞の柴崎友香と黒川博行のツゥーショット。65歳の黒川と40歳の柴崎はまるで父と娘に見える。ふたりは大阪市立中学校の先輩と後輩であり、1100人がお祝い出席とか。

 芥川賞 ✿ 「春の庭」 日常のもろさ、いとおしさが表現されている。何度でも読める素晴らしい小説であると堀江敏幸選考委員は評価し、柴崎は「読む人が支えてくれた」と、、。

 直木賞 ✿ 「破門」 物語がしっかり積み上げられ、会話で描写していてすごい技を持っている。久々にいいハードボイルドを読んだと北方謙三選考委員が賞賛している。65歳を過ぎたら候補になることはないと思った。「たった1着しかない」スーツを着て「ありがとうございます」と。(黒川さん、髭がなかったらアナタは55歳に見えるのに)

 ♠ まず賞を、そして急いで実力を、ふかく礼して花束を抱く   松井多絵子

 4年前に評論賞をいただいた時の私の1首である。柴崎友香さんは40歳だが、作家になって15年。受賞まで長くかかった方である。黒川博行さんは選考委員9人のうち7人が知り合いというほどのベテランだ。賞を頂いて急いで勉強し始める私とは違う、お二人は。

         ※   ※   ※   ※   ※   ※

 7月29日のblog.goo.ne.jp/matsui04/ 「世田谷の緑道」で柴崎友香さんのことを。
             検索 春の庭 松井多絵子 (すぐ読めます)。

 7月19日のblog.goo.ne.jp/matsui04/  「直木賞の黒川博行さん」のこを

              検索  破門 松井多絵子 (すぐ読めます)。    

                                                

                    

 


歩けば短歌

2014-08-26 09:25:28 | 歌う

            { 歩けば短歌 }

✿ 歩けども歩けども一万歩にならず陸橋の下をながれる車   松井多絵子

 わたしのケータイには万歩計がセットされているので歩行数はすぐわかる。1日1万歩を目標にすると、毎日赤字である。なぜ1日1万歩なのか。糖尿病などの持病のある人はさておき、歩くことは脳によい刺激を送り続ける。全身の筋肉の約3分の2が集まる下半身を中心に動かすウオーキングは大きな筋肉を動かし続けることで、司令塔である脳は特に稼働することになる。足が伸びたり縮んだりする運動をくり返すことで、下半身にたまった血液を心臓へ強く押し上げる。歩いているうちに頭がすっきりして爽快な気分になるのは、大脳の血のめぐりが良くなり、脳細胞に十分な酸素が送りこまれ、脳を活性化するらしい。

 先日の「未来シュウマイ歌会」で 堂園昌彦さんが 「机の上では短歌は作れない。言葉だけでは作れない」と言っていられた。彼は30歳だ。それでも歩きながら作歌しているらしい。歩くことで記憶力もアップし考えもまとまるという医者もいる。涼しくなったら、猛暑の日々の私の歩行の赤字を何とかしなければ、1日1万6000歩を目標に。近頃は歩いていないためか、短歌のメモは空白に近い。やはり歩かなければ短歌はできないような気がする。

    かなり曇ってきました。雨よ激しく降らないでね。 8月26日  松井多絵子

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★ 8月の俳句情報③ 句集刊行のお知らせ

♠ 山根真矢句集 『折紙』 型にはまらない多様性をみせる第一句集

    裸の子太平洋の縁歩く   (角川学芸出版・本体2700円)

♠ 小寺敬子句集 『夏の果』 遺句集。素直でたおやかな作品世界が生み出す余韻。 

    ぼくたちが愛した自由青葡萄    (青磁社・本体2500円)