えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

「猿橋賞」の佐藤たまき

2016-04-30 14:01:30 | 歌う

           ~ 「猿橋賞」の佐藤たまき ~

▲ 恐竜の屈む姿をおもわせる花の終わりし三春の桜   松井多絵子

 恐竜と同時代の海にすんでいた大型爬虫類の首長竜、その化石をひとつじっくりスケッチし、特徴を細かく分析、記録する。そんな研究に取り組んできた佐藤たまき(44)が今年の「猿橋賞」を受賞する。女性科学者に贈られるこの賞を受賞する佐藤は東京学芸大准教授。幼いころ、図鑑の中で恐竜が一番のお気に入りで、恐竜人形で遊んだそうである。遊びが研究に発展し、評価されるとは、幸せな女性だ。「歴史を背負った化石に学術的価値を示すのは、研究者冥利に尽きる」と佐藤たまき。本日朝日朝刊 「ひと」 の彼女の写真は眼も笑っている。

 恐竜を学ぼうと進んだ大学の研究室に首長竜の化石があり、恐竜に比べてわかっていないことが多いと知った。特徴を記すことからはじめると、それが面白くなった。カナダの大学院で博士論文を書き終えた2002年末、多くの首長竜を見てきた経験を買われ、その研究チームから声がかかった。新種の決め手は、目と鼻の位置の特徴。発見から38年ぶりの成果だった。

 佐藤たまきは「猿橋賞」が欲しくて首長竜を研究したのではないだろう。幼い頃の恐竜人形から恐竜に興味を持ち、海にすんでいたらしい首長竜を、、。幻の大型爬虫類・首長竜を追い続けたのだ。夢のような話だ。これこそ研究なのだ。私たちの周りにはまだ調べることが沢山あるのではないか。この連休は歩きまわってみよう。私が歩けば化石に躓く。そして?。

       首長竜はこんなだったか、港には大型客船停泊している 

                   4月30日  松井多絵子


何となく「春愁」

2016-04-29 09:25:46 | 歌う

           ・・・ 何となく「春愁」 ・・・

✿ 雨は藤の花を泣かせる花房はうすむらさきの涙をながす  松井多絵子

       4月29日☀折々のことば 

 何が悲しいといふのではなく、、何となく遣瀬ないのである。 水原秋桜子

 「新編歳時記」で俳人が「春愁」にこと寄せて書く。「春を楽しんだ心は同時に春の愁いに沈まなければならない。とは言っても、それは強烈な悲しみではない。とりとめもない愁である」と。
歓楽と悲哀の敷居はおぼろ。知らぬまにめくれ返っている。「春愁や草を歩けば草く」(青木月斗)を引いて、「このやうに何でもない事ながら、それが皆春愁の種になるのである」とも。

 鷲田清一のこの解説を読みながら、私は昨日ながめた亀戸天神の満開の藤を思った。江東区にある東京一の藤の名所、4月下旬から花の見ごろになる。連休の混雑をさけて昨日訪れたが、小雨だった。境内の藤棚の約100株の藤は花房をさらに垂れていた。晴天だったら花房たちは光と戯れイキイキしていただろう。今日は晴れ、心字池も藤の紫が鮮やかだろう。

 しかし陽射しが強すぎると藤の花房は疲れてしまう。だらしなく垂れた花房は老女のようで疎ましい。盛りをすぎた藤もやるせない。春の花々を楽しんだ後には愁いに沈むことになる。たしかに、とりとめのない愁いである。亀戸天神を去りながら今年の藤の花と別れるような淋しさに浸った昨日の午後。快い愁いかもしれない「春愁」とは。、

                         4月29日  松井多絵子


白の魔法を

2016-04-27 09:17:26 | 歌う

               ・・・ 白の魔法を ・・・

 ”白の魔法で”で男は変わる! Safari という雑誌の新聞広告の白いTシャツの男が私を見ている。背広の男よりTシャツの男のほうが親しみやすい。私の荷物を気軽に持ってくれそうな感じがする。しかも新しい白のTシャッを着た筋肉モリモリの男、いいですねえ。昨年は春から女たちが白い服を着て、夏も白い服が目だったが、今年は白が男の流行色になるのだろうか。そして女たちも昨年の白い服をこの夏も着るかもしれない。

                白い迷路 七首       松井多絵子

      新緑の木々を見下ろしそそり立つ白いタイルの脳外科病院

      白藤の花がわたしを眠らせぬ車窓に白の花々騒ぐ

      葉に白い毛のあるこの茶を飲んだなら若返るという嘘はたのしい

      B5判原稿用紙よ、その白い二百の窓をひらいて欲しい

      この春のわたしの歌の記されぬ手帳の空白、ふるえている白

      空もいま傷ついているエアバスの過ぎりしのちに白き疵跡

      まっすぐな道こそ迷路まっ白な服こそすぐに汚れてしまう

 

 白は無彩色であり、黒の対語である。白と黒はもっとも古く発生した色名の概念とされ、汚れのないさまを清廉潔白というらしい。私は「清廉潔白」という言葉が苦手である。

                        4月27日   松井多絵子                               

 


熟語を楽しむ

2016-04-26 09:28:00 | 歌う

             ・・・・ 熟語を楽しむ ・・・・

 ♥ このひとも一期一会となる人か夕べの空をエアバス過ぎる  松井多絵子

 「スタイルアサヒ」というPR誌の読者アンケートが面白い。今月は✿「好きな四字熟語」

 1位 一期一会 2位 心機一転 3位 大器晩成 4位 七転八起 5位 温故知新

 複数の漢字が集まり固定した意味を持つ熟語は楽しい。4字の漢字が集まって独特の言葉になる愉しさ、読者が選んだ第一位の「一期一会」は私も大好きな熟語である。旅先で知り合った人と話ながらこの旅が終わればニ度と会うことがないと思うと、相手の一言が大切な言葉になる。親しくしていた人が急逝したり、会うは別れの始まりとは淋しい。2位から5位までみな私の好きな熟語だが「一期一会」は詩情のある熟語だ。

 この他にも読者が選んだ4字の熟語に次のような言葉がある。

 ♦ 呵呵大笑  これからの人生を笑って過ごそうと思います。(60代・女性)

 ♦ 「言語道断」  響きが意味にぴったりなので、好きです。(50代・男性)

 ♦ 「一生青春」 心はいつまでも青春で探究心を持ち続けたい。(80代・女性)

 ♦ 「花鳥風月」 日本の自然をめでる余裕を常に持っていたい。(40代・女性)

  これらはみな人生を豊かにする熟語、力強い言葉である。  4月26日 松井多絵子 

 

 {俳句情報・新刊句集}

  ✿ 大輪靖宏句集 『海に立つ虹』 第4句集 (文学の森・本体2667円) 

            「天上の音を目で聴く星月夜」

  ✿ 坪内稔典 『漱石くまもとの句 200選』 (熊本日日新聞社・本体1200円)

             「菫程な小さき人に生れたし」


ツナミだ!ツナミだ!

2016-04-25 08:18:14 | 歌う

              → ツナミだ!ツナミだ!→

 ▲ 壁のごと迫るツナミを語るとき海辺の女は瞼をとざす  松井多絵子

 4月16日の地震で南米エクアドル沿岸部に大きな被害が出た。西部の町カノアでは地震発生の直後、大勢の住民が声を掛け合って高台に避難した。実際には大きなツナミは来なかったが、東日本大震災で見た映像の記憶が素早い非難につながった。地震発生は午後7時前。強い揺れによる停電で真っ暗になるなか、ツナミ、ツナミと叫ぶ声が、ツナミはスペイン語でも「ツナミ」。エクアドルの公用語はスペイン語である。

 ▲ 今ここにツナミが迫って来るならばあの高台へ駆け上らねば

 「3・11の日本のツナミを思い出した。一目散に高台へ向かって走った」ひとびと。「波が家々をのみ込む様子を思い出した。走れる所まで走り続けた」エクアドルの人々も3・11のテレビの映像の記憶は鮮烈なのだ。避難を呼びかける放送や誘導ではなく住民自身の判断だったのだ。高齢者や体の不自由な人も周囲に助けられて避難していたらしい。

 ハワイの太平洋津波警報センターは一時、沿岸に津波到達の恐れがあるとして警報を出し避難した。3・11の映像が住民の素早い行動をうながした。波が家を壊していく様子は私たちの心に強く残っている」と。(朝日新聞 カノア=田村剛)

     ▲ ツナミなど来ることないというように湘南の海にただようヨット

                   4月25日  松井多絵子