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或るホームレス歌人を探る~その十八

2012-12-27 20:39:42 | 歌う

             ★「或るホームレス歌人を探る~その十八」  松井多絵子

     ▲なぜ、投稿しなくなったか

 九月七日に永田選者は「瓢箪の鉢植ゑを売る」を選び、同時に次のような(公田さんをおもう歌)を採っている。

❤点訳の朝日歌壇の今届きなぞりてさがす公田耕一 (都留市) 長田美智子

 作者は盲目である。点訳された「朝日歌壇」を取り寄せてまで公田の作品を求める。すでに公田の応援歌は朝日歌壇を熱くしているが、その作品は公田に対してかなりの圧力だったであろう。投稿を中止する引き金になったのではないかと私は思うのである。

     ▲ もしかして虚構

 三月二日の「一日を歩きて暮らすわが身には雨はしたたか無援にも降る」を読みながら、これがホームレスの歌でないとしたらと思ってみた。するとこの歌はにわかに精彩を失った。どのようなところを、どのように歩いたか、実景描写も身体感覚的な表現もない。下句も安易にまとめている。いわゆる大雑把な歌だ。

 三月二十日の「温かき缶コーヒーを抱きて寝て覚めれば冷えしコーヒー啜る」、自販機のホットコーヒーは冷めやすい。この作品に公田耕一という署名がなければ若い人のやや軽い失恋の歌のようでもある。花冷えのころ、ホットコーヒーの缶ぬくもりを抱いていたら眠ってしまった。恋も終わってしまった、、、。しかしホームレスの歌ともなると冷えてしまったコーヒーの缶が痛々しくなる。大切なひと缶のコーヒーを飲みながらさぞ寒かったであろう。六月の今もこの歌を読みながら寒くなる。   (まだ続きます。次は郷隼人、美原凍子が登場!)

※読者の皆様にうかがいます。公田さんの歌はフィクションだと思う方、事実だと思う方、もしかしてこれは俺の歌だ、俺が公田耕一だ。という方、手を挙げてください. 松井多絵子