えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

吾輩は犬である

2016-03-31 09:49:55 | 歌う

              ・・・ 吾輩は犬である ・・・

  『吾輩は犬である』とう小説を金原ひとみよお書きなさいな   松井多絵子

 写真の金原ひとみの顔は猫のように見える。やや妖しい女の感じがする。彼女は犬になったら面白い。私たちの犬のイメージを変えるかもしれない。明日から朝日朝刊で『吾輩は猫である』の連載が始まる。先日来☀新聞は連日『吾輩は猫』についての記事。まるで前菜のようだ。今日は「猫キャラ 増殖のナゾ」、~猫人気が高まっている~から始まっている。

~昨年の推計飼育数は犬が991万7千匹。猫が987万4000匹。犬が200万匹多かった5年前から逆転しそうな勢いがある。「猫が魅力的なのはミステリアスな行動を楽しめるところ。ハンターとしての野生を維持したまま、ペットとして家にいる。野生モードに入ると、次々と謎めいた行動を引き起こす」と話すのは『ねこはすごい』(朝日新書)で猫の身体能力から魅力を説いた北九州市立自然史、歴史博物館の山根明弘学芸員だ。

 文学の世界でも「源氏物語」では女三宮と柏木の密通の端緒を作りだし「枕の草子」には天皇の愛猫として位をもらった猫が出てくる。猫は勝手に家に出入りしえさだけもらう。最近はペット化が進み、より人間との距離が近づいた。ペット化されることで人が猫を観察するようになる。謎めいた行動をつい人と話したくなり、会話が促進され、猫好きが増えていく。

 犬との違いは、猫世界を失わないまま人間世界に入り込んでいること。「吾輩」は超越的に世間を批評する存在として描かれる。先生のひざで丸くなりながら人間の話を聞いていたと思ったら、外に出て猫同士の情報網からいろんなゴシップを集めてくる。もし『吾輩』が犬だったら、人間世界の批評ではなく、もっと人間に寄りそう物語になるでしょうね」と精神科医の斉藤環。「吾輩」の猫と私たちは通じるところがあるのだろう。一段上から世を眺める批評性、斜に構えた冷笑的な視線など。明日から私たちに100年余も前の猫がやって来る。

      お隣の犬、そのお隣の犬も亡くなって、犬小屋は空き家のまま。

                          3月31日  松井多絵子                 

                  

 

 


地球そぞろ歩き(18)

2016-03-30 09:28:27 | 歌う

             ・・・ 地球そぞろ歩き(18) ・・・

 ☀南側ばかりわんさと咲いているソメイヨシノの意気がまぶしい  松井多絵子

 昨日、<世田谷桜さんぽ>に参加した。朝9時半に東急田園都市線・駒沢駅に集合したのは10名、すべて女性である。NPO法人のガイドさんは男性だが添乗員さんは女性、一行12名はまず駒沢公園へ。東京オリンピックの第2会場として整備された施設である。桜はソメイヨシノなど200本が点在しているがあまり咲いていない。人も少ない。ここを出ると商店などが密集している。車が絶えず行き交う。

 馬事公苑は東京オリンピックの第二会場に決まり、週末や祝日には馬術競技会が行われている。日当たりのよい処の桜はすでに満開、遅咲きの山桜とともに花盛りである。馬事公苑周辺のフランス的な道を歩いて砧公園へむかう。

 砧公園は以前はたしかゴルフ場だった。いつのまにか芝生と樹林の公園になり、広大な芝生に古木の桜が枝をひろげ今や花盛り、大勢の人びとが芝生にすわりランチしている。春休みの今、満開の「さくらさくら」が子供たちの良き思い出になりますように。

 ほぼ満開の桜が見渡せる世田谷美術館 「ル・ジャルダン」で私たちはランチを、前菜、スープ。魚のソティには青々としたアスパラ、レンコンやウドの揚げ物が添えられていた。デザートはヨーグルト入りのアイスケーキに苺、なるほど、女性客が多いわけだ。窓越しに桜を見ながら、フランス料理、ここならまさかテロに襲われることはないだろう。レストランは公園内なので食後は桜を眺め、吊り橋を渡り、散策、砧公園を去るとまだ桜はあまり咲いていない。早く咲く桜と、ゆっくり咲くさくら、私はゆっくりゆっくり歩いて帰宅した。
        (クラブツーリズム・テーマのある旅、参加費昼食込6980円)
       そぞろ歩きの私の歩数13172歩 9km 消費261Cal 脂肪燃焼量18g

                                3月30日  松井多絵子  

 


お元気ですか公田耕一さん

2016-03-28 09:33:07 | 歌う

           ・・ お元気ですか公田耕一さん ・・

 先日、ある歌会で初対面の女性から「公田耕一さんから連絡ありましたか」と訊かれた。5年前に「或るホームレス歌人を探る」を書いた直後は、何度かこのようなことを聞かれた。久しぶりに 「公田さんは?」と聞かれて戸惑う。 「もしかして坪内政夫は公田耕一かも。」などと応えて我ながら驚いた。でも住所は(ホームレス)、筆名は変更自在だ。           3月28日朝日歌壇より

      高野公彦  永田和宏  馬場あき子選 

☆☆☆ テント小屋冬はそのまま冷蔵庫捨て弁当も腐りません (ホームレス) 坪内政夫  

 高野も永田も第6席に選び{評}はない。第3席に選んだ馬場の{評}は「痛切である」

※ 捨て弁当とは消費期限の切れたコンビニなどの弁当のことか。テント小屋の冬の気温は冷蔵庫の温度より低いだろう。売り物にはならない消費期限切れのお弁当がホームレスたちの食事になっているとか。近頃はホームレスらしき人を見かけないが都心の駅の地下街や公園の片隅で冬を過ごすホームレスがいるとしたら心が痛む。「隠れ貧困」とわれる昨今である。他人ごとではない。でも坪内政夫の歌は何となく違う、公田耕一の歌とは。

 朝日俳壇・歌壇に掲載される作品の採用率は2%以下らしい。今日の朝日俳壇には
☆がゼロ。歌壇は☆が7個。俳壇には40句、40人が載ったが、歌壇は33首、33人しか載らない。複数の選者に選ばれた☆の作者は目立つ。そして朝日歌壇からスター歌人か現れる。たとえば松田梨子 わこ、室文子など子ども歌人たちが続出している。第二ホームレス歌人といわれる坪内政夫は今後どうなるだろうか。

                     3月28日 松井多絵子

 

     短歌情報・新刊歌集

 ✿ 山田航歌集 『水に沈む羊』  (港の人・本体1200円) 
            1983年生まれの現代歌人協会賞受賞者。第2歌集。

 ✿ 渡辺松男歌集 『雨る(ふる)』 (書肆侃侃房・本体2100円)
              妻の死や自らの病などを経て編まれた457首  

 

 


「逆風満帆」の俵万智

2016-03-26 09:33:14 | 歌う

               「逆風満帆」の俵万智

 1911年3月11日、俵万智は仕事で東京の読売新聞社にいた。大きく揺れ動く会議室で、両親と息子・たくみんを思った。電話が繋がらない。飛行機とバスを乗り継ぎ、5日かけて仙台に着いた。朝日Beに三回連載の▲「逆風満帆」は今日が最終回・{下}である。高校生の俵万智の失恋から始まった30年余の彼女の歴史、その一部を辿ってみたい。

 ♦ バンザイの姿勢で眠りいる吾子よ そうだバンザイ生まれてバンザイ
 ♦ みどりごと散歩をすれば人が木が光が話しかけてくるなり

 2003年に息子「たくみん」が誕生してからの俵万智の歌には、喜びと愛情があふれている。未婚で産んだことへの詮索や押しつけも、もちろんあった。「シングルマザー代表」として意見を求められ、戸惑ったこともあった。

 ♦ 開花宣言聞いて桜が咲くものかシングルマザーらしくなんて

 東京電力福島第一原発の事故の状況は、俵にはっきりわかっていたわけではない。とりあえず西に避難すると決め、七つの子とふたり、チケットの取れた便を乗り継ぎ、那覇へ向かった。那覇では2週間ほどホテルに滞在、友人の松村由利子の住む石垣島へゆく。

 ♦ 子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え

 島に来てたくみんはみるみる元気になった。島のマンションを契約し、仙台から荷物を引き払った。「政治的スローガンは詠まない」と決めている俵が、昨夏、国会を詠んだ。

 ♦ 下校した子らと一緒に見ておれば大乱闘となる参議院

 「私の人生、えらい変化球ですね、でもどんな逆境でも歌ってしまう」 と彼女は語る。
生きることはうたうこと。うたうことは生きること。と『サラダ記念日』に書いた30年前から、それは変わらない。老いても変わらないであろう俵万智は。

             3月25日  松井多絵子

 


かたわらに猫

2016-03-25 09:31:09 | 歌う

              ~ かたわらに猫 ~

 さくらの花が咲きはじめた並木道を三毛猫が歩いている。前方からも茶髪の猫がやってくる。待ち合わせをしての花見なのか。冬の間は外で猫をあまり見かけなかったが、暖かくなれば外出する猫が多くなるだろう。4月1日から☀朝刊に『吾輩は猫である』の連載開始。、

 猫は私たちのもっとも身近な動物だが話すことが出来ないのは残念だ。いや共通の言葉がないため猫の動作や表情は人間にいろいろなことを思わせて楽しい。犬に比べて妖しげな風情がただよっている。猫が詠まれた歌はとても多い。私もたくさん詠んでいるが迷歌ばかりである。穂村弘著✿『短歌ください』 のなかでこんな歌に出会った。次の一首は「ダ・ヴィンチ」の読者の投稿歌の中から穂村弘が選んだ作品である。

✿ 飼っている猫がこっちを見ています僕は将来有望ですか (ハレヤワタル・男・28歳)

 気になる自分の将来を猫に訊くとはスゴイ歌だ。きびしい応えがあるはずもないから猫に問うのだろうか。穂村弘は次のように書いている。~唐突な「僕は将来有望ですか」に意表を突かれつつ、奇妙な納得感を覚えます。「猫」って物凄く賢そうに見えたり、全てを知っているように思えたりすることがありますね。だから漱石も「猫」を書いたのかなあ。「飼っている猫」なら「僕」についてのデータも充分だから、未来予測も可能でしょう。

 今朝9時のツィツターで、私は「吾輩は猫」みたいな猫に出会った。朱いカーペットに仰向けになり私を見ている。なんとなく批判的に私を見ている。私のことを気遣ってくれているようにも見える。茶褐色の猫、たぶん初老の猫だろう。7031さんの猫にまた会いたい。

                             3月25日  松井多絵子