★「 或るホームレス歌人を探る~その十七」 松井多絵子
▲なぜ、投稿しなくなったか
①二月九日の朝日朝刊に掲載された「ホームレス歌人さん連絡求む」の記事に対し、三月九日の朝刊で、「連絡をとる勇気は、今の私には、ありません」と投稿のハガキに添え書きがあったことを、私たちは知らされている。何か不都合な事情があるのかもしれない。
②三月九日の作品に「胸を病み医療保護受け」とあった。体調が悪いか、夏負けか、事故か。
③ホームレスの生活は変化にとぼしく、歌の素材が見つからなくなったのではないか。冬が終わり過ごしやすくなった頃から、私は公田の作品に切実さを感じなくなった。塚本邦雄や山崎方代、林芙美子などの詠まれた歌が目につくが、どれほど傾倒しているのか。
④公田は思い出を詠まない。家族、師、友人や同僚そして恋人も詠まない。きわめて限られた範囲で詠みながら九か月間も投稿した。「これ以上つづけたら歌は自己模倣になるだろう。残暑はきびしい。休詠しょう」なのか。 まだまだ続きます。つぎは<忍耐力テスト18>です。
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