えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

~86.83歳~

2015-07-31 09:18:11 | 歌う

              ~ 86.83歳 ~

♦ 手抜きしてつくる料理を食べながら母より長くこの世に居すわる  松井多絵子

 昨年の日本女性の平均寿命は86.83歳、3年連続世界一である。男性は80.50歳だから女性のほうが6年近く長生きしている。2位は香港、3位はスペイン、4位はフランス、5位は韓国、平均寿命上位5ヶ国はすべて女性の方が約5歳長く生きている。日本人の平均寿命は1947年で男性は50.6歳、女性が53.96歳だった、そうである。

♦ いつまでもあなたは若く健やかに、ケアーホームのDMがくる

♦ 公園に隣接しているケアホーム庭には花があふれているが

 日本の女性が半世紀前より30年以上も長生きできるとはありがたいことである。でも老々介護、貧困老人などで自ら命を断つ老人もいる。富裕層の老人は犯罪に巻きこまれたり、認知症になったり折角の富が災いとなる。この世はまことに棲み難い。

♦ じゅうたんの上で骨折するなんてアナタはやはりメリーウイドゥ

 郊外の公園に隣接しているケアーホームの知人に会いに行ったことがある。さくらを見ながら立ち寄ったのだが彼女はとても喜んでくれた。2世帯住宅で娘夫婦と暮していたが、彼女の友人知人が頻繁に訪れ高額商品を買わされる。やや認知症的な兆候もあり、娘夫婦がケアーホームに入れたらしい。まるで豪華客船のような3階の談話室で庭園を見下ろしながら彼女は楽しそうだった。3年後にケアーホームの廊下の絨毯で骨折したことを知った。外科に数か月入院し、またホームにもどった彼女に会ったとき私は驚いた。半身不随、顏の痣、かなりの美人だったが76歳で別人になっていた。私の周りの認知症老女は何故かお金持ちなのである。経済的にやや苦労してきた女の方が元気な余生を過ごしている。

       ♦ おとしよりばかりの区立公園に白蝶たちが遊びていたり

                      7月尽日  松井多絵子  


脳を磨く

2015-07-30 09:28:14 | 歌う

              ・・・ 脳を磨く ・・・

▲ なぜなのか直ぐに忘れてしまうのは、記憶の道を行きつ戻りつ  松井多絵子

 物忘れ世代に贈る 「脳磨きマガジン」 第4号が発売されている。脳学者や専門医などの14名が徹底指南、「全脳超強化90日間ドリル」、このドリルを3か月も続けられるひとは脳を鍛える必要はないのではないか。老人とは65歳すぎの人らしいが、すごく個人差がある。すでに50代から認知症がはじまり一直線に進む人もいる。某認知症外来の医師は、「ボケる人には共通のタイプがある、無趣味、クヨクヨタイプの性格の人がなり易い」 と語る。ほとんど笑わない人、几帳面、内気、神経質、高慢、八方美人でストレスに弱い、ケチな人もなり易いらしい。

 「脳養生食」は認知症の予防になるらしい。魚や野菜中心の食事でアルツハイマーの危険が半減すると米国の最新研究が報告している。認知症を防ぐには脳細胞を強めることだ。脳には海馬・前頭前野・側頭葉などがありこれらを刺激し鍛えなければならない。気心の知れた人と付き合っているとつい 「アレソレ会話」 になる。ぼんやり・モタモタ・おっくうもボケやすくなる。懸賞のクロスワードに応募したり、ぬり絵、脳活足ふみ、などを試してみようかな。「色が消える錯覚絵」は見るだけで脳が活性化するそうである。認知症予防グッズビジネスも盛んになってきた。

    ▲ 頼りたい、されど頼れぬわが脳に聴かせていたりスローバラード

                                 7月30日  松井多絵子

  短歌情報 新刊歌集

 ✿ 内藤明歌集 『虚空の橋』 (短歌研究社・本体3000円)    

     短歌研究賞受賞作 「ブリッジ」30首も収録。

     「父たちの戦後をときに蔑し来て何も持たざるわれらとなりぬ」

 ✿ 中津昌子 『むかれなかった林檎のために』 (砂子屋書房・本体3000円)

     「蝶番はるかに鳴らし降りてくる夏か緑の穂がゆれている」

 

 


王さまのバカンス

2015-07-29 08:55:48 | 歌う

             ♦ 王さまのバカンス ♦

 ♦ サウジアラビア館の円形劇場に砂の嵐の音立ちあがる  松井多絵子

 あれから10年も過ぎてしまったのか。愛知万博は楽しかった。真夏の2日間、朝から夜まで広い会場を歩きまわり、長蛇の列に並び、なかでも特に素晴らしかったのは 「サウジアラビア館」。円形劇場の砂漠の砂嵐のなかを私は右往左往したのだ。足もとから砂の叫び。幼い頃の絵本の月の砂漠から私の旅は始まった。今後、ボケて、徘徊するなら砂漠がいい。

 「サウジ国王、1千人連れバカンス」 やりますね。南仏コートダジュールの別荘に入った「お付き」に加え、仏在住のサウジ国民ら1千人が集う大バカンス。近隣の高級ホテルなどは歓迎しているが、警備の理由で近くの海岸は立ち入りが禁じられ、市民には不満も募っているらしい。1月に死去したアブドラ前国王は10年間の在位中、一度もこの別荘を使わなかったが、新国王は南仏のバカンスを復活させた。地元議員らが 「フランス海岸を私物化している」と抗議し、反対署名は10万人だそうである。

♦ アラブより来たりし男か人波に見え隠れする白きターバン

 別荘はカンヌの東隣にあり、砂浜に下りる臨時のエレベーターが取り付けられている。別荘地は1キロにわたり、在仏のサウジ大使館は王室関係者らのためカンヌなどに数百の部屋を予約している。問題は王さまの滞在期間ではないか。2~3週間だったらフランス人のバカンスを他に変えればいい。サウジの王室に漠買い、漠出費してもらいフランス経済に貢献してもらう。お金持ちが気前よくお金を使えば景気がよくなる。お金を使わない日本のお金持ちは、サウジの王さまのようにお金を使って欲しいと私は思うのだが、、。

     ♦ アラビアンナイトの城の前に来てつと引き返す夢をみていた

                    7月29日  松井多絵子  

    

  俳句情報 ✿ 第70回 現代俳句協会賞決定 句集「地祇(ちぎ)」 銀蛾舎

            渡辺 誠一郎(64) 宮城県塩釜市 句誌 「小熊座」の編集長

 


地球そぞろ歩き ⑫

2015-07-28 09:13:32 | 歌う

           ・・・ 地球そぞろ歩き ⑫ ・・・

☁ うき雲の生みし子雲が泳ぎだし美ヶ原の空に溺れる   松井多絵子

 昨日朝8時に上諏訪ステーションホテルを出発した観光バスは美ヶ原高原へ向かう。クラブツーリズムの44名を乗せてビーナスラインを走る。標高約1500m。まだ新緑の木々も多い春のままの山の起伏を車窓から眺めているうちに霧ヶ峰に着く。珍しい高山植物を眺めながら散策する。見渡すかぎり草原。微風は爽やかだが陽射しが強い。30分でここを去る。

 標高2000mの美ヶ原高原に来る。急に涼しくなる。空気がさらっとしている。空がわたしに近づいてくる。腕を伸ばせば、雲を掴めそうな感じだ。砂利の道をゆっくり歩く。ほどなく牧場が広がる。黒と白の肌の牛たちが群れている。まるで黒白の大いなるオブジェ、ほとんど動かない。富士山ははるか彼方になり、山々のなかに沈みそうだ。草原のなかに荷車があり、ロバが2匹いた。近づいてもロバは私を無視していた。草原の彼方に電波塔郡が見える。まるで西欧の城の骨格のように。

 美ヶ原は八ヶ岳中信高原の最北にあり、日本一広い高原である。百名山のひとつ 王ヶ頭は標高2034mで美ヶ原の最高峯。のどかな牧歌的な草原の中に▲美しの塔 がある。この高原のシンボルタワーである。昭和29年に造られた。霧が発生すると鐘を鳴らし登山者に位置を知らせる。避難塔である。高原の開拓者、山本俊一のレリーフが塔に嵌めこまれ、山の詩人・尾崎喜八の詩文が刻まれている。その冒頭の言葉は、、。

▲ 登ツテ不意に聞けた眼前の風号にシバラクは世界の天井が抜けたと思ウ。尾崎喜八

 昨日の東京はこの夏の最高気温だったとか。真夏でも美ヶ原は20度を越えることはないらしい。涼しいくて陽射しが強かったので長袖のブラウスを羽織って草原を歩いた。とても
喉が渇きペットボトルの水を飲みながら歩いた、水よ、ありがとう。

      ◉ からっぽのペットボトルをわれは踏み立方体は平面になる

                   7月28日   松井多絵子

 ※ 昨日の歩行は10685歩、6.9キロ、消費カロリー307 燃焼脂肪 21g 

 


火花を散らす

2015-07-25 08:52:58 | 歌う

              ・・・ 火花を散らす ・・・

 ■ 読まれないとき本棚の本はみな直立不動、太宰治も   松井多絵子

 又吉直樹の大好きな作家は太宰治だそうだ。今、ベストセラーの又吉の 「火花」を私の本棚の小説『斜陽』の隣に置いてみたくなる。今朝の新聞1頁全て 「火花」の広告。「日本中を沸かせて120万部突破!」 紙面の中央に長髪の又吉の半身、お笑い芸人とは思えない哀愁のある眼差ざしが私に迫る。「まだアナタは<火花>を買ってないのか」と。、。

 今夜は隅田川花火大会、夜空に火花が咲き競う。咲いてはすぐに消える火の花。その儚さが美しく涼しい。しかし人間同士の火花はすさまじい。小説のなかの”火花”を散らす二人の激しすぎる青春。広告の又吉の手書き挨拶文は、闇色に白文字で綴られている。

 「火花」という小説を書きました。あほが書いた小説です。あほなりに人間を見つめて書きました。生きているとしんどいこともあります。そんな時、散歩をしたり本をよんだりすると、少しだけ楽になることがあります。誰かにとって、そんな本になれば嬉しいです。又吉直樹

 「生きているとしんどいこともあります」 という又吉さん、これから先も次々にしんどいことがありますよ。でも、ねえ、特に悩みもなく、経済的にも恵まれた女たち何人かが認知症になり、苦労が絶えない人々が高齢になってもボケることもなく元気に暮らしていたり、苦境は人を鍛えるのですね。テレビで又吉さんを見ながらチャップリンを思い出しました。観客を笑わせながら泣かせてしまう。笑いと涙は切り離せないのですね。光には陰があるように、、。

 ■ 七月のなかば過ぎれば遠ざかる太宰治はわたしの梅雨

 若い頃の私は太宰治を愛読したが、いつのまにか太宰を中退している。、毎年桜桃忌のころには懐かしくなりるが梅雨が明ければ忘れてしまう。又吉直樹も今後小説を書き続けながあの世の太宰治に批判的になり火花を散らすかもしれない。そして他の作家に傾倒するかもしれない。まだ35歳だ。先は長い。山の中腹のあたりか今は、、。

               7月25日  松井多絵子