えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

歳晩の坂

2013-12-30 14:54:57 | 歌う

               「歳晩の坂」

 今年もあと1日で終わります。あらためて時の流れの速さに驚いています。まるで坂道を
    下るような、坂道が急傾斜してゆくような、そしてさらに寒くなるような、、、。 

           ❤ 歳晩の坂 七首       松井多絵子

ひと束の水仙を買い水仙はわれのみの花になりてしまいぬ

歳晩はさらに急なる下り坂さらに冷えゆくこの下り坂

ガラス戸を拭きいて今年の辛かったことがつぎつぎ鮮やかになる

もっと大きく咲きたかろうに切りとられ葉牡丹は卓子にあわき紫

去る年にとどめを刺すごと門松を凍える土につき刺しており

しなかった、できなかった事あれこれと思いださせる炬燵のぬくみ

チューハイが我をとりもつ「来年はきっといい年、たぶんいい年」

 ※ 来年ってあと33時間後、これからブログの私の部屋の小掃除をしなければ。
                                   
                                     12月30日  松井多絵子


未来賞2013~その二

2013-12-29 14:40:30 | 歌う

      「未来賞2013~その二」

「未来1月号」に発表された2013年度の受賞者は ★済木ギニ ★服部真里子

 今日は女性の受賞者・服部真里子さんについて書きます

 服部真里子さんは既に第24回「歌壇賞」を受賞。黒瀬珂瀾氏に師事、横浜在住。

 ❤❤❤ 受賞作 「いつの日か君がなくしてしまうライター」  服部 真里子

眠たげなまぶたのごとき春の闇三人官女は右へ寄りつつ

どこをほっつき歩いているのかあのばかは虹のかたちのあいつの歯形

青空からそのまま降ってきたようなそれはキリンという管楽器

揚力は青いかがやき 恍惚と揚力をぬぎすてるよ鳶が

かたばみが葉をみな閉じて待っている声のかすれた夜明けの雨を

魚たちが眼をあけたまま寝ることをなぜ幾たびも言ったのだろう

朴の葉は手のひらに似て人々を包みこみゆくみどり ねむり

花殻をちらしてやまクスノキよ少年は語尾から大人びる

金貨ほどの灯(あかり)をのせているやがて君がなくしてしまうライター

こときれて真珠をこぼす首飾り春が終わるまで遊んでおいで

※ 以上は20首のなかから選考会で注目されたらしい10首を選びました。

★受賞のことば  服部真里子
   「一年ほど前、「未来」が届くようになって思ったのは、ここはなんと実力のある人たちがあふれているかということでした。打ちのめされると同時に、こんなライバルたちと、本気で戦ってみたいという気持ちが湧いてきて、未来賞に応募しました。すばらしい賞とすばらしいライバルをありがとうございます。
               真里子ちゃんのすばらしいライバルかしら。松井多絵子は。12月29日

 


未来賞2013年~①

2013-12-28 14:39:43 | 歌う

       「未来賞2013年」 その一

 「未来1月号」に2013年度の未来賞受賞者が発表された。2名である。まず男性からご紹介。

★ 斉木 ギニ   ◆大辻隆弘氏に師事 船橋在住

※9月20日、応募者72名の20首連作の作品から8名の選考委員により選出された。

        ★★ 受賞作 「わかったわデイブ」   斉木 ギニ

去年の夏のパラソルのなかの砂みたいなパラッとしたかんじの歩道

校庭にボールが一つ落ちていてこの夕焼けを美しくする

はじめからあのカーテンは青だっただろうかもうすぐ都心をぬける

ブラインドを少しひらいて湾を見るわかったわデイブとラジオは言った  

左右からいろいろ聞かれ泣きながら主に左に話すルーシー

友だちか友だちの友だちのままなのかチーズケーキと分かる重たさ

試すため小さな花火を上げているベランダからだと横浜のほう

ストロベリー・アイスクリームを舐めながら探偵は原点に戻ろうとする 

電車がまた止まってお巡りさんふうな服の人たちのところに行った

タクシーから見える満月の輝きがお月さまと言わせるのだろう

※20首のなかから、選考会で注目されたらしい作品10首を選びました。

★受賞の言葉 ~もっと歌を勉強してすこしでも満足のいく作品が私に降りかかってきて欲しい

 明日は女性の受賞者をご紹介いたします。松井多絵子?まさか)^o^( 12月28日  


殻ちゃん⑭

2013-12-27 14:37:07 | 歌う

            「殻ちゃん⑭」

★ どこまでもどこまでも海どこまでもどこまでも空がつづいていたり (松井多絵子)

 4か月ぶりにアキと殻ちゃんは三陸に来た。春子は仕事があり来られない。

 夏ば~ 「アナゴの押し寿司作ったよ。殻ちゃんの好物の」。

 殻~  「これが食べたくて夏ばっぱに会いに来たんだ。ママはアナゴ寿司作ってくれない」

 夏ば~ 「毎日毎日、印度屋のカレーだろう。あのコマーシャルのアキはきれいすぎるよ」

 アキ~ 「そうかなあ、水口は髪型を変えたらもっとキレイに写ったのにって言ってるよ」。 

 夏ばっぱと殻ちゃんが楽しそうに話してる。アキは海が見たくて家を出る。この前に来たときは夏の海。今は冬の午後の海。7年も経ったかなあ。あの日から。この桜の木の下だった。紅葉の少しだけ残る木の下でアキは海を眺め、あのときを思っていた。後ろに人の気配を感じてふりむいた。リュックを背負った水口が立っていた、 あのとき。

 アキ~「重そうだなあ。そのリュック。何処へ行くんですか、水口さん」

 水口~「ただ散歩しているだけ。この木の下で時々本を読むんだ」

 リュックのなかには5冊の本、その中の1冊を取り出す。『海へ空へ』 付箋が何枚も。

 水口~「この小説の麻里って娘の役をアキちゃんにどうかと考えてるんだ。この5冊の小           説のなかで一番アキちゃんに適役は麻里なんだ。次のアキが主演の映画、、。」

 アキはうれしくて言葉が出なかった。オラのことをこれほど大切にしてくれてたのか水口は。
紅葉のまだ残る桜の木にもたれてアキは海を見下ろし空を見上げて思う。林真理子の語録。

<運命というのは実は意志なのだ>  今日はここまで。「殻ちゃん⑮」は新年に。
                                    12月27日  松井多絵子

    


部下と上役

2013-12-26 14:25:37 | 歌う

          「部下と上役」

❤リストラを部下に伝える辛さを言う、「贅沢ですねキミの辛さは」  松井多絵子

 自分はエリートだと思っているらしい某課長が「辛いですよ部下にリストラを伝えるときは」と言った。ビールを飲みながら、4人分のおつまみのポテトを1人占めしながら。辛くても食欲はあるのか。彼の高くて形の良い鼻を見ていると私はムカついて「辛いのはアナタじゃなくてリストラされる部下でしょ」と言ってしまったが彼は聞き流していた。あの夜のビールの不味かったこと。

 『部下に贈る99の言葉』の本の新聞広告はド派手である。そのスペースは縦17センチ横28センチ。著者・本郷孔洋さんの顔は卵Lサイズ、楽しそうに笑っている。まだ老人ではなさそうな辻・本郷税理士法人理事長・公認会計士・税理士 肩書は頼れそうだが。

 この本郷理事長が全社員に送ったメッセージが「99の言葉」。これは立ち読みは無理だ。すでに買って読んだ方の反響の「声」が広告に載っている。

♠「明日も元気に会社に行こうという気になりました。」 (IT関連会社員 27歳男)

♠「週に1回部下にメッセージをメールすることにしました」。(生命保険会社 43歳女)

♠「辻・本郷税理士法人が成長し続ける秘密を垣間見た気がする」。(食品メーカー 55歳男)

 私には部下がいない、来年から夫を部下にしようかな。ふふふほほほほ。
                                  12月26日 松井多絵子