えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

慎太郎が勲章を

2015-04-30 09:18:41 | 歌う

            ☀ 慎太郎が勲章を ☀

 ▼ 夫よりイヤな石原慎太郎でもオメデトウ旭日大綬章  松井多絵子

 「男子厨房に入らず」的な男が頼もしく思えた半世紀前、家事を全く手伝わない男は出世するなんて思い込んでいた女たちはかなりいた。そして家事さえできない男は仕事もできないことを結婚してから知る。しかもそういう男は女房に威張る。老女が3人集まれば石原慎太郎の悪口。60年も前、一橋大在学中に芥川賞をとり、いつのまにか政治家になり、都知事になって半世紀以上悠々と生き延びて来た。それに比べてただ威張るだけの夫が腹立たしい。そんな老妻の不満が慎太郎に集中するのだろうか。

 4月29日、「春の叙勲」の旭日大綬章に石原慎太郎。「何をもって僕はもらうのかね。尖閣諸島問題に火をつけたからっていうなら、晴れがましくて、胸張ってもらうけど」 相変わらずである。しかも「今の羽田は僕がつくったんですよ。4本目の滑走路のおかげで国際空港になった」。芥川賞の話題と知名度を武器に政界に乗りだし、都知事にまでなる。図々しさを逞しいと勘違いする人たちが彼を権力者にしてしまったのだろうか。しかし家庭で威張る男は、会社では上役の顔色を覗い、失敗をおそれてばかりいるかもしれない。その点、慎太郎は大胆不敵だ。

 慎太郎が政界を引退してから4か月すぎた。現在の関心は若手芸術家の育成だそうである。若い人たちに干渉するのはほどほどにして、彼自身が私たちを唸らせる小説を書いて欲しい。「悪いやつほどいい小説を書くんだからさ、俺みたいに」と語るメガネをはずした写真はビートたけし に似ている。「慎太郎はまだ若いなあ」と私たち老人も感嘆する小説を早く書いてください。   4月尽日  快晴  松井多絵子

                              


「それから」を読む ④

2015-04-29 09:17:14 | 歌う

            ・・・ 「それからを読む ④」 ・・・

✿「それから」を読みつつ三千代の「これから」が気になる藤の花房ゆれて  松井多絵子

 「平岡の細君は、色の白い割に髪の黒い、細面に眉毛の判然映る女である」。~これは昨日第20回「それから」の冒頭の文である。平岡の細君とは三千代のことだ。「こころ」ではヒロインの「奥さん」の容貌について特に書かれていなかったような気がする。しかし「それから」は親友の妻の三千代について「第20回」でかなり丁寧に描写されている。「三千代は美しい線を綺麗に重ねた鮮やかな二重瞼を持っている。目の恰好は細長い方であるが、瞳を据えて凝と物をみるときに、それが何かの具合で大変大きく見える。 二重瞼の黒目がちのパッチリした眼は欧州的な美人を思わせる。英国に留学した漱石は古風な日本的な女より、ヨーロッパ的な美女のほうが魅力的だったのではないか。

 今日の「第21回・それから」の代助は椅子に座りタバコを吸いながら、彼の家に訪ねて来た三千代と二人で話をしている。「久しぶりだから、何か御馳走しましょうか」などと誘うが三千代は「なりたけ早くかえりたいの」と応える。明日は引っ越すので忙しいらしい。そして、「実は私少しお願いがあって上がったの」と言い出す。夫の平岡は現在失業している、借金も抱えている。三千代は出産したが、生まれた子はじきに死ぬ、それから心臓を痛めたらしく体調がすぐれない。その淋しく弱々しい三千代が古版の浮世絵に似ている、ように代助には見える、同情から恋へとなるのか、高等遊民・大助の「これから」は。

 三千代に気恥かしい思いをさせる平岡を、代助は甚だ気の毒におもう。無職で親の脛を齧っている自分にお金を貸してほしいとは。しかも妻に言わせるとは。金高は500円だ。今の500万円?代助は 「なんだその位」 と思うが実際には金を持っていない。
自分は金に不自由しないようでいて、その実大いに不自由している男だと気が付いた。三千代の青白い顔を眺めて、その中に、漠然たる未来の不安を代助が感じた。そこで今日は終わっている。代助と平岡は親友だと度々書かれているが、二人の接点は何なのか。私はこの二人を好きになれない。他にも書生の門野という青年、この先どうなるか。誰よりも自立できない三千代のことが心配である。   

      私だって自立できないのにねえ。  4月29日  松井多絵子


地球そぞろ歩き ⑥

2015-04-28 09:07:11 | 歌う

           ・・・ 地球そぞろ歩き ⑥ ・・・

✿ 千年も前のドレスを着てみたい薄ものを纏う塩船観音  松井多絵子

 青梅市の塩船観音に着いたのは10時半、快晴で気温は24度、新緑がまぶしい。仁王門をくぐり千年杉を見上げ阿弥陀堂、観音堂へ。この辺りにはツツジが咲いていない。坂道を上ってゆくと行く手にツツジで覆われた小高い丘が連なっている。今年のツツジの開花は遅れているらしい。7分咲きだろうか。私にはほどよい華やかさだ。東京でこんな見事なツツジを見られるなんて。由緒あるこの寺に何故か来損なっていた。今年こそ見逃さないように4月初めにクラブツーリズムに予約し、運よく晴天。咲いてくれたツツジよ、ありがとう。

 周囲が小さな丘の囲まれ、船の形に似ているのが塩船観音の由来らしい。7世紀頃に千手観音が安置され開山したそうだ。ツツジの木はみな丸く刈り込まれ手入れがゆきとどいている。その花々の群れを左右に見ながら観音像の裾まで上りつめた。私はまじかに観音の安らかなお顔を見上げる。俯く首の首飾り、薄いドレスの襞が流れるようだ。ウェディングドレスのデザインにいかがですか、6月に花嫁になる方々の。

 塩船観音寺は紫陽花もキレイらしい。6月下旬にまた来たいと思いながら去る。新緑のなかをバスは1時間近く走り払沢の滝へ。滝壺まで1.5キロ、100名滝の一つで折れ曲がりながら落下している。新緑のなかの水しぶき、ときどき 鳥の鳴き声。鳥は見えない。

 長岳温泉・瀬音の湯に2時間滞在した。渓谷沿いにあるこの温泉は足湯だけでも体がほぐれる。新緑のなかの露天風呂は心身ともにリフレッシュする。温泉は冬より春や初夏の方が私は好きだ。ことに歩いた後に汗を流す温泉は最高だ。 (ツアーの全費用7980円)

    昨日の歩数は13088歩、8.2Km 310cal 脂肪燃焼量 22g でした。

                              4月28日   松井多絵子  


知床に吹き出もの

2015-04-26 09:18:14 | 歌う

           ・・・ 知床に吹き出もの ・・・

 ▼ 足もとより広がりてゆく海原の青は清しく青はつれない  松井多絵子

 昨日の朝刊 知床に陸地出現・海底隆起 と判断 の記事に驚く。たった1日で新しい陸地が現れたとは。長さ300~500m、幅約30m、高さ約10~15m、日本の面積が増えたのだ。といっても吹き出ものができた程度だろうが。今日の朝刊に、知床半島で見つかった海底の隆起は陸側の地滑りが原因とみられることが、25日の北見工業大の調査で分かる。

 知床は3度訪れたが夏に行ったことはない。北海道の紅葉が大好きな私には秋の始めがベストシーズンなのだ。夜の気温が低いためか紅葉の紅が鮮やかでまるで花のよう。知床の湖と原生林を巡るツアーに参加したことがあった。知床ネイチャーガイドというオジサンの案内で紅葉のなかを歩いた、「日本って広いなあ」と思いながら。熊が出るかもしれないと言われて恐れながら期待しながら歩いたが、熊に会うことができなかった。オオワシを一羽見ただけだった。

 ▼ 知床のはまなすの花のなき秋に「知床旅情」を口ずさむ我は

 半世紀余りも前からわたしたちが親しんでいる「知床旅情」のメロディは、知床をさらに哀愁のある観光地にしている。森繁久弥が映画のロケ先の知床で一夜にして作ったという曲。初出自の題は 「しれとこ旅情」だったそうだ。 ✿ 知床の岬にハマナスの咲くころ思い出しておくれ この歌詞も魅力的だ。知床へは3度も行きながら私は、はまなすの花を見ていない。この夏は知床を「そぞろ歩き」しながら「はまなす」の花を眺めたい。1日で私の名歌が生まれる、ことはないと思うが。

 朝刊に「知床大自然3日間、2、98万円~5,68万円の広告。JTB旅物語、北海道方面
昨年度人気NO。1コース! いま、私は旅をしたい処が沢山あり、体は一つしかない。

      もうすぐ黄金週間。☀黄金のある方は浪費してくださいね。

                     4月26日  松井多絵子

 


穂村弘の鰻あれこれ

2015-04-25 09:06:03 | 歌う

            ~ 穂村弘の鰻あれこれ ~

 昨日、近くのスーパーで国産鰻の特売をしていた。1400円でもスリムな鰻の蒲焼。498円でもアナゴなら大きい。結局アナゴを買って夕食はアナゴどんぶり。大きいが何となく鰻と違う。見た目は鰻のようで味も似ているが何か違う。「コク」がないというのだろうか。近代歌人として名高い斉藤茂吉の大好物は鰻の蒲焼、彼の歌には独特の「コク」がある。

 30分ほど前に朝日朝刊で穂村弘の▲「鰻の歌」を読んだ。茂吉の歌から始まっている。

▼ あたたかき鰻を食ひてかへりくる道玄坂に月おし照れり  斉藤茂吉           

 実に嬉しそうだ。「あたたかき」「月おし照れり」から、なんともいえない満足感というか、ほとんど恍惚感めいたものが伝わってくる、と。穂村弘も鰻が大好きなのだろう。

▼ 夕食はウナギに決めたと妻が言う内緒で昼間食した我に  長谷川哲夫

 投稿歌である。穂村弘は 「こいうことってあらよなあ」と思う。長年の夫婦生活によって二人が「ウナギ」を食べたくなるタイミングがぴったりシンクロしたのかもしれない。愛の怖さ、といえば大げさか、この後、どうなったんだろう、私も気になりますよ。

▼ 「今お前食べてるそれは蛇だよ」と言いし男が今の夫なり  斉藤清美

 作中の<私>が食べていたのは鰻かどうか、でもその可能性は高い。ポイントは「今の夫なり」だ。「蛇だよ」なんていう「男」と結婚したんだなあ。穂村さんは面白くてもこの歌は怖いですよ、松井多絵子には。

▼ スカートをはいて鰻を食べたいと施設の廊下に夢が貼られる  安西洋子

 おそらくは高齢の女性の「夢」なのだろう。もう一度お気に入りの「スカート」をはいて、もう一度好物の「鰻」を食べたい。そんなきりぎりの「夢」。高齢の女の「夢」。高齢の男の「夢」はどんな夢なのか。穂村さんはまだ中年ですね。  4月25日  松井多絵子