えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

脳の強化書

2014-03-31 14:18:01 | 歌う

              「脳の強化書」

★ 天災ではない天災ではない、わたしたち人間の脳を過信していた  松井多絵子

 これは3・11後の私の歌である。しかし昨日の沖の鳥島の事故も人災だ。人間の脳はまだ幼いのだろう。朝刊の本の広告★『脳の強化書』が目立つ。教科書ではなく強化書。このところ「脳」についての本の広告が多いが強化書とは。著者は医学博士・加藤俊徳 

 脳という字はなんとなく思わせぶりな、気になる字である。私の脳が気になるからだろうか。電気製品を買うとき私は機能の少ない単純なものを選ぶ。レンジは加熱だけ。ややこしいものは避ける。脳が混乱しないようにしている。これ以上脳に負担をかけないようにしているが。脳は使うほど発達するらしい。使えば減るのはお金、使えば発達するのは脳だとは。

 ◆ たったこれだけで脳はグングン成長する(そうです、とりあえず信じてみましょう)

①創作料理を作る
②ラジオを聞きながら寝る
③利き手と反対の手で歯磨きをする

 これならカンタン。私の右手は長年よく働いてくれたが左手は怠けてた。今日から左手を。
アタマがみるみるシャープになる『脳の強化書』は10万部も売れたとか。既に読んだ方々の
感想。これは広告だから鵜呑みにはできないが騙されてもいいかも。明日は4月1日。

◆「相手の言葉が頭にすっと入るようになり、今までのように聞き返すことがなくなってストレス半減。この齢になっても脳はまだまだ成長するんですね」。(70歳・女性)

◆「カラオケを、振りつけて歌うだけで、こんなに肌が若々しくなるなんて、最初は半信半疑でしたが今、効果を実感しています」。(61歳・女性)

◆「家族から最近、お父さん怒らなくなった。と言われるようになりました。感情系の脳を鍛えることで穏やかな気持ちでいられます」 (71歳男性)

 加藤俊徳先生  今日3月31日の昼食後、左手で歯を磨きました。 松井多絵子


馬場あき子の✿さくら

2014-03-30 14:30:46 | 歌う

            「馬場あき子の✿さくら」     

✿さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり  馬場あき子

 さくらを見ればこの歌をおもう。馬場あき子の歌としてよく取り上げられるが、ご本人は「私にはもっといい歌があるのに」だろうか あるいは「この歌こそ私の会心の作」だろうか。1999年に刊行された岩波現代短歌辞典の「桜」の項目に馬場あき子が2頁にわたり、さくらの歌について解説している。その中に自身のこの「さくら花」の歌を引用している。

 「日本人の文化史・精神史の中で大きな位置を占める花として、桜は日本を代表する花である」 これは馬場あき子の解説の冒頭の言葉である。「桜の花に寄せるめでたさの気分は、桜が農事の吉凶を占う花として関心を引くものであったからだ。「咲く」ことと共に「散る」ことに注目されていたのはそのためであろう。『古今和歌集』の時代になると都の花に。

✿世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし  在原業平

✿花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに  小野小町

✿さくら花ちりぬるかぜのなごりには水なき空に浪ぞたちける   紀貫之

 これらの歌はその後のさまざまな桜の歌の原点となる要素があると馬場は述べている。「現代短歌が再び短歌をうたうようになったのは、戦後かなりの歳月を経てからのことだ」

✿ふぶきくる桜のもとに思ふこと押しなべて暗したたかひの惨  岡野弘彦

✿雨の谿間の小学校の桜花昭和一けたなみだぐましも  岡井隆

✿さくらばな陽に泡立つを目守りいゐるこの冥き遊星に人と生まれて 山中智恵子

  ※ 今がさくらの旬だというのに花見には行かぬわが夫、それぞれの春

                   3月30日  さくら満開  松井多絵子


花子とアンと

2014-03-29 14:20:50 | 歌う

              「花子とアンと」

✿ このなかに花園花子はいませんか、花園さーん花子さあーん  松井多絵子

 近頃の子供に「花子」はほとんどいないのではないか。幼稚園や学校で「花子さあーん」と
呼びかけても一人も現れないかもしれない。その花子が明後日から毎朝テレビに現れる。
3月31日から始まる✿「花子とアン」は『赤毛のアン』を翻訳した村岡花子の物語だそうだ。
花子は1893年、甲府の貧しい家に生まれ、東京の女学校で給費生として学ぶ。極貧でも誇り高くひたむきだ。「欠乏しているからこそ人は必至に夢を見る」と中園ミホさん。

 このドラマの脚本を書く中園ミホさんは54歳。恋愛をエネルギーに脚本を書いている未婚の母。大学生の息子がいる。逆境が脚本家の私を育ててくれたと語る中園ミホさん。朝ドラをのたうち回って書くだろう。朝ドラの脚本が未婚の母の作品とはNHKも、、。ですね。離婚による母子世帯は多いが、シングルマザーは日本ではまだ少ない。手当は月4万とか、離婚や死別に比べて税金が高く児童扶養手当も減額らしい。「中園さーん、がんばってね」

 人は持たざる者と持つ者になぜ分かれるのか。「借金まみれのハンサム男と裕福なブタ男。どっちが女を幸せにしてくれますか」というセリフを書いた▲「やまとなでしこ」。能力がとても高い派遣社員の活躍を描いた▲「派遣の品格」 をはじめとし格差への怒りは生涯のテーマ。近作では不倫の恋を選んだヒロインを描いた▲「はつ恋」が向田邦子賞。高視聴率。実績でもトップに立つ脚本家とか。主題歌「にじいろ」絢香。主演は吉高由里子24歳?

   それにしても私の「殻ちゃん」はのんきですね。スミマセン。

                 3月29日  さくらが喜ぶ晴天  松井多絵子


ケータイが消えた~その二

2014-03-28 21:21:37 | 歌う

          「ケータイが消えた~その二」

◆いま我の顔が写ってしまったか商店街の監視カメラに   松井多絵子

 私のケータイが消えた3時間後に、家から徒歩15分のドコモの支店へ。健康保険証を出し、失くしたケータイが悪用されていないか調べてもらった。「大丈夫です」と言われたとき思わず「新しいケータイを買います」と言ってしまった。失くしたケータイは保険に加入しているので、約6000円余で翌日には手に入る、同じ機種、電話番号も今まで通り。色はゴールドを選んだ。

 翌日郵送されてきたケータイをドコモの支店へ持参する。係りの女性がセットしてくれて電源が入り使えるようなった。が今までのケータイと色々違う。電話帳はもはや1人もいない。取りあえずテストのメールを暴走老女A子に送信。

 「ごぶさたしてますが冬眠からお目覚めですか」 すぐに返信のメールが来る。
 「冬眠なんかしてませんよ。寒さに負けず毎日9000歩。毎日名歌一首」 彼女だけでなく私はケータイを失くしたことは誰にも言わないことにした。私に関わる人たちの情報がもし流失したら恨まれる。新しいケータイに慣れた三日前、私は玄関の下駄箱の下の空間のサンダルの上にあのケータイがあるのに気付いた。

 なぜこんな処に。あの日、私は出かける前にバッグの中の財布を取り出した。いくら入っているか確かめたその時サンダルの上に落としたのか。玄関には庭履きなど常にサンダルが4足並んでる。新しいスポーツシューズを出してサンダルは靴箱の下に押し込んでしまったのか。闇色のサンダルの上に灰色のケータイだから目だたない。

 1か月ぶりに手にしたケータイの電源は全く動かない。5年もの歳月を私と共にしたケータイは屍になっている。数々のメールも、いもうとの最後の言葉を収めたメールも。

❤ 病む日々のいもうとのメールを収めたるケータイはいま枕辺にあり

               松井多絵子歌集 『厚着の王さま』より 


ケータイが消えた その一

2014-03-27 14:12:20 | 歌う

         「ケータイが消えた その一」

❤ケータイの電話帳には生きているこの世を去りて二か月のひと  松井多絵子

 1か月前のことである。寒い日が続き運動不足だった私は、散歩もかねて駅前の商店街へ出かけた。家から徒歩十数分の繁華街の外れのドラッグストアに寄ったが、欲しかった商品は在庫ぎれ、何も買わずに店を出た。11時過ぎ、家へ向かって歩きはじめた。店もまばらな細路で私は手袋をバッグから取り出した。寒い路を歩き家に帰りバッグを開いたがケータイがない。ケータイには万歩計をセットしてあるので歩行数を知りたかったのだ。家ではいつもベッドのサイドテーブルに置いている、しかし、ない。家じゅう探しても見当たらなかった。

 「そうだ、あの細道でバッグから手袋を取り出したときに落としたんだ」。私はまた家をでてさきほど歩いた路を急いで歩いた。あの場所に来たとき、私のハンカチが、うすむらさきの花柄のハンカチが路の中ほどにあった。きちんと畳まれて、まるで誰かが置いたように。でもケータイはない。ケータイだけ盗まれたのだ。落としたケータイを使われて何十万もの請求書がきた、という又聞きの話を思い出す。「大変だ!」。私は交番へ駆け込む。ケータイ専用の紛失届用紙に記入。でも私はケータイの電話番号を正確に憶えていなので 「使用停止の手続きはできませんよ」 と警官に云われた。その時やはりケータイを失くした中年女性が交番に入ってきた。私と同じドコモ。色も同じシルバー。

 帰宅したときは1時すぎ。ドコモに電話をして私のケータイは使用停止となる。11時から1時までの2時間、誰かに使われたかについては、電話では応えられない。ドコモの最寄の支店に身分証明書を持参すれば調査し、その結果を知らせる。と言われた。私は徒歩15分のドコモの支店へ。手のひらに収まる小さくて軽いケータイも失くせば犯罪に巻き込まれるれることもある。ケータイの電話帳やメール、この5年間に私と関わった人々の個人情報も納められている。世を去ってもまだ私のケータイの電話帳には生きているN子。

                                           (つづきは明日)


       3月27日  雨、折角さくらが開いてくれたのに。 松井多絵子