えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

大人たちの嘘

2015-02-27 09:06:50 | 歌う

              ~ 大人たちの嘘 ~

 ♠ いつまでもアナタは若く健やかに、コマーシャルの嘘が流れる  松井多絵子

 「なぜ大人は嘘をつくのか?」 女優・藤野涼子と作家・高橋源一郎の対談が今朝の新聞に、二人の全身の写真とともに載っている。映画 ▼ 「ソロモンの偽証」の広告である。3月7日全国公開のこの映画は作家・宮部みゆきのミステリー大作の映画化、私は原作を読んでいないので、広告に添えてある次のようなSTORYを引用する。

 クリスマスの朝、雪の校庭で男子生徒が転落死した。警察は自殺と判断するが、殺人を目撃した者からの告発状が学校に届き、生徒たちは混乱。さらに不可解な事件が次々と起こる。過熱する報道、無力な学校と親。その死は自殺か。殺人か。誰が何のために嘘をついているのか。隠された真実を暴くため、中学生による前代未聞の学校内裁判が始まる~

 「真実をより求めたくなるのは子供の方が真実に敏感だから」と発言するのは女優・藤野涼子である。藤野は2000年神奈川生まれ。 「心を偽って生きている大人ほど物事を曖昧に穏便に済ませる」の発言は作家・高橋源一郎。1951年生まれだから藤野涼子より半世紀も早く生まれている。爺と孫の語らいだ。しかし嘘をつくのは大人だけだろうか。子供だって嘘をつくことは、自分が子供だった頃を思えば、思い当たるだろう。子供より大人の方が上手に嘘をつくが。人間はみな嘘をつきながら生きているのではないか。

 ♠ 苦しまず逝きしとう嘘あたたかく我はうなずき供花にふれる

 もし嘘をつかなかったら人を苦しめることもある。肉親が苦しみながら息を引き取ったなどと聞かされたらとても辛い。あなたがイヤになった、新しい彼と将来は結婚したい、などとまともに云えない。「私はわがままな女、結婚してアナタに嫌われたくないの」。こんなあたたかな嘘だってあるのだ。ときには嘘は人間関係の潤滑油にもなる。心に正直に生きられる人は残念ながら、あまりいないような気がする。

        藤野涼子ちゃん、 セーラー服がよく似合っていますよ。

                       2月27日  松井多絵子               


殻ちゃん~35回

2015-02-26 09:03:05 | 歌う

             ・・・ 殻ちゃん~35回 ・・・

 8月下旬の日曜、QA会は休日である。昼食後に殻ちゃんは近くの図書館へ行こうとマンションを出たとき、タクシーから下りた鈴鹿ひろ美に会う。

 ひろ美 ♠「あら、ちょうどよかった。デパ地下でチーズケーキ買ったの。今日はQA会はお 
        休みでしょ。図書館へ行く前にウチにちょっと来なさいよ」

    殻 ♠「チーズケーキは長いこと食べてないから、もちろんOK」

 同じマンションでも最上階の庭園もある鈴鹿邸のソファーに座る。窓には向日葵満開。

 ひろ美 ♠「先日、テレビ局で仲間とランチしたとき聞いたんだけど、足立ユイの息子は背が
       180㎝もあって素敵、しかも優秀で神山中学、殻ちゃん知ってる?」

    殻 ♠「もちろん、同じクラスでQA会でも一緒。彼のおかげで私の成績もアップ」

 ひろ美 ♠「おかしいなあ。あんたのママはユイの息子のこと知らないって言ってる。」

    殻 ♠「わたしも不思議なの。QA会に入った日に足立君をママに紹介したのに。彼の
        がママがテレビに出てる足立ユイだと言っても、あら、そう。って無視してる。
        足立君のママと私のママは高校の頃友達だったんでしょ」

 ひろ美 ♠「そうよ、二人で組んでアイドル歌手だったことも。」

    殻 ♠「足立君はお父さんがいないのよ。」

 ひろ美 ♠「えっ?わたしはユイの夫は種市だとばかり思っていたけど」

  それ以上は話さずひろ美は黙ってしまった。殻ちゃんは冷えた紅茶を飲み終えて、、。

    殻 ♠「わたし、これから図書館へ行くわ」とソファーから立ち上がる。

 ひろ美 ♠「足立君のことは、ママに話さない方がいいよ」

      窓の外の向日葵の花たちはみなうなだれている。午後の4時、かなたに夕日。      

                   もう少し続きます。どうぞよろしく。 松井多絵子                     

     


小説は穴を掘る作業

2015-02-25 09:10:01 | 歌う

           ●  小説は穴を掘る作業  ●

♦ 幾百か、地球に穴をあけながらスカイツリーはその根を見せぬ  松井多絵子

 第152回芥川・直木賞の贈呈式が19日、東京都内で開かれた。「九年前の祈り」で芥川賞を受けた小野正嗣さん(44)は昨年亡くなった兄の遺影とともに出席。 「間近に迫った兄の死が僕に書かせた小説です。この賞は兄に捧げます」と語った。
 『サラバ!』で直木賞の西加奈子さんは 「小説は自分の内面に穴を掘っていくような作業。選考委員の先生方の穴は私と比べものにならないくらい深くて大きくて、寒くて暗くて、すごく1人やと思います。私も大きな穴を掘っていきたいです」と受賞の言葉を。

 今朝の朝刊社会面にセピア色の写真が目立つ。穴で育っているウドの群れが幻想的だ。その穴のなかに1人立っているのはここで 「軟白ウド」を栽培している須崎雅義さん(71)である。立川市の須崎農園の地下で栽培されている春の山菜ウドの収穫が本格化している。農園では、地下3・5メートルに掘った穴倉で日光に当てずに「軟白ウド」を栽培している。穴倉は、気温20度に保たれ、1か月で80㎝程度に育つ。色が白くアクが少ないのが特徴で、2~3月が旬という。「背が高すぎず低すぎず、色が白くて肌がきれいなウドが理想」と話す須崎雅義さん、アナタが育てている ♦軟白ウドはアナタの理想の女性ですね。さぞ美味しいことでしょう。

 西加奈子はいま花盛り。直木賞の浅田次郎選考委員は、「芸術に最もなくてはならないのは個性。西さんの作品にはそれがあった」と。彼女も寒くて暗くてすごく1人の穴で長いこと暮らしていたかもしれない。金屏風の前に立つ西加奈子の白い着物がウドを思わせる。

    西加奈子さま  私は地下が好きで楽しんでいます。 

        駅ビルの地下に人工の滝があり浮かれている水、呻いている水

                       2月25日   松井多絵子         

 

 


如月の春

2015-02-24 09:19:21 | 歌う

                ~ 如月の春 ~

 昨日、2月23日は全国的に気温があがり、各地で今年の最高気温を記録した。♦北海道
標津町で最高気温が7・3度、五つの観測地点で二月の最高気温を記録した。♦神奈川県小田原市では22・9度(平年より11・8度高い) ♦東京都心は19・2 (平年より8・4度高い)
 25日にかけて気温は高めの状態が続くが、26~27にかけて再び寒気が入り、気温は下がるらしい。 束の間の春なのか、この数日は。

                  ☀ 光の腕を      松井多絵子

       ようやくに風邪の治りて外(と)に出ればわが葉ボタンの息絶えており

       いま咲いておかねばならぬと黄の口を開けっぱなしのラッパ水仙

       歌碑あらば六十歳のこの梅はわたしの町のブランドの木だ

       ひと束の水仙を買い水仙はわれのみの花になりてしまいぬ

       平皿のパセリの森がうつくしい、われに酸素を、もっと酸素を

       蹴りたいのはわたしの怠惰、なにもせず春のひかりを待ちわびている

       うしろから背中を押してくれないか午後の光の無数の腕よ

                                           

                 ※       ※       ※               

 

  ❤ 健康情報  紅茶成分で骨粗鬆症改善

 大阪大などの研究グループは、紅茶に多く含まれる物質がマウスの体内で骨を壊す細胞を防ぐことを実験で確認し論文にまとめた。紅茶の成分をとることで骨が弱くなる骨粗鬆症の改善につながる可能性があるという。日本の1千万人以上の患者のためによろしくお願いしますよ。 大阪大学の研究グループの皆さま。   2月24日  松井多絵子


仮装マラソン・東京

2015-02-23 09:23:44 | 歌う

              → 仮装マラソン・東京 →

 昨日の東京都心は曇り、最高気温は8度、まあまあの天気のなかで東京マラソン大会が行われた。今大会は、フルマラソンの部の抽選倍率が10・7倍で過去最高に。車いすの部を含めて3万5310人が出走し、完走率は96.4%だった、そうである。

 今年の大会は、例年以上の限界体制が敷かれた。水分補給のための水筒やペットボトルの持ち込みは、液体爆弾が紛れ込むおそれがあるとして禁止された。恒例になっている仮装姿のランナーについては、着ぐるみや顔がかくれるかぶり物が禁止になった。スタート地点の都庁前では、手荷物検査と金属探知機による身体検査が行われた。

 東京マラソンに仮装をして走る人々が年々増えているらしい。仮装の服などが売れ、仮装グッズの通販まであるのだ。楽しみながら走れば疲れないのか。仮装を超えたコスプレランナーたちもふえていとのこと。もともと私たちは仮装願望があるのではないか。自分に飽きている。自分以外の人間になってみたい。仮装して、日常はできないことを、言うことのできないことを告げてみたいのだ。短歌でも寺山修司のフィクションの名歌は多いようだ。寺山は短歌だけでなく演劇にも傾倒した。作家の三島由紀夫は自身の死までも演出したではないか。

   ❤ セーターが24色このように我を変身できるなら、なれな  松井多絵子

       私が色々な人間なれるように思わせるユニクロ店の24色のセーターは。

                ※      ※     ※

  2月23日 俳句情報

   ◆  『山域別岡田日郎全句集』 (梅里書房・本体4000円)

           山を詠み続ける82歳。  秋冷の御嶽夜明雲払ふ

   ◆  辻桃子句集 『馬つ子』 第13句集。(文学の森・本体2700円)

           津軽に移住して15年。  蝦夷とは良人の謂ひと燗熱う