えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

年間未来賞のひと

2015-01-31 09:17:21 | 歌う

             ☀ 年間未来賞のひと ☀

 いま、短歌人口の7割は女性だろうと或る歌人が言った。たしかに歌会はほとんど女、しかし昨年の角川短歌賞、短歌研究新人賞は男性、未来賞も男性だ。昨日届いた2月号には
年間未来賞に本川克幸、岸原さや、千坂麻緒の3人。男性の本川克幸の作品がトップに掲載されている。選考対象は、2013年10月から2014年9月号「未来」に発表された作品。

 本川克幸さんはツイッターの常連である。わたしは会ったことがない。北海道の方らしい。
氏の受賞の対象となった15首を繰り返し読んだ。共感した作品を抄出してみる。

            ❤ 方位磁石がぐるぐる回る   本川克幸

     帽子屋の帽子のなかの暗がりのどれかひとつに出口あるらし

     そのむかし黒き電話のありしこと声は尊きものなりしこと

     知られずに時間の過ぎる茶房ありしまふくろうの巣穴のように

     君が好きな樹木のことを訊ねたし彫刻刀で雨を描くひと

     君のいないソファーの上にぽっかりとなみだぶくろのような陽だまり

     剥製の鹿の肌(はだえ)に射すひかり死後のからだがまたあたたまる

     いずこにも出口の見えぬ海のうえ方位磁石がぐるぐる回る

 

 年間未来賞は毎月誌上に載った作品のなかから選ばれるためか普段着の歌が多い。未来賞は「賞」を意識して構える。難解な作品になりがちだ。私は年間賞の作品のほうが親しめる。♦ 黒き電話のころは振込詐欺もなかった。いまは世にいない人々と語りあった黒い電話、本川さんは初老の方かしら。♦ 君のいないソファーの上の陽だまり の歌も胸があたたかくなる。♦ 剥製の鹿を「死後のからだ」とはベテランですね。本川克幸は。

   岸原さやさんの年間未来賞作品 「妙な長さを」 も 後日のブログで、、。

                     1月尽日 晴れ   松井多絵子 


 

 

 

 


雨に泣いてる

2015-01-30 09:22:01 | 歌う

             ☂  雨に泣いてる  ☂

    ♦ おそらくは黒のドレスで唱ってるダミアの声は次第に豪雨   松井多絵子     

 金曜、土曜の新聞の本の広告はド派手だ。一際目立つ☂『雨に泣いてる』 真山仁著

 『ハゲタカ』から10年。著者、最大の挑戦にして、最高到達点。心を撃ちぬく傑作ミステリー。驚きのラストまで一気読み、だそうである。真山仁は1962年大阪生まれ、新聞記者を経てフリージャーナリストになった。経済小説の『ハゲタカ』シリーズで知られている。まだ50そこそこなのに 「最大にして最高の到達点」 とは。これは彼の最後の小説なのか。まるで引退興行の広告みたいだ。漱石は49歳で没してる。その小説はほとんど40代で書かれていることを思うと、真山仁もこれが最後の作品のように思えてしまう。

 2011年3月11日。巨大地震発生。志願して被災地に赴いたベテラン記者。彼を待っていたのは、言葉を失うほどの惨状。そして取材中に行方不明になった新人記者を捜索する小説らしい。地元で尊敬を集め崇拝されていた男が、過去の凶悪事件と関わりがあるのか。町の名士の本当の顔とは? その男は、一体何をしたのか?

 人間ってわからないですねえ。表と裏がまるで違うひと。光と陰のように。晴天の真昼に満開の桜の名所を巡っていたとき、雨が降りだしたちまち豪雨、わたしはずぶぬれになったことがあった。「落ちた偶像」だって何度も見た。お金が関わると人格が変わるのか。偶像が立派なほど落ちたり倒れたときの醜さ、人格って何か事件が起きないとわからない。

 3・11の被災者の極限状態の中で、恐怖、嫉妬、裏切り、陰謀などの交錯はおぞましい。被災地と我が家は地図では何センチかの距離だ、しかし私は間接にしか3・11を知らない。
「記事を書いても死んだ人は生き返ってこない」」「記事は生きている人のために書くのだ」
真山仁は困惑しながら小説☂「雨に泣いてる」を書いたのか。被災地の取材をしながら。

 

          あわ雪がいつの間にか雨になり、泣きはじめました。

                       1月30日  松井多絵子

 

                       

                     

 

 


自分への旅土産

2015-01-29 09:01:06 | 歌う

             ~ 自分への旅土産 ~

 ☁ さかしまに置き換えにわかに豹となる火山裾野に拾いし石塊    松井多絵子

 或る調査によると旅の土産はかならず買う人が74%。誰に買うか ①家族 ②自分 ③職場
の人、④友人 ⑤近所の人  自分への旅土産とは意外だが、私も時々買ってしまう。安いアクセサリーはすぐに身に着けたり、その後の旅で使ったりする。買わないひと26%の理由は買いたいものがない。モノがあふれている今、旅での買い物は荷物になるだけだ。これ以上モノを増やしたくない。すっきりと暮らすには身の回りのモノを少なくしなければならない。

 旅土産の1回当たりの金額は①3000円以内が45% ②5000円以内が24% その他は1000円前後だ。旅を楽しみたいのに、買い物に散財する気になれない人たちがいるのは当然だ。私は旅先の海辺で珍しい貝を拾ったり、火山の裾野で小石を拾って持ち帰り、居間の出窓などの鉢植えに添えたりする。見慣れた観葉植物が貝や石で変化する。サボテンに石を添えるとオブジェめいてくる。それを眺めながら珈琲を飲み、旅の思い出にひたる。噴火して流れたマグマが冷えて固まった石、その石をある日、なんとなくさかさまに置き換えてみた。すると石がまるで豹のようになり、わたしを睨みつける豹になった。また置き換えると豹は眠ってしまった。もう何年もサボテンの根元に眠った豹がいる。居間の出窓に。

           1月29日 晴天。でも明日の東京は☃らしいです。 松井多絵子


日経小説大賞決定

2015-01-28 10:30:48 | 歌う

             <日経小説大賞決定>

 ❤ 2時間で 「女の一生」 読み終える十年かけて書かれた小説   松井多絵子

 第6回日経小説大賞最終選考が行われた。大賞は紺野仲右ヱ門の✿「女たちの審判」に決まった。拘置所を主な舞台とする題材の斬新さや描写力の高さに評価が集まったらしい。
授賞式は2月18日午後7時から東京・大手町の日経ホールで開催。一般公開で事前に申し込めば誰でも参加できるらしい。水曜ですよ。2月18日は。

 紺野仲右ヱ門という風変わりな名前は老人を思わせる。が老人未満の50代、しかも一人ではない。紺野信吾(51)、眞美子(53)夫妻による共同ペンネームなのである。夫妻そろっての作家はいるようだが共同で小説を書き、受賞した例をわたしは知らない。夫婦ともに歌人で1首を二人で詠んだらどんな歌ができるか。試してみたいが夫は短歌に全く興味がない。

 「柿はからだの中をきれいにするらしい」「あなたの心に柿の灯りを」

 夫と私の会話を1首にしてみた。食後に好物の柿を食べながら夫が言った言葉が上句。下句は無粋な夫への私のイヤガラセの言葉。夫の言葉を拝借したが私の作品である。夫婦共同の小説とは、どんな夫婦か知りたくなる。2月18日に日経ホールへ行こうかしら。

    これから昼食、おなかがぐーぐー催促してます。28日12時半 松井多絵子

                        


さらばストレス

2015-01-27 09:36:20 | 歌う

              ~ さらばストレス ~

 「スタイル」というPR誌の読者アンケート「ストレス解散法」が目につく。ベスト5位は

 1位 散歩。ウオーキング  健全でお金もかからない、雨の日はビルのアーケードも。

   ♦ 泳がねば死ねとうマグロのごとわれは昨日も今日も一万二千歩  

 2位 買い物  高価なものを買えば後で後悔するかも。買わなかったら欲求不満に。

   ♦ 買わざりし銀の牡丹のブローチの不思議な花がわれに纏わる

 3位 カラオケ  自分が有名な歌手になった気分で好きな歌を歌う、ストレスよさらば

   ♦ 「コスモス」の歌より誰かがわれを呼ぶ繰り返し呼ぶ遠き日の声

 4位 おしゃべり  相手によっては心が乱れ、言い過ぎて気になりストレスになることも。

   ♦ 言われては言い返すわれの言の葉は 柊 の葉になりてしまいぬ

 5位 歌を歌う   むしゃくしゃしている時には歌を、それでもダメなら全身で叫ぶ。

   ♦ 石段は上りゆくほど音高く最後の段は絶叫している

    

 ストレス発散法の1位から5位まで挙げ、私のコメントと短歌を添えました。軽いストレスなら鼻歌でもよく、短歌だって自作を朗読して歌う気分になれますね。それでも発散できない場合は体で歌う、神社の石段などを一気に上る、最後の段で「あー」と叫びましょうか。

                       1月27日   松井多絵子