えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

メールのうた

2014-04-30 14:06:06 | 歌う

           ❤ 「メールのうた」

 4月からNHKテレビ・短歌de胸キュンの講師になった梅内美華子の第1回は4月27日。
「身近なものをテーマに短歌を作る」ことを提案し「メール」を取り上げている。すでに発売されたテキストは NHK短歌 「自分らしくうたおう」~メール~梅内美華子(かりん編集委員) 

 「メールはインターネットや携帯電話の普及とともに、身近で手軽なコミニュケーションのツールになりました。紙に綴る手紙、ファックスに代わって、肩肘張らずに、国内だけでなく海外にも瞬時に送信できるものです」と、まずは家族のやり取りをとりあげている。

❤電子メール送れば二人のおのこごは蛍のような存在かえす   玉井清弘

 「おのこご」は男子の古い呼び方。二人の息子に送った「電子メール」の返信を「蛍のような存在」と表現しているところに梅内は注目。「遠くに淡くともっている存在感である」と。

❤夏服で受け取ったメールアドレスの文字が今でも燃え出しそうだ  野口あや子

 「制服の夏服が、恋が始まった時の年齢や季節を表す効果となっている」と梅内が指摘。

❤月の出を告ぐるメールを閉じてのち象の声して地下鉄の来る  梅内美華子

 この歌は講師の梅内美華子自身の作品です。「メールや地下鉄という人工的的な世界に囲まれていても、自然の記憶をもっていることをうたいました。電車の警笛が象の啼き声に似ているように感じることがあります」と。 私の象の声の記憶は、20年も前にインドで象の背の上の木製の函に座り運ばれたときに聞いただけですが、地下鉄の轟々と響くあの音、人間が観光のために5人も6人も象の背に乗るのを怒っているような声でした。

  4月30日  今日で4月は終わり今年の4分の1が終わりですね。 松井多絵子
                                                 

 


殻ちゃん ⑲

2014-04-29 08:55:49 | 歌う

            「殻ちゃん ⑲」     松井多絵子

 今年の関東の冬はとても寒かった。その2月上旬の朝、鈴鹿ひろ美からアキに電話。

ひろ美♠「オメデトウ。よかったねえ。殻ちゃん。今夜うちでお祝をするから皆で来てね」

 アキ✿「 ありがとう。もちろん行くよ」

~早いものですねえ。アキは36歳になり娘の殻ちゃんは12歳。小学校の6年。勉強ができなくて、成績が悪かった殻のためにアキは教育ママになっていた。歌手もテレビドラマの端役の仕事も口がかからなくなり普通の主婦になっていた。本の好きな殻ちゃんと一緒に近くの図書館の常連になり、本を読みまくった。教科書も繰り返し読み、PTAにも参加した。

ひろ美♠「為せば成るんだねえ。難関の神山学園に受かるなんて。」

 アキ✿「塾の先生のおかげだよ。5年生で入った小さな塾だけど、殻の国語の読解のテストの成績がいいから伸びますよって。熱心に指導してくれて。女神だよ、川上先生は」

 あの2月1日の朝、アキは殻ちゃんと一緒に神山学園に向かって歩いていた、裸木の並木のかなたの赤レンガの校舎。憧れの学校だったが、無理だとあきらめていたのだ。昨年末の模擬試験で合格圏に入ったとき、川上先生に 「受けないと後悔しますよ」 と言われた。 「まあ 気楽にやりなよ、ダメでも高校でまた受ければいいんだから」、
とアキが殻ちゃんに話しかけたとき、傍らをスラリとした女とスラリとした男の子が過ぎった。その女の横顔を見たアキは 「まさか、ユイ?ユイに殻と同年の男の子が?」 以前、鈴鹿ひろ美がレストランでユイと男の子が食事をしていたのを見た、と言っていた。今もファッション雑誌で活躍しているユイは、独身の魅力あふれる女性なのだが。  (つづく)

 ☀女を変えるのは男かもしれないが、女が育つために仕事はある
                               (林真理子の語録より)

 

 


朝日歌壇の明暗

2014-04-28 14:30:15 | 歌う

            「朝日歌壇の明暗」

 本日4月28日の朝日歌壇の☆は6個。 明るい星と暗い星と。

{佐佐木幸綱選・高野公彦選}

❤去年よりいっぽん多い蝋燭を吹き消しいっぽ大人に近づく (名古屋市) 長田菜緒子

 佐佐木選者の評により作者は中学生であることを知る。バースデイケーキを囲む家族の夕食。菜緒子さんは暖かい家族に囲まれているのだろう。去年よりケーキに立てた蝋燭が1本多くなったことで一つ年が増えたことを思う。蝋燭が1本増えたことは大人に一歩近づいたことだと実感している。彼女の朝日歌壇は花壇。日当たりのよい花壇だ。植物はすくすくと育ち、花々がひらく。 

{馬場あき子選・高野公彦選}

❤この夜をどこで過ごそうとゆく背後次々とシャッター降ろさるる音(ホームレス) 宇堂健吉

 馬場あき子選者の評は「第三ホームレス歌人の今宵が心配だ」 今後が心配ではなく「今宵が心配だ」なのである。とりあえず今夜は何処で寝るのか。眠れるのか。セっパツマッタ問題だ。4月はまだ夜や朝が寒い。公園のベンチで寝るわけにはいかない。ビルはシャッターをおろしている。その音が宇堂さんに非情な音として心に響くであろう。桜が咲き辺りは新緑のいま、まるで新樹の影のようなホームレス。宇堂健吉さんを馬場あき子は第三ホームレス歌人と呼んでいる。第一、第二ホームレス歌人たちは無事に過ごしているだろうか。今日の朝日歌壇には、サクラが咲きスミレ、タンポポも咲いている。その花壇の花々の影、ホームレス歌人たちに暖かな夜が続くことを願う。予報では明日は雨。せめて夜は霧雨に。

     4月28日 今日は初夏。こんな日が続きますように。  松井多絵子          

 

 

 

 

 

 


心のさくら

2014-04-27 14:02:09 | 歌う

              ❤「心のさくら」❤

✿ 東京へ帰るのかとう声に振りむけば花のなき枝かすかに揺れて  松井多絵子

 今朝、NHKテレビ・日曜美術館を見ながら、山形のさくらを思い出していた。ま新しい思い出、1昨日の山形のさくら・さくらを。朝9時前に作並温泉からバスで置賜さくら回廊へむかう。晴天で暖かい。山形のさくらは予想より4日早く開花しいたるところ満開。バスで置賜さくら廻廊・釜の越サクラへ向かった。残雪の山々に囲まれた盆地に咲くさくらは若々しい。釜の越で、樹齢800年のエドヒカン桜を見た。800年も雪国で生き続けている桜の幹は岩のようだ。「私も頑張ろう」という気にさせてくれるサクラである。山形鉄道・長井線に乗る。名物の車掌さんの東北弁が楽しい。東北弁はフランス語に似ているとか。42歳の車掌さんもフランスの男性のようなムード、老女たちにもモテた。車窓には右も左もサクラが流れる。日本に生まれてよかったなあ。

 旅の最後に尋ねたのは✿鳥帽子山千本桜。桜名所100選の名所である。昨年は桜の蕾を鳥に食べられ花が咲かなかったらしい。昨年、ここに来損なった私が今年は晴天の午後、満開のさくらを見られた、これは私の日頃の心がけが良いからだ、と思えば楽しい。此処には枝垂れさくらが多い。微風にゆれる枝垂れさくらは何とも優雅である。しだれざくらは私をやさしい女にしてしまう。やさしい私がさくらの中を巡っていると樹の枝に跨っているお爺さんがいた。名物の花咲爺さんだ。「咲かせてくれてアリガトウ」、このお爺さんはマネキン。

 NHK・日曜美術館の「心の桜」は奥村土牛のさくらの絵。輪郭のないさくらの花ばな。でも花が生き生きしている。線でなく面でさくらが描かれている。白い絵の具が塗り重ねられて花の量感が迫ってくる。狭い構図に描かれない桜を想像させる。陰のない桜の絵。ホンモノの満開の桜を山形がら体中に詰め込んで1昨日の夜帰宅した私はまだ桜漬けである。桜を、その美しさをより美しく描きながら生きた画家・奥村土牛をおもい、山形の桜をおもう。

         4月27日  黄金休暇が始まりましたね。  松井多絵子  

   

 


いま花ざかり・花ももの里

2014-04-26 14:07:27 | 歌う

           ✿「いま花ざかり・花ももの里」✿

✿あの世でもこの世でもなく福島の花ももの里に我を失う  松井多絵子

 4月24日10時、東京駅から山びこに乗り11時半に福島に来ていた私。桃の花咲く野がバスの車窓につづき、「花ももの里」に向かっていた私。なだらかな坂を上ってゆくと紅やピンク、白の花々が私にむけて押し寄せてくる。「見てよ、見てよ、早く見てよ」と花ももの花たち声が聞こえる。3月末から咲き続けている花たち。人間に見てもらいたいのだ。「キレイ」「キレイ」と声をかけて欲しいのだ。✿「花ももまつり」はあと1週間で終わってしまう。

 「花ももの里」は世界中から集めた40品種、約300本が栽培されているそうである。飯塚温泉観光協会が宇都宮大学農学部前教授・吉田雅夫の指導により栽培されてきたらしい。桃の花は中国で古くから愛され、中東をへてヨーロッパに。日本では古事記にも書かれ、桃には邪気を祓う力があると考えられていたようである。わが家の狭い庭に15年前に花ももの木を一本植えたが一度も咲かない。暴走老女A子はもう1本植えなければダメだと云う。オスの木とメスの木を並べた植えれば「紅いキレイな花が咲く」と。でも今ある木がメスなのかオスなのかわからない。メスの木とメスの木を植えても、オスの木とオスの木を植えても花が咲かないのだそうだ。専門家に聞いたら笑うかもしれない。A子の言葉を。

 「花ももの里」を去るとき私は出口の紅あざやかな花に「まだ枯れちゃダメよ」と云ったら
「枯れたくないわ」と花が応えた。わたしの口紅と同じ紅の花ももの花が。

 花ももの里を去り、バスで作並温泉へ。さくら、さくらの満開の温泉ホテルに泊る。

    朝、目覚めたときは我が家。昨日の山形のさくら、さくらは夢だったのかしら。

              4月26日  晴れ   松井多絵子