えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

佐太郎短歌賞の宴 ①

2016-11-30 09:17:39 | 歌う

              佐太郎短歌賞の宴 ①

 ✿あぢさゐの藍のつゆけき花ありぬぬばたまの夜あかねさす昼  佐藤佐太郎

 こんな素敵な歌を遺してくれた佐藤佐太郎をこの世に呼び戻した昨夜、中野サンプラザ13階での宴は紫陽花の花盛りを思わせた。第3回佐藤佐太郎賞は大辻隆弘著『近代短歌の範型』 わたしの所属する結社「未来」の選者である。すでに「現代歌人集会賞」「寺山修司短歌賞」「島木赤彦文学賞」「日本歌人クラブ評論賞」など数々の受賞歴がある。
     

  選考委員の言葉 ♠ 秋葉四郎  「いかにも実作者の評論で、近代という時代を背負った歌人たちの表現論、文体論が主要内容で~近代短歌の豊かさが深く論じられている。

 ♠ 大島史洋  「歌の鑑賞を基礎として進められてゆく大辻の分析には説得力があり、新しく発見することも多いだろう。これは書く者にとっての楽しみでもある」。

 ♠ 小島ゆかり  優れた評論を持続的に書きつづけている歌人と思う。評論活動が低迷する現代歌壇にあって、今後も大きな期待を担う歌人である。、

 ♠ 永田和宏   本書を読めば、彼の肉厚の評論が、近代短歌を読みこんできたことに容易に納得できる。大ざっぱな印象、自己の思い込みからのもの言いはほとんどない。受賞の大辻隆弘紹介の氏の写真は「良くない。笑顔の写真にしたらよかったのに」などの永田選者の茶目っ気のあるご挨拶は楽しかった。大辻氏はこの写真は僕のいい顔?などと、、。

 大辻さま  この写真は今にも泣きだしそう。失恋した男の顔ですよ。次に受賞なさった時は宝くじに当たった時の表情をなさいますように。 

                  11月30日  松井多絵子 

  

 

 


冷蔵庫のミステリー

2016-11-28 09:21:39 | 歌う

               冷蔵庫のミステリー

 ♠ 冷蔵庫の卵のための十八の座席はつねに空席があり  松井多絵子

 冷蔵庫をひらけば上段扉裏には卵の座席がある。その下が飲み物のボックス、すぐ取り出せる。玄関の下駄箱から履き物を取り出すように、入り口はスッキリしているがその先は様々な食品が入り乱れているわが家の冷蔵庫、  今日の☀ 折々のことば は、、。

 ✿ 冷蔵庫 奥に行くほど ミステリー 埼玉県・49歳・女性                  
                (おお、こわ。奥さまを題材にした川柳「おくせん」から。

 この川柳を鷲田清一は次のように解説している。

  久しぶりに冷蔵庫の奥にまで手を伸ばすと、思いがけない物が出てくる。すっかり変色していたり、かちかち、ぶよぶよ、にゅるにゅるになったり。元が何だかわからない物も。賞味期限はまだとの油断の結果?衝動買いのつけ?ダンナに先に食べられないよう隠しておいた罰?いよいよ呆けて、洗濯機と間違えた?

 私が主婦になった半世紀前は賞味期限などなかった。スーパーもごく僅か。商店街まで徒歩10数分。野菜は沢山買えば配達してくれた。だから買いだめの癖がついてしまった。スーパーのチラシの「本日限定価格」にたやすく支配されてしまう。賞味期限の表示は私には「信号」である、赤信号になる前に胃袋へ送り込まなければならない。

 又聞きの話だが、ある外出がちの主婦が冷蔵庫に常に現金5万円を隠しているそうだ。クッキーの細長く浅い空き缶のなかに。夫は酒好き、スイーツは食べないとか。でも泥棒が甘党だったら、、、。冷蔵庫の森の奥に思わぬ秘境、かもしれない。わが家の冷蔵庫の奥にもチョコレートの細長い缶。この中に10万円ではなくて、恋文でもなくて、書きかけのミステリー小説が入っているかもしれない?ベストセラーになるかもしれない?

  ♠ 捨てないでと餃子がわれを避けている賞味期限は5日も前の 

                   11月28日  松井多絵子     

 

 

  


別れたら輝く

2016-11-27 09:39:42 | 歌う

                別れたら輝く

 昨日の新聞の本の広告☀ 『あなたは「別れ」でもっと輝ける』 「別れ」という大きな黒文字に私は捉えられる。あと1と月で今年と別れる。来年は私に良き年が、、。などと思う。著者はワタナべ薫。初めて知る名である。「痛みを乗り越えた先にある、人生の新たなステージへ。」「愛する人との別れを乗り越える 失恋・離婚・不倫」「心地よくない友人関係などを断つ」「モノと別れることに慣れる」「ペットとの別れ」~別れは出会いとの始まり。

 別れは出会いとの始まりだ、と私は気づく。卒業などで3月は別れの月。でも4月は進学、就職で新しい出会い。落葉の木々から若葉が、新緑が広がる。などと思えば落葉し裸木になってゆく銀杏や紅葉も淋しい木々ではない。私の旧い作品から「別れ」を詠んだ7首をとり
あげてみる。断捨離したい、別れたい歌は次の7首記である。

            別れたい 7首    松井多絵子

    こちら向く鏡のなかの私よ今日も明日も別れていたい

    紅葉の夢の道にて今しがた別れしひとの名思いだせない

    ランブラス通りをぶらりぶらりゆく影よ私と別れておくれ

    こんなにも葉をつけていたかと落葉を踏みつつ銀杏の裸木と別れる。  

    剥きゆくに林檎の皮がつと切れてまもなく今日と別れる我は

    雪山と別れて長いトンネルへ出口の見えぬトンネルをゆく

    庭隅の枯れ木に残る柿の実の二つが枝と別れられない、

 

          11月27日 泣きだしそうな空  松井多絵子


世田谷ボロ市

2016-11-26 09:43:09 | 歌う

              世田谷ボロ市

 ♦ ボロ市にて買いしインドの壺を持ちインドより帰国せしごと我は  松井多絵子

 来週は12月、恒例の世田谷ボロ市は15日(木)・16日(金)、午前9時~午後8時
          交通経路 電車:世田谷線上町駅または世田谷駅下車

 東京都の無形文化財に指定されているボロ市は430年の歴史があるそうである。これがもし「世田谷宝市」だったら私は興味がない。年末は高級品の広告やチラシにうんざりしている。断捨離をしたい私は物を所有しないように心がけているのだから。でも身の周りにモノが少ないのも淋しい。居間の出窓に鉢植えの花を。日の当たらない処には壺を。壺のなかは空気しか入っていないのに、ときどき詩歌や小説まで私に語りかけてくる。

 ボロ市の名の由来は「ボロ布がたくさん売られていた」からだそうである。ボロとは辞書によると<使い古して弱くなった布きれ>。なんだか私みたいだ。、<不利な欠点><価値のないものをけなして言う言葉>となると、「ボロ」を、庇い応援したくなってしまう。

 世田谷ボロ市は約700店の露店に多種多様な品物が並び人びとが集う。なぜか私は雨や雪に降られたことがない。無造作に並ぶ品物のなかにお宝があるような気がして陶器、彫り物、装身具などを手に取る。やや高価なものを値切れば安くする。必需品ではないし安く買えば騙されたなどと悔しがることもない。私は気に入った品に癒されるのだから。

 昨日のブログで「ブラックフライデー」を書いたが今朝の「天声人語」でも冒頭から「ブラック」を。 さすがに「天声人語さま」のお言葉は見事だ。この「お言葉」を知らなかったから、昨日、わたしは気軽に書けた。ユニクロの安売りに朝から人々が押し寄せたように、アメリカでも11月第4木曜の感謝祭の翌日から歳末商戦がはじまる。1億3700万の米国人が買い物に行くとの予想がある。小売り店が黒字になるのでブラック。やはり私たちは物から離れられないのか。或る才女がワインを飲みながら小声で云った。「断捨離したいのはまず夫」 彼女の夫は定年退職して一流会社役員の肩書きを失っている。

   世田谷ボロ市は来年 1月15日(日)16日(月)も開催しますよ。

                  11月26日  松井多絵子

 

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ブラックフライデー

2016-11-25 09:29:01 | 歌う

               ブラックフライデー

  ♠ 週末を知らせるようにユニクロの特別限定価格のチラシ  松井多絵子

 「ブラック企業」「ブラックバイト」など、いま日本では「ブラック」はよからぬイメージの言葉になっている。でもアメリカでは、「ブラックフライデー」は 「ありがたい日」。 11月第4木曜日の祝日「感謝祭」の翌日の金曜日を指し、今年は25日に当たる。大幅に値引きする小売店のセールに客が押し寄せて黒字になることから、こう呼ばれるそうだ。                              

  ♠ セーターが24色このようにわれが変身できるなら、なれな                  

 ユニクロは例年、11月20日ごろから4日程度「創業感謝祭」というセールを実施してきたが今年はブラックフライデーを意識して7日間に延長し、23~29日に設定。カシミヤのセーターやダウンジャケットなどを2千円引きにしたり長袖Tシャツを500円で売り出したりする。昨日、初日の23日は 東京・銀座の旗艦店で客約300人が開店前から列をつくった。

  ♠ 勝ち組を応援なんかするものか、何も買わずに店を出たいが、、。

 イオンも「ブラックフライデー」を今年から開催する。担当者は国内でもイベントとして浸透してくれれば」と話す。(23日朝日朝刊より) 

 ユニクロやイオンの内情を私は知らないが、知名度は高い。私たちは知名度にたやすく頼りがちだ。「ブラック客」という言葉もあるらしい。「ブラック客がブラック企業を成長させているのよ」と <チャレンジ老女A子> は言う、彼女は正義感が強い。「升添をゼッタイ許さない。彼が猫糞したお金をとりあげ老人ホームに寄付すべき」だという。珈琲をのみながら彼女の着ているフリースのジャケットを見ていた。「ユニクロだなあ」と思ったが黙っていた。実は私も数年前に買ったユニクロのセータ―を着ていた。、  

           11月25日 晴天  松井多絵子