佐太郎短歌賞の宴 ①
✿あぢさゐの藍のつゆけき花ありぬぬばたまの夜あかねさす昼 佐藤佐太郎
こんな素敵な歌を遺してくれた佐藤佐太郎をこの世に呼び戻した昨夜、中野サンプラザ13階での宴は紫陽花の花盛りを思わせた。第3回佐藤佐太郎賞は大辻隆弘著『近代短歌の範型』 わたしの所属する結社「未来」の選者である。すでに「現代歌人集会賞」「寺山修司短歌賞」「島木赤彦文学賞」「日本歌人クラブ評論賞」など数々の受賞歴がある。
選考委員の言葉 ♠ 秋葉四郎 「いかにも実作者の評論で、近代という時代を背負った歌人たちの表現論、文体論が主要内容で~近代短歌の豊かさが深く論じられている。
♠ 大島史洋 「歌の鑑賞を基礎として進められてゆく大辻の分析には説得力があり、新しく発見することも多いだろう。これは書く者にとっての楽しみでもある」。
♠ 小島ゆかり 優れた評論を持続的に書きつづけている歌人と思う。評論活動が低迷する現代歌壇にあって、今後も大きな期待を担う歌人である。、
♠ 永田和宏 本書を読めば、彼の肉厚の評論が、近代短歌を読みこんできたことに容易に納得できる。大ざっぱな印象、自己の思い込みからのもの言いはほとんどない。受賞の大辻隆弘紹介の氏の写真は「良くない。笑顔の写真にしたらよかったのに」などの永田選者の茶目っ気のあるご挨拶は楽しかった。大辻氏はこの写真は僕のいい顔?などと、、。
大辻さま この写真は今にも泣きだしそう。失恋した男の顔ですよ。次に受賞なさった時は宝くじに当たった時の表情をなさいますように。
11月30日 松井多絵子