えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

「或るホームレス歌人を探る~その九」

2012-12-12 21:14:30 | 歌う

  ★ 「或るホームレス歌人を探る~その九」  松井多絵子

2009年3月23日 佐佐木・高野・永田選

●七分の至福の時間寒き日はコイン・シャワーを一身に浴ぶ  公田耕一

永田の評は「たった『七分』が哀しいが、好きなだけ湯を浴びることが如何に幸せかを訴えている」。まだ寒い三月、失業者十九万人という新聞記事が目につき、心も寒い早春である。

3月30日 永田・高野選

●温かき缶コーヒーを抱きて寝て覚めれば冷えしコーヒー啜る  公田耕一

コンビニが消費期限切れの弁当を店の裏などに出し、それをホームレスが持ち去る様子のテレビ放映があった。

❤ 公田さんに捧げる三首    松井多絵子

  コインシャワー七分間のシアワセを詠むホームレスが住所の人は

  コンビニはいつ眠るのか真夜中もあかりのなかに動くにんげん

  「太陽の傲慢な顔は見たくない」「だからキミたち夜間の勤務」

※明日の「その十」は、はるばるすアメリカの刑務所からの郷隼人さん.4人目のフォロワーは男性なのでほっとする松井多絵子。これからお風呂に入って、寝ます。おやすみなさい。


或るホームレス歌人を探る~その八

2012-12-12 14:11:40 | 歌う

     ★ 「或るホームレス歌人を探る~その八」   松井多絵子

2009年3月9日朝日朝刊・社会面に次のような記事が載った。

●ホームレス歌人の記事を他人事のように読めども涙零しぬ

 本日付の朝日歌壇に永田和宏・佐佐木幸綱両氏が選んで掲載された自称ホームレス・公田耕一の作品だ。住所がないため投稿謝礼も応援の声も届けることができない無念を託し連絡を求めた2月16日付朝刊の記事を、公田さんは読んでくれていた。この歌を記した投稿のはがきには、几帳面さがうかがえる丁寧は字で添え書きがあった。

「皆様のご厚意本当にありがたく思います。が、連絡をとる勇気は、今の私にはありません。誠にすみません。(寿町は、東京の山谷・大阪の釜ヶ崎と並ぶ、ドヤ街です)」

 公田さんは横浜市中区寿町辺りにいることをあかしている。だが「強引に捜すべきではない」というのが選者や他の投稿者らの意見だ。今も週1,2回のペースで投稿があり、片道ではあるが朝日歌壇との回路はつながっている。いつか”勇気”のわく日を待とう。(河合真帆)

 ❤ 公田さんに捧げる三首    松井多絵子

 三日間ですか、英国女王の孫がホームレスを体験された

 行きましょう、むこうの銀杏の木の下へまだ黄葉をまとう木の下

 なんなりと話してごらん聞きますよ左の耳は退屈している

 ※今、公田さんに会えたら、イチョウの木の下で私の迷歌をささやくでしょう。彼の姉のようにやさしい松井多絵子  「この連載いつまでつづくの?」「公田さんに聞いてみます」