えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

未来年間賞②   

2014-01-31 14:06:18 | 歌う

              「未来年間賞②」

 「未来2月号」で2013年度の「未来年間賞」が発表され、2人の女性が受賞した。昨日は「あいうえお順」に岩岡詩帆さんを紹介した。今日は守中章子さん。守中さんは岡井隆氏に師事され、未来誌の「曲れる谿の雅歌」の欄に所属。昨年までは少しかたい歌だったが、今年は彼女らしさがでている、痛切なものがある、言葉に全力をかけていると評価する選考委員たちの支持により受賞が決定したと誌上で報じている。受賞作15首から私の好きな5首を抄出する。

       ★ あの日のこゑを    守中章子

おもむろに黒き鞄からかなしみを出しくちごもるやさしき人よ

わがが胸にふかくしづめる鳥ありてはたりはたりと翼をかへす

ゆつくりと洗うてゆけばぎんなんはひとつひとつがましろき核に

しづかなる結末なりきさはあれど字幕のあとにつづく残響

たれかいまノブをまはせり音もなく春だろう きみ ずつと待つてた

 ※ 若い詩帆さんや章子さんが旧かな、老人の私が新かなで詠む、なぜかしら。

                   1月31日   松井多絵子


年間未来賞は二人の女①

2014-01-30 14:32:24 | 歌う

        「未来年間賞は二人の女①」

 先日発表された芥川賞も直木賞も女、女、女。そして「未来2月号」に発表の★★「未来年間賞」も女、女である。女が強くなったのか、男が弱くなったのか、偶々なのか。わたしの所属している歌誌「未来」は1年に1度、会員たちの応募作品から「未来賞」が選ばれる。更に前年の誌上の作品から、選考委員により「未来年間賞」が選ばれる。2013年度は岩岡詩帆さんと守中章子さんが受賞した。 今日は岩岡詩帆さんをご紹介する。

 ★岩岡詩帆さんは大辻隆弘氏に師事し、現在「未来」の<夏韻集>に所属。昨年1年間に発表された中から15首の作品が「未来2月号」に掲載されている。わたしの好きな5首を抄出。

        われのゐるところ      岩岡詩帆

われの曳く影を踏みつつすぎゆきの半分ほどをこの人は知る

切岸に追はるるごとき極月を熊谷守一の猫は居眠る

ぬきさりし本の厚みに薄闇のととのひてゐて寒の図書室

あかあかと椿は落ちぬあるときは根の国へゆく道に従きつつ

なかぞらにけものめくもの曲がるものもの思ふもの芽吹きといふは

 岩岡詩帆さま  おめでとうございます。あなたはお若いのに私より大人ですね。

                 1月30日  松井多絵子


流行色は赤か

2014-01-29 14:13:53 | 歌う

            「流行色は赤か」

 今朝のテレビに真っ赤な服や下着がひろがり「この春の流行色は赤ですよ」と言うキャスター。
起きぬけのこの画面に私の老眼が驚く。春の流行色はいつも淡い色ではないか。そもそも流行色とは「一般社団法人流行色協会」とかが決めるらしい。しかし店で売れているのは「赤」い服飾品だとしたら、消費者の女たちは自分を目立たせたいのか、変化したいのか、勝負したいのか、結構なことであるが赤はわたしの苦手な色、たとへマフラーでさえも身につけたら落ち着かない。居間を見回しても赤いものはない。いやある、赤鉛筆がいっぽん。でも歌集のなかには赤が散らばっている。「赤子」とか「火星」などの名詞入りの歌をのぞいて、六首を抄出。

         赤のある歌六首     松井多絵子

青は愛、赤は愛憎そんなことあの日話した茶房を過ぎる

信号が赤より青になりしとき翼ひろげて雲が迫り来

夢ひとつ失いしわれに下りてくる大寒の日の赤すぎる落陽

ぶどう酒の赤き水位がぐぐぐぐと下がり今日が昨日になる

言いだすまでどこに隠せばいいのやら真っ赤な嘘はそわそわしている

ひとところ赤あかと咲く花ももに別れしのちも花ももの赤

 赤い服を着た女たちが街に溢れたら私は青を、信号の青の女に。

              1月29日  松井多絵子  


四代目の俳人たち

2014-01-28 14:28:38 | 歌う

         「四代目の俳人たち」

 朝日歌壇と俳壇のはざまのコラム、今週は田中亜美さんが「四代目の挑戦」を書いている。

 高浜虚子の流れをくむ結社の主宰の交代が相次いている。◆「ホトトギス」は稲畑汀子から長男の廣太郎へ、日本最大の俳句誌は34年ぶりの交代。 廣太郎は1957年兵庫県生まれ。高浜虚子のひ孫である。合資会社ホトトギス勤務。クラシック音楽が好き。

★ アンダンテカンタービレの春時雨    稲畑廣太郎

 虚子の次女の星野立子がはじめて娘の椿が継いだ◆「玉藻」は長男の高士が継ぐことに決定
星野高志は昭和27年神奈川県生まれ。繊細な詩情の漂う花鳥風月詠。

★ 引鶴の雲に紛れて無尽蔵   星野高士

 坊城俊樹は虚子のひ孫、昭和32年生まれ。◆「花鳥」の主宰である。あくまで写生に徹しながらも、おかしみを誘う次のような句がある。

★ 丑三つの厨のバナナ曲るなり   坊城俊樹

 この三人はみな虚子のひ孫であり、五十代から六十代の働きざかりである。「三人とも虚子の理念を受け継ぎながら、どこか現代人らしいエッセンスをその作品に盛り込んでいる」と田中亜美は述べている。三人の女の主宰から三人の男の主宰に変わったことは面白い。会員たちの作品にどのような変化が現れるか、虚子の作風が棒のように貫いてゆくだろうか。

   浮き雲のようなり我の去年今年  ことしは始まったばかりですがたぶん私は浮雲

                            1月28日  松井多絵子


子供の和食

2014-01-27 14:06:08 | 歌う

            「子供の和食」

 昨年11月に和食が無形文化財として、世界遺産に登録された。国際的な評価により、日本人も和食の良さを再認識する。1月27日の朝日歌壇に子供の和食の歌が二首入選した。

 馬場あき子選  佐佐木幸綱選

☆☆豪快にママが笑っているようないなり寿し三つ模試の弁当  (富山県) 松田梨子

※毎年この時期にスーパーなどでカツレツのセールが盛んになる。「受験で勝つためにカツを食べましょう」と、「カツ丼を」「カツ弁当を」。でも連日カツを食べていたら胃がもたれる。「勝て!」というプレッシャーに受験生は胃も心も重くなるだろう。しかも冷えたカツ弁当なんて。

*松田梨子さん あなたのママは気が利いてますね。模試の日の弁当がいなり寿し、甘からく煮た油揚げの袋がごはんで膨れていてママの笑顔に見える、そして3個が適量ですね。満腹になったら眠くなりますよ。梨子さんも4月から高校生。もう子供でなく大人の歌人のお仲間ですね。

 高野公彦選

✿プランターの白菜結球するようにひもでしばった お鍋が楽しみ  (横浜市) 高橋理沙子

※白菜をプランターで栽培できることを私はこの歌で知った。白菜は大きくて重い。カットしたものは腐りやすい。小さな白菜が作れたらわたしも作ってみたい。

*高橋理沙子さん アナタはたしか小学生。鍋料理が楽しみとは。子供たちはオムライスとかハンバーガーが好きだと私は思い込んでいました。白菜の結球を育てるとはスゴイ。

   むらさきの帯を締めたる白菜を見るなりどっと疲れてしまう  松井多絵子 1月27日