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救急一直線 医療従事者向け 心肺蘇生 コンセンサス2005 (2)

2007年12月31日 16時10分13秒 | 講義録・講演記録

心肺蘇生 コンセンサス2005  PART2

京都大学大学院医学研究科
初期診療・救急医学分野
准教授 松田直之

ー続編ー

5. 一次救命処置から二次救命処置への移行

5-1. 救命の連鎖
 心肺停止の傷病者の救命のためには,1)early access(迅速な通報),2)early CPR(迅速な1次救命処置),3)early defibrillation(迅速な除細動),4)early advanced care(迅速な2次救命処置)の4つから構成される「救命の連鎖」が重要であると前述した。「救命の連鎖」では,第1発見者が迅速に連絡し,第1発見者や集まってきた救助者により適切にbystander CPRが施行され,救命に必要な資機材が到着した際にはAED処置を行い,それでも心肺停止が継続している状態であれば,適切な部署で二次救命処置(advanced life support: ALS,advanced cardiac life support: ACLS)を開始する手順となる。この4番目の最終項目に位置する二次救命処置は,二次救命処置を開始できるシステムを持った病院内の適切な場所で施行されることが望まれる。二次救命処置への搬送を必要とする場合は,搬送過程で絶え間ない心肺蘇生が継続される一方で,救急車内であれば,心電図解析,追加される気道確保(食道閉鎖式エアウエイ,食道気管コンビチューブ,あるいはラリンジアルチューブ)や,静脈路確保による輸液が,医師のオンラインメディカルコントロールのもとで,救命救急士に指示される。また,一定期間の研修や試験を通過した救命救急士には,オンラインメディカルコントロールのもとで,気管挿管やエピネフリン投与が認められている。

5-2. Primary ABCD survey
 病院内の適切な部署への搬送後の二次救命処置の開始にあたっては,まず蘇生に熟練した医師による心肺停止の評価が,一次救命処置の手順に準じて行われる。意識確認と,気道(A: airway)・呼吸(B: breathing)・循環(circilation)のABCの計15秒以内の初期評価に加え,心電図を装着後は,まず心電図波形を評価し,この波形がVFかVTの場合であれば,除細動(D:defibrillation)の適応とする。これらの二次救命処置の初期評価を,ガイドライン2000では「primary ABCD survey」と呼んでおり,一次救命処置における心肺蘇生法を総括する呼称でもある。二次救命処置開始にあたっても,VFとVTに対する早期除細動の必要性を伝える呼称である。この処置の2分後にはガイドライン2000における「secondly ABCD survey」に類似する内容に移行する。

5-3. Secondly ABCD survey
 Secondary ABCD survey もprimary ABCD surveyと同様に,ガイドライン2000において重視された呼称である。あくまでもガイドライン2000のものとして,secondary ABCD survey をprimary ABCD surveyと対比して理解するとよい(表1参照)。Primary ABCD surveyで心拍が確認できない場合,ガイドライン2000における二次救命処置ではsecondary ABCD surveyへ移行させていた。
このガイドライン2000におけるsecondary ABCD surveyでは,確実な気道確保として気管挿管が望ましいとしていた。しかし,現在,国際コンセンサス2005では,気道確保法として気管挿管にこだわる必要はなく,十分な換気が可能であれば,救命救急士の挿入した食道閉鎖式エアウエイ,食道気管コンビチューブ,あるいはラリンジアルチューブを用いるのでよいと考えている。しかし,気管挿管では,胸骨圧迫と呼吸の比率として,30:2の「同期」を行う必要がなく,これを「非同期」と呼ぶ。他の気道確保方法で「非同期」を行うと,誤嚥する可能性や,気道内圧の変化によりチューブ固定位置が損なわれる可能性がある。気管挿管後の呼吸は,用手換気による1回換気量6-7 mL/kg,呼吸数10/分レベルが望ましく,過度の陽圧換気は静脈還流を妨げ心拍出量を低下させることにも留意しなければならない。
 また,ガイドライン2000におけるsecondary ABCD surveyにおけるBは,気管挿管後の酸素化と換気状態の確認だった。心肺停止状態では酸素運搬能が停止しているため,組織虚血より代謝性アシドーシスが進行しやすい。このため,心肺蘇生にあたっては,可能であれば100%に近い高濃度酸素を投与すべきである。
Secondary ABCD surveyにおけるCは,心電図モニタ装着と,輸液・薬剤投与による循環の評価を意味する。ガイドライン2000におけるsecondary ABCD surveyでは,二次救命処置における心停止の最終評価に,頚動脈によるcheck pulseを用いていた。しかし,3誘導レベルの心電図を装着すれば,VF,VT,asystoleの評価を持続的に行うことができる。さらに,マニュアル除細動器でも,その電極を胸部に接着させることにより,心電図波形を確認できる。このような理由から,現在,国際コンセンサス2005では,胸骨圧迫中断時間を可能な限り少なくする目的で,check pulseに代わり,心電図モニタによる「リズムチェック」が推奨されている。以上のように,国際コンセンサス2005では,ガイドライン2000における除細動前後のcheck pulseの重要性は薄れ,二次救命蘇生におけるcheck pulseの絶対適応は,心電図波形が保たれているPEAのみである。VTにおいても,ガイドライン2000ではpulselessにのみ除細動を適応していたが,国際コンセンサス2005後の本邦ではcheck pulseによるVTのpulselessの評価は行わず,VTの心電図波形を確認した際には頚動脈を触知することなく,除細動を施行する方針としている。
 最後に,Secondary ABCD surveyにおけるDは,differential diagnosis(鑑別診断)である。国際コンセンサス2005では,特にPEAの鑑別診断に必要とされる重要病態として,原因検索の4H4Tをまとめている(表2参照)。

5-4. 国際コンセンサス2005に準じた成人の二次救命処置のアルゴリズム

 国際コンセンサス2005に準じた本邦のガイドライン「救急蘇生法の指針 医療従事者用2005」では,上述したprimary ABCD surveyとsecondly ABCD surveyの区分をなくし,図11のような二次救命処置の簡素なアルゴリズム(一部改変)にまとめている。この二次救命処置ではチームリーダーを決定し,リーダーの指示に従い,行動することが大切である。皆がばらばらに動く心肺蘇生は,混乱を招き,蘇生効率が低下する。 このため,二次救命処置では二次救命処置のアルゴリズムを十分に理解した蘇生法に熟練した医師が,リーダーとなることが望ましい。リーダーには,患者状態評価と蘇生における問題解決能力が要求される。

1)Flat line protocol
 心電図を装着してまっすぐな直線(flat line)だったからといって,早急にasystoleと評価してはならない。心電図波形がflat lineである場合,flat line protocol(表3)に準じて,心電図波形の確認が必要となる。しかし,この確認のために胸骨圧迫が妨げられる可能性があるため,flat line protocolは心肺蘇生と平行して確認される必要がある。心電図電極の装着の確認,心電図感度を上げる,心電図誘導を変えることにより,隠れたVFの発見につながる。二次救命処置のリーダーは,心電図を装着してflat lineを確認した際には,心電図誘導を変え,心電図感度を最大とするように周囲に依頼することが必要とされる。

2)心電図波形に準じた心停止治療の開始
 心電図装着後は,二次救命処置チームリーダーが心電図波形を評価し,「VFのアルゴリズムで治療を開始します」などのように,治療のアルゴリズムを大きな声で宣言し,チームが同一の治療方針にあるように方向付けることが大切である。心電図波形により心停止治療アルゴリズムの詳細が異なることに留意して治療に当たる。二次救命処置においても,絶え間ない胸骨圧迫が原則であり,不用意に胸骨圧迫が中断しないようにチームリーダーが工夫する必要がある。タイムキーパーを1人用意し,循環の再評価は2分毎に心電図確認による「リズムチェック」で行い, 2分毎に大きな声で連絡してもらうとよい。さらに,記録係を1人設けることで,処置内容や使用薬物,心電図波形の記載を残すことが必要である。あわただしい中にあっても,記録を残すことができなければ,心肺蘇生の救命システムが整った施設とは評価されない。

3)VFとVTのアルゴリズム
 心電図装着後,心電図がVFとVTである場合,電気的除細動の絶対的適応となる。ガイドライン2000では,VFかpulseless VTが継続する限り,3回の除細動が終了するまでは単相性除細動器のパドルを胸壁より離さずに200 J,300 J,360 Jの順に除細動を継続することを推奨していた。しかし,国際ガイドライン2005では,除細動は1回とし,除細動後はすぐに心肺蘇生に戻る「1ショックプロトコール」が推奨された。蘇生に長けている医師においては,従来のガイドライン2000に準じた「3ショックプロトコール」でもよい。
 二次救命処置チームリーダーが,気道確保者に気管挿管の指示を出す際には,気管挿管に熟練したものを第1選択とする。気管挿管完了までは心臓マッサージと人工呼吸は30:2の比率で同期させるが,気管挿管後の胸骨圧迫法は1分間に約100回の速度とし,人工呼吸10 回/分の非同期でよい。原則として,気管挿管に10秒以上の胸骨圧迫中断時間を費やすようであれば,バック・バルブ・マスクによる同期換気の継続,あるいはラリンジアルマスクの挿入を考慮する。また,二次救命処置チームリーダーは別な医師に静脈路確保の指示を出す。気管挿管後は気管内からエピネフリンを投与し,静脈路確保後からは静脈内投与に変える。除細動を行う以外では,チームリーダーは絶え間ない心臓マッサージを指示し,2分毎に「リズムチェック」を行う。エピネフリンは3~5分毎の投与とし,その間2分毎の「リズムチェック」に際しては,VFやVTが継続している場合,リーダー自らが単相性除細動器であれば360 Jで除細動を1回のみ行う。それでもVFやVTが継続している場合には,抗不整脈薬投与を考慮し,「リズムチェック」にあわせてアミオダロン(アンカロンⓡ 300 mg iv),ニフェカラント(シンビット® 0.15 mg/kg iv),リドカイン(1-1.5 mg/kg iv),プロカインアミド(アミサリンⓡ 50 mg/分,最大投与量17 mg/kg)を選択する。この他に,Toresade de pointesや,低マグネシウム血症に伴うVFやVTには,マグネシウム(マグネゾール®,コンクライト-Mg®)を1-2 gを希釈し,緩徐に静脈内投与する。このような治療に効果を示さない難治性不整脈は,心原性の心肺停止の可能性が高く,経皮的心肺補助(PCPS: percutaneous cardiopulmonary assist systems)の導入も考慮する。

【ノート欄】
■ 気管挿管の必然性
 気管挿管には,熟練が必要である。熟練者にとっては気管挿管を施行する際に胸骨圧迫法を中断する必要はないが,気管挿管困難患者や胸骨圧迫中断時間10秒以上を必要とする場合には,気管挿管は断念すべきである。国際コンセンサス2005では,換気が十分に可能であれば,バック・バルブ・マスク,あるいはラリンジアルマスク,救命救急士の挿入した食道閉鎖式エアウエイ,食道気管コンビチューブ,あるいはラリンジアルチューブを用いるのでよいとされている。

■呼気ガス二酸化炭素モニタによる胸骨圧迫法の効果判定
 心肺蘇生を行う過程の有効な胸骨圧迫の評価として,カプノグラフによる呼気ガスモニタがある。気管挿管やラリンジアルマスクの呼吸回路より呼気ガスサンプリングを行うことで,呼気ガスがモニタできる。胸骨圧迫法がうまく施行されている場合には,肺血流が生じるため,カプノグラフに呼気ガス波形が検出される。

■ 薬剤投与経路の選択
 薬剤投与経路の確保のために,胸骨圧迫の断続時間が生じてはならない。このため,薬剤投与経路は胸骨圧迫に比較的妨げとならない末梢静脈路が第1選択となる。末梢静脈路確保が難しい場合には,脛骨などの骨髄となる。末梢静脈路は,上腕正中皮静脈などの上腕の太い静脈が望ましく,薬剤投与後にはすぐに輸液20 mLを後押しするか,輸液速度を最大として,上肢を10-20秒間挙上する。心肺蘇生の過程で,胸骨圧迫の妨げとなる中心静脈路を選択する意義はない。

■ マニュアル型除細動器のショックエネルギー量の選択
 マニュアル型除細動器のショックエネルギーの供給型式は,単相性と二相性の2種類に分けられることは,AEDと同様である。二相性マニュアル型除細動器では,truncated exponential(切断指数)波形であれば150-200 J,rectilinear(矩形)波形であれば120 J,波形が不明な場合には200 Jを選択することが推奨されている。2回目以降の除細動に関しては,切断指数波形であれば200 Jの最大値を用いるようにする。除細動器のエネルギー特性は,機種により異なることから,VFやVTに対する二相性除細動器エネルギーは,機種開発メーカーの推奨する量を選択するのが良い。これに対して,単相性マニュアル型除細動器では,200 J,300 J,360 Jの順に,VFやVTに対するショックエネルギー量を選択するのが一般的である。

5)Asystoleの治療のアルゴリズム
 心電図装着後,flat lineを確認した場合,flat line protocol(表3)に基づき,心肺蘇生を継続させながら,隠れたVFを除外する。チームリーダーは「リズムチェック」の際に最終判断としてasystoleと確定した場合,「asystoleのアルゴリズムで治療を開始する」と宣言する。気管挿管と末梢静脈路の確保を指示し,2分毎の循環評価の際にasystoleが継続していれば,まずエピネフリン,次の「リズムチェック」の際にはアトロピンの順で用いる。初回または2回目のエピネフリンの代わりに,バゾプレッシン40単位(ピトレッシンⓡ 2 mL)を静脈内投与してもよい。動脈血ガス分析により代謝性アシドーシスや高K血症が高度な場合や,三環系抗うつ薬による薬物中毒では重炭酸ナトリウムの投与を考慮するが,重炭酸ナトリウムはルーチンに投与してはならない。Asystoleの治療においても,チームリーダーは,10秒以上の断続のない,絶え間ない心臓マッサージを指示することが大切である。

6)PEAの治療のアルゴリズム
 心電図装着後,心電図波形が認められる場合には,10秒以内を限定として頚動脈触知を行う。頚動脈で脈拍を触知できない場合,二次救命処置チームリーダーは心電図波形がPEAであると評価し,「PEAのアルゴリズムで治療を開始する」と宣言する。PEAの治療はasystoleに準じるが,原因検索として表2の4H4Tを評価することが必要である。このためには,チームリーダーは患者既往歴を聴取する者を別に指定し,さらに別な医師には動脈血ガス分析,さらに別な医師にはエコー図を施行させる。しかし,これらの過程においても,胸骨圧迫を中断させてはならず,中断しても10秒以内とする。Asystoleと同様にPEAに対する最も重要なことは,治療可能な原因を検索し,原因を特定し,取り除くことにある。動脈血ガス分析の結果,極度なアシドーシスや高カリウム血症が存在する場合,重炭酸ナトリウムの投与を考慮し,出血や脱水による循環血液量低下に対しては急速輸液を行う。緊張性気胸は胸部打診で評価し,胸腔内の脱気を必要とする。低体温,急性冠症候群,肺血栓塞栓症の可能性が示唆されれば,PCPSの導入を積極的に行う施設も多い。

6. 感染防御の重要性
 二次救命処置の施行に際しては,標準予防策に準じた感染防御を行うことが必修である。二次救命処置に参加する医療従事者には,あらかじめ,手袋,マスク,ガウンを着用しなければならない。処置前処置後の手指衛生も徹底する。


7. 心臓ペーシングの適応

 不安定な徐脈患者には,除細動器に設置されたペーシング用パッドを用いて,経胸壁ペーシングを施行できる(図12参照)。これは,あくまでも冠動脈造影や経静脈ペーシングに移行するまでの緊急避難的な治療である。

7-1. 経胸壁ペーシングの設定

 除細動器の通常の除細動パドルのコネクタを除細動器よりはずし,貼付用ペーシング電極パッドのコネクタを除細動器に装着する。電源を入れ,心電図モニタ電極を装着し,ペーシングモードに切り替える。貼付用ペーシングパッド(図12参照)を患者の心尖部と左背部に装着する。ペーシングレートを60/分,刺激電気量を0 mAに設定する。ペーシングを開始する際には,ペーシングスイッチをオンにし,心電図モニタを見ながら,刺激電気量を0 mAから上げていく。ある刺激電気量を越えた時点で。ペーシング波形のあとにQRS波形が出現する。この時点のmAをペーシング域値という。胸壁ペーシングの最終の刺激電気量は,ペーシング域値より5-10 mA高い値とする。

7-2. 経胸壁ペーシングの注意

 モニタ波形が骨格筋収縮による波形である可能性があり,心室細動の発見に遅れることがある。また,PEAである可能性もあるため,ペーシングに際しては必ず,常に患者のABCの確認が必要である。このモニタリングには,パルスオキシメータが有効である。ペーシング中には,心停止となる可能性があり,その危険に備えて,酸素投与と静脈路確保が同時に行われるべきである。

8. 小児および乳児の心肺蘇生で留意すること 

 成人を対象とする施設では,8歳未満を小児として,成人と心肺蘇生法を区分する。小児の「救命の連鎖」は,1)心肺停止の予防,2)迅速な心肺蘇生,3)迅速な通報,4)迅速な二次救命処置の4つを構成要素とする。国際コンセンサス2005においても,8歳未満の小児の1次救命処置では,人を呼ぶ前にすぐに5サイクル(2分間)の心肺蘇生が推奨されている。成人と8歳未満の小児の心肺蘇生の違いは,以下の点に集約される。

8-1. Phone Fast
 心肺蘇生を5サイクル施行したあとで,救急通報することをphone fastといい,通常の蘇生における人を集める場合のphone firstと区分している。8歳未満の小児の心肺停止では,呼吸原性心停止が多いため,発見時の蘇生を優先するphone fastとしている。

8-2. 徐呼吸と徐脈への早期対応
 呼吸数10回/分未満の徐呼吸や,60/分未満の徐脈に意識障害,チアノ-ゼなどの循環障害所見を認める場合には,完全な心肺停止を待たず,心肺蘇生を直ちに開始する。8歳未満の小児や乳児は,生理学的予備力が乏しいため,人工呼吸や胸骨圧迫の開始が成人に比較して早いことに留意する必要がある。

8-3. 胸骨圧迫の深さと方法
 8歳未満の小児や乳児の胸骨圧迫の深さは,胸の厚みの1/3を目安とする。乳児の場合,救助者が一人の場合は2本指で,救助者が2人の場合は胸骨包み込み母指圧迫法で,左右の乳頭を結ぶ線のやや尾側の胸骨を圧迫する。8歳未満の小児に対しては,両腕で圧迫する場合もあるが,一般に片腕で胸骨を圧迫する。

8-4. 胸骨圧迫と人工呼吸の比率
 コンセンサス2005では,胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は8歳未満の小児や乳児においても,成人と同じ30:2が推奨されている。小児は酸素化を十分に施す必要があり,医療従事者2名による心肺蘇生では,15:2が推奨されている。

8-5. AEDと除細動に対する規制
 2007年現在では1歳未満の乳児へのAEDの十分なエビデンスはなく,ガイドラインに取り込まれていない。1歳以上8歳未満の小児に対しては,原則として心肺蘇生を施行した2分後に,エネルギー減衰機能を持っている専用の小児用電極パットを用いて,AEDを施行する。マニュアル除細動器では,VFとVTに対して,単相性,2相性ともに,2-4 J/kgの除細動1回が推奨されている。

8-6. 二次救命処置
 小児の「リズムチェック」は成人と同様に2分毎であり,エピネフリン静脈内投与量は0.01 mg/kgである。アルゴリズムは,成人のものに類似している。

 

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