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救急一直線 心肺蘇生 AHA コンセンサス2005 (図表)松田直之

2007年12月15日 01時14分39秒 | 講義録・講演記録
心肺蘇生 コンセンサス2005 図と表

京都大学大学院医学研究科
初期診療・救急医学分野
准教授 松田直之


2008年4月 京都大学病院に救急科を立ち上げました。極めて高い心肺蘇生率と社会復帰率です。


図1 救命の連鎖


図2 気道確保の重要性
①下顎挙上法,②頭部後屈顎先挙上:(注意)☓ 項部挙上


図3 頭部後屈あご先挙上法:LOOK/FEEL/LISTEN


図4 下顎挙上法:LOOK/FEEL/LISTEN


図5 頚動脈触知の方法


頚動脈触知は,手掌や多指を用いるのは不適切であり,まず,甲状軟骨を触知することが重要である。頭部後屈を維持させsniffing positionを保ちながら,甲状軟骨を触知し(A),触知した指を肘方向に戻し,胸鎖乳突筋との間隙に頚動脈を触知する(B)。一次救命処置の過程では,呼吸を見て,聞いて,感じながら,この操作を施行し,循環を確認する。通常の脈の確認においても,(C),(D)のように,甲状軟骨を触知し,手前に滑らせて,胸鎖乳突筋との間隙に頚動脈を触知するように行う。これが,できていない医師や看護師さんが多い。既に,心肺蘇生 AHAガイドライン2000(救急一直線 2005年4月9日)に記載したように,頸動脈触知は「技術」であり,天空を見上げながらでも,エレガントに出来る技術にスキルアップしておくとよい。このコツとポイントを,再記載する。

<特論:Check Pulse:MATSUDA法>

NORMAL MATSUDA法2000
a. 頸動脈を第1選択とする。
b. 甲状軟骨を第2指と第3指の2本指で触知する。
c. 指は手前にすべらせる。
d 甲状軟骨と胸鎖乳突筋の間隙で2本の指を立てる。
e. 指圧は,動脈触知に適した圧に感知調節とする。
以上を,天井を見ていても,他の皆の処置を見ていても,患者さんを見なくてもできるまでにトレーニングする。

頭部保持MATSUDA法2000
頭の側に位置して,気道確保している状態では,左の頚静脈は自分の左手で,右の頚静脈は自分の右手で触知する。私は,研修の時期に,右手でも左手でも動脈圧ライン(観血的動脈路)や静脈路を確保できるように自己トレーニングしたが,この応用である。患者さんの頭に立った場合,他の者の邪魔をしない空間管理が,多発外傷にしても,心肺蘇生においても最も重要である。50 cm2で動くなと,後輩には教えている。つまり,頭側に立った場合には,患者さんへの左側処置は全て自分の左手を使い,患者さんへの右側処置はすべて自分の右手を付けうようにトレーニングされて初めて救急科医であるのだ。
a. 患者さんへの左側頸動脈触知は,自分の左手を使う。
b. 患者さんへの右側頸動脈触知は,自分の右手を使う。

図6 回復体位

 呼吸と循環が確認された場合には,外傷患者でない限り,傷病者を回復体位とする。

図7 バック・バルブ・マスクによる用手的人工呼吸
自発呼吸のあるときは,バックバルブマスクを使用してはいけない。ジャクソンリースで自発呼吸の大きさを用手確認するのだ。これは,用手的pressure supportの極意である。
バック・バルブ・マスクによる用手的人工呼吸は,自発呼吸の停止した状態に私は許可している。救急科医などのプロであれば,一人でバックバルブマスク換気できることが,常識である。


図8 胸骨圧迫法

 圧迫部位は,「左右の乳頭を結ぶ線の胸骨上」あるいは「胸の真中」である(A)。圧迫の深さは,胸骨が4~5 cm沈むのを目安とする。圧迫速度は,約100回/分の速度である。圧迫姿勢は,指先を胸壁に当てず手掌基部を用い(A),肘を曲げず,肩から手掌基部へ外力が垂直に加わるように行うことが大切である(B)。

図9 心停止の波形

 心電図による心停止状態は,1)心室細動(VF: ventricular fibrillation),2)無脈性心室頻拍(pulseless VT: pulseless ventricular tachycardia),3)無脈性電気活動(PEA: pulseless electrical activity),4)心静止(asystole)の4つである。

図10 AEDの設置

 2004年7月1日の厚生労働省医政局による「非医療従事者による自動体外式除細動器の使用」の通知より,本邦のさまざまな施設でもAEDが設置されるようになった

図11 二次救命処置のアルゴリズム


図12 マニュアル除細動器と経胸壁ペーシング


表1 Primary ABCD surveyとSecondary ABCD surveyの違い

Primary ABCD survey とSecondary ABCD surveyは,ガイドライン2000において重視された呼称である。これらを対比して理解するとよい。

表2 PEAにおける原因検索(4H4T)


表3 心電図 Flat line protocol

 心電図を装着してまっすぐな直線(flat line)だったからといって,早急にasystoleと評価してはならない。心電図波形がflat lineである場合,flat line protocolに準じた心電図波形の最終確認が必要となる。

心肺蘇生 コンセンサス2005 シリーズ 救急一直線
※ プロとは,極上を志向するものである。この内容を超えて,世界を超えて,絶対を追求していただきたい。 2007年12月15日 京都大学 松田直之
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