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<医学生講義> 急性期におけるインスリン分泌と糖代謝の病態生理学

2006年02月13日 03時52分59秒 | 講義録・講演記録 2
急性期におけるインスリン分泌と糖代謝の病態生理学


京都大学大学院医学研究科
初期診療・救急医学分野
准教授 松田直之

E-mail:nmatsuda@kuhp.kyoto-u.ac.jp


はじめに
 手術,外傷,急性膵炎,重症熱傷などの生体侵襲は全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome: SIRS)を惹起し,急性相反応(acute phase response)として糖新生と高血糖をもたらす1。手術は予定された外傷であり,その侵襲の程度により炎症や急性相反応の強弱が規定される。周術期の高血糖は患者死亡のリスクファクタであり,心臓血管術後など様々な急性期患者管理において厳密な血糖調節が再認識されている2。手術中の麻酔や手術後の鎮痛・鎮静は交感神経活性を抑制することにより神経終末からのカテコラミン放出を抑制し,周術期の高血糖を軽減することができる。本稿では周術期の患者管理として,血糖調節にかかわる生理の理解を目標し,インスリン分泌と糖代謝を論じる。

糖尿病の成因
 1999年に日本糖尿病学会糖尿病診断基準検討委員会が発表した糖尿病判定基準を表に示した3。正常な状態の空腹時血糖値は110 mg/dL未満で,75 g 経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test: OGTT)の2時間後でも140 mg/dL未満である。空腹時血糖値が126 mg/dL以上,OGTTの2時間後で200 mg/dL以上,随時血糖値200 mg/dL以上のいずれかが,日を変えて2回確認された場合,糖尿病と診断される。この中間に位置するものが境界型である。口渇,多飲,多尿,体重減少などの糖尿病に随伴する臨床症状,糖尿病性網膜症,HbA1C値6.5 %以上のいずれかの条件を満たせば,血糖値の異常が1回でも糖尿病の診断がなされる。
 このような糖尿病の成因は,膵頭β細胞の破壊に伴うインスリン欠乏に起因するI型糖尿病,インスリン分泌低下やインスリン抵抗性を導く遺伝素因に過食,肥満,運動不足などの環境素因が付加されて発症するII型糖尿病,妊娠に附随する妊娠糖尿病,インスリン遺伝子,インスリン受容体遺伝子,ミトコンドリア遺伝子などの遺伝子異常による糖尿病,そして,周術期に合併する外科系糖尿病(surgical diabetes)などに分類される。このようにさまざまな成因で高血糖が惹起されるが,インスリン欠乏の程度はまちまちである。インスリン欠乏の強い場合はケトアシドーシスに移行しやすいため,インスリン依存状態か否かを的確に評価することが必要である。

膵Langerhans島からのインスリン分泌機構
 ヒトの膵島は100万~200万個あり,膵Langerhans島の大部分を占拠するβ細胞は1細胞あたり10,000~13,000個のインスリン分泌顆粒を持つ。この分泌顆粒の直径は150~400 nmと,他のシナプス小胞体と比較すると大きい。正常の膵β細胞では分泌顆粒内pHが5レベルに保たれており,インスリン変換酵素やカルボキシペプチダーゼなどのインスリン合成酵素の活性を保つ。また,インスリンの等電点は5.5であるために,分泌顆粒内pHが5レベルに保たれることにより,インスリンが結晶化される。
 インスリンは2本のアミノ酸連鎖が2個所でジスルフィド結合した2量体構造をとり,分子量が5,808のポリペプチドである。ヒトの第11染色体短腕のインスリン遺伝子からプレプロインスリン(preproinsulin)が転写・翻訳されると,翻訳後修飾としてプレ部分がすみやかに切り離されてプロインスリンとなる。プロインスリンは,小胞体で翻訳後修飾を受け,ゴルジ装置で濃縮され,インスリン変換酵素により分断されインスリンとなり,分泌顆粒内に貯蔵される。
 このようにして産生されたインスリンは血糖値上昇により膵β細胞の分泌顆粒から放出される(図1参照)。膵β細胞内のグルコース濃度が高まると,主にglucose transporter 2(GLUT 2)を介して細胞内にグルコースが流入し,産生されたATPによりATP感受性カリウムチャネルが閉鎖しK+の細胞外放出が抑制される。これにより細胞膜が脱分極するため,細胞膜上の電位依存性Ca2+チャネルを介して細胞内へCa2+が流入する(図2参照)。インスリン結晶を含んだ小胞体は,この細胞内Ca2+濃度の上昇に一致して細胞膜へ移動し,細胞膜上にΩ構造の融合細孔を形成し,直接に毛細血管ではなく細胞間質へインスリンを開口分泌する。インスリンの開口分泌は細胞内Ca2+濃度上昇後,約3秒で生じ,他の小胞体分泌における所要時間の0.05秒と比較すると,緩徐な開口分泌が特徴である。融合細孔の構成成分は脂質であり,融合細孔の外側を支持タンパクが支配しており,この形状の変化により融合細孔が開大する。このようなインスリン開口分泌までの過程にはGTP結合型 Rab3などの低分子Gタンパクや,そのエフェクター分子Rim,granuphilin,Noc2などの活性が関与し,その詳細は未だ解明過程にある。
 結果としてインスリン開口分泌の細胞内情報伝達に影響を与える因子は,血糖値,カリウム濃度,交感神経活性,副交感神経活性,腸蠕動などである。血糖値上昇や高カリウム血症はインスリンの開口分泌を促進させるが,交感神経緊張状態では交感神経終末よりノルエピネフリンが放出され,アドレナリンα2受容体を介してGi/oタンパクを活性化し,インスリンの開口分泌を抑制する。副交感神経系は主に右迷走神経の分枝が膵島を支配しているが,アセチルコリン放出によるムスカリン受容体刺激効果は,そのサブタイプにより異なり,M1受容体,M2受容体,M3受容体を介してインスリン分泌が亢進し,M4受容体を介してインスリン分泌が抑制される。周術期管理に経腸栄養を行うことで腸管免疫を保つ重要性が示唆されているが,腸蠕動に伴い放出されるgastric inhibitory peptide(GIP)などの消化管ホルモンにはインスリン分泌促進作用がある。

インスリンの作用機序と糖代謝
 インスリンの結合するインスリン受容体は分子量340,000の複合蛋白であり,2種の糖蛋白サブユニットαとβがジスルフィド結合し,4量体として存在する(図2参照)。インスリンはインスリン受容体のαサブユニットと結合し,細胞膜を貫くβサブユニットの細胞内ドメインのチロシンキナーゼが活性化される。このβ-サブユニットのチロシン残基の自己リン酸化により,下流のアダプタータンパクへリン酸化シグナルが伝達され,GLUT 4を最終的に細胞膜上に移動させることで糖の取り込みが促進する。
 このインスリン受容体は骨格筋,脂肪組織,肝臓のみならず,血管内皮細胞や脳にも存在するが,インスリンによる糖摂取・糖代謝の80~85%は骨格筋により,約5%が脂肪組織による。器官や部位により,インスリン受容体や細胞内情報伝達系の発現に差を認めることや,インスリン受容体を発現する細胞数の違いから,インスリン効果の差が生じる。肝臓は空腹時には2 mg/kg/minのグルコースを産生しており,生体における糖新生の85%を担う。肝臓でのグリコ-ゲン分解と糖新生をインスリンは抑制し,グルカゴンが促進させる。グリコ-ゲン分解は主にグリコ-ゲンホスホリラーゼなどの律速酵素のリン酸化・脱リン酸化反応で調節されるが,インスリンはこれらの酵素活性を減じることでグリコ-ゲン分解を抑制する。糖新生はPEPCK(phosphoenolypyruvate carboxykinase-1)やG6Pase(glucose 6-phosphatase)などの触媒酵素の転写段階からの増加が重要であり,グルココルチコイド受容体,CREB(cAMP response element binding protein),フォークヘッド型転写因子(FoxO1など)により触媒酵素の発現が増加する。インスリンはホスファチジルイノシトール-3-OHキナーゼ(PI3K)の活性化などを介してCREBをリン酸化し,CREとの結合を低下させることでCRE活性を低下させ,FoxO1などをリン酸化することで転写活性を抑制し,糖新生を減じる。また,肝臓における糖新生をインスリンが抑制する間接的機序として,膵α細胞からのグルカゴン分泌抑制,骨格筋での糖新生基質の産生抑制,脂肪組織での脂肪分解抑制による肝臓への遊離脂肪酸の供給抑制,視床下部を介した肝臓での糖放出抑制が関与する。脳における糖の取り込みはインスリン非依存的に生じるが,インスリンが視床下部に作用して末梢組織のインスリン作用調節に関与する可能性が示唆されている。

インスリンによるGLUT 4の細胞膜輸送と血糖調節機構
 骨格筋,脂肪組織,血管内皮細胞はインスリン依存的にGLUT 4の細胞膜移動を起こし糖代謝に関与する効果器である。インスリン受容体以降のGLUT 4の細胞膜への移動に関与する細胞内情報伝達は図2に示したように主に3経路に分かれる。インスリン受容体の自己リン酸化についでinsulin receptor substrate(IRS)ファミリー,APS/Cbl系,三量体GTP結合蛋白Gαq/11のチロシン残基がリン酸化され,PI3KやTC10を活性化させる。結果的には,PKCサブタイプのPKC-ζとPKC-λ,そしてAktの活性化がGLUT 4の膜輸送に必要となる。こうしたPKCやAktのリン酸化を抑制するものとしてprotein phosphatase 2A(PP2A),インスリン受容体を含めたチロシンリン酸化を抑制するprotein tyrosine phosphatase-1B(PTP-1B),PI3Kに拮抗するPTEN(phosphatase and tensin homolog)やSHIP2(SH2-contamining inositol phosphatase-2)が知られている。
 GLUT 4はインスリン刺激のない状態では核周囲の微小管末端に非特異的小胞として観察されるが,上記リン酸化酵素の活性化により,微小管上を移動するモーター蛋白であるKIF3,KIF5などのキネシンがリン酸化され,GLUT 4小胞上のRab4などの低分子GTP結合蛋白と結合して,細胞膜方向にGLUT 4小胞が牽引される。微小管の細胞膜末端は直接に細胞膜に連結しておらず,アクチンネットワークに連結しているため,アクチンネットワーク上のMyo1cなどのミオシンモーターがGLUT 4輸送を引き継ぎ,GLUT 4の細胞膜融合をもたらす。
 細胞膜上にインスリン刺激により発現したGLUT 4は,膜表面からのエンドサイトーシスを受けてインターナリゼーションや分解を起こす。細胞内取り込みにはダイナミンなどによりGLUT 4が細胞膜から切り離される必要があり,さらにインターナリゼーションには微小管の細胞中心方向に働くダイニンなどのモーター蛋白の活性化が必要となる。このようなGLUT 4のインターナリゼーションに関与する物質を活性化させるものがGSK-3β(glycogen synthase kinase-3β)であり,インスリン刺激により活性化したAktやPKCにより抑制されている(図2参照)。以上のように,インスリンシグナルはAktとPKCの活性化を介してGLUT 4の細胞膜への移動を高め,GSK-3β活性を低下させることでインターナリゼーションを抑制している4。 

手術や麻酔の影響と創傷治癒
 手術は予定された外傷であり,その侵襲の程度により強い急性相反応が惹起される5)。神経内分泌系のストレス応答によりエピネフリン,ACTH,コーチゾル,グルカゴンなどのインスリン拮抗ホルモンの分泌が亢進するため,インスリン分泌低下,インスリン抵抗性が惹起され,肝臓では糖新生が亢進し,脂肪組織では脂肪分解,骨格筋では蛋白異化が亢進する。麻酔は交感神経緊張に伴うこれらの反応を軽減することができる。一方,手術や臓器虚血により惹起された活性酸素種,小胞体ストレス,高血糖はnuclear factorkB(NF-kB)などの転写因子を活性化させ,tumor necrosis factor-α(TNF-α)などの炎症性サイトカインの産生を増加させる。こうした炎症性サイトカインはインスリン感受性を低下させることが知られているが6),その機序の詳細は,未だ十分に解明されておらず,前述の生理学的解明に追従できていない。TNF-αについては,TNF-α受容体を介してJNK(Jun N-terminal kinase)やSOCS(suppressor of cytokine signaling)を活性化し,IRS-1のセリン残基をリン酸化してIRS-PI3K系を抑制する機序やPP2Aを活性化させAkt活性を抑制する機序が知られている。高血糖が持続した状態ではPKCεとPKCδが活性化しIRS-1のセリン残基をリン酸化するほか,PTP1Bの活性化によりIRS-1が脱リン酸化してインスリン感受性が低下することが知られている。
 2004年にSociety of Critical Care Medicineより発表されたsurviving sepsis campaign guidelinesでは,2001年N Engl J Medに掲載されたvan den Berghe Gなどの報告と2003年JAMAに掲載されたFinney SJなどの報告から,インスリンを用いた厳密な血糖調節により術後血糖値を150 mg/dL以下にすることを推奨している7)。麻酔領域における人工心肺を用いた200名の糖尿病患者の前向き臨床研究では2),術中に血糖値180 mg/dL以上でインスリン静脈内投与を開始した患者数は36 %であり,全体の18 %に血糖値200 mg/dL以上のコントロール不良を認めたという。血糖値コントロール不良群では急性肺障害,感染症,神経学的異常,急性腎不全の合併率が37 %とコントロール良好群の10%によりはるかに高いと報告されている。高血糖は好中球やマクロファージなどの白血球機能を低下させるため,術後感染の罹患率を高める8)。また,高血糖自体がNF-B活性を持続させることから,創部の炎症が持続し,コラーゲン増生が遅延するため,200 mg/dLを超える高血糖状態は創傷治癒の観点からも望ましくないと考えられている9, 10)。周術期における速効型インスリンの持続投与を用いた厳密な血糖値管理には低血糖の合併が懸念されるが,周術期高血糖は患者死亡のリスクファクタと考えられている。

経口血糖降下薬の種類と作用機序
 周術期管理において糖尿病を合併している患者管理を行うことは比較的多く,1型糖尿病はインスリン注射にで治療され,2型糖尿病は経口血糖降下薬で治療されていることが多い。一般に肥満が強いbody mass index 25 kg/m2以上の糖尿病患者では,インスリン分泌は保たれているもののインスリン抵抗性が強く,一方,痩せた糖尿病患者ではインスリン分泌が低下している傾向がある。使用される経口血糖降下薬は5種類に分類される。
 スルホニルウレア薬(SU薬)とグリニド系薬は,図2におけるKATPチャネルを結合阻害することで膵β細胞内のCa2+濃度を持続的に高め,インスリン分泌を促進させるものである。グリニド薬はSU骨格を持たない点で,SU薬と区分されている。メトホルミンやブホルミンなどのビクアナイド薬は肝臓でPKA活性を高めることで糖新生を抑制するが,その詳細な機序は未解決である。ピオグリタゾンなどのチアゾリジン誘導体は主に脂肪細胞に作用し転写因子PPARγを活性化することでインスリン抵抗性を改善するが,PPARγはSIRSにおけるNF-B活性を低下させることができるため,抗炎症作用が期待できる。アカルボースやボグリボースなどのαグルコシダーゼ阻害薬は,小腸領域で2糖類を分解するαグルコシダーゼを阻害することで糖吸収を遅らせる薬剤である。このような経口血糖降下薬の使用に際しては,インスリン不足の評価とインスリン抵抗性の評価が必要である。

おわりに
 膵β細胞からのインスリン分泌機構,効果器におけるインスリン作用機構などのインスリン作用の詳細が分子レベルで解明されてきているものの,周術期の全身性炎症反応症候群がどのようにこれらを修飾するかの詳細な検討は乏しい。このような病態生理学的解析とともに,麻酔薬の分子レベルでのインスリン作用修飾を再評価する必要があり,今後の研究が期待される。


引用文献
1. Bone RC, et al.: Definitions for sepsis and organ failure and guidelines for the use of innovative therapies in sepsis. The ACCP/SCCM Consensus Conference Committee. American College of Chest Physicians/Society of Critical Care Medicine. Chest 1992; 101:1644-55
2. Ouattara A, et al.: Poor intraoperative blood glucose control is associated with a worsened hospital outcome after cardiac surgery in diabetic patients. Anesthesiology. 2005;103: 677-8.
3. 日本糖尿病学会糖尿病診断基準検討委員会:糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告. 糖尿病. 1999; 42: 385-401.
4. Farese RV, et al.: Atypical protein kinase C in insulin action and insulin resistance. Biochem Soc Trans. 2005; 33:350-3. Review.
5. Marks JB: Perioperative management of diabetes. Am Fam Physician. 2003; 67:93-100. Review.
6. Wellen KE, et al..: Inflammation, stress, and diabetes. J Clin Invest. 2005; 115:1111-9. Review.
7. Dellinger RP, et al.: Surviving Sepsis Campaign guidelines for management of severe sepsis and septic shock. Crit Care Med. 2004; 32:858-73. Review.
8. Marhoffer W et al.: Impairment of polymorphonuclear leukocyte function and metabolic control of diabetes. Diabetes Care. 1992; 15: 256-60.
9. McMurry JF Jr: Wound healing with diabetes mellitus. Better glucose control for better wound healing in diabetes. Surg Clin North Am. 1984; 64:769-78.
10. Swenne CL, et al.: Peri-operative glucose control and development of surgical wound infections in patients undergoing coronary artery bypass graft. J Hosp Infect. 2005; 61: 201-12



表の血糖値は静脈血漿のグルコース濃度を示す。随時血糖値200 mg/dL以上の場合も糖尿病とみなす。判定には別々な日に行った検査で2回以上の確認を必要とする。口渇,多飲,多尿,体重減少などの糖尿病に随伴する臨床症状,糖尿病性網膜症,HbA1C値6.5 %以上のいずれかの条件を満たせば,血糖値異常が1回でも糖尿病の診断がなされる。


図2 膵β細胞からのインスリン放出のメカニズム
 インスリン非依存的にGLUT 2を介してグルコースが膵β細胞に取り込まれるとミトコンドリア電子伝達系を介してATPが産生され,ATP/ADP比が高まる。膵β細胞のATP感受性Kチャネル(KATPチャネル)はスルホニルウレア受容体SUR1とKir6.2で構成されており,このKATPチャネルが細胞内ATP濃度の上昇により閉じるために細胞外へのK+放出が阻害される。これにより細胞膜が脱分極し,電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)を介して細胞内Ca2+濃度が高まることで,インスリン小胞の開口分泌が促進される。高血糖ではグルコース代謝に関連してVDCCの開口率が高まることも知られている。



図3 インスリン受容体を介したGLUT 4の細胞内輸送
 インスリンによる糖代謝を担う骨格筋,脂肪組織,血管内皮細胞では,微小管輸送を介したglucose transporter 4(GLUT 4)の膜輸送が行われる。インスリン受容体はαサブユニットとβサブユニットからなる4量体であり,インスリンとの結合によりβサブユニットのチロシンが自己リン酸化され,IRS-PI3K系,Gαq/11-PI3K系,Cbl-TC10系の3系統を介してAktと atypical PKCが活性化される。これらはGLUT 4のインターナリゼーションを促進させるGSK-3βを抑制し,微小管を介した細胞膜へのGLUT 4輸送を促進させる。

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