goo blog サービス終了のお知らせ 

massy-academy

advice for consumer

“賃金 に つ い て:同一労働同一賃金“     ‘16-2-16

2016-02-16 07:27:11 | Massy's Opinion

☆Massy’s Opinion

最近、安部総理のアベノミックスの説明に「同一労働同一賃金」と言う言葉が多用されている。僕は此の言葉を聴く度に「安部さん、本当に此の意味を解かって居られるのかなあ?」と言う疑問が湧いてくる。彼の学歴、職場歴等を考えて見ても、そんなに深く賃金問題を考えて来たとは思えない。側近の学者や誰かに御進講を受けて、「アアそうだな、男女間差別も無くせば、女性の活用と言っていることにも合致するよな」と言う感じで使っているような軽い感じにしか聞こえない。1950年代戦後日本の新しい社会の在り方をめぐって、自由主義、民主社会主義、社会民主主義、だの共産主義だの様々な議論が世を挙げて論議された時代があった。特に、共産主義をめぐる労使闘争の代表的なものは日産自動車のストライキだろう。僕の入社当時の上司は、此の組合運動のほぼ中心に居た人だったので、いろんな人が夕方になると飲みにきて、お伴をさせられた。上海の日産工場の労使関係、日産の共産党系の組合との泥沼闘争、長期に亙るストライキ等の話は聞いた話だけれど、暗記するくらいに覚えている。これらの長期に亙る闘争の中から、当時の「経営側川又社長」、「闘争していても不幸になるのは労働者だ」と言う第二組合が生まれた。そして、此の解決には「経営側と、労働者の信頼関係が第一だ」と言う考え方の中から、「労使の相互信頼、組合の良識と合理性」「近代的労使関係」と言う考えが生まれて来たのだ。会社の中にも、組合の中にも人が集まれば葛藤が起こる。日産圏も多くの葛藤を経て今日に至っているが、それはさておき、その当時の日産系労働組合は随分勉強したものだ。「組合は、数は力だ」と言う事で全国組織に成ったので、僕の会社の労働組合は支部と言う事に成っていたが、1500人位の組合員が居た。職場から選ばれてくる幹部には、よく教育をした物である。特に「賃金」については、組合員の最大関心事であるので、職場代表の幹部達支部委員が組合員によく教育が出来るように「支部労働講座」と言う勉強会を開催したものだ。当時の僕らの労働組合の労働講座の中に「賃金について」と言うものがある。その中に「賃金四原則」があり、その中の一つに「同一労働同一賃金」があった。勿論、自動車労連の指導である。「同一労働」その事を安部総理や取り巻きの人は解かっているのだろうか?僕には、解かっている人が居る様には思えない。

労働組合側からも「将来の賃金は如何いう形になるべきか?連合はこう考える」と言う様な意見は聞いた事がない」「デフレ脱却、内閣が組合側に賃金を上げろなんて、ついぞ聞いた事のない事態になっている」「同一労働同一賃金」「年功序列型賃金体系」を変えない限り出来ないと思う。「年功序列型賃金体系」が多い日本の現状の中では「正規、非正規雇用」の違いも考えて見れば、正規雇用だと年功序列型賃金、非正規は時給と区分けすることも出来るだろう。まあ、行き詰まりも鮮明になって来た現内閣、次を背負う人が居ないのも困るが正しい理論武装は何時の時代も必要になる。

 ☆<自動車労連の賃金の考え方>(1950年当時支部労働講座のテキストより)

  日本と欧米を比較してみて、日本の賃金についていろいろと疑間となることが多い。自動車労連では、この疑問にこたえ、合理的な賃金体系をつくるため4つの 原則をたてている。

(1)  最低賃金の原則

 労働者には健康に生活できる最低賃金が保障されなければならない。その最低賃金がいくらかというのはむずかしい問題だが、34年7月わが国でも「最低賃金法」が施行され、現在では毎年のようにその額が引き上げられている。 余りに変動の大きい刺激給、能率給も労働者の生活を不安定にするものであっては望ましくない。

(2)  同一労働、同一賃金の原則

 同じ仕事をしている人には同じ賃金を支払うべきである。女だから。若いからとかいう理由だけで賃金に差をつけるべきではない。 この原則をつらぬくためには、本人の能力に応じて昇進する機会が与えられることが必要である。

(3)  異質労働異質賃金の原則

2の原則とうらはらの関係にある原則である。賃金は職務の質と量に応じ当然差があって然るべきである。また、これはマンレートからジョプレートへの移行の方向を示している。 精神労働と肉体労働とはどちらが高級であるかは簡単には決まるものでは なく、歴史的、社会的に見て公平な立場から判断すべきである。また本人の適性に応じて最も適当な職務に配置し、職務を標準化し、人材の登用を図ることが大切である。

(4)  最高賃金の原則(高生産性高賃金の原則)

 賃金は支払能力の枠を越えることはできない。従って社より絶えず優越 できるための基盤をつくるべきである。すなわち、最高の生産性で最高の賃金を獲得しなければならない。

  賃金全体としては、労使が力を合わせ、「生産性を向上させ源泉を増大すること」によって業界の最高を目標他として努力しなければならない。

 ☆実務経験から

‘91~99年まで、或るディラーの社長を遣らせて頂いたが、年功序列型賃金では平均年齢32,5歳の企業が将来成り立たなく成ることは目に見えている。そこで、一年間は組合と話し合いを月一回定例化して協議と教育をした。特に(4)最高賃金の原則を徹底的に教え込み、資格手当てを大幅に増やし、年齢給は抑えた。資格を持つ事で給与に差が付いてくる。此れで、社内の雰囲気は勉強する事に向いて、特に女子社員が保険手当て月3,000円で保険資格をほぼ全員が取ったのには驚いた。勿論、営業には業績に応じた手当ても増やした。僕の在任中は基本給の増額は一度もしなかった。

それでも、8年間の在任中に僕の考える理想的な改革は出来なかった。僕自身国家3級三級整備士の資格を‘60年には取っているし、保険の上級資格、国内A級ライセンスも持っていたし此の意味では社員に自信を持って、行き詰まる自動車業界と将来の見通しを組合員にも説得できたんだろうと思う。日本も生産性の向上を安部総理が強く打ち出さないと国民は皆、政府が遣ってくれると思ってしまうだろう。

 P,S 

「8年間、理想的な改革...」とは、具体的には、「業界最高の技術レベルと最高の賃金」「社員が自信の持てる水準の賃金体系」の「赤字にならない会社」を全員で作り上げる事である。