★Massy’sOpinion
・解りにくい日本の自動車関連法 第二次大戦後、急速に発展を遂げたに日本の自動車産業、産業が発展する速度に遅れないように法律が次々と作られてきた。自動車産業もユーザーもこれ等を熟知しないままに隆盛を極めてきたと言う方が正しいかも知れない。僕が社会人として自動車販売に携わり実務を経験しながら僕流の自動車関連法の「法律」を学んで来たが、解釈は間違っているかも知れないが、長期間実務を無事にやって来た。兎に角、自動車の販売には幾つもの印鑑を押さなければならず、セールスマンもお客も只、印鑑を押すだけと言うことが多かった筈だ。あるセミナーで知り合った大学の先生方にこういう風に考えると、自動車関係の法律は「調べやすい...」「解り易い...」ですよと、話した事がある。そうしたら、増田さん、「お陰でよく解るようになりました...」と言われた。そこで今回の問題でマスコミ、でいろんな記事や意見が出ているが、誤っているものもある。改めて、書いてみよう。
(1)道路運送法 (主に事業について) 昭和26年・・・元運輸省主管
(2)道路運送車両法 (主に車について) 昭和26年・・・元運輸省主管
保安基準,民事登録 etc.
(3)道路交通法 (主に車を運転する人について)昭和35年・・・警察庁主管
・自動車に直接的に関係する法律はこの様な分け方をすれば解り易いだろう。さて、此の中で今回問題になった「完成検査終了証」の関わる取り扱いの事務処理の問題である。さて、これ等の自動車に関する法律は昭和26年に施行されて以降、逐次モータリゼイションの凄まじい進歩につられる様に規則等の追加が行われ、膨大な自動車関連の法律が出来ているのが現状である。
・完成検査終了証と譲渡証
自動車は道路運送法により、「登録」をしなければいけないように決められている。それに加えて、登録する車は道路運送車両法の「保安基準」に適合するものでなくてはならない。此の「保安基準」に適合するかどうかの検査が一般に言う「車両検査=車検」である。
此の「検査」と「登録」の業務を陸運事務所がやるのである。僕がディーラーに入社した頃は未だ、「検査」と「登録」のどちらが優先するんだ?何て言う議論を明確に答えられるディーラーも町の自動車工場も無かった位である。僕の入社した会社は、戦時中の自動車配給会社が所謂ディーラーになった会社であるが、この辺の事を教えてくれる先輩は皆無だった。兎に角、「メーカーと検査官には逆らうな、気違いだから...」なんて教わった時代である。「完成検査終了証」は此の「保安基準に適合している」と言う証明書であり、メーカーでは、「新型申請」と言う「保安基準に適合しています」と細目に亙る届け出を各モデル(型式)ごとに提出して、当局側から「型式指定自動車」として、新車時の車検を免除され、譲渡証を添付して登録され、晴れて公道で走れると言う事になる。此の「指定自動車の検査」は、いわば国からメーカーが委託されている業務であり、その為に検査員の資格、証明の捺印等当局に届けられわけで、実態は解らないが、当局の監査で解ってしまった。と言うことである。従って、機構、品質に関わるリコールとは全く異なるリコールである。色々な経済誌や何かに此の記事が書かれているが、解釈に誤っている物が僕はある思う。次にその辺の問題を書いてみよう。
・車台番号chassie numberと車体番号 body number
良く此の二つは同じに使われる事がある。昔の自動車は馬車のコーチから発展して来ている。梯子状のフレームに車輪が取り付けられ、エンジンが付き、その上にボディーが乗せられていた。フレームの部分を「車台」と言い、上に乗せられる部分を「ボディー」と言った。「ボディー」は車台の上に乗せ替えが出来る。それで「車台」がベースになるものとして、その上に「車台番号」が打刻されたのである。今は軽量化と強度に対する技術が進歩して、一体構造(ユニタリーコンストラクション)となり車台番号もエンジンルーム運転手席との境のパネルに固有の番号が打刻されている。
・拓本 =打刻 此のナンバーを証明する為に朱肉で拓本(石刷り)を取って、譲渡証の貼り付け完成検査終了証とともに登録する事になる。(昔は、エンジンに打ってある番号=原動機番号の拓本も必要だった)
・昔此の車台番号には製造年が打刻されていた。年代わり成ると前年の生産が解ってしまう。その為に、フレームを削セイして「年」を新年に打ち変えた事があり、これはXポンチを打刻して、訂正をしなくてはいけないと決められていた。それで陸運事務所で怒られれてメーカーの始末書を持って来いと言われ、メーカーの中では誰が詫びに行くか?大騒ぎに成り、約一週間陸運事務所に謝りに行った事がある。メーカーの中でも係長りだ、いや、課長だ、部長だと大騒ぎに成った。結局、検査部長が行ったのであるが、一通りお説教「法の精神」を説かれて、大変だった。帰りしなにその部長が「解らない様にやればいいんだな...」と呟いたのを聞きとがめられて「まだ、法の精神を理解していない...」と夕方まで怒られた。打刻の訂正の仕方が法律で決められている事を検査部長が知らなかったのである。これと同じ問題が、今回の日産の問題だと思う、社長の詫び方について非難があるが、社長自身が此の「道路運送車両法」を知らなかったと思う。年間500台以上生産するモデルには「型式指定自動車」の申請が出来る」と言う取り扱いがあり、当局側もメーカー、ディーラーも車を検査場に持ち込まず登録が出来る業務簡素化の恩恵に浴している訳で、時代の変化の中で輸入外車も型式指定を受けられるように成っている。
・今回の日産のリコール対策の処理は非常に巧く解決をしたと思う。一回目の車検を受けていない車に対象を絞れたのは正解だ。本来、当局側がヤルべき検査の仕事をメーカー、ディーラーに委託している訳であり、メーカーも監査を厳重にする責任は在ったと思う。
自動車関連の法律は複雑で、日本のすべての法律が戦後の「憲法」をベースに作られているのだから日本の憲法を理想的なものに作り直す所に、日本の未来の姿が生まれてくるだろう。僕の持論「通行区分の世界統一」も1980年から考えてレポートにする時には2070年と時期を定めた。
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