いきなり図から入ってしまった。図をクリックすると大きな画面がポップアップします。
Table 1のアスリートのFitness Pyramidは、Athletic Training (Daniel Arnheim) の教科書と学生の時のノートから参照したもので、私の作った Table 2 一般人のRehabilitation Pyramidと比べると言うことでのせてみました。
勿論、アスリートの目的は、“ベストパフォーマンス”なわけで、一般人のリハビリの目的は、“日常生活復帰”。 違いもあれば、進展の段階で共通するところもあるのです。
と、言う事で今日はリハビリについて話をしましょう。ご存知の読者も多いとおもいますが、昨年うちのかあちゃんが、右股関節の再置換手術をした7週間後、右大腿骨を骨折。結局、全部で4ヶ月の入院生活。その後、週2回病院までリハビリに通う事3ヶ月。
退院後、日常の生活に馴染むまでかなり時間がかかったみたい。また、年末年始に帰国したとき、かあちゃんを見て思ったことは、なんとか動けているようだけど、俗にいう“スタミナ”がないな~。(日本人よく “スタミナ”って使うよね) 手術後6ヶ月にしては、あまり進歩してないわけ。そこで、思った事...
日常生活に馴染むのに時間が掛かった事について。4ヶ月間入院していて、いくらリハビリをやっていると言っても、 リハビり、シャワー、トイレに行くなど、実際に動いているのは1日2時間がいいところ。あとの22時間は、ベッドの上に座っているか寝ているか。やっぱり、それだけ動いてなかったら、家に帰って,いきなり16時間起きて何かをしているっていうのは無理である。
アメリカのように股関節の手術後3日で病院を出されてしまうのがいいとは言わないが、せめて退院後日常生活にすぐ戻れるようなリハビリをしたほうが、手術した人とその家族にとってためになる。リハビリを伴った長期の入院が要される場合、手術直後の病院でのケアが終了したあと、医療スタッフがいて、また、日常生活に近い状態で過ごせる施設があったらいいのではないかなと思う。(例えば、ジム、リビングルーム、図書室など、病室以外に時間を過ごせる場所がある。)
リハビリの時間と内容。病院の予算のこともあり、どうもリハビリにはお金がかかっていないみたい。だから、一人一人に費やすことができる時間と質が足りないのかも。かあちゃんの話を聞いていると、どうも膝の可動域を増すのに4ヶ月かけていたよう。リハビリは、上の図(Table 2)と下の説明にあるように、10の要素から構成されていて、リハビリを成功(= 最小の時間、かつ、安全な日常生活への復帰)させるには、各項目を順序だててアプローチしていくこと。
もうひとつ...リハビリは、ケガの直後から開始。これは、アスリートでも、一般人でも一緒。ケガをした後24-72時間は、ケガをした部分の痛みと腫れを押さえるための処置 (RICE Rest: 患部の休養, Ice: 患部を冷やす,Compression: 患部の圧迫,Elevation: 患部を心臓より高くあげる)。この“始めの一歩”の後、ピラミッドのレベル1の開始。また、慢性の傷害で手術が要される場合も、手術の予定が決まった時点で、レベル1を始める。“リハブ”と同様に“プレハブ (Pre-hab)” (手術前のConditioning) は、手術後の回復/生活復帰までの時間を早めるという意味で、非常に大切。で、手術後は、ケガをした時と一緒。術部の回復を見ながら、できるだけ早くレベル1を始めるのがキー。
リハビリは、患部だけではなく、体全体を考えないと。下記の10の要素が整って、日常生活に完全復帰ができるわけ。ひとつでも欠けていると、不安と不便が出て来るはず。人間の体は、車と一緒。車庫に入れたままの車の動きが悪いのと一緒で、体は動かさないと動かなくなるのだ...
Table 1 アスリートのFitness Pyramid
Level 1:
- Cardiovascular Endurance: 心肺持久力の向上
- Muscle Endurance: 筋肉持久力(最大値・kg/20回)の向上
- Muscle Flexibility: 筋肉柔軟性の向上
- Muscle Strength: 筋力(最大値・kg/1回)の増加
Level 2: Level 1を維持・向上しつつ、
- Power: パワー(瞬発力)の向上
- Speed: スピードの向上
- Balance: バランス(動きの中での安定性)の向上
Level 3: Level 1 & 2を維持・向上しつつ、
- Reaction Time: 反応・反射の向上
- Agility: 機敏性の向上
-
Level 4: Level 1, 2, & 3を維持・向上しつつ、
- Psych: 精神・心理レベルでの準備 (やる気、自信、心身統一!)
Table 2 一般人のRehabilitation Pyramid
Level 1:
- Cardiovascular Fitness: ケガ・手術以前の心肺持久力の維持・向上
- Muscle Strength/Flexibility/Endurance: 患部・傷害部・術部以外の、筋力、柔軟性、筋持久力を維持・向上
- Core Strength: ケガ・手術以前の“コア”(脊髄を支えている筋肉)の機能と筋力の維持・向上
- Joint ROM: 患部・傷害部・術部の関節可動域を普通のレンジまで戻す(=はれ、痛みのコントロール、患部・傷害部・術部の周り の 腱・筋肉の柔軟性の増加)
-
Level 2: Level 1 を維持・向上しつつ、
- Muscle Strength/Flexibility/Endurance: 患部・傷害部・術部の筋力、柔軟性、筋持久力を維持・向上
- Postural Correction: 姿勢の見直しと矯正
- Joint Stability: 患部・傷害部・術部の関節の安定性向上
Level 3: Level 1 & 2を維持・向上しつつ、
- Muscle Coordination: 筋肉の"Activation"タイミングと周囲の筋肉との協和の向上
- Motor Skill: 細かい動作・機能の向上
Level 4: Level 1, 2, & 3を維持・向上しつつ、
- Psych: 自信、心身統一!
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