★Massy’s Opinion
・先日の中国の唐突的な「ガソリン・エンジン車2050年までに製造禁止」と言う発表に驚いた。豆鉄砲を食らったような菅総理の同じ様な2050年、更に遅れては成らじ、存在価値を損なってしまうとばかりに、追いかけるような、小池都知事の「2035年迄...」全く驚いてしまう。さすがに今度の問題は、トヨタのトヨタ社長が、自動車工業会会長として、タイムリーな苦言を呈しているが、本当に喜ばしいことである。元自動車レサー・ジャ-ナリストの国沢宏光氏もブルームバークの上で、矢張り、疑問を投げかけている。この疑問と意見に総理や都知事はどう答えるのだろう。
兎に角、僕はこの70年間、自動車販売の世界に身置き、やって来た仕事の中で、一つの考えに行きついた。ブルーバードと共にカリフォルニア規制への対応から始まり、触媒マフラー、LPG迄辿り着き、トヨタのハイブリッド、日産のEV、へと進んできた排ガス問題だが、もっと歴史を学んだ上に将来の目標を立て、国の産業を指導して行くのが、行政の仕事だろう。コロナcovid-19で皆、頭が狂ってしまったのではないか?
実際問題として「2050年にカーボンニュートラル」という目標を、どういった方策で実現するかまったくわからない。
少なくとも現在の排出量を提示し、大雑把でいいからそれぞれの分野でどのくらいの目標設定をするか、エネルギー事情をどうするのかくらいの目安がなければ、自動車業界の対応策すらイメージ出来ないということなんだろう。
どうやら「2050年カーボンニュートラル」や、東京都知事の「電動化車両以外販売停止の件」、政治家サイドで突如に決めたことらしい。
云うのは簡単ながら、エネルギー政策まで考えてくれなければ対応するのも難しいと思う。そもそも、脱ガソリン車で困るのは国民です。地方で移動手段の主力となっている軽自動車は、どう対応したらいいかユーザーは解らず、昨日隣の奥さんからも「家の車、15年乗って居て、40000キロだけれど親の介護もあるし、如何したらいいですか?」と聞かれた。
電動化車両のなかにハイブリッド(HV)や、プラグインハイブリッド(PHV/PHEV)も含まれているのに、報道を見ると電気自動車(EV)しか販売出来ないようなミスリードをしていると思う。
これはもう、報道するメディア側に大きな問題がある。大手メディアの記者は勉強不足のため、電動化車両にハイブリッドやプラグインハイブリッドも含まれることを認識していない。
結果、少なからずそうした報道を見た人が、東京都は2030年からすべて電気自動車になると理解してしまう。
・そのほか、豊田会長はメディアの誤認識や意地の悪い報道に対し苦言を呈した。これだけ率直に自分の意見をいうトップは珍しい。聞いていて「その通りですね!」の連続だ。
「これだけいうと叩かれると思います」と会長自らオチまで付けた。今後も自動車産業代表として大暴れして欲しい。
*電動化=EV化にあらず、メディアに異例の注文-自工会の豊田会長
ブルームバーグ12/17(木) 18:09配信 (記事抜粋)
(ブルームバーグ): 日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は17日、菅義偉政権が掲げた新たな温室効果ガスの排出目標について言及し、
・自動車の電動化とバッテリーの電力のみでモーター駆動する電気自動車(EV)を明確に区別するよう、メディアに異例の注文を付けた。
豊田会長はオンライン上で記者団の取材に応じ、自動車業界では一貫して「電動化」という用語を用いてきたが、メディア報道では「EV化」になると指摘。用語の区別へ理解を求めた。
販売される車をすべて純粋なEVに置き換えると夏のピーク時の電力需要が急増し、原子力発電所約10基分が新たに必要になるとの計算を示して、国のエネルギー政策で対応しなければ自動車メーカーの「ビジネスモデルが崩壊してしまう恐れがある」と述べた。
國内自動車業界が用いる「電動車」という言葉には、EVや燃料電池車といったゼロエミッション車だけでなく、エンジンも搭載するハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車なども含まれている。
電力の89%を原子力発電や再生可能エネルギーで賄っているフランスなどと比べて日本は火力発電への依存度が大きく、政府の環境目標を達成するには、国のエネルギー政策の大幅な転換が必要との見方も示した。
具体例としてトヨタの小型車「ヤリス」を挙げ、電力事情を考えると日本国内よりフランスで生産した方が環境によいということになると述べた。
・菅総理は12月6日の所信表明で「経済と環境の好循環」を成長戦略の柱に掲げ、温暖化対策で50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするなど脱炭素社会の実現を目指すと述べた。これを受けて経済産業省が30年代半ばに国内の新車販売をすべて電動車とする目標を設定に向けた議論を始めた、と日本経済新聞が10日に報じていた。
然し、温室効果ガスの削減にはEVとHVやガソリン車をうまく組み合わせることを考える必要があるとし、50年までのカーボンニュートラル実現に向けての取り組みは進めるものの、それは「非常に難しい」との見方を示した。
・いずれにしても、この問題はカリフォルニア規制にもとづくもので、自動運転自動車の問題も「人が運転するのか?」「運転手不在なのか?」イメージの固定化には随分時間が掛かったが、この問題も時間が掛かるだろう。先ずは、論議する役人も代議士も勿論大臣も自動車の事を勉強して欲しい。昔、LPGタクシーが走り出した1962年頃、火災事故が起きた。当時、僕は、陸運局へ業務上、通って居たが、火災のあった日に陸運局の係長から今日、NHKが取材に来るけれど「LPGつて何のこと?教えて呉れよ...」と電話があった。燃えた車はブルーバードのLPG改造車だった。急いで会社の図書室へ行って「Liqufide Peteogas as。」と覚えて教えに行った事を想い出した。この20年いろんな大学の先生方とお話をする機会があったが、自動車の事は詳しく知らない。トヨタ社長頑張って欲しい。