東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

「ウンコに学べ!」

2009-11-16 21:21:42 | 
本は「ウンコに学べ!」(ちくま新書)。



先日あった、糞土師・伊沢正名さんのワークショップ以来、すっかりウンコづいています・・・。
で、この本、目からうろこの名著です。
有田正光さんという環境水理学の専門家と、石村多門さんという哲学の先生の共著ですが、非常に示唆に富んだ読み応えのある本。
「ウンコを通じて考えた現代社会の問題点」という、伊沢正名さんの主張にも通じる内容です。

まず、水洗トイレで流したあとのウンコがどのような運命を辿るのかが解説されます。
なんとなく、下水処理場で処理されるんだろうと曖昧に考えていましたが、驚くべきことに、なんと毎日560万人分の糞尿が、何の処理もされぬまま海洋投棄されているそうです。下水処理場に運ばれたものも、いろいろ問題があり、消毒剤と化合してトリハロメタンなどの有毒物質を発生させたり、高栄養の下水処理水を川に流すことによる富栄養化が問題になっていたりするそうです。

では、どうしたらよいのか?
解決の糸口は「水田」にあるとこの本は主張します。
戦前まで、日本を含むアジアではウンコを肥料として使う事が当たり前にされていたそうです。水田は畑と違い、連作が可能で、アジアでは1000年を超えて使われ続けている水田もあるとか。まさに「持続可能な開発」の理想形な訳です。
そこに、人間が奪った命の残りであるウンコを撒くことによって、命の循環が生まれるのです。

まさに井沢さんが、21世紀に入ってから一度もトイレを使わずに実践してきた事の理論的な裏づけが、この本には書いてありました。

他にも、「ウンコに学ぶ環境論理」や「日本人とウンコ」など示唆に富む記述がたくさん。
先日紹介した井沢正名さんの「くうねるのぐそ」と合わせて読むと、さらに理解が深まるはず。オススメです!