「不許可写真」

本は「不許可写真」。
この前読んだ「中国文化大革命の大宣伝」の著者、草森紳一さんの本。



毎日新聞社の資料室に保管されていた戦時中の報道写真。当時は「許可」「一部修正すれば許可」「不許可」と大本営や陸軍省のチェックを受けた写真だけが紙面に使えたとのこと。その写真を見ながら、日本の政治宣伝の意図を読み解いている。

著者は「文化大革命の大宣伝」の他、ナチスの政治宣伝に関する著作もある。その目で見ると、日本の検閲はとてもマニュアル的。実際、「戦車の砲身が写っていればＮＧ」とか、官僚が基準に従って単にチェックしていたので、写真の迫力や宣伝効果はあまり考慮されていない。また、写真の検閲はするけれど、写真使用に関する強制力も無いので、「この写真をこういった意図で使って国民の意識を変える」といったプロパガンダの徹底はなされていなかったとのこと。この辺り、ナチスと違って日本的なのかもしれない。

でも、「不許可写真」は、従軍カメラマンが絶対に採用されないだろうと思いつつも撮ってしまった生々しい写真もあったりして興味深かった。
一枚の写真から、様々な事柄を読み解いていく読解力は著者の真骨頂。でも今回はちょっと相手がチープ過ぎたかも・・・。