本は「競争の作法 いかに働き、投資するか」齋藤誠・著(ちくま新書)。
一橋大学の先生が、徹底的に統計資料を読み込み、バブル後の日本経済を分析しています。
すると、「リーマンショック」の実態、「雇用調整」の実態などが僕らが漠然と考えていたイメージとかなり乖離していることが分かります。
例えば雇用調整。
統計資料によれば1997年から2002年にかけて失業者数は230万人から359万人に激増しています。
非正規雇用への大きな流れが加速したのもこの時期でした。
今に至るさまざまな不安や不安定化が顕在化してしまった重要な時期だったと思います。
しかし、そうした「痛み」とは裏腹に、実質雇用者報酬を見てみると、同じ時期、273兆円から270兆円へと1.1%の低下にとどまっています。
これはデフレによる労働コストの上昇によるところが大きいのですが、あれほど社会に大きな影響を及ぼした雇用調整も、生産コストの削減と言う観点から見れば、1%の削減に過ぎません。
つまり、この時期にクローズアップされた「貧困」は、少数の人の不幸であって、実際の大多数はそれを眺めていた、という事になります。
他にも「失われた10年」、「トヨタの拡大路線」、「地方の地価」など、目を開かれるような指摘が随所にある好著です。
惜しむらくは「タイトル」。
なんだか自己啓発本のような安い印象で、内容の誠実さとかみ合っていません。
でも、経済学者が社会に向けて発信した実のある本です。
すごくオススメです!
一橋大学の先生が、徹底的に統計資料を読み込み、バブル後の日本経済を分析しています。
すると、「リーマンショック」の実態、「雇用調整」の実態などが僕らが漠然と考えていたイメージとかなり乖離していることが分かります。
例えば雇用調整。
統計資料によれば1997年から2002年にかけて失業者数は230万人から359万人に激増しています。
非正規雇用への大きな流れが加速したのもこの時期でした。
今に至るさまざまな不安や不安定化が顕在化してしまった重要な時期だったと思います。
しかし、そうした「痛み」とは裏腹に、実質雇用者報酬を見てみると、同じ時期、273兆円から270兆円へと1.1%の低下にとどまっています。
これはデフレによる労働コストの上昇によるところが大きいのですが、あれほど社会に大きな影響を及ぼした雇用調整も、生産コストの削減と言う観点から見れば、1%の削減に過ぎません。
つまり、この時期にクローズアップされた「貧困」は、少数の人の不幸であって、実際の大多数はそれを眺めていた、という事になります。
他にも「失われた10年」、「トヨタの拡大路線」、「地方の地価」など、目を開かれるような指摘が随所にある好著です。
惜しむらくは「タイトル」。
なんだか自己啓発本のような安い印象で、内容の誠実さとかみ合っていません。
でも、経済学者が社会に向けて発信した実のある本です。
すごくオススメです!