東京ナイト

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白石加代子女優生活50周年記念公演「笑った分だけ、怖くなるvol.2」

2017-12-11 23:49:08 | ライブ、芝居、演芸など
白石加代子のことは前からその強烈な存在感が気になっていたんだけど、見たことはなかったので行ってきました、白石加代子女優生活50周年記念公演「笑った分だけ、怖くなるvol.2」。



同じ状況劇場出身の佐野史郎との二人芝居。
筒井康隆の「乗越駅の刑罰」、井上荒野の「ベーコン」の2つの短編小説を原作にそれぞれ1時間ほどの、なんだかちょっと怖い物語を達者なふたりが演じています。

特に筒井康隆の「乗越駅の刑罰」は面白かった。
切符を買わずに列車に乗ってしまったひとりの作家が、ひなびた駅で降りようとしたところ、「キセルの罪」で駅員からひどくいじめられる不条理な物語。
意地悪な駅員役を白い顔の白石加代子が実に楽しそうにやっていて、ねちねちキセルの罪を問うところとかいやーな気持ちにさせられます。
最初は「たかがキセル」と余裕こいていたのに白石加代子に翻弄され、だんだん逃げ道を失っていく佐野史郎もはまり役。
といっても二人だけの朗読劇なので、時に佐野史郎が駅員役に転じたりあえてバタバタな雰囲気を楽しませてくれるところが、単調にならず、さすが芸歴50周年といったところ。

舞台美術もシンプルだけど美しく、佐野史郎が選曲したという音楽も素敵だったし、何というか派手さはないけど大人のお芝居で贅沢でした。
で、見に行ったのは亀戸の劇場だったので、芝居が跳ねた後は近くの銭湯「隆乃湯」に行って、路地感が心地よい「ホルモン青木」で遅い夕食。
お店は客層も含めてなかなか興味深く、こちらも楽しかった。

という訳で、やっぱり白石加代子はただ者じゃないと感じた一夜でした。

映画「エンドレス・ポエトリー」

2017-12-09 09:37:25 | 映画
アレハンドロ・ホドロフスキー監督の映画「エンドレス・ポエトリー」を観ました。



監督は御年88歳。「エル・トポ」で知られている方のようですが、僕は未見だったので、この映画で初めて彼の世界に触れました。

で、強烈なエネルギーと個性に圧倒されました。
上の写真もそうですが、全編、色と音楽に満ちています。
でも、監督がペルーの人ということもあるのか、色の使い方が独特で、ちょっとシケた感じが面白かった。

映画は、監督の自伝的物語。
ペルーでの少年から青年に至る成長期が、夢とも現実ともつかない独特のタッチで描かれます。
通貫しているのは「自分らしく生きる」こと、そして「芸術への信頼」。
青春の祝祭に満ちた瞬間を、本当に美しく情熱的に描くのですが、映画を観ながら「この真っすぐなエネルギーって今の映画にはないよなー」って感じていました。
何というか、ここまで何の照れも衒いもなく青春の輝きを語ることって、最近は難しいと思うのです。

でも、映画や詩や音楽に人生を捧げ、その素晴らしさとともに生きてきた88歳の監督だからこその説得力がありました。

映画の最初で現在の町が監督の少年時代のころに変わる場面転換、CGなんかは使わず、演劇の舞台みたいに街をアナログ的に変えたり、歌舞伎の黒子みたいな人が画面の片隅で小道具を片づけたり、最新技術なんか使わなくてもやれることはいっぱいあるって思ったし、それが逆に新鮮でした。
あと、帰り道、寺山修司とかがまだ生きていたらどんな映画を作ったのかなって思いました。
「前衛」ってやっぱりすごいね。

アレハンドロ・ホドロフスキー監督作!映画『エンドレス・ポエトリー』予告編



映画「氷の花火 山口小夜子」

2017-12-04 23:10:16 | 映画
昨日は、山口小夜子 没後10年追悼上映会「宵待月に逢いましょう」。
映画「氷の花火 山口小夜子」の上映や彼女のメイクを担当していた方と監督のトークなど。



山口小夜子さんは、日本人初のパリコレモデル。
高田賢三が「小夜子さんはパリに舞い降りてきたかぐや姫のようだった」と語り、山本寛斎は「彼女は20年間、僕のミューズだった」とする圧倒的な美貌。
パリコレでも15ものブランドから声がかかる売れっ子モデルでした。

そんな彼女の後半生、何度か一緒に仕事をしたTVディレクターが、彼女のゆかりの人や第二の故郷パリやモロッコなどを巡り、インタビューを通じて、稀有な存在だった「山口小夜子」を描いていきます。

ずっとトップモデルを務めてきたけど、移り変わりの激しいファッションの世界、彼女の時も過ぎていきます。
でも持ち前の向上心で前衛的な舞踏などいろんなことにチャレンジしていきます。
なんだかずっと少女のような繊細さと新鮮な感受性を失わなかったし、そのために努力していたんだってことがわかりました。

そして40代でのパリコレ復活。
なんだか、そのストイックさに心が締め付けられるようでした。

「美しいことは苦しいこと」。
監督に語った山口小夜子さんの言葉です。

「服は捨てられない」って言っていた彼女が残した膨大な服。
流行が移り変わるファッションの世界でも、彼女の美しさと同じように、何か筋の通った美意識がうかがわれ古さを感じさせませんでした。

映画の最後は、彼女に憧れてファッションの世界に入ったデザイナーやカメラマンによる「山口小夜子へのオマージュ撮影」。
真剣に一生懸命、彼女の美に近づこうとするその姿に何だか涙が出そうでした。

上映後のロビーは、山口小夜子風のメイクやファッションの女性がたくさん。
移り変わりの激しいファッションの世界に何かを残したんだなって思いました。

夜は、西川口のウイグル料理屋さん「火焔山」で忘年会。
https://tabelog.com/saitama/A1102/A110201/11037565/
西川口はディープ中華の町として独自の発展をしているそうで、興味があって初めて訪問。
お店は満席の大盛況でしたが僕たち以外のお客さんはみんな中国の方ばかり。
でも、お店のスタッフはフレンドリーで居心地はよかったです。
で、味は絶品!

いやー、ほんと都心の中華屋とか行く気が失せるほどのクオリティ。
街をぶらぶらしていたら他にもディープ中華屋さんがたくさんあったので、新年会も西川口になりそうです。
それにしても映画を観た表参道と西川口の町の雰囲気が違いすぎて笑ってしまうほど。
どっちも好きだけど。

『氷の花火 山口小夜子』予告編