東京ナイト

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「久世光彦展」@世田谷文学館

2009-11-01 22:52:05 | 展覧会
今日は世田谷文学館で開催されている「久世光彦展」に。



向田邦子との日々を描いた名作「触れもせで」を読んで以来、小説やエッセイなど久世光彦の本はずいぶん読んできた。とにかく文章が上手いので、読んでいて気持ちが良い。向田邦子もそうだけれど、少し古風な言葉使いにこだわっていて、その言葉が似つかわしい状況を丁寧に描く。でも単なるアナクロ趣味じゃなく、なんだか背筋がぴんと伸びるようなきちんとした世界が好きだったんだと思う。

で、今回の展覧会。あんまり期待もしていなかったが、実はかなり面白かった。
小説の創作メモなどがただ並んでいるだけだと思っていったが、そのメモ(達筆)もかなり面白かったし、何より彼の作ってきた映像作品をたくさん見ることが出来たのが嬉しかった。

銭湯が舞台の「時間ですよ」(堺正章がイキイキしている)、「ムー一族」(ものすごいシュールなホームドラマ!)とかをずっと見てしまった。
こんなぶっ飛んだドラマを作っていた人が、その一方で、小説『一九三四年冬――乱歩』とかであんなデカダンな世界を描くんだから、ホント当時のテレビ界は才能にあふれていたんだね。


浜の湯@辻堂

2009-11-01 08:27:31 | 銭湯
銭湯は辻堂の浜の湯。



辻堂駅の北口は再開発で更地が広がっているんだけれど、その際にぽつんと建っているのが浜の湯。隣がこんな大きな更地だと、銭湯もちょっとさびしげ。

番台式。女将さんがぼんやりテレビを見ています。
脱衣所の壁は、ロッカーが半分、脱衣籠の置いてある棚がもう半分という構造。

で、浴室。
新世美術の手による富士山のペンキ絵。壁板に直接描いてある。この絵はどの位の時間で描きあがるんだろう。東京の絵師さんの作品と比べるとちょっとディテールが、、、という感じ。まあそれも個性で良いと思いますが。

で、この銭湯の最大の見所はタイル絵。
「九谷鈴栄堂 胡山画」との署名入りのタイル絵はふたつ。
浴槽奥には大沼公園を走る機関車の姿を描いたタイル絵。奥の駒ケ岳も描かれていて北海道らしい雄大な風景。
もう一枚は、男女境の壁一面に貼られた大作。「弥次喜多道中記」の川越えの一場面を描いたユーモラスな作品。川人足に担がれ、川を越える弥次さんたちの脇で、川を渡ろうとしている女性が裾を押さえている色っぽいシーンや、一仕事終えた川人足がお尻を出して焚き火にあたっているシーン(なぜか獅子舞も焚き火にあたろうとして人足がビックリしている)などが描かれていて見飽きない。
このタイル絵を見るだけでも訪問の価値ありです。

残念ながらお客の入りはいまひとつ。番台の女将さんも手持ち無沙汰な感じでした。
という訳で、ユーモラスなタイル絵を見物にぜひ辻堂へ!