東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

須川ハリストス正教会

2013-12-07 22:57:02 | 旅行
という訳で、昨日今日と群馬に温泉旅行に行ってきました。

今年6月にも訪れた湯宿温泉。
つげ義春の「ゲンセンカン主人」の舞台となった温泉街ということで行ったのですが、泊まった宿が心地よかったので再訪となりました。

で、前回の旅で気になっていたのが、湯宿温泉から歩いて20分ほどの距離にある須川という小さな集落にひっそりと佇む小さな教会。
須川ハリストス教会という東方正教の教会です。



日本ではカソリックやプロテスタントが一般的には知られていると思いますが、ロシア正教の流れをくむ東方正教も江戸末期に入ってきていて、御茶ノ水のニコライ堂が日本での拠点となっています。
でも、まさかこんな小さな集落に東方正教の教会があるとは驚きです。

由緒書きを読むと、この須川に東方正教が伝えられたのは明治18年。
その後信徒が増え、一時は50戸ほどになったそうですが、現在はわずか4戸がこの地で今も信仰を守っています。

教会は、何度か建て替えられていて、いまの建物は1987年のもの。
ただ、中には日本最初のイコン画家、山下りんのイコンが故あって10枚残っているとのこと。

ふだん教会の内部は公開されておらず、前回は建物を外から見ただけでした。
それでも、小さく可愛らしい建物は印象的で、「なぜこの地に東方正教が?」という驚きとともに記憶に残っていました。



そして今回、たまたまなのですが、運良く月に一度の礼拝の時期と重なっていたため、司祭様と信徒の方にお願いして礼拝の様子を見学させてもらうことができました。
結局、金曜日の夜の礼拝だけでなく土曜日の朝の礼拝にも図々しくも参列させてもらいました。
信徒の方々も快く迎えて下さり、とても嬉しかったです。

今年は、長崎の五島列島、そしてミャンマーと何故か旅先でキリスト教の礼拝に参列する機会が多く、今回で4回目でしたが、初めて参列した東方正教は、その独特の様式で他の礼拝とは全く違った印象となりました。
何より、少ない信徒さんたちが、それでも熱心に自分たちの信仰を守り、そして司祭様もわざわざ前橋の教会から月に一度通って彼らの礼拝を成立させていると言う事に、しょうじきかなり感動しました。
無宗教の自分にはない「強さ」を感じたんだと思います。

山下りんのイコンも、とても真っ直ぐで素晴らしいもの。
ぜひ他の作品も見たいと思わせました。
あと、彼女のイコンに「サンタクロース」が描かれていたのですが、本当はサンタクロースは4世紀に生きた正教会の司祭だったとのこと。
聖人として描かれたサンタクロースは、お馴染みの赤い衣装は着ておらずいかめしい顔をしたおじいさんでした。(18世紀になって今の衣装で描かれるようになったとのことです)

という訳で、旅先でたまたま参列させてもらった礼拝でしたが、とても印象深いものとなりました。
今度はニコライ堂の礼拝にも参列させてもらおうと思いました。

長崎・五島列島 中通島、小値賀島旅行(後編)

2013-07-25 23:44:41 | 旅行
長崎・五島列島旅行3日目。

この日は、中通島にある青砂ヶ浦天主堂の朝のミサに参加しました。
前日泊まった宿の方がこの教会の信徒さんで、朝のミサに誘ってくれたのです。
この教会も、国の重要無形文化財に指定されている素敵な教会。
ほぼ毎日、朝6時からミサが行われているとのこと。

ミサは小さな女の子も参加していて、この子が聖書を読み上げたりして大活躍。
あと、信徒の皆さんで「東日本大震災の被災者に祝福あれ」と心のこもったお祈りもしていました。
長崎の小さな島で、たぶん毎朝行われているであろうこのお祈りには、かなり感動しました。

朝食のあとは、島の特産品を大量に買ったりして、最後にもうひとつの教会を見に行くことに。


大曽教会(1916年)
この教会も素晴らしかったです。
これまで見た中では一番小さい教会でしたが、ここも信徒のみなさんが本当に大切に守っているということが伝わってくる佇まい。
お花できれいに飾られ、教会の中はお花の香りで満ちています。
本当に心穏やかになる空間でした。

で、いよいよお昼に小値賀島に行くフェリーに乗船。
1時間の船旅で島に到着です。

島に着いてまず向かったのは、晋弘舎活版印刷所。
今も活版印刷で名刺などを作っていて、全国から注文が舞い込んでいるとの事。
まだ若い女性がお父さんと一緒に働いていて、いろいろ話を聞きながら名刺を注文しました。
活版印刷ならではの味わい深い名刺が出来そうで楽しみです。





で、いよいよ小値賀島最大の目的である古民家ステイへ。

予約していた小値賀島グリーンツーリズムの方に車で送ってもらいました。
「親家」という築100年以上の古民家。
昔は武士階級の方が暮らしていたという立派な建物。
ここを一棟丸ごと貸切という贅沢な宿です。


長いエントランスに期待が高まります。


室内はモダンでシンプル。


まさに陰翳礼讃の世界。


立派な庭も。


お風呂などは、とても近代的。

期待にたがわぬ素晴らしい宿。
贅沢な気分でゆったり過ごしました。

で、夕食はこちらも同じ系列の古民家を使ったレストランに。
昔、捕鯨で潤った島の網元の家だった「藤松」。


庭からそのまま海につながる道が。


夕食は地元の魚をふんだんに。
この日は、小値賀町のブランド魚であるイサキ『値賀咲(ちかさき)』のお刺身など。
甘くて美味しかった~!


翌朝は、予報と違って快晴!
港に行ったり、ゆっくり宿の周りを散歩。
いい気分です。

で、早朝の散歩から戻ると、朝ごはんが「藤松」から届けられていました。



朝から美味しい食事で幸せ。
本当に隙がない素晴らしいもてなしでした。

僕たちの泊まった「親家」は、誰にも邪魔されず、余計なサービスもなく、本当にシンプルな宿。
高級な宿は全国いくらでもありますが、この「親家」は、この島の歴史を感じることが出来る建物。
まさに「ここにしかない」贅沢で貴重な宿だと思います。

温泉がなくても、観光名所がなくても、僕たちのような観光客を心から寛がせて感激させてくれる宿。
「お客さんが来ない」と悩んでいる地方自治体のヒントがたくさん詰まっているし、日本っていいなーって心から思いました。
いやー、素晴らしい宿泊体験でした。


で、今日は最終日なので、島の博物館に行ったり、細い路地を散策したり、美味しいお鮨を食べたりと、小値賀島を満喫。

こういう路地って大好きです。


活アワビのお刺身。コリコリしていました。


佐世保行きのフェリー。


小値賀島からすぐの無人の島、野崎島。
この島には、野首教会という素敵な教会があるとの事。
今回は時間がなくて行けなかったのが心残り。


佐世保駅からすぐの三浦町教会。


ステンドグラスから差し込む光がきれい。

という訳で、五島列島を巡る旅は、教会を巡る旅でもありました。
それぞれ篤い信仰心が伝わってきて、こちらも心が澄んだ気がします。

これまでもいろいろ旅を重ねてきましたが、島旅の面白さを知った貴重な旅行となりました。

長崎・五島列島 中通島、小値賀島旅行(前編)

2013-07-21 14:38:50 | 旅行
7月上旬、三泊四日で長崎に旅行に行ってきました。
この旅行は、久しぶりに親孝行しようということで、家族旅行。
親と泊りでの旅行なんて何年振りでしょうか。

という訳で、ちょっと長くなりますが、長崎県五島列島旅行の日記です。

今回、五島列島を旅の目的地にしたのは、アレックス・カーの「犬と鬼」を読んで、彼が現在手がけている離島の宿泊施設に泊まりたくなったから。
小値賀島という五島列島北部の島で古民家を改装した宿泊施設を運営しているのです。
その古民家が素敵過ぎで、ここに2泊してゆっくり過ごす計画でした。

が、離島ってやっぱり大変なんだな、というハプニング連続の旅となりました。

まず初日。
朝のフライトで長崎に行く予定だったのですが、ソラシドエアの機材トラブルとかでいきなり欠航。
お昼の便に変更です。
待っている間、羽田空港内のカフェで飛び立つ飛行機を見ながらのんびりおしゃべり。

でようやく長崎空港。
ここから佐世保に移動。
街を少し散策して、美味しいイタリアンを食べて、今夜の宿、弓張の丘ホテルに。
港を見下ろせるロケーションの良いホテルでした。

2日目、起きてみると雨は降っていないもののすごい風。
今日は船で小値賀島に移動の予定なので不安になります。
悪い予感は的中し、強風のため朝の船は欠航・・・。

あーあ、という訳で、お昼の便に期待して、それまで佐世保市内の水族館「海きらら」に。


地元、九十九島の海を再現。


クラゲもいて楽しい!

と、水族館を楽しんで港に戻ると、なんと昼の船便も欠航とのこと。
悩んだ末、急遽予定を大変更。
小値賀島を諦め、大型船のため船が出るという小値賀島の南に位置する中通島に行くことにしました。

意外にそんなに波も高くなく、2時間程度の快適な船旅で島に到着。
とは言え、中通島の情報は皆無。
で、慌てて調べてみると、古い教会がたくさんある島のようでした。
なので、タクシーでいろいろ回ることに。


頭ヶ島天主堂(1917年。重文)
今は橋が架かっていますが、昔は離島だった頭ヶ島にある教会。
石造りの立派な教会です。
「え、こんな小さな集落に?」ってびっくりするくらいの規模なのですが、信仰の拠り所として、信徒みんなで力を合わせて作ったとのこと。
今も熱心な信徒の方たちによって、きれいに整えられ、お花が飾られ、本当に素晴らしい空間でした。

そんな美しい教会をじっくり見学させてもらったあと、ようやく見つけた宿に。
途中天気も回復してきて、太陽も顔を見せてくれました。


(後編に続く)

水上・湯宿温泉旅行

2013-06-16 23:52:45 | 旅行
という訳で、この週末は水上の湯宿温泉というところに行ってきました。

湯宿温泉は、つげ義春の「ゲンセンカン主人」の舞台となった温泉街。
作品では異様に鄙びた何も無い侘しい温泉街として描かれており、実際はどんなところなのか確かめに行ってきました。



で、湯宿温泉、素晴らしくよい温泉でした。
三国街道沿いに唐突に現れる小さな温泉街。
宿は5、6軒しかありません。
が、共同湯は4軒もあり、掛け流しの湯量豊富な温泉。

この共同湯が、日常に溶け込んでいて実に良い感じ。
結局4軒とも巡ったのですが、それぞれの湯で「ここのお湯が4軒の中で一番良いよ」って地元の方がそれぞれ自慢するのがおかしかったです。
でも、そうやって自分たちのお湯を遠来のお客に自慢するって良いですよね。
泉質はかなり熱めの単純泉ですが、やわらかいお湯でいつまでも入っていられます。



で、つげ義春が泊まった宿とは違うのですが、料理がおいしそうだった金田屋をチョイス。
これが本当に大正解。
地産地消にこだわった野菜メインのお料理はどれもおいしく大満足。
お味噌が自家製だったり、夕食と朝食で合わせて50種類以上の野菜を使っていたりと、ちょっと感動するほどのレベル。



ご主人も、ホスピタリティーあふれるユニークな人柄で、いろいろ地元のことなどを教えてくれたり、自然保護の話などで盛り上がったりしました。
こういうご主人なら、出てくる料理も間違いないよな、と思わせる人柄でした。

東京からも近いし、あんまり混んでいないし、実によい穴場温泉を見つけた、と嬉しくなってしまいます。

翌日は、湯宿温泉からも歩いていける、須川宿に。
ここは、たくみの里という和紙や陶芸などの作家さんが集まった集落。
資料館で話を聞いたり、おいしいご飯を食べたり、ちゃんとしたコーヒーを飲んだりと、満喫しました。
唯一残念だったのは須川ハリスト正教会が見学できなかったこと。
小さなかわいらしい教会なのですが、なんと、山下りんのイコンが飾られているとのこと。
見たかった・・・。

とは言え、温泉においしい料理、いろんな人との出会いと、なかなか充実したお休みでした。


GW秋田旅行③ 秋田県立博物館、赤レンガ郷土館、星の湯ほか

2013-05-03 23:20:53 | 旅行
ゴールデンウィーク前半の旅行日記の続きの小ネタを。

まず、象潟で泊まった山形屋旅館の朝食が美味しかった。
女将さんもすごくいい人。
駅前の「民芸 くにまつ」の喫茶コーナーのランチもすばらしい。
広東風焼きそばと稲庭うどん、どちらも絶品でした。

で、その象潟での池田修三展、鳥海山登山のあとは、「白瀬南極記念館」を見学。
にかほ市は、白瀬中尉の出身地。
明治の人らしい、「気合」重視の探検家でした。

で、そのまま秋田市に移動。
秋田の中心地からやたらに離れた場所の「秋田県立博物館」に。
ここでは、併設の「菅江真澄資料センター」を目当てに。
まずまず。
せっかく面白い人なのに、見せ方にエンターテイメント性がなくて残念。
でも、博物館の前の公園の桜が満開できれいだった。

次は市内に移動して、「赤レンガ郷土館」。
古い銀行の建物を利用した施設。
秋田出身の版画家、勝平得之の作品が集められた記念室があったので、それ目当て。
版画も味があったけど、かわいらしい木彫りの人形がよかった。
ひとつほしい。
他にもちょうど版画展をやっていたのでラッキー。
古い版画はすばらしい。
北村今三、吉田博、徳力富吉郎などが気になった。
今回の旅では、版画の魅力を再発見。

あんまり時間もないので、あわただしく夕食。
たまたま前を通って気になったおしゃれな洋食屋さん「かなや」に。
民芸調のロゴの入った白い暖簾が美しいしお店の雰囲気もよい感じ。
オムライスが美味しかった。

で、最後は、秋田市に残る最後の1軒となってしまった銭湯「星の湯」に。
熱かったけど、味わい深い建物でよかった。
やっぱり旅先でこういう銭湯に出会うと、「旅に出た」っていう気がしてとてもいい気持ち。
ちょうど改装中だったので、営業も続けてくれそうで嬉しい。

という訳で、あわただしく秋田市内をぐるぐる。
ちょうど、秋田駅で無料のレンタサイクルが借りられたので効率的に回れました。
こういうのは便利。

もう少し感動的な食事ができたら最高だったけど、まあ、秋田を満喫できて楽しかったです。

GW秋田旅行① 池田修三展@にかほ市象潟公会堂

2013-05-02 06:59:48 | 旅行
という訳で、ゴールデンウィークの前半は、秋田に旅行に行ってきました。

今回のお目当ては、池田修三という版画家の個展を見るため。
数年前に亡くなった方で、全国的にすごく有名、ということではないと思うのですが、ちょっと前に「のんびり」という秋田県が発行する雑誌に掲載されていた彼の絵を見た瞬間、もっていかれました。
今回、その「のんびり」編集部と地元の人が協力して、池田修三さんの生まれ故郷である、にかほ市で個展開催!
こんな機会、なかなか無いので、とりあえず行かなくちゃ!となった訳です。

で、本当に素晴らしく素敵な展覧会でした。
まず会場が良すぎです。
象潟(きさかた)という日本海に面した小さな町の小さくて可愛らしい公会堂。
ハコモノっぽいつまんない公共施設じゃなくて、こういう建物が残っていて、そこで手作り感のある展覧会を開催する素敵さ。
なんだかこの会場の前に立っただけで、良い展覧会だろうと思いました。



で、受付を済ませて会場に入るとい一面に置かれた花の数々。
池田修三さんが地元の人に愛されていたことが良く分かります。



そして何より、池田修三さんの版画の可愛らしさ。
色使い、単純化されたフォルム、楽しくて、でもちょっと悲しい小さい頃の思い出の様な世界が壁一面に飾られていました。















会場で「のんびり」にもインタビューが掲載されていた地元の方に、池田修三さんの話を聞いたりしました。
自分たちの小さな町に全国からたくさんの池田修三ファンが集まったことに感激していました。
遠くは長崎から来た人もいたそうです。

いずれ関西、東京でも個展が開かれると思います。
でも、象潟のこの会場で見ることができてよかったな~、と思った温かな個展でした。

なかなか楽しいショートトリップ/「世附の百万遍念仏(よづくのひゃくまんべんねんぶつ)」

2013-02-19 22:38:39 | 旅行
17日の日曜日は、神奈川県山北町にお祭り見物に行ってきました。

「世附の百万遍念仏(よづくのひゃくまんべんねんぶつ)」。
県の無形民俗文化財に指定されている念仏信仰で、年に一度、この時期に行われています。
百万遍念仏というのを一度見てみたいと思って行ったのですが、予想していたよりはるかに豪快な感じで、滑車につながれた長さ9mの大きな数珠をぶんぶん放り投げるようにして回す儀式。
地味におばあさんたちが念仏を唱えながら、数珠を回すのかと思っていたのでびっくりしました。



でも、18歳の時からこの儀式に参加しているというおじいさんに話を聞いたり(というか自らずっと解説してくれた)、獅子舞をはじめてみたり、ひょっとこが客席に乱入したりと、昔の山里で行われていたであろう、賑やかなお祭りの雰囲気を感じる事が出来て楽しかった。
本当はもっとセクシャルなネタとかで大笑いしていたんだろうけど、今はソフトになっていました。
おじいさん曰く、「昔は、あのひょっとこは、いい女がいたら最初に目を付けていて、必ずちょっかいをだしたもんだよ」だって。





お祭りの後は、温泉に入ったり、美味しいモツヤキ屋さんに行ったりと、丹沢とは言え、なんだか遠くに来たような旅行気分を満喫。
なかなか楽しいショートトリップでした。

2012韓国旅行:その2 木人博物館

2012-11-14 07:25:34 | 旅行
10月末の3泊4日の韓国旅行の続きです。

前回は、チベット美術のコレクションを展示している「和庭博物館」を紹介しましたが、今日はソウルの「木人博物館」。

木人(モギン)とは、死者を運ぶ輿、喪輿(サンヨ)の装飾品として使われた木彫りの人形のこと。

喪輿はこんな感じで、その上に並べられているのが木人です。


今春、京都に旅行に行った時、京都の素敵な韓国喫茶、李青でこの木人が飾ってあるのを見て衝撃を受け、その後、大阪の国立民族博物館でも見て、「ぜひとも韓国で見たい!」と強く思ったのが、今回の韓国旅行のきっかけ。

で、ソウルの繁華街、仁寺洞にあったのが、木人ばかりを集めたその名も「木人博物館」。
「和庭博物館」と同じく、こちらも個人博物館とのこと。
規模は大きくはないのですが、とにかく木人を集中的にコレクションしているので、圧巻でした。







木人は、庶民の工芸品。
どれも素朴で洗練はされていませんが、その分、作意が無く、それぞれ味があります。
まあ、とにかく可愛いので見ていて飽きません。
いやー、ホント面白かったです!

蔦の絡まる素敵な建物で、入館料は5000ウォン。
この金額でコーヒーもサービスしてもらえて、屋上でのんびりお茶ができるので、本当にオススメ!

2012韓国旅行:その1 和庭博物館(ファジョンパンムルグァン)

2012-11-11 01:25:39 | 旅行
10月末、韓国に3泊4日の旅行に行ってきました。
かなり盛りだくさんな充実した旅行だったので何度かに分けてアップしたいと思います。

今回の旅行の大きな目的は「ソウル博物館、美術館巡り」。
実は韓国には今まで行ったことがなかったのですが、いろいろな出会いがあって、ソウルの二つの美術館に行きたいと思うようになったのです。

そのひとつが、ソウルの平倉洞にある「和庭博物館」。

ここは世界最大の「タンカ・コレクション」を持つ美術館。
「タンカ」とは、チベット仏教の仏画のことですが、昔、僕がインドを旅した時、おそらくチベットからの亡命者が持ってきたと思われる古いタンカを1枚購入したことがあって、それ以来、タンカに興味を持っていたので、ソウルに行ったらぜひ訪れてみたいと思っていました。
と言うか、この美術館に行くために韓国に行くことにしたのです。

でも、日本で検索してもほとんど情報が無く、どんな美術館なのか、そもそも今もやっているのか不安を感じながらバスに乗って訪ねたのですが、着いてみたらすごく大きくモダンな建物でびっくり。



ここは韓国の化学会社のオーナーが設立したハンビッツ文化財団コレクションを展示する個人美術館なので、もう少しこじんまりしているかなと思っていたのですが、実に立派な美術館でした。

で、コレクションがすごい!
タンカだけでなく仏像や曼荼羅などチベット美術に関する様々なコレクションが展示されていて、そのどれもが品が良くて素晴らしいものばかり。





1階がタンカを中心とした常設展。
2階は、企画展「TIBETAN LEGACY」をやっていて、3階は韓国の現代美術作家のコレクションをまとめて展示しています。

常設展は作品保護のため、すごく暗くて、タンカの細かい所がよく見えなかったのが残念でしたが、それでもとにかく面白かった!

細部まで描きこまれたチベットの人たちの世界観に圧倒されました。
彼らにとってチベット仏教は世界を解き明かすための「科学」なんだということが良く分かりました。
もちろん美術的にも本当に素晴らしいコレクションでした。

企画展も、まあ常設展と同じような内容でしたが、携行用の曼荼羅セットや医療用の曼荼羅など珍しいものがあって、こちらも興味深かったです。

でも、この美術館、ずいぶん長い時間、滞在していましたが、その間、他のお客さんに会いませんでした。
平日の昼間とは言え、入場料3000ウォンと嘘みたいに安かったし、韓国の富豪は太っ腹ですね。
とにかく、チベット美術に興味のある方は、ソウルに行ったらぜひ訪れてみるとよいと思います。

あ、あと、タンカについて知りたい方は、もう絶版のようですが、山川出版社から2001年に刊行された「タンカの世界―チベット仏教美術入門」という本がオススメ。
この本の著者、田中公明さんは、ハンビッツ文化財団の学術顧問もされていて、この和庭博物館の運営にも関わっているようです。

土祭@益子

2012-09-24 22:07:00 | 旅行
という訳で、週末は益子で開催中の「土祭(ヒジサイ)」に行ってきました。



「土祭」は益子の町を挙げてのイベント。
インスタレーションとかライブとか展示とか、まあいろいろあるお祭り。
もともとどこか温泉に行くつもりだったのですが、せっかくなので期間限定のこのイベントに参加してみました。

益子の町に泊まってじっくり2日間、見て回ったのですが、記憶に残ったのは、、、。

・ビルマ汁
益子の誇るB級グルメが「ビルマ汁」。地元の方が戦争中にビルマに派遣され、そこで覚えたスープとのこと。ネーミングが強烈だけど、味はトマトの酸味が効いていてけっこう美味しかった!

・土祭セミナー:北村恵子 ナガオカケンメイ 中原慎一郎
D&DEPARTMENT PROJECTのナガオカケンメイさんの話が面白かった。
これまで、銀座松屋のデザインコミッティーの評議委員をしていたが、マスプロダクトの方向しか見ていないことに反発して評議委員を辞めたとのこと。
代わりに少量生産が可能(というかそれしか出来ない)な地方の工房の製品を見つける活動に注力しているとのこと。
地方に活気を取り戻すには、こういう小規模生産者の活性化が必須だと思うけど、それを東京や世界とつなぐ彼の様な役割が重要だと思いました。

・スターネット
益子を代表するセレクトショップ&カフェ。
洗練されたお店で、器や服、農産物からCDまで揃っています。
居心地が良いので2日間通ってしまいました。
特に2日目。何と京都の大好きなカフェ「李青」が期間限定で「益子茶屋」というお店を出店していたので行ってきました。
やっぱり繋がっているんですね。
まさか益子で李青の女主人さんに会えるとは思わなかったよ。



スターネットのオーナーは、この「土祭」の総合プロデューサー。
もともと東京から移住した人みたい。
こういう人がいるかいないかで、土地の活力はぜんぜん違ってくるんですね。
しょうじきデザイン的には、益子の器はぜんぜんピンと来なかったけど、こうしたお店の存在が、益子の状況を少しずつ変えていくはず。

という訳で、まずまず楽しめた「土祭」。
もう一度行くかどうかは微妙だけど、こうしたイベントはすごく重要と思いました。

あ、ただ、益子の宿は最悪でした。
益子館という大きなホテルでしたが、食事、サービス、設備、どれをとってもびっくりするくらいの状況。
いろいろ旅をしていますが、未だにこういうホテルってあるんだという事を知れて良かったです。
うーむ・・・。