東京ナイト

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映画「オン・ザ・ミルキー・ロード」 エミール・クストリッツァ

2017-10-31 00:03:45 | 映画
今日は映画「オン・ザ・ミルキー・ロード」。



「アンダーグラウンド」のエミール・クストリッツァの9年振りの新作。
クストリッツァは今年9月、彼自身のバンドを率いてのZepp東京ライブがあったので行ってきたばかり。
正直、Zeppが埋まるレベルの演奏じゃなかった気がしたけど、そんなの関係ないくらい自由に楽しそうにステージではしゃいでるオッサンたちが印象的でした。
でもクストリッツァだけは独特のセクシーさがあって、客席の女性陣はうっとりしてうるようでした。

この映画も、クストリッツァが主役を務めていてやっぱりセクシー。
ヒロイン役のモニカ・ベルッチもやたらセクシーなのでそんな不思議な主人公を中心にクストリッツァ得意の寓話的不可思議世界が語られていきます。

物語は内戦中のバルカンとおぼしき美しい村。
ときどき停戦が締結されると戦闘は止むのですが、なぜかすぐに破られまたドンパチが始まってしまう状況がずっと続いています。
クストリッツァは戦争前は音楽家だったのですがいろいろあって今は敵の銃弾をかいくぐりながら牛乳を牧場にもらいに行く係。
ラバに乗ってなぜか黒い傘を差しながらトコトコ向かう先はおかしな時計塔のある牧場。
そこにはユーゴ時代、新体操で活躍したちょっとエキセントリックな女性がいて、当然クストリッツァのことが好きで、で、そこに謎の女モニカ・ベルッチが現れて・・・、と相変わらずのクストリッツァ節。
結婚式のシーンとか「待ってました!」っていう感じ。
クストリッツァはやっぱり音楽の使い方もうまいし目まぐるしくカットが変わって祝祭感あふれるシーンはほんと真骨頂で楽しかった。

でも映画の後半の主人公二人の逃避行はちょっと長すぎかな。
風呂敷を広げたものの息が続かなくなったみたいで、「アンダーグラウンド」程の魔術性は感じられませんでした。
でもこういう映画こそ映画館でみるべき作品だなって思いました。

映画「パターソン」

2017-10-29 23:55:44 | 映画
3年振りにブログを更新します。
ずっと更新が止まっていましたが、元気にしていました。
書かなくなった理由は「ただなんとなく」という感じです。

で、更新することにした理由も「ただなんとなく」なのですが、ちょうど昨日、自分のブログを読み返したら、「こんなことしてたのか」って自分でも忘れていたような事が書いてあって、それって記憶力の悪い自分にとっては貴重なことなんだって気が付いたからかもしれません。

この3年間も「あー書いておけばよかった」って思う出来事がいっぱいあったのに残念だな~。
まあ、これからは気負わず適当に更新していこうと思います。

という訳で今日は映画「パターソン」。


ジム・ジャームッシュの新作。
ジャームッシュの映画は「ストレンジャー・ザン・パラダイス」から観ています。
僕にとって青春時代を代表する作品なので、やっぱり新作が出ると気になってしまいます。

映画はニュージャージー州のパターソンという街でバス運転手をしているパターソンという男が主人公。
美人の奥さんとブルドックと一緒に小さな家に住んでいる彼は、誰にも見せていない詩をずっとノートに書いています。
毎朝6時15分から30分の間に起きて、隣に寝ている奥さんを眺めて、ささやかな朝食を食べて、バスの停留所に歩いて通って、同じルートを運転する規則正しい生活。
それは一週間変わることなく続きます。
僕たちはその変わらない日常をずっとスクリーンを通じて見続けます。

とは言え、平凡な日常にもささやかな波乱が起きて(奥さんがギターを始めたり、いつも通うバーでちょっとした事件が起きたり)、まあいろいろあるよ、という映画。
ほんとシンプルにそんな映画でした。

でも退屈かというとそんなこともなくて、僕たちの生活と同じように「毎日は続いていくんだな~」って思ったし、それはそれで貴重なことなんだって。
まあ平凡な日々でもあんなに美人でユニークな奥さんがいれば退屈しないだろうし(っていうかあの美人の奥さんの心理がよくわからなかった)、彼には詩もあるしで、そういう心の拠り所があれば人生は輝くんだよ、という映画なんだと思いました。

最後、「ミステリー・トレイン」に出ていた永瀬正敏が重要なストレンジャーの役で出てきていい味出してました。

という訳で、小品ながら味のある映画でした。

映画の後は、東北沢の「石川湯」に入って、経堂の「魚粋」で美味しいお刺身をたべて、なんだか僕も日常のささやかな幸せを感じた一日でした。