今年最後の映画は「白いリボン」。
2009年、カンヌでパルムドールを獲ったドイツ映画。
全編全てモノクロームのこの映画は、悪意と嫉妬と暴力、それに逃れられない運命の悲しさに満ちた映画でした。
1913年のドイツの田舎の村。
平凡で平和に見えた生活は、ある日、村のドクターが落馬事故によって重症を負うことによって変わっていきます。
この事故は、通り道に針金が張られていたことによって起きたのです。
「いったい誰が何のために?」・・・。
この事故に続いて、村を支配する男爵の畑が荒らされたり、男爵の息子が乱暴されたりといった事件が続発して、村の平和が乱されていきます。
神への信仰によってまとまっていたかに見えたこの村は、実は差別と格差によってどろどろとに煮詰まっていることが、こうした事件によって明らかになっていきます。
外部から来た村の教師の視点で物語が進んでいくので、事件の謎が全て明かされることは無く、映画を観ている私たちも、よく分からないままです。
しかしこれが逆に物語に集中するきっかけになりました。
テレビドラマやハリウッド映画のように説明過多でお約束の物語に慣れている私たちにとって逆に新鮮な気持ちになりました。
それに加え、モノクロームの画面の緊張感がすごかった。
特別なカメラワークがあるわけではないのですが、非常に力強いカメラでした。
画面の端のほうで小さく物語が起きていたりもするのですが、ここでもモノクロームにすることによって情報量を少なくして、観客の意識を集中させる効果が出ていました。
あと、映画で重要な要素である「音楽」もほとんどありません。
エンドロールまで無音なことに驚きました。
映画の中では、村の外とつながっている「教師」と「男爵夫人」しか音楽を楽しんでいないのは象徴的でした。
という訳で、年末の浮かれた気分を吹き飛ばすような怖い映画。
昔のドイツの地味な話でなんとなく「古臭い映画」なのかなと最初は思っていましたが、実は情報を少なくすることで観客の想像力をかき立てる「新しい映画」と感じました。
2009年、カンヌでパルムドールを獲ったドイツ映画。
全編全てモノクロームのこの映画は、悪意と嫉妬と暴力、それに逃れられない運命の悲しさに満ちた映画でした。
1913年のドイツの田舎の村。
平凡で平和に見えた生活は、ある日、村のドクターが落馬事故によって重症を負うことによって変わっていきます。
この事故は、通り道に針金が張られていたことによって起きたのです。
「いったい誰が何のために?」・・・。
この事故に続いて、村を支配する男爵の畑が荒らされたり、男爵の息子が乱暴されたりといった事件が続発して、村の平和が乱されていきます。
神への信仰によってまとまっていたかに見えたこの村は、実は差別と格差によってどろどろとに煮詰まっていることが、こうした事件によって明らかになっていきます。
外部から来た村の教師の視点で物語が進んでいくので、事件の謎が全て明かされることは無く、映画を観ている私たちも、よく分からないままです。
しかしこれが逆に物語に集中するきっかけになりました。
テレビドラマやハリウッド映画のように説明過多でお約束の物語に慣れている私たちにとって逆に新鮮な気持ちになりました。
それに加え、モノクロームの画面の緊張感がすごかった。
特別なカメラワークがあるわけではないのですが、非常に力強いカメラでした。
画面の端のほうで小さく物語が起きていたりもするのですが、ここでもモノクロームにすることによって情報量を少なくして、観客の意識を集中させる効果が出ていました。
あと、映画で重要な要素である「音楽」もほとんどありません。
エンドロールまで無音なことに驚きました。
映画の中では、村の外とつながっている「教師」と「男爵夫人」しか音楽を楽しんでいないのは象徴的でした。
という訳で、年末の浮かれた気分を吹き飛ばすような怖い映画。
昔のドイツの地味な話でなんとなく「古臭い映画」なのかなと最初は思っていましたが、実は情報を少なくすることで観客の想像力をかき立てる「新しい映画」と感じました。