東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

花の湯@釜石

2011-12-26 20:10:26 | 銭湯
ボランティアの帰り、釜石の銭湯に入ってきました。
花の湯。
市内からバスで10分ちょっと。
小佐野駅からも徒歩圏内の国道沿いの小さな銭湯です。



今も薪で沸かしているそうで、柔らかなお湯が疲れた身体に気持ちよかったです。
お客さんもそれなりにいそうでしたが、上品な女将さんに話を聞くと、ずいぶんお客が減ってしまい、実は3月でお店を閉めようとしていたそうです。
張り紙まで出していたものの、3.11が起きて市からも要請があり急遽、お店を続けることにしたとか。
地震で築50年の建物も大きく揺れ、生きた心地がしなかったと、話してくれました。

地震後、一週間ほど経ってお店を再開すると、行列ができるほどのお客が集まったそうです。
街の重要なインフラである銭湯の面目躍如と言ったところでしょうか。

でも最初は市の補助もあり無料で入浴できるようにしていたものの、入浴料390円を通常通り取るようになると、あれほどいたお客さんがぱったり来なくなったそうです。
うーむ・・・。

とは言え、小さいけれど清潔で雰囲気の良い銭湯。
常連の方たちの語らいの場でもあるようで、なかなか印象的な釜石の銭湯でした。

文化湯@喜多方市

2011-04-18 07:31:56 | 銭湯
この週末は、また福島県喜多方市の酒蔵に行ってきました。
震災前から続いている仲間達とのお酒造りがいよいよ完成を迎えたので、今回は瓶詰めをして、オリジナルで作ったラベルを一本一本、貼っていく作業です。
全て終わった後は恒例の大宴会。
今年も美味しいお酒が出来上がった喜びを蔵の人たちと分かち合いました。

でも、ショックな事がひとつ。
喜多方にある銭湯「文化湯」さんが廃業されていました・・・。
ここは僕が最も愛する銭湯のひとつ。
これまで全国の銭湯を数百軒入ってきましたがベスト3に入る名湯です。

さりげない佇まい、古びてはいるけれど清潔な店内、会津若松のペンキ屋さんに描いてもらったという味のあるペンキ絵、おがくずで沸かしたやわらかいお湯・・・、良い点はいくつもあるのですが、何より特筆すべきは女将さんの人柄。

80歳になる女将さんはたった一人でこの銭湯を切り盛りされているのですが、その女将さんとの世間話を楽しみに常連のお客さんが何人も通ってきます。
ちゃんと長居が出来るようにテーブルが用意されていて、その上には飴やお菓子がたくさん置いてあります。
常連さんはここに座りながら、女将さんとの世間話をずーーーっと楽しんでいます。
男湯で着替えていると、そんな女将さんと常連さんの声が女湯側から聞こえてきます。
しょうじき東北の言葉は良く分からず、詳しい内容は理解できないのですが、やわらかい訛りと楽しそうな笑い声はまるで音楽のようで、本当に至福の時間でした。

僕にもいつも優しくしてくれ、これから宴会だと言う僕に、「この牛乳、飲んでいきなさい」とストーブで温めた瓶牛乳をくれたものでした。
僕も完成した日本酒を届けたりするととても喜んでくれたりして、何と言うかほのぼのとした交流が続いていました。

で、設備の老朽化をだましだまし修理しながら続けていた営業だったのですが、今回の地震でタンクが壊れてしまい、やむなく廃業を決めたそうです。
「あと1年は続けたかったなー」との事。
喜多方はほとんど揺れず、地震の被害は全く無かった、と聞いていたので、無事であって欲しいと願っていたのに本当に残念です。

でも、今までありがとう!

写真は女湯に描かれている富士山。


野町湯@金沢・野町

2011-03-02 21:22:32 | 銭湯
金沢のもうひとつのお目当てが、銭湯。
数年前に金沢を訪れた時、野町湯という銭湯に惹かれて行っては見たものの長期休業中。
泣く泣く諦めて帰ったのですが、なんと最近復活したという話を聞いて居ても立ってもいられず今回の再訪となりました。

で、野町湯、何といっても特徴が、そのアプローチ。
北陸鉄道の始発駅である野町駅のすぐそばの立地で、駅前のロータリーからも通えるようになっているのですが、実にどうもこのアプローチが泣かせます。



写真の左側の暗い道に下りていくのですが、その先はこんな感じ・・・。



ドキドキしながら通り抜けると、ちゃんとした入り口がありました。
風情のある建物です。ちなみに抜け道は写真の左側の看板にある矢印のこと。



空調の機械に隠されていますが、立派なタイル(やっぱり九谷焼?)もあったりして細かな部分も観察し甲斐があります。



浴室部分はこんな感じです。
ちなみにレアな白ケロリン桶が2種類置いてありました。
ひとつは石川県浴場組合のネーム入り。もう30年以上は使われている桶だと思われます。

たまたまこの時はお客さんがはけたタイミングでしたが、それなりにお客も入っていたのでホッとしました。
せっかく復活営業してくれたので長く頑張って欲しいもの。
ぜひ皆様も金沢を訪れた際はお立ち寄り下さい。

天明湯@阿部野区文の里

2010-06-16 22:01:57 | 銭湯
火曜、水曜と大阪出張に行ってきました。
で、銭湯は阿倍野区文の里にある天明湯。



銭湯に着いたのは7時ちょっと前。
中に入ると浴室の電気が消えています。
「あれ、お休み?」と思ったのですが、ステテコ姿のおじさんが「いいよいいよ」と電気をつけてくれました。
で、電気をつけた後、奥に呼びかけると、女将さんが登場。
ステテコおじさんは常連さんで、雨の中、わざわざ来た見知らぬ客の僕に気を使ってくれたようです。

女将さんに話を聞くと、なんといつもは7時に閉店との事。でも、「気にしなくていいからゆっくり入ってください」と笑顔を見せてくれました。
そうは言っても、ちょっと巻き気味で服を脱ぎます。
御影石の浴槽に入ると、大阪に来たな~という気になります。
ビジュアルは奥の壁に「富士山と空を飛ぶ天女の図」。

で、ぱっと体を洗ってすぐに出ました。
出るとさっきのステテコおじさんと女将さんがまだ話していました。
のんびりしていますね。

その後、僕も女将さんといろいろ話させてもらいました。
お客も少なくて営業は赤字でも、常連さんもいるし、話をするのが楽しいから続けているとの事。
やわらかい大阪弁で笑顔でいろいろ話してくれます。
僕もけっこう話しこんでしまいました。

という訳で、大阪の懐の深さを感じさせる良い銭湯。
こういう女将さんのいる銭湯が自分の住む街にあることは、とても幸せだと思います。
もっとお客さんが増えると女将さんも喜ぶと思うのですが・・・。

毎週水、金休み。営業は16:30~19:00との事です。

藤乃湯@蕨

2010-05-25 00:12:46 | 銭湯
朝日湯に入ったあと、商店街を蕨駅に向かって数分戻るとまたまた良い感じのレトロ銭湯が。
ふだん連荘はしないのですが、なかなか来る機会もないので、腹ごなしをしてから再訪することにしました。

「小姑娘」というちいさな中華屋さんで、ビールと餃子、それにあんかけ焼きそばを頼みます。この焼きそばが少し変わっていて、麺をぱりぱりに揚げてそれに餡を乗せてピザのように食べます。
ご主人や常連さんから蕨の銭湯事情をいろいろ伺い、いよいよ藤乃湯へ。



こちらも千鳥破風のレトロ銭湯。
朝日湯と至近ですが、こちらの方が大型銭湯で、天井も高くなっています。
格天井で、大入りの額がかかっていたりするのを見ながら浴室に。
こちらは中島絵師のペンキ絵がありました。H17作の富士山の絵。和みます。

お湯は少し熱め。
軽く飲んだあと銭湯にゆっくり入るのはなんとも贅沢。

という訳で、蕨にレトロ銭湯は二軒とも良い感じでした。

朝日湯@蕨

2010-05-24 23:57:47 | 銭湯
銭湯は蕨の朝日湯。



蕨という土地はあまり馴染みがありませんでしたが、旧街道の風情のある下町らしい土地のようで、良い銭湯もいくつか残っています。

で、駅から懐かしい感じの商店街を10分ほど歩くとあるのが朝日湯。
写真の通り、商店街からひょいと覗くと良い感じの千鳥破風が見えました。煙突も細くてかわいらしい銭湯です。

外観で特徴的なのは、「男」「女」と書かれた菱形の飾り。木製で職人の仕事と感じられます。
左右にある菱形の飾り窓もかわいらしい。

番台式。でも番台に人はおらず、男女の境を仕切るカーテン越しに女将さんが「いらっしゃい」と顔を覗かせました。銭湯料金は410円。

この銭湯、天井が低く地方銭湯の様な旅情感があります。天井には洋風の飾りがあったりして、見飽きません。小さな庭には鯉が泳いでいました。

残念ながらペンキ絵はなく、富士山のタイル絵が代わりにありました。
客足は薄いものの断続的に入ってはきます。

という訳で、僕好みの小ぶりな銭湯。なかなか風情がありました。

弁天湯@両国

2010-04-15 00:38:27 | 銭湯
銭湯は両国駅から歩いて7、8分の弁天湯。
ここ数週間、ずっと体調が悪かったので銭湯も3週間ぶり。
お酒もずっと飲んでいないし、なんだか面白くない生活を続けていたので、久しぶりの銭湯は嬉しい限り。



で、弁天湯は写真の通りの江戸前銭湯。
唐破風や懸魚もゴージャス。創業は明治15年との事。

フロント式。
内部は改装されていて、ゴージャスな外観と比べると、ちょっと小ぶりな雰囲気。
ペンキ絵もなくタイルが並べられているだけのシンプルな造りだったが、熱めのお湯で久しぶりの銭湯を堪能できた。
やっぱり銭湯は素晴らしいね。

ちなみに銭湯に気になるポスターが貼ってあった。
近くにある杉山神社というところで5月1日にご開帳があるとの事。
この弁天湯の名前の由来にもなった神社で、ご神体は弁天様。

http://homepage2.nifty.com/ounkai/sugiyama-kenshokai/yuisho/yuisho.htm

開帳されるのは、杉山和一という鍼灸の中興の祖と言われている人の像らしい。
かなり興味深い。時間があれば行ってみたいが・・・。

鶴の湯@船堀

2010-03-13 07:38:53 | 銭湯
銭湯は都営新宿線船堀駅下車の鶴の湯。
江戸川区になります。



駅から住宅街の夜道をとぼとぼ。7,8分。
お店もなく住宅が続くので、少し不安になってきた頃、銭湯のマークが。
銭湯周辺には飲み屋が数軒。
時々、こうしたロケーションを見ますが、昔、こうした飲み屋さんは銭湯帰りに一杯飲むお客を目当てに開業したのかなと想像してしまいます。
町田忍さんが言っていたのですが、昔は銭湯の前にお客目当てのラーメンの屋台が出ていたほど賑わっていたそうです。ここはどうなんでしょうね。

さて鶴の湯。
何の下調べもせず、適当に選んだ銭湯なのですが、看板に「天然温泉」の文字が! 僕の好きな黒湯銭湯のようです。

フロント式。ちょっと愛想のないご主人がロビーのテレビを見ています。

中はすっかり改装されていて良い感じ。
ペンキ絵のビジュアルはなく、タイルが貼られているだけ。

でも露天風呂や黒湯の冷泉があります。これは最高でした!
その黒湯、温められた浴槽もあるのですが、色がすごく薄い感じです。
濃いところだと、浴槽に入れた手も見えないのですが、ここはかなり底の方まで確認できます。

というわけで、露天風呂や黒湯の冷泉もある良い銭湯。
自分の住む町にあると嬉しいと思いました。

帰りは近くの居酒屋さん「37」で一杯。ここもなかなか良いお店でした。

第三松の湯(鵜の木天然温泉)

2010-02-20 08:31:48 | 銭湯
最近、このブログで取り上げる銭湯は、なんだか廃業寸前の所ばかり。
いや、他の銭湯も行っているのですが、ブログに書くほどでもないかなという感じなのです。

で、昨日訪問の第三松の湯(鵜の木天然温泉)も2月21日で廃業との事。
多摩川線の鵜の木駅下車3分に立地の黒湯の温泉銭湯です。



入り口の暖簾にも「天然温泉」と誇らしげに書かれています。
でも、その横に「諸般の事情で廃業します」との張り紙が・・・。

中はフロント式。
ちょっとしたロビーもあります。

脱衣所に入ってびっくり。お客さんがたくさん!
浴室とあわせると15人以上はいたかも。
みんな常連さんな感じの方ばかり。とにかくお客が続々と詰め掛ける人気銭湯です。

ビジュアルは丸山絵師の瀬戸内海の風景。泰然とした作品で良い感じです。

で、この銭湯最大の売りは「黒湯」。
浴槽がいくつかあって、普通のお湯もあるのですが、熱い黒湯と冷たい源泉の黒湯が楽しめます。
黒湯はその名の通り、黒いお湯で、古代の海藻が溶けてできたもの。ミネラルもたっぷり含まれていて殺菌力も高いとの事。

という訳で、天然温泉を堪能できました。
が、こんな良い銭湯が廃業とは・・・。ほんとうにもったいなさ過ぎです。
跡地はマンションにでもなるのでしょうが、せっかくならこの豊富な黒湯を生かして、天然温泉付きマンションにしちゃえばよいのに。

世界湯@谷中

2010-02-09 00:09:22 | 銭湯
銭湯は谷中の世界湯。
2月10日で廃業との事で駆けつけました。



千駄木の駅から歩いて5分ほど。谷中銀座の賑やかな通りを一本入った路地に面した小さな銭湯。
ここは、あの志ん生師匠が倒れた後も、弟子に背負われて通った銭湯としても有名だそうです。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2010020690135314.html

と言うわけで、そんな歴史ある銭湯ですが、老朽化と経営者の高齢化のため60年の歴史に幕を閉じるとの事。

外観は写真のようにシンプルな造り。
中もフロント式に改装されています。

で、まず目に飛び込んでくるのが、早川絵師のペンキ絵。大きな富士山が男女の堺に鎮座する力作です。早川師らしい、ビビッドな色使い。いいですね~。

お湯はやや熱め。寒い日に入ると体がぽかぽかして気持ちの良いもの。
常連のじーさん達が、「ここが廃業しちゃったら、どこの銭湯に行こうか?」と相談。「もうここの銭湯に慣れちゃってるから、今更動くのも面倒だね~」なんて話しています。なかなか結論は出ずに、けっきょくいろんな近所の銭湯を回ってから決めようと言う結論に達した模様。けっこう長い話し合いでした。

と言うわけで、下町、銭湯、ペンキ絵。落語の三題噺にもなりそうな町に溶け込んだ良い銭湯。
常連のじーさんも悲しんでいるようでしたが、なんだか僕も残念に思います。あーあ・・・。