東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

「ゲゲゲの女房」

2008-12-31 11:48:07 | 
本は「ゲゲゲの女房」武良布枝(実業之日本社)。
ご存知、水木しげるの奥さんの書いた夫婦の記録。



「変人」水木しげるの奥さんとはどんな人なんだろうと興味を持って読んでみたが、意外や意外、夫唱婦随を地でいく昔ながらの奥さん。
自分を「平凡な人間」と認識し、水木さんからは「ただ生まれたからしょうがなく生きているようなタイプ」と言われているけれど、旦那の仕事だけはひたすら信じて付いていく。その気持ちはまっすぐで強い。

貸本まんがの不遇な時代、原稿料を水木さんの代わりに出版社に貰いに行ったものの、原稿料を半額に値切られてしまう。そこで、水木さんがいかに苦労をしているかを知る。でも、その帰り、生活費も切迫している中、当時高価だったコーヒーを水木さんのために買って帰るエピソードが泣かせる。

という訳で、知られざる水木しげるの生活を知ることができて面白かった。
あと、水木さんが元気だという話の最後に、「水木さんはいつまでも死なないような気がする」と言っていたのが笑えた。自分の女房にこう言わせる水木さんはやっぱり只者じゃないね。

昨日今日と実家に行ってきた

2008-12-30 19:02:37 | Weblog
昨日今日と実家に行ってきた。
自転車で一時間ちょっと。意外に近いな。電車で行くより早いよ。

いつも平和な実家なんだけど、今年は、親父は入院するし、妹は結婚するし、家は建て替えるし、建築家とトラブルになるし、ホント波乱万丈の一年だった。
そうしたもろもろもやっと落ち着き、やれやれといったところ。もっとも親父の調子は万全じゃあないので予断は許さないけど。

実家に帰っても特にやることも無いので、ぼんやり親父とテレビを見たりする。もう「我が家」じゃないし、なんだか不思議な気分。
親父もやることが無いみたいで麻雀のテレビゲームを取り出してきたんだけど、それが10年以上前から遊んでいるソフト。もうちゃんと映らなくなってるのに、他の麻雀ソフトじゃだめらしい。PS3でもプレゼントしようかとも思ったが、たぶん今のソフトをずっとやり続けそうな感じ。もう何万回もやってるんだろうね。恐るべし。ちなみに「麻雀悟空」というソフトっす。

銭湯は二軒。
双葉湯@久米川。
フロント式の銭湯だけど、岩風呂があって気持ちが良い。お湯も軟水気味で良い感じ。ペンキ絵は無いんだけど、タイルに最近、浴場組合で販売している中島絵師のミニペンキ絵が貼ってある。何よりはましだけど、やっぱりあの広さに、あのサイズは小さすぎるよね。

小平浴場@小平。
外観はいかにも木造というラフな感じ。かなり古そうだ。入り口の色タイルから美しい。番台式のレトロ銭湯。女将さんはとても愛想が良い。
うーむ、相当の激渋銭湯っす。シャワーも一列しか付いていないし、本当にシンプルな銭湯。タイル絵は丸山師。瀬戸内海の絵だけどけっこう新しいみたい。その下には白鳥のタイル絵。いいな~。ひとり秘かに興奮する。
こんなに設備も無いのにお客さんは10人以上と大賑わい。近所の大学生が3人連れで来ていたりしていたので、こうした需要があるのだろう。

今回はどちらも良い銭湯だった。多摩地区の銭湯はいいな~。

本の雑誌 09年1月号

2008-12-29 15:13:41 | 
本は「本の雑誌 09年1月号」。
この雑誌を読むのも久しぶり。10年以上読んでいなかったんだけれど、経営がやばくて休刊になるかもしれないと聞いて買ってみました。



書いている人とか多少は変わっているのかもしれないけれど、紙の感じとかデザインとか沢野ひとしさんのイラストとか新宿の浪漫房の広告とか、びっくりするほど昔のまま。すごいな~。ある意味、衝撃的です。
この雑誌や「広告批評」をよく読んでいた学生時代を思い出します。そういえば広告批評もまもなく休刊ですね・・・。

「本の雑誌」は、椎名誠さんが「這いつくばってでも出して行こうという決意」と書いていたので、しばらくは続きそうだけれど、ずっとこの雑誌を愛してきた人たちにとってはショックだろうな。でも、そういう昔からの安定的な購読者が減っているということは、かなり厳しいですね。どっかの雑誌みたいに大幅リニューアルって言うのもこの雑誌の性格からすると難しいだろうし。

ついこの前、本の雑誌社唯一の営業マン杉江さんの書いた「「本の雑誌」炎の営業日誌」をとても面白く読んだばかりだったので、何とかならないものかとも思いますが…。
出版不況はホント他人事ではないだけに今後が気になります。

レガーロ ダル ディリット

2008-12-28 22:07:10 | グルメ
今日は一日、調べ物。神奈川の町をずっと調べていたんだけれど、なかなか情報が集まらない。やっぱりネットは限界がありますね。

で、夜は久しぶりに美味しいものを食べに行こうということで、富ヶ谷のイタリアン、「レガーロ ダル ディリット」。今年の9月にオープンしたばかりのお店。



まあ、そんなに強い個性は感じなかったけれど、美味しかったです。ワインはトスカーナの物。まずまずでした。
特に気に入ったのは、「ビゴール豚の炭火焼 ポルチーニのソース」。ビゴール豚は美味しいね。前に三宿のビストロで食べてすっかり気に入ったけれど今回も濃厚な味わいで、ポルチーニと合えて食べると旨み倍増という感じでした。

あとは、「タラバ蟹と下仁田ネギのタリオリーニ」。ネギはパスタに合いますね。甘みを感じることが出来てとても美味しかったです。



という訳で、やっぱりたまには美味しいものを食べなければいけないと思いました。お店の人のサービスもプロフェッショナルというより素人っぽい感じで押し付けがましくないのが良かったです。お客さんもそこそこ入っていて立地はあまりよくないのにまずは順調な滑り出しというところでしょうか。まあ、もう少し個性があったほうがいいとは思いましたが。

亀の湯@本厚木

2008-12-27 22:18:19 | 銭湯
今日は神奈川県松田町の図書館に調べ物をしに行ってきました。
町の歴史や見所などを調べたかったのですが、ネットではほとんど情報が集まらなかったので直接、出向いて情報収集。縁もゆかりも無い町なのですが、町史などを読んでいると町の人も知らないであろう隠されたドラマがあったりして意外に面白かったです。

で、帰りに途中下車して銭湯。
亀の湯@本厚木。
駅から歩いて10分ほどの非常に分かりにくい細ーい路地に面した小さな、厚木で唯一営業している銭湯です。



近くまで来て気がついたのですが、3年前のクリスマスの日に入ったことのあった銭湯でした。その時、立派な刺青をしたヤクザの人が、子どもと子分を連れて入っていたことを良く覚えています。ヤクザらしく見栄を張ってのことなのか、子どもに一万円札を持たせタオルを買わせたことや、子分がとても無口だったこと、何よりクリスマスの日になんでこの人たちは3人で銭湯に入っているんだろうと、不思議に思った記憶があります。

亀の湯はなんだかそんなドラマが似合うとても小さな銭湯。
ビジュアルも新世美術の富士山のペンキ絵に鈴栄堂章仙のタイル絵。シャワーもなく設備もシンプルです。桶は木桶。もちろん番台式。
そんなに遠くに来たわけでもないのに、なんだか旅先で出合った銭湯のような雰囲気。
お客さんはそこそこ入っていましたが、常連同士、話し合うことも無くみんな無言。女湯からは音もしません。
なんだか今回も不思議な気分が味わえました。良い銭湯です。

妖怪の民俗学

2008-12-27 08:42:01 | 
本は「妖怪の民俗学」宮田登。
奥付を見ると1992年ごろに買った本みたい。本棚から出てきたので再読してみた。当然ながら内容はすっかり忘れていたけど。



まあそんなに新鮮な内容ではなくて、こんなこともありました、この人はこんなことも書いていますという紹介に終始。口裂け女からアメリカのポルターガイスト、沖縄の石敢当までいろんな事象が紹介される。
面白かったのは「七不思議」。江戸のいろんな七不思議を紹介しているんだけど、「地中から燃える水か出てきた」という石油の事を不思議にあげている越後七不思議とか、なるほどと思うものもあるんだけど、江戸の不思議にはなんだか間抜けなものが多い。
例えば、馬喰町と塩町の境に「三日月井戸」というのがあって、この井戸の掃除をする日にお互いの町の若衆が喧嘩をした。で、何が不思議かというと、三日月井戸の掃除を巡って三月三日に喧嘩をして三日目に収まったから、というもの。こういうことを七不思議と称して語り継いでいくというのが江戸の太平楽な感じを伝えていて思わず笑ってしまった。

他にも神木の中から異様な音がする、というので近在のものが集まって大騒ぎになっていたら、木の洞から煙が出てくる。慌てて水を掛けたところ、近所のいたずら者が中から煙草を手に出てきた。どうやらこの男がみんなを驚かせようと、木の中でいろんな音を発していたらしい、とか良いエピソード。

銭湯は第二湊湯@清澄白河。
残念ながら今月で廃業ということなので名残を惜しんで訪れた。
細い路地に面した江戸前銭湯。廃業を知らせる張り紙によると昭和47年に出来たみたい。
中はフロント式に簡易改造されているけど、まあ普通の銭湯。
ペンキ絵は中島絵師。八ヶ岳と川の絵。松と川の表情が見事。
これといって特色の無い江戸前銭湯なんだけど、こういう普通さが良いんだよね。だんだんこういう銭湯が減ってきて寂しい限りっす。

異端者の快楽

2008-12-25 22:36:24 | 
本は「異端者の快楽」。幻冬社社長の見城徹の本。



彼の前著、「編集者という病」がものすごく面白かったので読んでみた。今回も非常にパワフル。まあ、「編集者~」と同じような内容なのでインパクトは薄いが、そうは言ってもやはり大きな刺激を受ける。ホントすごい男だよ。
タイトルにもあるが「異端者」と言うのが彼のアイデンティティーの源。コンプレックスを感じ、他の人と簡単には交われず、でも過剰な自意識を抱え大きくなった男。「振り幅の大きさが人間の魅力だ」と彼は書いているが、まさにその振幅の大きさが彼の魅力なのだろう。会った事はないけれど読んでいてどきどきしたよ。

人生悔いなく、小手先で妥協しないで思う存分生きる、それが快楽、というシンプルな基準。でも、自分はあくまでも偽者、という喪失感。
器の大きさはだいぶ違うけれど何か共通点もあったりして非常に面白く読めた。

次は彼に「小説」を書いてもらいたい。しかも自分の半生を振り返る自伝小説。悪いこともたくさんしてきたろうから、その辺りも描けたらすごい実名小説になると思うな。それを見城徹に書かせる編集者はいないものか。

銭湯は桃仙浴場@池袋。
もしかすると都内で一番小さな銭湯かもしれない。でも、実は温泉! 都内でも珍しい鉄鉱泉で黄色っぽい鉄の味の温泉なのだ。気持ち良い。しかもビジュアルは、女性のヌードのタイル絵。見たことないよ。色っぽいね。
と言うわけで、なかなか良い温泉銭湯なのだ。

「忘れられた日本人を読む」

2008-12-25 00:31:52 | 
本は「忘れられた日本人を読む」。
網野喜彦が宮本常一の代表作を読み解く贅沢な本。



着目したのが、「西日本と東日本の違い」「女性や老人、子どもの役割の大きさ」の2点。
特に西日本と東日本の違いの大きさは日本という国の成り立ちにも大きく関わってくる重大なポイント。周防大島出身の宮本常一は東日本中心に考えられてきた農村や人間関係のあり方に大きな違和感を感じ、それが「忘れられた日本人」でも随所に触れられている。実際に、形質人類学の観点から見ると、東北の人と近畿の人の骨格や頭の形状の違いは、近畿の人と朝鮮の人の違いよりも大きいとのこと。その差は、言葉だけでなく、社会のありように大きく関わってくる。例えば女性の地位。東は父系、西は女系といえ、西日本では女性の地位は高かった。これは経済の点からも言えて、貨幣経済の一定の部分を女性が担っていた。

などなど、「忘れられた日本人」は大好きな本で何度も読んだことがあるが、単に知らなかった昔の風俗が描かれていると興味深く読んだだけで、ここまで深い意味が隠されているとは思わなかった。同じ本を読んでもここまで深く読めるのかと思ったよ。
権力者ではなく無名の庶民が実際は社会を動かしてきたわけだし、女性ももちろん大きな役割を担ってきた。そんな当たり前のことを文献や伝承、絵巻物から丹念に読み込み光を当てて僕たちに教えてくれる。面白かった!

セブンイレブンの正体

2008-12-23 22:30:51 | 
本は「セブンイレブンの正体」(金曜日取材班)。
この本は取次大手のトーハンが配本を拒否したことで逆に有名になった。セブンイレブンの鈴木会長はトーハンの副会長も兼務しており、その関係で圧力をかけてきたらしい。



内容は、いわずと知れたコンビニ最大手の「高収益」のカラクリを明らかにした本。
例えばお弁当。コンビニでは品切れ無いようにいつもたくさんのお弁当やおにぎりが並んでいる。でも、当然、消費期限内に全部売れることは無い。セブンイレブンだけで一日、1.8億円分の食材が廃棄されているとのこと。このご時勢、犯罪的とも言える「無駄」だ。
でも、セブンイレブン本部には、このロスは一切関係がなく、フランチャイズ契約を結んでいるお店が全ての廃棄分のロスをかぶっている。それどころか、過剰発注すればすれ程、本部が儲かる仕組みなので、廃棄食材が出ると分かっていてもなるべく多く発注させようと仕掛けるし、スーパーのような見切り品の値下げ販売もぜったいにさせない。けっきょく毎日毎日、膨大な食材がただコンビニの店頭に並べられるためだけに作られ捨てられている。

他にも、メーカーとフランチャイズの間に入って中抜きをしていたり、取引会社を平然と切り捨てたり、まあ出るわ出るわの悪事の数々。
でも週刊誌も流通を考えるとセブンイレブンは叩けないし、テレビも大口スポンサーなので及び腰。けっきょくほとんどこうした事実は報道されていなかった。

とりあえず、お弁当とかの食材廃棄は本当にひどい話。これを契機に、もう少しこうした報道が広がればと思うよ。

巻末のセブンイレブンのお弁当工場のルポもすさまじかった。この本の帯に「まるでカニコー」と書いてあるんだけど、8時間の間、トイレに行く以外はまったく休憩も取れず、ひたすら立ち仕事なんだそうだ。うーむ・・・。

東洋食堂 百

2008-12-23 08:43:12 | グルメ
昨日は友人を会社の人に紹介するための飲み会。
で、そのために予約をしようと、金曜日にいろんなお店に連絡したんだけれど、みんな満席。世の中、不景気だといいつつ、この季節はさすがに混み合っている様子。

で、やっと見つけたお店は「東洋食堂 百」。外苑前から15分ほどの不便な立地。
でも、美味しくて、生マッコリも飲めて、何よりお店のインテリアや器が素敵な良いお店だった。
マッコリがヤカンで出てくるんだけど、このヤカンが小さくてかわいらしい。お店の人に聞いたら韓国から輸入したものみたい。他にも小さな赤いカセットコンロとかお盆とか何気ない小物使いにセンスを感じた。こういう小さなこだわりがお店の個性になってリピートに繋がるんだよね。お店の人もちゃんと目配り出来ていて、満席だったけどストレスをほとんど感じさせなかった。

という訳で、マッコリのヤカンが2200円とちょっと高かったけど良いお店。友人の紹介も上手くいって何よりだった。
春になったらみんなでパラグライダーに行くことになったのも収穫。楽しみ!