東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

「土産土法の酒造り 橋庄作酒造店」

2011-07-14 23:47:47 | 
先日、千代田3331であった「TOHOKU Sake Forum 2011」。
その会場で、福島県の酒蔵、橋庄作酒造店の高橋亘さんと話をしました。
「会津娘」の銘柄で美味しいお酒を作っている蔵で、酒造りへの思いなどをじっくり聞くことが出来ました。

その後、なんと酒蔵から彼らが自費で作った写真集「土産土法の酒造り」を送っていただきました。



100ページ近い立派な写真集なのですが、自分たちで酒米を栽培して、本当に真剣に、でも楽しく酒造りをしている様子が伝わってくる内容です。
撮影は写真家の押山智良さん。
1年以上かけて取り組んだ、いまどき珍しい丁寧な仕事。

会津の田園風景の中、ゆったりとした時間が見ているこちらにも伝わってきます。
僕も仲間たちと会津の別の酒蔵でお酒造りをしているので、写真を見ていると、酒蔵の匂いや杜氏の真剣な表情や緊張感、お酒が出来上がった時の嬉しさなどが思い出されます。

それにしても、たまたま試飲会で話しただけの僕たちにこんなに立派な写真集を送ってきてくれるとは、驚いたし、ほんとうに嬉しい限り。
今度、彼らのお酒を買ってきてじっくり味わってみたいと思います。
こんな写真集を作って、送ってくれる酒蔵のお酒です。
絶対に美味しいはず。
楽しみです。

会津娘HP

「朽ちていった命―被曝治療83日間の記録」

2011-05-07 07:11:27 | 
本は「朽ちていった命―被曝治療83日間の記録」(新潮文庫)

1999年9月に起きた茨城県東海村での臨界事故。
3人の作業員が被曝し2人が死亡したのですが、その治療を担当した東大の医療チームをNHKスタッフが取材した番組が元になった本です。

タイトルに「朽ちていった命」とありますが、まさにそのまま。
人が被曝するとどうなるのか、、、ということが恐ろしいほど分かる重い一冊でした。

1999年9月、大内さんという作業員の方は、一瞬で20svもの被曝をしてしまいます。
これは、一般の人が一年間で浴びる量の2万倍。
これまで、世界でも大量被曝した人が9日以上生きた例は無く、医療チームにとって大内さんの治療は、まさに「海図なき航海」でした。
手探りで、懸命に被曝治療に当たりますが、実はその行為は、「治療」というより「延命」。

なにしろ、被曝した瞬間、大内さんの染色体は完全に破壊され、再生のために必要な新しい細胞を作ることが出来なくなってしまいました。
最初は白血球の減少からはじまり、皮膚細胞、内臓、全ての器官がだめになっていきます。
特に皮膚細胞が再生できなくなってしまったことで、血液や体液を保持することが出来なくなり、毎日10リットルもの水分が体中から染み出してしまいます。
それをひたすら輸血と点滴で補うだけの日々。
人工皮膚の移植なども行われますが、なにしろ細胞が再生されないため、くっつくことは無く、治療は空しく失敗に終わります。

それでも何とか、最新の医療機械と大量の薬で延命させるのですが、読んでいて「モルモット」という言葉が浮かんでくるほど。
医療スタッフの中にも「何のためにこんな治療を続けるのか」という動揺も広がり、最後は家族の同意の下、延命治療を停止。
大内さんは息を引き取ります。享年35歳。被曝から83日目のことでした。

死亡後の記者会見で、治療スタッフのリーダーは「原子力防災の施策のなかで人命軽視がはなはだしい。責任ある方の猛省を促したい」と強く非難しています。
「原子力は安全」という自らのプロパガンダに縛られ、事故後の対応や治療方法などになんら対策を取らないまま進む日本の原子力政策。
福島の事故が起きても、「少量の放射能はかえって健康に良い」なんて発言する東電出身の国会議員が居る現状を見ると、「原子力防災の施策のなかで人命軽視がはなはだしい。」という状況は何も変わっていないのだと気がつきます。

昨日、菅直人が発表した「浜岡原発の停止」、これが本当に実現され、日本のエネルギー政策の方向転換につながれば、と思います。

『筑摩書房 それからの四十年』永江 朗・著(筑摩選書)

2011-04-13 06:38:19 | 
本は『筑摩書房 それからの四十年』。



創業70年になる筑摩書房の社史。
この出版社は昔『筑摩書房の三十年』という社史を出しているので、その40年後の続編となる。
筑摩は創業者の古田晁と臼井吉見が、「いい本を出したい」という一念でいわゆる「良書」を出し続けてきたが、その後の世の中の変化もあり、1978年に会社更生法を申請している。

この本は、その倒産に大きなスポットを当て、社員の動き、代表的な本の誕生秘話を語りながら現在は自社ビルを持つまでに復活した会社の歴史を綴っている。
社史と言えば、淡々と事象のみが綴られているイメージがあるが、この本は部外者の僕が読んでも面白い。
社史を「お金を払っても読みたい」と思わせる実績が筑摩にはあるが、その期待を裏切らない出来栄え。さすが。

著者は外部のライターなので、あまり遠慮せず、倒産前の会社ががたがたになっている状況も、それに至る経営陣の不甲斐なさも書いているし、スポットを浴びがちな編集だけじゃなく、どんぶりだった営業やゴミ箱のようだった倉庫の状況と、そこからの再生も書かれていて、筑摩復活の理由が良く分かった。

あと、筑摩が出してきた多くのベストセラーについてもそれぞれページが割かれているんだけど、狙って取ったベストセラーもあれば、ひょんなきっかけから生まれたものもあり、自分が読んだ本も多いので、そのエピソードひとつひとつが面白い。
中でも、高校生の時に読んですごく印象に残っている「高校生のための文章読本」、ずっと地味な存在で売り上げも低迷していた教科書編集部が無名の工業高校の先生達を起用して作った本なんだけれど、この本が生み出された過程がよく分かった。
やっぱりプロジェクトXじゃないけど、成功の鍵はひらめきとそれを実行する人の勇気だね。

という訳で、本好きには楽しめる一冊。
社史を読み物として販売しちゃうとは出版社ならではだし、それがちゃんと面白いとはさすが筑摩だと思いました。

「ガンジス川でバタフライ」

2011-04-07 20:12:56 | 
本は「ガンジス川でバタフライ」たかのてるこ・著。



本を整理していて「捨て候補」の一冊だったけど、気になって読み返してみた。
すごく面白い。捨てなくて良かった。

2000年に刊行されている本なんだけれど、実際は90年代前半、大阪出身の女子大生が香港、シンガポール、インドなどをひとり旅した時の旅行記。
典型的な大阪キャラで、お調子モンと周りの友人達には思われているけど、実は小心者でひとり旅なんてもってのほか。
でも、卒業前にそんな自分を変えたくて旅に出ました・・・、とある意味「よくある話」なんだけど、著者のキャラと行動力が突き抜けていて、凡百の旅行記とは全く違う印象。

海外の街角で言葉も分からずまごまごしていて、ひょんなきっかけから現地の人とコミュニケーションが取れた時、スイッチが入ったみたいな、はじけっぷりは本当に痛快。
カンフーの物真似や変顔など、言葉が通じないなりに、工夫して笑わせて、周りの人たちと「ともだち」になってしまう。
その瞬間、「怖い外国人」としか思えなかった人たちが、「ひとりの人間」として見えてくる。
そうした変化を体験することが旅の醍醐味なんだと教えてくれる。
なんだか、また旅に出たくなる気にさせる一冊。

ちなみにタイトルにもある「ガンジス川でバタフライ」。表紙の写真にもなっているけど本当に泳いでいて、なんだかそのバカバカしい弾けっぷりが彼女の真骨頂。
気持ちよく笑わせてもらいました。
オススメ!

「ヒバクシャ―ドキュメンタリー映画の現場から」

2011-04-05 22:30:02 | 
本は「ヒバクシャ―ドキュメンタリー映画の現場から」。



ドキュメンタリー映画監督、鎌仲ひとみさんの書いた本。
彼女はこれまで、「ヒバクシャ」、「六ヶ所村ラプソティー」、それに2010年の最新作「ミツバチの羽音と地球の回転」を撮っている。

「ミツバチの羽音と地球の回転」は去年の六月に観ていて、その時、映画の感想も日記に書いている。
東京ナイト日記

今回の地震で、東電、政府は「想定外」と信じられない発言をしていたけれど、実は、ずっとずっと「原発は危険だ」と言い続けていた人がいて、その発言を、ずっとずっとマスコミも東電も無視してきた。
映画の感想にも書いたけれど、硬直した日本のエネルギー政策が延々続いて来て、いよいよ取り返しのつかない事態を招いてしまった今、何が出来るのか。

まずは「知ることからはじめよう」ということなんだと思う。
今日もお客さんと原発の話で3時間以上も話し込んでしまったんだけれど、知れば知るほど、お寒い状況に恐ろしくなってくる。
福島の原発は、応急処置を何とかやっているだけで、抜本的な解決策はまだその目処すら立っていないみたい。
このまま延々、汚染水が漏れ続ければ、東北沿岸だけじゃなく、黒潮に乗って太平洋中に汚染が広がる可能性がある。
「直ちに健康への影響はない」のかもしれないけれど、10年後、例えばアラスカの沿岸で著しく小児ガンの発症数が増えた場合、僕たちは何と言えばよいのだろうか・・・。

で、「ヒバクシャ」。
この本は、アメリカが湾岸戦争の際、イラクで使用した劣化ウラン弾による影響で、イラクの小児ガンが飛躍的に増えている実態を追ったNHKの番組取材が元になっている。
全く報道はされていないこうした現状を踏まえつつ、日本でずっと広島の被爆者の健康診断を続けてきた老医師も取材。
彼と一緒に今度は、アメリカ本土の被爆の現状も取材している。
アメリカではある時期、核兵器を作るある工場の周辺で、「意図的に」放射能が漏れたことが有り、その結果、周辺の住民が被爆して、ガン患者が急増しているとのこと。

まあ、読めば読むほど、知れば知るほど、唖然としてしまうけれど、監督は実に冷静にその事実を追っている。
多分その視線の先には、日本の原発があったはず。
それがこんなに早く最悪の形で現実となってしまった。

繰り返すけれど、まずは「知ること」が大切だと思う。
鎌仲ひとみ監督の「ミツバチの羽音と地球の回転」が、緊急上映されるとのこと。
未見の方はぜひぜひご覧下さい。
きっと、「この映画をもっと早く観ていれば」という気になると思うし、まだ日本中に原発が有る以上、これから何をすべきなのかのヒントも有ると思います。

【速報!!】『ミツバチの羽音と地球の回転』渋谷で4/16~上映再開決定!!

「人はひとりで死ぬ」

2011-03-25 07:12:57 | 
本は「人はひとりで死ぬ」(NHK出版新書)



著者は宗教学者の島田裕巳。
すごいタイトルだけど、「無縁社会」について、その発生から対策まで冷静に描いている。

まず、前提として今、騒がれている「無縁社会」の対比語は「有縁社会」。
で、それから逃れるように戦後の社会は形成されていった。
サラリーマン社会、都市化、核家族化、独身率の増加・・・。
これらは、「縁」、つまり地縁、、血縁などの束縛から自由を求めて解放された結果。
つまり無縁社会の到来はある意味、必然だったと言うこと。
この前提を無視して、「無縁社会の対策」を行政が取ろうとしても無理がある。
むしろ、「死」とは本質的に孤独なもので、全ての死が「無縁死」だと言える。

と、すごくロジックがしっかりしていて説得力があった。
NHKで話題になった「無縁社会」の番組を見ていてひたすら暗い気持ちになったけど、この本を読んで少し見方が変わったかもしれない。

あと、さいきん「縁」に関して少しずつ、社会全体でつながり力が増えている気がする。
ネットなどがその一翼を担っているのは言うまでもないことだけど、SNSの盛り上がりの背景も、社会全体の有縁化を求める機運と連動しているんだと思う。
もっとも、ネットのつながりがどこまで強いものなのかはまだまだ未知数だと思うけど。

個人的にも、すごく「縁」という言葉に興味が出ていて、僕が最近、活動しようとしている「東京ナイト」イベントも、その縁を深めるためのきっかけ作り。
「定期的に集まる」ということが縁を生むと思うので、たしょう面倒でもこのイベントは続けて行くつもり。
って、第一回の日本酒ナイトが地震で延期になっちゃったけど・・・。

「日本の若者は不幸じゃない」

2011-03-24 22:36:40 | 
本は「日本の若者は不幸じゃない」(ソフトバンク新書) 。



タイトルに興味を持って読んでみました。
著者はアキハバラで地下アイドルのライブステージを運営する会社の社長さん。
東京芸大出身のまだ二十代の女性です。
彼女の周りで活動する「日本の若者」を通して考察する等身大の若者像、といった感じです。
まあ、範囲がアキハバラおよびその周辺に限られているので、どこまで一般性があるのか分かりませんが、なかなか示唆に富んだ内容でした。

特に気になったのは、「日本の若者が不幸だ」という人は、その比較対象として日本がもっと豊かだった時代の若者と比べて不幸だ、と言っているが、実は今の若者は物心ついたころから「不況」の時代に生きてきて、その状況にとっくに適応済みだということ。
背伸びもしない代わりに、豊かな存在に対するルサンチマンもないと言う指摘。
著者は「不況ネイティブ」と名付けています。

この不況ネイティブは、おたくカルチャーと結びついて、それぞれの嗜好に合った人たちとゆるく結びついて(クラスター)それなりに充足しているし、その中から従来の考えに縛られない新しい発想の若者達も出てきている、と著者は言います。
というか、独自の「学園祭ビジネス」をひょんなきっかけから運営している彼女自身がそんな新しい若者の一人なのでしょう。

じっさい僕がここ数年、様々な場面で会った若者達もなんだかとてもフレキシブルな発想を持っていて驚くことが何回もありました。
従来の価値観に縛られず、大胆な行動とつながり力で前に進んでいます。

今回の震災によって、そうした感覚はますます磨かれるような気がします。
もう「バブルの頃は良かった・・・」というおじさんの感慨は新しいアクションへの阻害要因にしかならず、むしろ「不況ネイティブ」たちが次の時代を作る頃なのかもしれません。
もっとも、しょうじきあんまり大きな発展は望めない気もします。
でも、それが身の丈にあった彼らの流儀なのかもしれません。
僕も後ろを振り返らずに、今の時代に適応していかなくちゃ。

モリナガ・ヨウの土木現場に行ってみた!

2011-02-01 08:29:02 | 
本は「モリナガ・ヨウの土木現場に行ってみた!」(アスペクト)



モリナガ・ヨウというイラストレイターさんが全国の土木現場に行って、その様子をイラストルポした本。

ダムや高速道路、新宿駅南口の再開発事業など、全国の巨大土木工事現場を取材。
小さくびっしり描かれたイラストと専門家との対談でルポしているんだけど、あまり馴染みのない土木の現場がなんとなく分かるし、何より巨大な現場のスケール感に圧倒される。
その中でちまちま動く重機の様子とか、イラストのタッチがかわいらしく、細部までじっくり眺めてしまう。

「土木学会誌」という業界専門誌での連載をまとめたものだけど、著者も土木には門外漢なので分かりやすく書いてあって一般の人が読んでも大丈夫。

以前、工場マニアの人と一緒に巨大工場に見学に行ったことがあって、ダムマニアの人とダムツアーに行ったこともあるんだけど、それと似たような興奮を覚えた。
やっぱり巨大なものを見るとワクワクするね。

という訳で、いつか土木現場も見学したいな~、と思わせる一冊。

「だめ!」

2011-01-26 07:36:10 | 
最近、家の蔵書を整理している。
っていうか、いっつも捨てる本を探している状態。
そうじゃないと狭い家が本で溢れちゃうので。

で、今回も捨てる本を選んでいたんだけど、書棚の奥から出てきた本はなかなか面白そう。
で、捨てる前にもう一度読み直すことにしてみた。

最初の一冊が、「だめ!」(河出書房新社)
1999年に出た本で、当時、少しだけ話題になっていた「だめ連」という集団(?)の当事者たちが自分たちの活動について語った本。

だめ連についてはこちら(ウィキ)

まあ、働きたくなかったり、人間関係に悩んでいた人たちが、「だめ」を共通認識としてゆるく繋がって、様々な活動をしたりメディアに登場していた運動体。
単に「だめ」を否定的にとらえるのではなく、自分たちが「だめ」とされる世の中は果たして正しいのか、「だめじゃない」と認識されている人たちは何なのか、と言ったことをラジカルに定義しなおそうとしていたみたい。

今ならネットでなんとなく繋がっているんだろうけど、当時はそんなのそれほど普及していないので、交流はもっぱら「直接会う」こと。
さらに公園や河原でイベントしたり、共同保育をしたり、居候したり、なかなか活発。

僕は学生時代、友達と3人で共同生活をしていて、いっつも誰かがそこに居候しに来る様な生活をしていて、すごく面白かった。
で、またそうした暮らしをもっと規模を大きくして(20人とかで)再開したいと思っていたときにこの本を読んだことを思い出した。
結局実現できなかったけど・・・。

今は「だめ連」も活動停止してしまったみたいだけれど、ダメの定義とか、つながりの実践とか、今でも刺激的な一冊だった。



「ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち」

2011-01-06 22:17:02 | 
本は「ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち」 河合香織・著。



数年前、ワインにはまっていた時期がある。
その中でもすごく印象に残っていたのが「ボー・ペイサージュ」という日本のワイナリー。
岡本さんという人がたった一人でブドウ作りからワイン作りまでこだわりぬいて取り組んでいる。

すごく気に入っていたのでリリースパーティーに参加したり、妹の結婚式で彼のワインを使わせてもらったり、山梨にある彼のワイン畑に訪ねて行って話しを聞いた事もあった。
その時の日記

岡本さんの話は、すごく説得力があってものすごく刺激を受けた。
一番記憶に残ったのは、「消費者も生産者なんだ」という言葉。
消費者がどんな消費行動を選択するかによって生産者に大きな影響を与える。
当たり前の事かもしれないけれど、「おいしい」「おいしくない」という基準だけで切り捨てていくのはその先の生産者のことを思うとできない事。
逆に生産者も消費者の顔が見えていればいい加減なことは出来ないはず。
せっかく物流や決済が便利になったんだから、もっと消費者と生産者が近い場所にいられたら良いと夢を語ってくれた。

という訳で、その岡本さんはじめ、日本のワイン造りを主導した醸造家・麻井宇介(うすけ)に影響を受けた若き日本ワインの革命児3人を描いたノンフィクション。
著者は「セックスボランティア」を書いた女性。
この本で小学館ノンフィクション大賞を受賞している。

まず、想像していた以上の、狂気さえ感じさせるストイックなワインに対する姿勢に驚いた。
詳しくはぜひ読んで欲しいのだけれど、今の時代にこれほどまでにひとつのことに熱くなっている人がいるだろうか。
これまで「常識」とされていたワイン造りの全てを疑い、自分たちの感性を信じて突き進む姿が描かれている。

しょうじき、著者のノンフィクションとしての書き方には違和感があってあまり好きではないが、それを補ってあまりある取材対象者の突き抜けた凄みが伝わってくる一冊。
ワイン好きの人だけでなく、「消費者」である全ての人に読んで欲しい。
オススメ!