東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

「間違う力」

2010-03-29 01:03:38 | 
本は「間違う力」。
「幻獣ムベンベを追え」などで知られる辺境作家・高野秀行さんの新刊。



これまでとはだいぶ雰囲気の違う装丁。
どんな内容なのかな?と、ちょっと不安を感じながら読んだけれど、まあ見事に「高野本」でした。
サブタイトルが「オンリーワンになるための10か条」とあり、なんだか「生き方ハウツー本」っぽいコンセプトなのかもしれませんが、高野さんが書くといつものようにどこか間違った方向に読者を導いてくれます。

その10か条は、例えば「他人のやらないことは無意味でもやる」とか「他人の非常識な言い分を聞く」、「怪しい人にはついていく」など、たぶん高野さん以外の人にはほとんど役に立たない10か条。
まさに「オンリーワンになるための10か条」です。

内容はこれまでの高野さんの行き当たりばったりの半生をまとめたもので、今までの本のダイジェスト版の様な内容ですが、相変わらず面白いです。

という訳で、就職活動とかに悩んでいる大学生とかにぜひ読んで欲しい一冊。
なんだかこの「間違う力」を読んだ人の人生はかなり迷走しそうだけれど、最後はこっちの本を読んでいる若者より味のある大人になりそうな気がします。
http://blog.goo.ne.jp/mask1970/e/a951e3ef24762bbacab5e741c91da73e

まあ気のせいかもしれないけど・・・。

「デザインが奇跡を起こす」

2010-03-27 20:58:42 | 
本は「デザインが奇跡を起こす」。
水谷孝次さんというアートディレクターの活動の記録。



著者のことは以前、「情熱大陸」で取材されていたので知っていました。
でも、あんまり良い番組じゃなくてピンと来ていなかったのですが、本屋でこの本を見つけて立ち読みしてみたら「面白い!」。
すぐに買って一気に読み終えてしまいました。

広告の第一線で活躍し、冨と名声を得た著者がふと我に帰り、「何のために生きているのか」と考えたところから物語は始まります。

最初は原宿の少女達の笑顔を写真にとって展示することから始まった「MERRY PUROJECT」。
「世の中を笑顔でいっぱいにする」というシンプルなコンセプトが共感を呼び、プロジェクトはだんだん進化していきます。

愛知万博のために世界中の子ども達の笑顔を撮影する取材をしている中、ケニアの少女がこう言います。
「私は今まで笑ったことがない。でも今日初めてMERRYって何か考えた。だから今日は最高の日。私のMERRYはあなたよ。」

「人を幸せにすること、楽しませることが究極のデザインだ」。
これまでたくさんの賞を得てきた著者がケニアの少女によって気がつくのです。

さらにこうした活動が北京オリンピックの開会式を担当したチャン・イーモウの目に留まり、開会式で著者の撮った世界中の子ども達の笑顔の写真が使われることになった・・・。



という話なのですが、とにかく感心するのは著者の物事を進めるパワー。
「これは無理!」という事態に陥ってもあきらめず粘り強く交渉し、最後は実現させてしまいます。
そしてプロジェクトが取材を進める過程を経てだんだん進化していくダイナミズムにも驚かされます。
すごい!
読んでいてほんとうにワクワクしました。こんな本は久しぶり。
すごい刺激とパワーをもらった気がします。
オススメです!

http://www.merryproject.com/jp/

写真展『モンゴル はじめましての旅』のオープニング

2010-03-26 08:24:19 | 展覧会
昨日は友人が高円寺のカフェで開催している写真展のオープニング。
小さなカフェに入りきらないほどのゲストが集まり、暖かなお祝いの会になりました。

写真は、モンゴルの大平原やそこに暮らす人々の暮らしを写し取っています。
映画「プージェー」に出てきたプージェーのおばあちゃんの家も訪れていて、しわだらけだけれど美しい表情を見ることが出来ました。

パーティーも多くの人が集まり賑やかでした。
初めて会った人も多かったのですが、みんな飾らない人たちばかりで友人の人柄が反映されているんだなと思いました。

と言うわけで、小さな写真展ですがお近くにお寄りの際は足を運ばれてはいかがでしょうか?



> 以下、ご案内です
> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
> 『モンゴル はじめましての旅』 写真・平田裕子
> ~お店の一壁に写真を展示します~
> 温まる飲みもの、甘いもの、滋味ごはん。どうぞ写真と一緒におくつろ ぎください。

期間*3/24(水)~4/4(日)
場所*高円寺「百音(もね)」03-3317-4645
http://www.cafemone.com

高円寺駅南口パル商店街を直進し、カメラ55を右折、西友の向い
あまから亭を左折、小道にはいって左側にすぐみえます
お店の営業時間* 火・水・木は12~20時 / 
金・土・日は12~23時 ラストオーダーは閉店の30分前です

天国は水割りの味がする 東京スナック魅酒乱

2010-03-23 23:12:07 | 
本は「天国は水割りの味がする 東京スナック魅酒乱」(廣済堂出版)



著者は都築響一。
ちょっと前に読んだ同じ著者の「Showa Style 再編・建築写真文庫〈商業施設〉」も分厚い本でしたが、この本も686ページの大ボリューム。その全てを使って、東京に隠された秘境「スナック」を50軒紹介しています。

スナックってこれまで数えるほどしか行った事がなかったのですが、この本を読んで俄然行きたくなりました。
著者はこう書いています。「テレビや雑誌では東京の飲食店情報が氾濫している。でも、実は東京には1万軒以上のスナックがあって、毎晩盛り上がっているのにメディアでは全く取り上げられない。見たこと行ったことがないから存在しないという勘違い。でもほんとうに面白いものはメディアの外にある。もしかしたら君の一番近くにある秘境、それがスナックだ!」。

とにかく登場するママやマスターがパワフルです。どのお店も20年とか50年!とか長く営業しているのですが、そんなお店の中心が実に個性的で人間臭いママやマスター。
著者は彼ら彼女たちのこれまでのドラマチックな人生を飲みながらインタビュー。みんな実に雄弁に語ります。

ほとんどのお店に共通するのは、
・ママもしくはマスターは実に元気で勤勉。盆と正月以外、休まないというお店もいくつかあるし、スナック以外の副業を持っている人もいたりする。
・意外にもお酒を飲めないという人が多い。
・波乱万丈の人生を送って今に至る、というパターンがほとんど。
・バブルの頃は物凄く景気が良かった。でも今は・・・。
・理由は接待費が減ったこともあるけれど、上司が部下を連れてくるというケースがほとんどなくなったことが大きい。
・そんな状況だけど、リタイアした人がまだまだパワフルでお店に通ってきてくれる。
・お客とお店の距離が近い。常連さんは「お店を応援する」という意識が高く、時にはお店のお手伝いも買って出る。
などなど。

さすが都築響一、目の付け所が素晴らしいです。
場末感あふれるちょっとピンボケ気味の写真も、いかにもスナックといった雰囲気で良い感じ。
紹介してある50軒の中に、すぐにでも行きたい猛烈に「濃い」お店がいくつかあったので近いうちにチャレンジしてみようと思います。
あと、本で紹介されたお店に行くだけじゃなくて、街で見かけた気になるスナックを探検するのも面白そう。

唯一の欠点は誤植が多いこと。まるで間違い探しかというくらい多くてその度にリズムが崩れてしまいます。せっかくの力作なのに残念。
まあ、そうは言っても素晴らしい本でした。オススメ!

荒木町「ドリフト」


池袋「村」


都築響一ブログ
http://roadsidediaries.blogspot.com/

外壁を漆喰で塗るという大仕事!

2010-03-22 23:26:23 | Weblog
連休、ほんとうは雪山に登る予定だったんだけど、風邪でダウン。
家で寝てたけど、天気が不安定だったから行かなくてよかったかも・・・。

で、今日は体調も持ち直したので、先週に引き続き、友人の家具作家さんの工房建築のお手伝い。
外壁を漆喰で塗るという大仕事!

人もいっぱい集まってみんなで楽しく作業した。
何しろ、漆喰を塗る「こて」も初めて触ったような状況なので、最初は上手く塗れるか不安だった。
で、案の定、ぜんぜん上手く塗れない・・・。
左官職人さんとかがすーっと薄く延ばしながらきれいに塗るイメージだったけど、全くダメ。
たぶん力の入れ方が不安定なんだと思うけど、外壁の足場の悪いところで塗るので余計うまくいかない。難しいものですね。
足場の一番上で塗るのも高度感があってけっこう怖かったし。

でも最後のほうはだんだん上手くなってきて、それなりの仕上がりに(多少は)なってきた気がする。
という貴重な経験ができて面白かった。

本来なら、左官職人さんに頼む「仕事」だけれど、素人の僕達がやることによって同じ事が「遊び」に変化する。
お金を払ってディズニーランドで遊ぶことだけが「遊び」じゃないよね。
仕事と遊びの境界って、かなり曖昧なものなんだと改めて思った一日でした。


『自由について──七つの問答──』

2010-03-17 22:59:15 | 
本は『自由について──七つの問答──』(SURE)
鶴見俊輔さんの主催による丸山眞男さんとの勉強会をまとめた一冊。
一般の書店流通はしていないようで、直販がメインとの事。僕は京都の恵文社で購入。でもすでに4刷とあるのですごいね。



碩学による実に含蓄に満ちた内容で、しょうじきその半分も理解できていないと思うけれど、それでもかなり興奮しました。

内容は鶴見さんたちが、丸山眞男さんに七つの質問をぶつけ、それに対して問答があるというもの。発表を前提にしたものではなく、勉強会の一環だったと言うことだが、とても信じられないほどの深い内容。

質問はこんな感じ。
* 仏教が日本の思想史にもたらした影響は?
* 国家に対する〈不服従〉という思想は、日本文化の基層にもありますか?
* マルクス主義は再生するでしょうか?
* 少数者の権利が守られる社会の鍵はどこにあるでしょうか?

例えば江戸の幕藩体制。
将軍家と天皇の関係は「至尊必ずしも至強ならず、至強必ずしも至尊ならず」という関係だが、その将軍家も内部構造を見ると、将軍は権威しか持たず、実際の権力は老中。その老中も月番制で、さらに目付けという監査役もいて多元的な構造だった。ここが垂直的な権力構造を持つ欧米や中国との一番の違い。

そこから「和」の精神の良い面と限界点も出てくる。紛争や競争の大切さが一方であるのではないかということ。
などなど、まだ読み込んでいない事がたくさんあるけれど、丸山眞男さんの本はもうちょっと読んでみたい。

写真展「モンゴル はじめましての旅」

2010-03-17 08:04:51 | 展覧会
僕の友人が高円寺のカフェで小さな写真展を開催するとのこと。

「モンゴル はじめましての旅」と題し、モンゴルの平原で出会った人々の暮らしを切り取った写真を展示するそうです。



もちろん僕も行くつもりです。
友人は、ユニークな感性を持った女性なので、どんな風景が見られるのかとても楽しみです。

期間*3/24(水)~4/4(日)
場所*高円寺「百音(もね)」03-3317-4645
http://www.cafemone.com

高円寺駅南口パル商店街を直進し、カメラ55を右折、西友の向い
あまから亭を左折、小道にはいって左側にすぐみえます
お店の営業時間* 火・水・木は12~20時 / 金・土・日は1
2~23時 ラストオーダーは閉店の30分前です

「千代田3331」+「メイド喫茶」!

2010-03-14 23:47:25 | イベント
今日は「千代田3331」というアートスペースのオープニングに行ってきました。

ここは廃校になった小学校の跡地を利用して、現代アートの作家がコミュニティーと関わりながら何かを発信していこうというスペース。
有名作家も参加したかなり面白いスペースになりそうです。

印象に残ったのは、八谷和彦さんというメディアアーティストの主催する「秋葉作ってみたラボ」。科学とアートの融合といった感じで驚きがあり楽しめました。
あと、秋田県大館市の若者たちがメインの「ゼロダテ アートプロジェクト」も可能性を感じさせる企画。
大館で売られている日用品をアートな感覚で販売するスペースもあったのですが、思わず竹で編まれた「ウナギ取り用の魚籠」を衝動買いしてしまいました。なんに使えばいいのか・・・。

オープニングでもいろいろな人と出会えて、何か新しいワクワクする事がはじまる予感があります。

http://www.3331.jp/

で、そんな予感を感じつつ、お昼は近所の秋葉原でランチ。
なんとメイド喫茶です。
まあ正確には「鉄道居酒屋 LittleTGV」というお店で、メイドじゃなくて女性駅員さんが迎えてくれるのですが、かなり面白い経験でした。

テレビとかでは見た事があったのですが、オムライスを頼むと、駅員さんが文字をケチャップで書いてくれます。
で僕がお願いしたのがこの文字。



かわいい駅員さんも「?」という表情でしたが、ちゃんと書いてくれました。
それにしても、駅員さんがとても楽しそうに接客するのが興味深かったです。
かなりディープなお客さんも来店していましたが、とても上手く応対していて、僕たちのような素人客にも積極的に話しかけてくれて盛り上げる演出力はなかなかのもの。かなり感心しました。



というわけで、さすがアキハバラ、アートもあるしメイドもいるカオスな土地です。

手を動かして何かを作る喜び

2010-03-13 23:25:22 | イベント
今日は友人の家具作家さんが建築中の工房のお手伝いに友人といってきました。

ものすごく太い国産材の柱を多用して、組み手など伝統的な工法で作っているいまどき珍しい貴重な現場です。

で、ぼくたちは暖かな日差しの中、「埋め木」という比較的簡単な作業を手伝わせてもらったのですが、本当に気持ちが良かった!
小学生の頃の工作の時間を思い出しながら無心にカンナやノミを使って作業します。
最初はすぐにできると思った作業も、実際やってみると失敗の連続。
ノミを使うのもほとんど初めてなので、均等に削れなかったり、木材が欠けてしまったり・・・。
でも試行錯誤を繰り返しながらやっているうちにだんだん作業もスムーズに。
その上達も面白かったし、手を動かして何かを作る喜びを感じられたのも嬉しかったです。



で、もうひとつ印象的だったのは工房のロケーション。
梅林の広がる田園風景は桃源郷のようでした。
5月には落成イベントも予定しているとの事。
今から楽しみです。

工房の建設ブログはこちら。
http://blog.labo-style.shop-pro.jp/

鶴の湯@船堀

2010-03-13 07:38:53 | 銭湯
銭湯は都営新宿線船堀駅下車の鶴の湯。
江戸川区になります。



駅から住宅街の夜道をとぼとぼ。7,8分。
お店もなく住宅が続くので、少し不安になってきた頃、銭湯のマークが。
銭湯周辺には飲み屋が数軒。
時々、こうしたロケーションを見ますが、昔、こうした飲み屋さんは銭湯帰りに一杯飲むお客を目当てに開業したのかなと想像してしまいます。
町田忍さんが言っていたのですが、昔は銭湯の前にお客目当てのラーメンの屋台が出ていたほど賑わっていたそうです。ここはどうなんでしょうね。

さて鶴の湯。
何の下調べもせず、適当に選んだ銭湯なのですが、看板に「天然温泉」の文字が! 僕の好きな黒湯銭湯のようです。

フロント式。ちょっと愛想のないご主人がロビーのテレビを見ています。

中はすっかり改装されていて良い感じ。
ペンキ絵のビジュアルはなく、タイルが貼られているだけ。

でも露天風呂や黒湯の冷泉があります。これは最高でした!
その黒湯、温められた浴槽もあるのですが、色がすごく薄い感じです。
濃いところだと、浴槽に入れた手も見えないのですが、ここはかなり底の方まで確認できます。

というわけで、露天風呂や黒湯の冷泉もある良い銭湯。
自分の住む町にあると嬉しいと思いました。

帰りは近くの居酒屋さん「37」で一杯。ここもなかなか良いお店でした。