東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

新宿の寄席、末廣亭

2009-06-28 13:38:39 | ライブ、芝居、演芸など
昨日は新宿の寄席、末廣亭に。



お目当ては、先日そのドキュメンタリー映画「小三治」を観たばかりの柳家小三治師匠。独演会のチケットは取れないし・・・、と思っていたら末廣亭に出演していることを見つけ、さっそく行って見た。
夜の部は17:00から。少し早めに到着したが、すでに長い行列。末廣亭は昼夜の入れ替えがないので、昼の部のお客さんがはけずに、立ち見になることを告げられる。4時間立ち見はきついなーと思いながら入場。でも、けっきょく上手い具合に前の人が帰ってくれて、30分間くらい立っただけで良い席に座ることができた。

本日の出演は、柳家小三治の他に、入船亭扇橋、桂南喬、柳家小さん、柳家小袁治など。寄席っていろんな咄家さんが入れ替わり出てくるのでよっぽど印象深い人でないと忘れちゃうんだけど、今回はあんまり覚えていない。入船亭扇橋師匠を除いては・・・。映画でも小三治師匠の親友として取材されていたけど、とぼけた味のあるじいさん。小声でぼそぼそ話すので聞き取りにくい。お客さんも何か息を詰めるようにじっと聴いている。僕はこういう味のある人は大好きなのでワクワクしながら聴いていた。

その後、主任としてオオトリで出演の小三治師匠も、マクラで「扇橋の落語は何言ってるか分からねえ。でもいろんな奴が出るから寄席っていうのは楽しいんだ」と話していたのが笑えた。その後、「お客さんが芸人を育てるんだ。何でもかんでも分かりやすくていつも笑える芸しか求めないと、そういう咄家しか育たなくなっちゃう。これは世の中も同じ話だよ」って話していた。
そんな絶妙のマクラをたっぷり聴かせて、ネタは『厩火事』。髪結いのお先さんが、怠け者の亭主とケンカして、仲人の兄さんとこに駆け込んで・・・、という話。面白かったし上手かったけど、途中ちょっとだれたかな。でも「家の亭主は、唐土ですかね麹町ですかね?」と聞くお先さんのちょっと心細げな表情は上手かった。
また寄席に行こう。

「できそこないの男たち」

2009-06-27 15:21:18 | 
本は「できそこないの男たち」 (光文社新書)
サントリー学芸賞受賞作で、福岡伸一という分子生物学の先生の書いた本。



去年話題になった本を今更ながらに読んでみた。
ものすごく面白い!!

結論を先に言うと、人間という種において「男性」に期待されている役割は、母親の遺伝子を別の娘に運ぶ「運び屋」、「使い走り」に過ぎない、というもの。
それをなるべく平易に分かりやすく科学史や自分の体験なども交え解説している。なにより文章が上手いので読みやすいし、書かれている内容も非常にスリリングで驚きに満ちた一冊。

そもそも人間に限らず、生物の多くは基本仕様の性別として「女性」になるように遺伝子レベルでプログラムされている。しかし、男性の染色体である「Y染色体」が「X染色体」と交わることにより、例外的に男性が誕生する。
1980年代、Y染色体のどの部分が、そうした変化をもたらすのかを探る研究者たちの激しい競争が行われた。その研究競争を通じ、僕たち素人の読者にも「Y染色体」とは「性別とは」といった知っているようで知らない知識を教えてくれる。この辺りの構成は無理がなく鮮やか。

他にも生物学的な様々な驚きが詰まっていて、僕のような文系人間も楽しく読み通すことができた。

この本の抜粋。
「アダムがその肋骨からイブを作り出したというのは全くの作り話であって、イブたちが後になってアダムを作り出したのだ。自分たちのために・・・。」

稲荷湯@内神田

2009-06-27 14:57:19 | 銭湯
銭湯は稲荷湯。
住所は千代田区内神田、大手町駅から歩いて3分という好立地。
白いオリジナルの暖簾がまぶしいビル銭湯。



訪問は夕方だったんだけれど、勤めを終えたサラリーマンたちが続々と銭湯に吸い込まれていく。「?」と思ったけど、同じ千代田区の銭湯「バン・ドゥーシュ」と同じく、皇居ランナーたちの集合場所になっているようで、浴室に入ってみるとそんなに湯船に浸かっている人はいない。みんな着替えて、走った後に汗を流すために、最後にお風呂に入るのだろう。銭湯ランナーたちがここでの銭湯体験を気に入って地元の銭湯に入るようになればよいのだけれど。

ペンキ絵もなく、まあ普通のビル銭だったけど、すごい立地なので、これからもランナーたちの憩いの場所であって欲しい。

僕はその後、神田で飲み会。二軒目、神田の阪神ファンの多い居酒屋で飲んでいたら、知らない周りのおじさんたちと阪神の応援ですっかり盛り上がり、こんど阪神戦に行くことになった。阪神の選手って金本以外誰も知らないんだけど・・・。でもまあ熱い阪神ファンを観察してみようと思う。

ジュンク堂書店で銭湯イベント

2009-06-26 00:44:35 | イベント
先日もちょっと告知しましたが、新宿のジュンク堂書店で「銭湯検定公式テキストⅠ」刊行を記念して背景画製作パフォーマンスのイベントがあります。
「銭湯ナイト」でお馴染みのお二人の出演する興味深いイベントですのでお時間のある方はぜひどうぞ!

中島盛夫×下北沢つかさ
日本に二人しかいない銭湯背景画絵師のパフォーマンスと掛け合いトークを!

■2009年7月11日(土)18:30~

日本人は世界に冠たる入浴文化を持つ民族だといわれています。入浴文化の一つに、みんなで一緒に入浴するという風習があります。この共同入浴の起源は、奈良時代の光明皇后による立願施浴まで遡ることができます。江戸時代には「銭湯」と呼ばれるようになり、庶民の憩いの場、情報交換の場として親しまれました。
こうした日本の入浴文化と、それを支えてきた銭湯を積極的に後世に語り伝えていくことは現代人の使命ですが、銭湯は今、時代の変化の中で一見その価値が見失われようとしています。しかし、特に人間関係が希薄になるといわれる都会においては、地域社会の交流やモラルを守る基盤として銭湯を見直す知性が復活しつつあります。
そこで、日本人ひとりひとりが「入浴」をとおして自分自身と家族、地域、社会、国家を見つめなおす機会を作り出すために、検定というイベントを企画いたしました。
この銭湯検定開始に当たり、このたび『公式テキスト』(社団法人日本銭湯文化協会編・草隆社発行)を刊行いたしました。これを記念して、銭湯文化の一端である「背景画」製作パフォーマンスをご覧いただきながら、毎日銭湯巡りの"吟遊詩人"下北沢つかさ氏との楽しい掛け合いを企画しました。

【講師紹介】
中島盛夫(なかじま もりお)
 昭和20年福島県生まれ。丸山清人氏と同じく丸山喜久男氏に師事。現在では日本に二人しかいない背景画絵師の一人である。最近では病院や老人福祉施設、個人宅などに背景画を描く依頼も受けているそう。主な担当は目黒区、品川区、世田谷区、北区、三多摩地区、神奈川県、千葉県、埼玉県の一部。

下北沢つかさ(しもきたざわ つかさ)
新宿・ロフトプラスワンで行われているトークイベント「東京銭湯ナイト」の常連出演者で、インターネット界最大の銭湯レポートを収録しているサイト「銭湯温泉サウナ王国」の主宰者。自身のプロフィールによれば、「今はフロ付きのアパートに住めるくらいにはなったのだけど(そのわりには内風呂はほとんど使わない)、あっしも極貧時代があって、まったく何のために生きてるのかわからん生活の中での、唯一の幸せは銭湯通い。まだ明るくて、人もあまりいない湯船につかると『ほぉぉぉ~』つーかんじで、『ああ生きててよかった』を実感するわずかな時間だった」というコアな銭湯ファン。2000年、世田谷美術館で行われた「銭湯パラダイス」で「銭湯界のカリスマ」町田忍氏と出会う。以後ステップアップした、新たな銭湯の旅が始まった。

★ 会場…8階喫茶にて。入場料1,000円(1ドリンクつき)
★ 定員…40名
★ 受付…7Fカウンターにて。電話予約承ります。
  ジュンク堂書店新宿店  TEL.03-5363-1300

「東京都北区赤羽 1」

2009-06-25 00:41:39 | 
本は、「東京都北区赤羽 1」。
清野とおる、という人の書いた漫画。



ときどきこの人の書いているブログをチェックしています。
東京都北区赤羽在住の彼が、日々遭遇する信じられないような人々との出会いを綴ったブログで、なんと言うか、赤羽は日本じゃないです。東京で出会うであろう人間の限界値を軽く超えています。
そんな不可思議な赤羽住民との出会いにはまり、まるでフィールドワークのように怪しい方、怪しい方へと探検した成果を漫画にまとめたこの本には、ブログでお馴染みの怪しい面々が総出演。ペイティさん、マスター夫婦、ジョージさん・・・、濃すぎです・・・。こういう人たちがフツーに生息できる赤羽はすごい町です。
で、なぜか、というか自ら進んでこうした出会いを楽しむ作者の勇気と好奇心は素晴らしい。ただ町を徘徊するだけではこうした出会いはありません。赤羽という町にある、見えない扉を開けて僕たちにその素晴らしい風景を見せてくれる探険家の日記としても楽しめます。

薄い本であっという間に読めてしまいますが、第二弾が楽しみです。

「清野のブログ」はこちら
http://usurabaka.exblog.jp/

「私は河原乞食・考」

2009-06-24 00:23:20 | 
本は「私は河原乞食・考」。ご存知、小沢昭一の処女作。



ストリップ、大道物売り、見世物口上、ホモセクシャル・・・、後の彼の放浪芸研究に通じる1969年の作品。
周辺に暮らすいろいろな芸人さんや商売人にインタビューを行い、さらにそれぞれの事象について考察しています。インタビューはみなあけすけで興味深く、飛田の特出し小屋の徳さんへのインタビューや、戦後京都で出合った流しの夫婦者との遭遇など、まるで宮本常一の「忘れられた日本人」のような味があります。
こうしたインタビューも、小沢昭一が外部から興味本位で行っているのではなく、演劇人=河原乞食としての意識を持つ彼だからこそ、より深いものになったのでしょう。

芸能と差別。しょうじき感覚としては実感できるものではありませんが、以下のような文章を読むと、ドキッとしてしまいます。
「流れの芸人には哀れさ、寂しさだけでなく、厳しさ、鋭さがある。それは漂白の遊行芸人の軒に立つ心の底に、社会の枠組みから外された運命に対する「のろい」が、その芸に込められている気がするからである。そしてその残影は今日の漂白芸の中にも生きているのである。」

この辺り、いつか小沢昭一さんにもう一度じっくり語ってもらいたいものです。おそらく最後の語り部だと思います。僕も頑張らねば・・・。

「山をたのしむ」

2009-06-21 23:00:00 | 
本は「山をたのしむ」。
梅棹忠夫先生、御年89歳の最新刊。



国立民族学博物館の館長だった梅棹先生の原点は、少年の頃の京都北山の山歩き。そこで、自然やフィールドワークの楽しさに目覚め、後年の業績に繋がっていく。
そんな梅棹さんと山のかかわりについて講演や対談で語った事柄をまとめた一冊。多少繰り返しも目立つが、なんと言うか、どれだけ山と探検が楽しかったか、というのがよく伝わってくる。三高、京大と戦前のエリートコースを歩みながら、山にはまって三高は2年留年(でもそれまでに2年飛び級!をしていたのでけっきょく元通り)、高校時代からイギリスの山岳書(もちろん原書)を参考に山の技術を学び、朝鮮半島に海外遠征を行い、大学でもモンゴルに渡る。モンゴルに行く理由が、ヒマラヤの未踏峰をチベット側から行けないか探るためというのが壮大すぎる。

とにかくやっていることがものすごくレベルが高く、ただ読んでいるだけで圧倒されてしまう。「地図の空白地帯」を埋める地理学上の発見を行うことが「探検」なんだという強い信念が彼の行動の基本となっていて、その為の行動力はとてもまねできない。文中の端々にでてくるエリート臭も、なにしろ本当にエリートなので反発も感じない。今も続く、中学高校の同級生たちとの固い絆は、そうした苦労と自負が培ったもの。

という訳で、戦前のナンバースクールというのはホントにすごかったんだとただ感心しながら読み終えた一冊。
繰り返し語る「今の若者はもっと山に行くべきだ」という言葉も、彼の業績や視野の広さを見ればとても説得力がある。まあ、山に行けばいいってもんじゃないんだろうけれど・・・。

松の湯@国立

2009-06-20 22:16:19 | 銭湯
今日は高尾で山仕事。
の後は軽く打ち上げをして、国立の銭湯、松の湯に。



ここは僕が最も好きな銭湯のひとつ。
どうも小さなかわいらしい銭湯に心惹かれる傾向があり、この松の湯もまさに小ぶりなかわいらしい銭湯。

駅から歩いて15分くらい。外観も特に装飾があるわけでもなく目立たないけれど、味があって良い。フロント式。
中も特別、何があるわけでもない。ビジュアルは丸山絵師の富士山のペンキ絵。3年ほど前に描かれたものだがけっこう劣化している。
お湯は地下水を使っているらしく肌に優しい。

でもこの銭湯、一番の魅力は、なんと言うかその静謐さ。文教都市、国立らしく静かな雰囲気で、お湯にぽつんとひとり浸かっていると、地方の町に旅しているような何ともいえない孤独を感じられて良い。
まあ、みんながこんな風に感じるわけでもないと思うが、僕はこの銭湯に入る度に、同じような想像をしてしまう。なぜだろう。とにかく落ち着く。

で、今日のお風呂の後は、銭湯に付き合ってくれた山仕事の仲間と二次会。ベジタブル台湾料理のお店、「中一素食店」に。国立はいろんなお店があるね。

銭湯ナイトの反省会

2009-06-19 23:15:20 | 東京ナイトイベント
今日は先日の「銭湯ナイト4」の反省会を行いました。
町田さんやつかささんなどが集まって、今回のイベントをいろいろ振り返りつつ、次回のイベントの内容も話し合ったりしました。

詳細はまだ詰めてはいませんが、「銭湯ナイト5」も盛り沢山な内容のイベントになりそうです。

それにしても、町田さん、つかささんのお話は飲み会の席でも本当に面白いです。ふたりとも地方の聞いたこともないような土地の銭湯もしっかり回っているので、で、その記憶力がすごいので、「四国のあの町の銭湯は~」とか「佐渡島の銭湯はさ~」とか話題は尽きることがありません。僕はただ、おふたりの話を横で聞いているだけですが、まるで自分もその土地を旅して激シブ銭湯を訪問しているようなワクワクした気持ちになります。
でも、そうした話の節々に「あそこは廃業した」とか「もうやっていないでしょ」とかの話が出てしまうところがさびしく、僕ももっと地方銭湯を回らねば、と強く思いました。

という訳で、「東京銭湯ナイト5」、2009年10月10日の開催を予定しています。皆様、今のうちにスケジュールの書き込みをぜひお願いいたします!

「小沢昭一的新宿末廣亭十夜」

2009-06-19 00:57:14 | 
本は「小沢昭一的新宿末廣亭十夜」(講談社)。



このところ、小沢昭一を読んでいます。いま一番話芸が上手い人だと思うので、去年は追っかけのようにずいぶん彼の公演に行きました。なんと言うか「間」の取り方が絶妙でいつ聞いても惚れ惚れしてしまいます。

で、この本、その話芸を存分に披露した末広亭での10日間の高座を記録したもの。4年前の高座だったらしいのですが僕はそんなことをやっていたとは露知らず残念なことをしました。昔の落語家さん、芸人さんの芸談を語ったり得意のハーモニカを吹いたりとなんとも気ままに楽しそうに勤めた高座の様子が伝わってきます。もちろん生で聞いた方が良いのでしょうが、文字で読むだけでもワクワクしてきます。このあたり志ん朝の落語を読むのと似ています。落語や芸能が好きな方なら、とにかく面白い本です。おすすめ!

なんだか、また小沢昭一の話芸を堪能したくなってきました。でも公演の情報を集めるのがけっこう大変なんですよね・・・。