東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

本を整理しています

2010-06-29 21:11:19 | Weblog
ここ数日、家にある本を整理しています。
あまりにも本が増えすぎて足の踏み場もなくなってきたので、泣く泣く捨てる本を選んでいるのです。

そこで気がついたことがいくつか。
まず、重複して買ってしまっている本が何冊もあったこと。
まあ、毎度のことなのですが、今回も複数書棚から発掘された本が出てきました。
中身を読まないでタイトルだけで買うことがあるので、気になるタイトルの本だとつい買ってしまうようです。
それにしても、一度読んだ本を気がつかずにまた買ってしまうとは、いったい本を読んだ意味が暇つぶし以外にあったのか疑問に思ってしまいます。
やれやれ。

あと、今回は雑誌をたくさん捨てました。
二年に一度はこうした蔵書の整理をしているのですが、これまで何度かの整理を生き延びてきた古い雑誌を捨てることにしました。
しかもそれ程の感慨もなくざっくり捨てたのです。後生大事に取っておいた雑誌に載っている「情報」がなんだか意味のないものに思えてきたのです。
そういえば、さいきんあんまり雑誌を買わなくなっているし、「雑誌」というメディアのパワーが落ちていることを強く感じました。

このブログには書かなかったのですが、「電子書籍の衝撃」という新書を読んだばかりで、来るべき新時代の予想に対して、「なんだか大げさだな」と思っていたのですが、こんなにあっさり「雑誌」の魅力がなくなってみると、「書籍」に関しても、いつか手のひらを返す時が来るような気もします。

もっとも、雑誌を全部捨てた訳じゃなく、しっかり保存したいものもあったので、媒体というよりコンテンツの賞味期限という気もしますが・・・。

最後に思ったのが、「自分の本棚ってすごく面白い本ばかり揃っている」という事。
さいきんセレクトショップの様な本屋が流行っていますが、どの本屋に行ってもそれ程ピンと来ません。
でも、自分の本棚はさすがに気になる本ばかりが揃っています。おまけに本の内容もうまい具合に忘れてしまっているので、新鮮な気持ちで見ることが出来ました。
って、いいのかどうか・・・。

「ぼくらが夢見た未来都市」

2010-06-27 07:51:13 | 
ここしばらく更新をサボっていました。
理由は「ワールドカップ」。
開催前は全く興味もなかったのに、俄かサッカーファンとして連日、TVの前で夢中になっています。
かなり寝不足気味ですが、面白いですね、サッカー。
でも、4年前も同じ様なことをしていて、ワールドカップが終わると、全くサッカーに興味を失ったような気も・・・。

で、本は「ぼくらが夢見た未来都市」(PHP新書)。
建築史家・評論家の五十嵐太郎と、建築ジャーナリストの磯達雄が、万博、SF小説、建築家の都市計画案などを通じて、当時描かれた「未来都市」を語ります。



「未来都市」像は、描かれた時の時代状況によって大きく変わっていきます。
きらきら輝く未来もあれば、デストピアとしての悲惨な描かれ方もあります。
僕が小学生の頃、「21世紀」ってもっともっとすごい時代だろうと漠然と想像していました。上の絵のような「懐かしい未来」です。
でも、高校生の頃になると「AKIRA」や「ブレードランナー」、「メトロポリス」の様に無邪気な輝きを失っていきます。
なんだか終末観的傾向に流され、大地震が起こらないかと考えたりもしました。

そして現在。未来がどうなるのか、想像する事も出来ません。
まあ、そんなに輝いてはいなさそうです。

でも、こういう「未来像」ってどういう風に形成されるのでしょうか?
この「ぼくらが夢見た未来都市」でも、少しだけ触れられていますが、書き下ろし原稿ではない事もあり、断片的な事象の紹介に留まっています。
面白いテーマだと思うのですが。

あと、この写真は藤森照信の『東京計画2101』。2006年、ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展に出品した模型作品で、地球温暖化が進んで水没してしまった未来の東京の姿。この白い建物は木造(!)の高層ビルです。
こんな未来イメージがなんだかしっくりきました。



なんだか本の紹介になりませんでした。寝不足なのです・・・。

「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」

2010-06-18 07:45:48 | 
本は「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」。
もう20万部突破だそうです。



著者は、スタンフォード大学で起業家精神とイノベーションの講座を担当している女性教授。自身も、科学者であり、起業家、著者など様々な経験を積んでいます。

本書は著者がそうした経験を積む中で出会った人や大学の授業で行った授業について語っています。
内容は「人が成長するためには、今いる場所から飛び出すことが大切。視点を変えて周りを見渡せばイノベーションの余地はそこらじゅうにある。リスクを取ってでもトライすることで世界は広がり、次のステップにいけるはず。そしてチャレンジする許可を与えるのは自分自身。レッツトライ!」、と言った感じです。
具体的な事例がたくさん出てくるので「自分も出来るかも、やらなきゃ」という気になってきます。

読んでいて、ここ数年、ロフトで行ってきた「東京ナイト」イベントの事を考えました。ひょんなきっかけで始めたイベントでしたが、実際にトライしてみると、これまでと大きく違う世界がありました。何より、舞台を見る側から立つ側になったという経験は大きな発見と自信になりました。
これからも、こうした新鮮な発見が出来るようにイノベーションの種を探さなきゃという思いを強くした一冊でした。
読んだ人は何かしらヒントになることが見つかると思います。オススメ!

明治屋@阿倍野

2010-06-17 07:30:47 | グルメ
出張の楽しみは、銭湯のほかにもうひとつ。
居酒屋めぐりです。
まあ、東京にいる時とそんなに変わりませんが・・・。

今回は、天王寺の葆光荘という旅館に泊まりました。
畳の部屋が好きなので、それだけを手がかりに適当に検索したのですが、駅からすぐなのに静かでリーズナブルな良い宿でした。朝食も美味しいし。
これから大阪に行くときは定宿にしようと思います。
http://www.hokousou.com/

で、宿の近くの居酒屋と言うことで思いついたのが、かの有名な阿倍野の「明治屋」。



昭和13年創業。写真の通りの渋い佇まいのお店。阿倍野のちんちん電車通りですごい存在感を示しています。
これまで何回か行ったことがありましたが、お店の人の愛想の悪さに「二度と行かない」と決めしばらく遠ざかっていました。
でも、駅前再開発の様子を見たら、「もう最後かもしれない」と思って再訪。

愛想の悪さは相変わらず。
とにかくこの佇まいで、常連だけじゃなく一見さんも押しかけるので店内は常に満員。「お客が来るのが当たり前」と思っているのでしょう。
でも、やっぱりこの雰囲気は最高です。
渋く黒光りするカウンターや銅製の燗器、壁に貼られた銘酒の名前をぼんやり見ながらひとり杯を重ねました。
常連さんたちが賑やかに話しています。もう何十年と、毎夜続いている光景でしょう。

隣に座っていたおっちゃんは、週に二度は必ず来るという常連さん。
いろいろ話したのですが、彼がポツリと「この店、愛想も悪いし高いし、気に触ることばっかりや。でもなんでか毎回来てしまうんや・・・」と不思議そうに言っていました。
確かに。
満点と言うわけじゃないけれど、長い年月だけが生み出す不思議な磁場のあるお店です。

天明湯@阿部野区文の里

2010-06-16 22:01:57 | 銭湯
火曜、水曜と大阪出張に行ってきました。
で、銭湯は阿倍野区文の里にある天明湯。



銭湯に着いたのは7時ちょっと前。
中に入ると浴室の電気が消えています。
「あれ、お休み?」と思ったのですが、ステテコ姿のおじさんが「いいよいいよ」と電気をつけてくれました。
で、電気をつけた後、奥に呼びかけると、女将さんが登場。
ステテコおじさんは常連さんで、雨の中、わざわざ来た見知らぬ客の僕に気を使ってくれたようです。

女将さんに話を聞くと、なんといつもは7時に閉店との事。でも、「気にしなくていいからゆっくり入ってください」と笑顔を見せてくれました。
そうは言っても、ちょっと巻き気味で服を脱ぎます。
御影石の浴槽に入ると、大阪に来たな~という気になります。
ビジュアルは奥の壁に「富士山と空を飛ぶ天女の図」。

で、ぱっと体を洗ってすぐに出ました。
出るとさっきのステテコおじさんと女将さんがまだ話していました。
のんびりしていますね。

その後、僕も女将さんといろいろ話させてもらいました。
お客も少なくて営業は赤字でも、常連さんもいるし、話をするのが楽しいから続けているとの事。
やわらかい大阪弁で笑顔でいろいろ話してくれます。
僕もけっこう話しこんでしまいました。

という訳で、大阪の懐の深さを感じさせる良い銭湯。
こういう女将さんのいる銭湯が自分の住む街にあることは、とても幸せだと思います。
もっとお客さんが増えると女将さんも喜ぶと思うのですが・・・。

毎週水、金休み。営業は16:30~19:00との事です。

「岩山」クライミング

2010-06-14 07:37:43 | 山のぼり
昨日は栃木県鹿沼市にある「岩山」という山でクライミングを練習してきました。



岩山は標高は低いのですが、その名の通りの岩山で、比較的易しいクライミングエリアとして地元では知られているようです。
この日も地元の山岳会が練習に来ていました。

で、今回僕たちを連れて行ってくれたのは、60歳前後のおじさんたち3人組。
みんな山のベテランばかりです。

みんな「クライミングなんて久しぶり」と言いつつ、ムーブもばっちりで、華麗なクライミングを披露していました。ほんとかっこいいです。
でも、60歳のおじさんたちが、岩の前で、この岩の弱点はどこかを議論しあっている姿はまさに「やんちゃなガキ」。
男はいくつになっても「ガキ」だな~と再認識しました。

という訳で、久しぶりのクライミングでしたが、腕がパンパンになるくらい堪能しました。面白かった。
夏には大きなクライミングの計画が待っています。
それまでに少しでも鍛えておかなければ・・・。

「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」

2010-06-12 23:12:09 | 映画
映画は「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」。

松田翔太、高良健吾、安藤サクラの若い俳優たちのロードムービー。

施設で育ち、今は工事現場で働く日々。
出口が見えない日常。
そんな日常を思い切って破壊してみたものの、閉塞した状況は変わらない。
みんなつながりたいけど、逆に些細なことから諍いを始めてしまう。
その先に待っているものは・・・。

観ていて「ストレンジャーザンパラダイス」を思い出した。
でもこっちの映画はちょっと違って、出口のない状況を淡々と描くだけでよかったのに、なんだか映画的な「オチ」をつけてしまう。
蛇足だよ。残念。
これでは「オチ」が救いに感じられてしまう。
出口のないことがリアルなのに。
もう少し頑張れば傑作になったと思った。

俳優たちは良かった。
特にかよちゃん役の安藤サクラ。奥田瑛二の娘だって。
小劇場出身の無名な人をキャスティングしたらもっとリアルでよかったのに。
でもラストシーンの表情は菩薩のように美しい。



エンドロールで流れていた阿部芙蓉美の唄。
歌詞は岡林信康。こんな唄が似つかわしい時代になっちゃったんだね。
http://www.youtube.com/watch?v=9a5Evs4vwg0

地酒屋 こだま

2010-06-11 22:28:51 | Weblog
今日は会社帰りに友人が経営する「地酒屋 こだま」に顔を出してきました。

このお店は日本酒好きの友人が、念願かなってこの6月にオープンしたばかりのこだわりの日本酒専門酒屋。
大塚駅から歩いて5分ほどの立地です。

先日も日記に書いたので覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
http://blog.goo.ne.jp/mask1970/e/4f4e84a7d246e88a51bfc029b0310506

正式オープンは6月1日。
まだ出来立てほやほやで、友人もあれやこれや忙しそうでしたが、快く迎えてくれました。
さっそく、このお店のオープンのために全国から選び抜いたこだわりのお酒を試飲させてもらいます。
そう、このお店は、ただ買うだけでなく、その前に試飲させてくれるのです。
しかも毎回かなりの量を注いでくれて、それだけでも良い気持ち。

で、当然の事ながら本当においしい!
前のお店の流れで会津の地酒が中心ですが、他にも福岡の「山の壽」、長野の「勢正宗」など東京ではめったにお目にかかれないお酒も揃っています。
さらに有料試飲もできるので調子に乗って1時間以上居座ってしまいました・・・。

途中、入れ替わりいろんなお客さんがやってきます。
これから持ち寄りの会があるので珍しい酒を買いに来た日本酒マニアさんや、地元のお父さんにプレゼントするお酒を買いに来た青年、好きなお酒をいつも買いにくるという美しい女性・・・。
お客さん一人ひとりのニーズや嗜好に合わせ、熱心にお酒をセレクトしている友人は、ちょっと前までサラリーマンをやっていたとは思えない本当の「地酒屋」でした。

という訳で、日本酒が好きな人も、日本酒の美味しさがいまひとつ分からないという人も、ここ「地酒屋 こだま」を一度は訪れてみてください。
きっと日本酒バカの熱い男があなたに合ったとっておきの一本を教えてくれると思います。
ぜひ!

地酒屋 こだま ホームページ


「ミツバチの羽音と地球の回転」

2010-06-06 23:37:21 | 映画
土曜日はいろいろ。
日本民藝館に行って、新国立美術館で「ルーシー・リー展」を見て、その後、新宿で糞土師・伊沢正名さんの写真展に顔を出し、最後は四ツ谷で映画「ミツバチの羽音と地球の回転」を観ました。

この映画は「六ヶ所村ラプソティー」の鎌仲ひとみ監督の最新作。
2006年10月に「六ヶ所村ラプソティー」を観てこんな感想文を書いています。

~青森県六ヶ所村で稼動しようとしている核廃棄物再処理施設を巡り、六ヶ所村の人々や、既に稼動しているイギリスの人々を2年間にわたり取材したドキュメンタリー映画。

じつにじつに考えさせられる映画。

単純な「原発反対! 再処理施設は白紙撤退!」というメッセージ映画じゃ全然ない。
とにかく、「今、何が六ヶ所村で起こっているのか? 村の人、近隣の人は何を思っているのか?」ということを丁寧に、慎重に取材している。

原発推進派の人々にも取材。
あるいはかつては反対していたが、今は生活のために・・・という人も。
問題は「核」だけではなく、仕事のない地方の現実、増え続けるエネルギー消費、そして、放漫にエネルギーを使い散らす僕たちの生活まで、複合的に絡み合っている。
単純に、核廃棄物再処理施設がなくなればいいという訳じゃない。

まずは「何が起きているのか」を知ることが必要。
僕はこれまで、六ヶ所村という名前は知っていたが、(行ったこともあるが)、そこで何が起きているか想像したこともなかった。

映画の中で、無農薬のお米を作り続けるおばあちゃんが言った言葉。
「核の問題では、中立と言う立場はないんだ。心情的には反対でも、反対!と声を上げないと結果的には賛成したことになる。反対と言うのはめんどくさいけど、こんなことには賛成しちゃいけないよ」

素晴らしくいい顔をしたおばあちゃん。
田植えの時、苗に「がんばれよ」と声を掛けながら一生懸命作ったお米。でも、これまで買ってくれていた都会の消費者は、六ヶ所村の近くで作っているから、安全性に疑問があるからという理由で購入を止めた人が相次いでいると言う。
(そんな事を言われ、でも地元に住むしかないおばあちゃんは、どんな気持ちだろう)

こうしたおばあちゃんの思いをマスコミはまったく取り上げない。
今回のポレポレでの上映もマスコミは無視。
かなりの圧力がかかっているのではないか? とのこと。

北朝鮮が、核開発! なんて騒いでいるけど、
すでに六ヶ所村では核爆弾に転用できるプルトニウムが45トンもあり、再利用の目処もまったく立たないまま(海外では計画の見直しが相次いでいて、推進しているのは日本だけ)、次々と計画は進められている。
で、そのことはほとんど報道されていない・・・

マスコミの機能不全は、今に始まったことではないけれど、
小泉以降の傾向は、居酒屋と銭湯が好きな非政治的人物の僕でさえも「やばい」と感じている。

マスコミがダメなら、口コミだ!
まずは、自分たちが「知ること、考えること、何か動くこと」。

とにかく、原発のことだけでなく、いろいろな事を考えさせられる映画。
ぜひぜひ、見て欲しい!!
そして、少しでも多くの人に口コミして欲しい! ~




で、今回観た「ミツバチの羽音と地球の回転」はこの「六ヶ所村ラプソティー」の続編とも言える作品。

「六ヶ所」が「知ること」を目的とした映画だとしたら、今回の「ミツバチ」は「行動すること」を目的としている映画だと思いました。

山口県・祝島。
人口500人の小さな村ですが、この村の対岸で計画されている原子力発電所の建設に反対している島民が今回の主人公。この反対運動はなんと30年近く地道に続けられているのです。

「六ヶ所」の時は推進派の人に話を聞いたりしていますが、この映画では一切そうした人に取材はしていません。
あくまでも「反対」という目線で語られます。

反対運動の中心は島で農業、漁業をしながら暮らす老人たち。特におばあちゃん達が元気です。「絶対反対」の鉢巻を頭に巻いて毎週1回、島をデモ行進しています。
しかし、計画を進める中国電力は島民との話し合いに応ぜず、着々と着工に向けて準備を進めていきます。
こうした光景は、現在日本で稼動する54基の原発を作るときどこでも見られたものでしょう。

で、映画の取材スタッフはスウェーデンに飛びます。
この国は風力、波力、太陽光発電など自然エネルギー大国。
1980年代に電力事業は自由化され、市民はコストとエコロジーの両面を考えながら自由に電力会社を選ぶことが出来るのです。
地域の暖房は温水を使い、電気自動車が街を走り、最新の波力研究が進む国・・・。

世界最先端の自然エネルギー政策が紹介されますが、翻って日本では・・・。
30年前に計画された原発の計画が、何も変わることなく地域の反対を押し切って進められています。

自然エネルギーの分野では売上高1兆円を越す企業が続々と生まれています。
欧米だけでなくこの分野への中国の進出も著しい状況です。

しかし日本は毎年20兆円規模の石化エネルギーを海外から輸入して、狭い国土に50基以上の原発を稼動させています。

正直、日本は周回遅れのランナーになってしまった気がします。
硬直したエネルギー政策は、今の閉塞した日本社会の象徴でもあると思いました。

という訳で、この映画は「何かしなくちゃ」と思わせる力を持った映画です。
「原発反対」のメッセージ映画という枠を飛び出し、新しいエネルギーの可能性や日本が何を選択していくのか、世界の中でどう生きるのか、毎年20兆円もの石油を買う余裕が今後もあるのか、自然エネルギーを活用した地方経済の新しい可能性などいろいろな事を考えるきっかけになりました。

まずは少しでも多くの人にこの映画を見てもらいたいです。
自主上映会などの動きも活発なようです。ぜひ!
http://888earth.net/index.html

「ペヨトル興亡史」

2010-06-04 23:20:15 | 
本は「ペヨトル興亡史」。



かつて、ペヨトル工房という出版社があって、高校生の頃、この出版社が出す雑誌「夜想」を耽読していた。

「夜想」は異端的、耽美的なテーマを特集する雑誌で、今から考えてもかなり先鋭的な内容だったと思う。
「オペラ」ではクラウス・ノミを知り、「テロ」では都市で孤独な戦いを繰り広げる革命戦士を想像し、「畸形」では禁書を読んでいるかのような静かな興奮を覚えた。

もう20年以上前に読んだ雑誌なのに、いくつかの特集の内容ははっきり思い出すことが出来る。

で、この本は、2000年に解散したペヨトル工房主催者、今野裕一さんが書いた創業から解散にいたる20年の記録。
懐かしい特集の思い出話だけでなく、解散に至る生々しい取次とのやり取りなども記録され、出版業界の裏話としても読めた。

高校生の頃あれほど読んだ「夜想」もある時期からまったく読まなくなっていて、ペヨトルが解散したことも知らなかった。
読まなくなったのは、僕が大人になったと言うこともあると思うけれど、「雑誌」という媒体の持つパワーが落ちてきたからかもしれない。
解散の頃は、ちょうどインターネット黎明期で、この本にもテレホーダイとか懐かしい言葉が出てくるけど、そうした情報やメディアの変革期を迎えたこの時代と「夜想」の様な、ある意味「指導的」な雑誌が合わなくなってきたのかもしれない。

情報の量は今のほうが圧倒的に多くて、例えば「夜想」の誌面から想像するしかなかったクラウス・ノミの歌う姿もネットであっという間に検索できる。
でも、僕は、細かい級数で書かれた「夜想」で、ノミの事を想像していたあの時間を持てたことを幸せに思う。
情報はあればいいってもんじゃないよね。
iPadやその先の電子書籍が普及した次の時代、紙の本を後生大事に溜め込んでいた今の事をたぶん懐かしく思うんだろう。


で、「夜想」。
当時のスタッフ達が集まって復活してたみたい。
イベントとかも頑張っているみたいですごいです。
http://www.2minus.com/index.html