東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

舞台『私の恋人』@本多劇場

2019-09-03 23:58:42 | ライブ、芝居、演芸など
昨日は、渡辺えりさん、小日向文世さん、そして、のんちゃん出演のオフィス3○○の舞台『私の恋人』@本多劇場



もちろん、のんちゃんの初舞台が目当てでした。
芸達者な二人の大先輩に混じり、のんちゃんも含め3人で30役をめまぐるしく演じるという展開。
ストーリーは時間も空間も錯綜し、展開も早く付いていくのがやっと、というか途中からよく分からなくなちゃった。

とは言え、決して退屈ではなく最後まで楽しく見ることができました。
その理由は、3人の安定した演技。
特に、のんちゃんは舞台上でも独特の存在感で光り輝いていました。
本当にすごい女優さんだな~。
最初の登場シーンから、髪を上げた少年役が可愛らしく、メガネを掛けたり、アボリジニになったり、セーラー服を着ていたりとほんと次から次への早着替え。
コメディエンヌ的な才能も感じたし、何より、のんちゃんが楽しそうに演じているのが何より。

本多劇場という箱もベストだし、満足でした。
次はもう少しじっくり見られるようなお芝居希望です。



白石加代子女優生活50周年記念公演「笑った分だけ、怖くなるvol.2」

2017-12-11 23:49:08 | ライブ、芝居、演芸など
白石加代子のことは前からその強烈な存在感が気になっていたんだけど、見たことはなかったので行ってきました、白石加代子女優生活50周年記念公演「笑った分だけ、怖くなるvol.2」。



同じ状況劇場出身の佐野史郎との二人芝居。
筒井康隆の「乗越駅の刑罰」、井上荒野の「ベーコン」の2つの短編小説を原作にそれぞれ1時間ほどの、なんだかちょっと怖い物語を達者なふたりが演じています。

特に筒井康隆の「乗越駅の刑罰」は面白かった。
切符を買わずに列車に乗ってしまったひとりの作家が、ひなびた駅で降りようとしたところ、「キセルの罪」で駅員からひどくいじめられる不条理な物語。
意地悪な駅員役を白い顔の白石加代子が実に楽しそうにやっていて、ねちねちキセルの罪を問うところとかいやーな気持ちにさせられます。
最初は「たかがキセル」と余裕こいていたのに白石加代子に翻弄され、だんだん逃げ道を失っていく佐野史郎もはまり役。
といっても二人だけの朗読劇なので、時に佐野史郎が駅員役に転じたりあえてバタバタな雰囲気を楽しませてくれるところが、単調にならず、さすが芸歴50周年といったところ。

舞台美術もシンプルだけど美しく、佐野史郎が選曲したという音楽も素敵だったし、何というか派手さはないけど大人のお芝居で贅沢でした。
で、見に行ったのは亀戸の劇場だったので、芝居が跳ねた後は近くの銭湯「隆乃湯」に行って、路地感が心地よい「ホルモン青木」で遅い夕食。
お店は客層も含めてなかなか興味深く、こちらも楽しかった。

という訳で、やっぱり白石加代子はただ者じゃないと感じた一夜でした。

NODA・MAP第18回公演 『MIWA』

2013-10-10 07:23:52 | ライブ、芝居、演芸など
という訳で、8日(火)、東京芸術劇場でNODA・MAP第18回公演 『MIWA』。



宮沢りえを観に。
彼女が美輪明宏の半生を演じるお芝居『MIWA』。
『盲導犬』に続いての古田新太との共演だけど、前作と違い、舞台には活き活きとした空気が流れ、役者たちが躍動。
一瞬たりとも飽きさせないように目まぐるしく変わる舞台は、忙しかったけど楽しかった。

美輪明宏の波乱の半生を描いているけど、ザッピングのようにシーンが目まぐるしく変わり続けるので、物語として深くは入り込めない。
とは言え、だからこそ出せる、このスピード感は快感。
こんなに展開が早いお芝居は初めてかも。

舞台の転換も早く、プロジェクションマッピングも活用して、ここでもスピードが勝負。

宮沢りえも、長台詞をよどみなく啖呵を切るようにポンポン発する。
何より美少年役がよく似合っていた。
幼年期の青い制服の衣装、スラリと伸びた手足に合って美しい。
それに、小さい頃から耳目を集める運命は、美輪明宏と同じと思うので、彼女もこの役には色々感じることもあったはず。
宮沢りえのお芝居はずいぶん観ているけど、今回が一番印象的。
本当に圧倒的な存在感だった。当たり役。

古田新太の存在感もすごい。
美輪明宏の「男」の部分をアンドロギュノス役として演じていた。
宮沢りえとの息もぴったりで、コミカルな味も出せるし、良いキャスティング。

他に、三島由紀夫役の野田秀樹や、何故かキューバに行っちゃう青木さやかも良かった。

あと、衣装。
群衆のシーン。60年代風のカラフルな衣装とかすごく舞台映していて楽しかった。

と、絶賛のお芝居だったけど、唯一の不満は席。
S席にも関わらず、なんと2階の最後列!
これでS席ならA席はどこ?っていう感じ。
席運の悪さはしょうがないけど、これじゃあんまりだよ。
宮沢りえをもっと近くで見たかったな~・・・。

『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市」より-』@シアターコクーン

2013-07-18 22:36:47 | ライブ、芝居、演芸など
という訳で、先週10日(水)、渋谷にお芝居を観にいってきました。

『盲導犬-澁澤龍彦「犬狼都市」より-』@シアターコクーン



作:唐十郎
演出:蜷川幸雄
出演:古田新太、宮沢りえ、小出恵介、小久保寿人、大林素子ほか

去年、同じ唐十郎×蜷川幸雄×宮沢りえの組み合わせで、本当に感動的なステージだった「下谷万年町物語」。
あの時の、宮沢りえの圧倒的な存在感。
それを楽しみにしていたのですが、今回はしょうじき少し期待外れでした。

舞台は前作とはうってかわって、コインロッカーが舞台に並ぶだけのシンプルなもの。
その前で、唐芝居らしく、あふれるように台詞が紡がれていきます。
舞台は動乱の70年代。
盲人、古田新太が、決して従わない盲導犬ファキイルを探しています。
その前に現れたのは、不良少年の小出恵介と、コインロッカーに詰まった爪を燃やす謎の女、宮沢りえ。
この3者の掛け合いで物語りは進んでいくのですが、しょうじき、あまり物語りは展開せず、ずっとコインロッカーの前から動けない印象。
宮沢りえの演技を一番の楽しみにしていましたが、今回は何故か、それ程のオーラは感じず、むしろ演出や台詞廻しの古臭さが目立った気がします。

「下谷万年町物語」の宮沢りえは登場しただけですごいオーラを発していて圧倒されたのになんとも不思議です。
汚れてはいても、「掃き溜めに鶴」だった前作と比べ、昔の彼との思い出に縛られコインロッカーの前から動けない、という役柄の小ささによるものなのでしょうか。

いっぽう古田新太は、焦燥感や狂気を醸しだしながらも時々笑いもはさんで孤軍奮闘。
でも見ていて時々、「太巻社長」って言いたくなっちゃいました。

あと、大林素子も、高身長を活かした役柄でなかなか良い感じ。
こういうキャスティングはおもしろいですね。

という訳で、チケット代があそこまで高くなければ、「まずまず」とか言えましたが、頑張ってS席を取った割には、宮沢りえの魅力が感じられなかったという感想でございます。

「チベット フェスティバル トウキョウ 2013」@護国寺

2013-05-04 00:19:41 | ライブ、芝居、演芸など
という訳で、今日は護国寺で開催中のイベントに。

「チベット フェスティバル トウキョウ 2013」
中国に弾圧され亡命中のチベット人僧侶たちが24人も来日。
護国寺の全面協力で、砂曼荼羅を描いたり、チャムと呼ばれる仮面舞踏劇を演じたり、チベット料理を食べられたりするプログラム。

僕は、日本ではほとんど観ることができないと思われる仮面舞踏劇を目当てに行ってきました。
ステージは、重文に指定されている護国寺の本堂の前。
建物の周りには色鮮やかな幕が飾られ、雰囲気はとてもよい。
で、夕闇迫る中、ホルンのようなチベットの楽器の調べが開幕を告げます。

「ブオー」。
なかなか迫力があってワクワクしてきます。

踊るのは8人の僧侶。
喇叭や太鼓などの伴奏に合わせ、骸骨姿になったり、華やかな衣装を身にまとったり、チベットのお面を被ったりとさまざまな踊りを披露してくれました。
踊りといっても、本来は、調伏などの意味を持つ密教舞踏。
それぞれのステップには意味があり、そのための修行を積んだ僧侶が厳粛な表情で舞っています。

ステップの基本は、片足立ちになってくるくる回るもの。
リズムを変えながら、よくよろめかないでできるなと感心するほど回ります。
運よく最前で観ることができたので、幻想的な舞台を堪能できました。

あと、16人の僧侶たちによる「カンソ」という詠唱もすばらしかった。
これは少ししか披露されなかったのですが、1時間くらい聞きたかったです。







という訳で、なかなか観る機会のない貴重な舞台でした。
最後、ダライラマ法王日本事務所の方が出てきて挨拶されたのですが、今回のイベントは護国寺の協力があったからこそ、とのこと。
いろいろ政治的な問題もあるのでしょうが、こういう機会を作った護国寺の方にも拍手をしたいと思いました。

このイベントは5月6日まで。
興味のある方はぜひ!

「チベット フェスティバル トウキョウ 2013」HP

宮沢りえ主演『今ひとたびの修羅』@新国立劇場

2013-04-06 13:16:46 | ライブ、芝居、演芸など
去年、渋谷のシアターコクーンで宮沢りえさんのお芝居、『下谷万年町物語』を観ました。
彼女の舞台を観たのはその時が初めて。
で、宮沢りえさんが、舞台に登場した途端、急に舞台の空気が変わったのが分かりました。
本当に見事な存在感に感心して、以来、何度か舞台を観ています。

『下谷万年町物語』の観劇記

昨日は、新国立劇場で初日を迎えた舞台、『今ひとたびの修羅』を観てきました。
主演は、宮沢りえさんと堤真一さん。
他に、風間杜夫、小池栄子、岡本健一などが共演していました。



結論から言うと、しょうじき、宮沢りえさんの魅力がまるで引き出されていなくてがっかり。
別にこの役は、彼女じゃなくても良かったと思うし、むしろその方が良かったかも。

物語は昭和初期、渡世人の堤と、その連れ合いの宮沢がいろんなしがらみや事件から、なかなか添い遂げられない、といったもの。
男と女の出会いと別れを描いているのですが、新国立劇場の回り舞台の装置を駆使して、とにかく忙しく舞台転換して、さまざまな時間と空間を描きます。
今回、一番頑張っていたのは、舞台美術のスタッフさんかも。

ただ、新国立劇場の空間の大きさと、描かれている物語の小ささが合わなくて、ただただ忙しい舞台転換ばかりが印象に残ってしまいます。
しょうじきストーリーと台詞が薄っぺらなので、舞台転換が多いのは書き割り感が増してむしろ逆効果だった気が・・・。

前回のお芝居であれほどの存在感を放っていた宮沢りえも、今回は薄っぺらな台詞でやりにくそう。
しょうじき主役二人の関係がきちんと描かれていないので、その二人がくっつこうが分かれようが、いまいちピンと来ません。

うーむ・・・。
むしろ、渋い渡世人の親分を演じた風間杜夫や、小説家の旦那に捨てられてしまう小池栄子の方が感情移入できます。
と言っても、なんで親分はあそこまで堤に肩入れするんだ?とかいろいろ不思議な気もするんだけど・・・。

という訳で、今回は本当に残念。
役者を生かすも殺すもやっぱり「物語」なんだなと思った次第。

あ、あと、新国立劇場の椅子がすごくチープでこれもがっかりだったかも。
うーん、褒めるとこないのが残念っす。

とても濃密な90分のライブ/パティ・スミス@SHIBUYA-AX

2013-01-22 22:24:51 | ライブ、芝居、演芸など
高校生の頃から好きだったレコード(!)を今も部屋の壁に飾っています。
The Velvet Underground、Klaus Nomi、Television、そしてPatti Smith。

みんな70年代、80年代にニューヨークで活躍した人たちですが、その一人、ニューヨーク・パンクの女王パティ・スミスが日本にやってきたということで、ライブに行ってきました。

Patti Smith and her band JAPAN TOUR 2013
@SHIBUYA-AX

会場の渋谷AXは満員。
おじさんばかりかと思いきや、けっこう若い人も多くてびっくり。
何で知っているんだろう?
って、僕も同時代じゃなかったけど。

で、パティ・スミス、御年66歳とのことですが、変わらぬかっこよさ。
緊張感と切迫感のある独特の声質。
「Radio Ethiopia」の頃とほとんど声が変わっていない。
声量もあったし、何よりオーラがすごかった。

バンドメンバー4人に日本人の和太鼓をサポートに加え、とても濃密な90分のライブでした。
MCではしきりに東日本大震災のことに触れ、被災された人たちへの連帯を表明します。
まさに「People Have The Power」です。

5列目くらいでずっと聴いていたのですが、隣の女の子は感動して泣いていたし、後ろからどんどん人が押してくるし、ライブ後半は特に盛り上がりがすごくてもうくたくた。
でも本当に素晴らしいライブでした。

最近はアイドルにはまって、ロックとかぜんぜん聴かなくなっちゃったけど、やっぱり本物の持つパワーってすごいんだな、と改めて感じました。
それにしてもパティ・スミスのレコードを聴いていた高校生の頃、まさかライブを見る日が来るとは思っていなかったな。

Patti Smith Gloria

JaZZ JAPAN創刊2周年記念 山中千尋トーク&ライヴ@新宿タワーレコード

2012-09-20 21:40:07 | ライブ、芝居、演芸など
という訳で、今日はジャズピアニスト山中千尋のフリーライブに行ってきました。

こんなにアイドルにハマる前は音楽に関し雑食系で、民族音楽やジャズ、ロック何でも聴いていたのですが、山中千尋さんもよく聴いていたアーティスト。
でも、ライブに行った事はなかったので、タワレコでフリーライブがあると言うことでさっそく行ってきました。

いやーかっこよかったです。
はじめて見る山中千尋さん。
常に伏し目がちでシャイな雰囲気のメガネ文系女子。
でもスタイルがすごく良い美人さんです。

で、そんな彼女が奏でる力強く自由なピアノ。
伴奏はバークリーの後輩というイケメンのベースマンひとり。
あんまりジャズのライブの経験は無いのですが、あんまり難しく考えずに、ピアノの音を追いかけるだけで、素直に楽しめました。
3曲演奏したのですが、最後の「So Long」という曲が楽しくて良かった!

それにしても、山中千尋クラスの大物がインストアで聴けるってすごい事ですよね。
今回は、「JaZZ JAPAN」というジャズ雑誌の企画で、彼女も「私のイベントじゃなくて、雑誌のイベントなんです」と何度も言っていましたが、集まったほとんどのお客は彼女の演奏を聴きに来たわけで、まあ贅沢ですよね。
ちなみにほとんど男性。
ジャズ界のアイドルといったところでしょうか。

あと、12月にはブルーノートでの2daysがあるそうです。
スタンダードなジャズナンバー中心とのことなので、初心者にも楽しめそう。
行ってみようかな。

山中千尋 Live In New York ~So Long~

三谷文楽 「其礼成心中」 @渋谷 PARCO劇場

2012-08-22 07:47:18 | ライブ、芝居、演芸など
という訳で、今日は渋谷でお芝居。
三谷幸喜が文楽に挑んだ「 其礼成心中(それなりしんじゅう)」。

いやー、笑いました。
文楽でこんなに笑ったのはもちろん初めて。
三谷芝居で先日観たチェーホフは消化不良でしたが、今日の文楽は相当の出来でした。

「其礼成(それなり)心中」というタイトルは、もちろん近松門左衛門の「曾根崎心中」のパロディー。
物語も近松が「曾根崎心中」を書いたその後、という設定。

芝居が評判となり、影響を受けた訳ありの男女が曽根崎に集まってきてしまい、やたらに心中しようとするので、近くの饅頭屋は客足が遠のいて大迷惑、という場面から話が始まります。
困った饅頭屋の半兵衛は、心中を阻止するためパトロールを開始。
するとそこに心中するために油屋の手代とお嬢様がやってきて・・・。

という感じでテンポ良く物語りは進みます。
もちろん「文楽」なので、太夫が朗々と語り、三味線も太夫の義太夫節と一緒にリズムを作って、人形遣いが文楽人形を操ります。

でも、そこは三谷芝居。
太夫の台詞にちょいちょい「パトロール」とか「ハートにずっキュン」とか現代語が入ってきて、その度に笑いを誘います。
ちゃんと義太夫節の節に合わせて違和感なく入っているので、余計面白いんですよね。

あと、人形の動きもアクロバティック!
半兵衛が水に飛び込むシーンがあるのですが、文楽人形にこんな動きが出来たんだ!という新鮮な驚きがありました。

また、何より太夫、三味線、人形遣いと、それぞれがノリノリで楽しみながら舞台に立っているのが伝わってきたのが良かった。
国立小劇場のあの厳粛な雰囲気とはまるで違ったワクワクする演じる楽しさがあったと思います。
何しろ最後のカーテンコールで、太夫たちがニコニコ笑いながら手を振って観客の大拍手に応えていました。
彼らもいつもの「文楽」とは違った感覚を感じることが出来たのではないかと思います。

という訳で、文楽+三谷幸喜という組み合わせは、双方にとって新鮮で新しい可能性が生まれたのではないかと思います。
大阪の変な知事がおかしなことを言っているけど、こんな素晴らしい「日本の伝統」を維持できないなんておかしいし、その「日本の伝統」が、こんなに大胆に変われるところに、大きな可能性を感じました。

いやー、面白かったです!

其礼成(それなり)心中
作・演出:三谷幸喜
  出演:竹本千歳大夫、豊竹呂勢大夫、
     鶴澤清介、吉田一輔 ほか
  @パルコ劇場

三谷版 「 桜の園 」@パルコ劇場

2012-06-11 06:31:11 | ライブ、芝居、演芸など
昨日は渋谷でお芝居。



三谷幸喜の新作「 桜の園 」。
いわずと知れたチェーホフの戯曲を三谷流にアレンジ。
「これがチェーホフ? これぞチエーホフ!」を合言葉に演出したそうですが、うーん、イマイチだったかも。

ロシアのお芝居は、まず登場人物の名前が覚えられない。
しかも人間関係もそれなりに複雑なので、お芝居が始まってかなりの間、人物紹介的なエピソードが延々と続き、物語に入り込めません。

前回見た三谷幸喜のお芝居「国民の映画」の場合、「ゲッペルス」と言えば、ナチスの宣伝相だな、とすぐに理解できて話も早いのですが、チェーホフの場合、「ロパーヒン」がどんな男でなぜここにいるのかを台詞で延々と説明しなければいけません。
三谷幸喜なら、そこを軽快に笑いを交えてはしょってくれるかと思ったのですが、けっこう生真面目に展開するので、相関関係が分かるまで根気が必要。
で、あんまり長いので隣の席の人は居眠りしてました・・・。

その辺りが理解できた後半からだんだん面白くなってきたし、何より女主人役のラネーフスカヤを演じた浅丘ルリ子が良かった。
実にはまり役。
登場しただけで、華やかで、でも浅はかなロシアのブルジョア的な雰囲気が出ていました。
ああいう説得力のある女優さんってなかなかいないと思います。

という訳で、終盤、ロパーヒンがワーリャに何と言うのか、固唾を飲んで見入ってしまったり、見所もあったのですが、やっぱり前半の失点が痛かった。
楽しみにしていたのに残念!

作 アントン・チェーホフ
翻案・演出 三谷幸喜
出演 浅丘ルリ子 市川しんぺー 神野三鈴 大和田美帆 藤井隆 青木さやか
瀬戸カトリーヌ 高木渉 迫田孝也 阿南健治 藤木孝 江幡高志