まさるの一口馬主日記

「一口馬主」の視点から競馬を楽しんでいます。競馬以外では男声合唱、野球観戦、旅行、食べ歩きで余暇を楽しんでいます。

屈腱炎を乗り越えて

2008年12月07日 17時20分14秒 | 今日の日記
カネヒキリは悠然と歩いていました。

2年以上も戦線を離れていた間に同級生のヴァーミリアンや若手の馬に主役の座は奪われてしまいました。
単勝も10倍も付いていました。
でも、彼には自分が一番強いという誇りが漲っていました。
彼はとても痛いと言われる屈腱炎を2度も克服して戻ってきました。
彼は支えてくれた人達の気持ちを受け、再びこの場所に戻れた自信を胸に堂々と歩きました。

前回武豊騎手は久々に彼の背中に乗りました。
「うん、いい走りだった。まだまだやれるよ」
武騎手は彼をそう讃えました。
自分よりも年下の馬たちと併せながら調子が戻ってきている事がわかってきました。
『よし、思い切り走れるぞ!武騎手にも褒めてもらったし次こそは…』
必ず勝って見返してやる、怪我の間ずっとお世話になった人達に絶対に恩返しをするんだ、と燃えていました。



私が初めてカネヒキリを実際に見たのは京都競馬場の端午S。
素晴らしいトモをしていながらも、脚の運びの美しいパワー漲る馬でした。
フェブラリーで見た時も感激した馬でした。
ドバイも勝つと思っていました。
大好きなフジキセキの後継となって欲しい…。
しかし、サンデーの血が溢れる今の種牡馬事情を鑑みるに、カネヒキリの成績では難しかったのかもしれません。
だから現役続行なのだと思いました。あまりにも辛い試練です。
屈腱炎を克服して戻ってくる事すら信じられないくらいなのに、こうして再び頂点に立つとは…。
カネヒキリは本当によく頑張りました。
耐え忍んだ2年の時を経て彼は競馬のロマンを身をもって私に教えてくれました。



彼は最後の直線、痛みをこらえながら阪神ダートを切り裂きました。
まさに稲妻のような末脚で自らの将来を勝ち取ったのでした。
一番最初にゴールを駆け抜けた彼は西日を受けて黄金色に輝きました。