インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

『マヤ終末予言「夢見」の密室』 ② 忍び寄りの術

2013-04-23 07:12:52 | 映画や小説、テレビなど
  昨日は普通の夢だった。分厚い文庫本(460ページあった)の続きを読破して少し寝るのが遅くなったからか。

  色んな本から引用して練り上げられたオカルトなミステリー小説であった。上手い建築物のような小説であるが、最後の部分で懐疑論者は「はりゃ? これが動機か?」という部分もあるが、はまる人ははまるであろう。後半の事件の展開、前半のマヤの世界観に。作者は中立的であるように装われている。

 p73

 晴れ渡る静謐な宇宙の中で、ただ中心にある眼だけが静かに覚醒しているような。
 その、静かな醒めた目を中心にして、その周りを静かに公転するような惑星になったような。


 
 これは作者が体感したであろう内容で、やはり資料から引用して登場人物に語らせるやり方より、こっちの方が読者の心に響く。

 確かに自分の考えていることを一方的にずらずら書いていると批評されてしまうので、カスタネダは『夢見の技法』でこう語っていた、とつなぎ合わせる手法の方が、客観的で批判されにくい部分はあるだろう。

 もっとも、そのカスタネダ自身が、「あの男は出鱈目ばかり書いていたのではないか」と疑われているのであるが。

 ただ、カスタネダの場合、自分が体感した内容のみを綴っているので、その分、心に響いてくるわけである。どこまでがフィクションで、どこまでが本物か分からないが、騙されるまま全部信じてみれば、まあ、凄いとしか言いようがない。

 『沈黙の力』p157より 

  …すると彼は、背中を叩くのはお前の注意をからめ取って疑いを取り除くためのトリックで、知覚そのものを操る本物の操作ではないのだ、と答えた。彼は自分の温和な性格に合わせて、それをただのトリックと呼んだ。そしてひどくまじめに、わしが素直な男で奇矯な振る舞いに及んだりしないのはお前にとって幸運だったな、さもなくばわしがお前の頭から疑念をすっかり取り除いて精霊に集合点を動かさせるまでに、ただのトリックどころではなく、いろいろおかしな儀式に耐えなくてはならなかったろう、といった。

  「魔法に捕まえてもらうために必要なのは、頭の中から疑いを消し去ることだ。疑いがなくなれば、どんなことでも可能になるんだ」

 要するに、

 カスタネダは、読者を精霊への道に導くために、ドン・ファン・シリーズにウソを利用し、トリックを仕掛けたのだわい(これぞ、忍び寄りの術です)

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