インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

『ワイルド・ソウル』(下) ~地球の裏にある精神~

2009-09-17 23:00:37 | 映画や小説、テレビなど
 これも『破裂』と同じく、勉強小説で、南米(コロンビアやブラジル)へ旅行したりする人は読むべきか。

ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)
垣根 涼介
幻冬舎

アマゾンでアマゾンの本(熱帯雨林です)



 上巻は固有名詞が多すぎて読みにくかったが(内容は濃かった)、下巻から没頭させてくれる(何か文章が違うような…)。マスコミやら、警視庁やら、内部まで踏み込んでいる。Nシステムやらニンジャプレート、段取り良く指紋を消したり写真を変えたり、犯罪予備軍が読んでいそうです(しないで下さい)。

 実際、元厚生次官殺の小泉毅容疑者〔絶望者の増加〕はこの小説を読んでいると思われる。そういう読み方をするヒトもいるから仕方ない。
 もともとアメリカでは映画を観て犯罪をまねする人が多いはず。ノンフィクションや小説を読んで「実際にやってみよう」とおもってもおかしくない(紙一重)。

 主要登場人物は、アマゾン移住者の衛藤。
 コロンビアでマフィアのボスの養子として育った松尾。
 ブラジルで青果商の富豪(衛藤)の養子として育ったケイ。
 そしてマスコミのディレクター、陽子。

 松尾とケイは、アマゾン移民の子供で、復讐に燃えている。それが物語。
(現地大学出のエリートで組織の日本支部を任された)松尾に対し、ブラジルに溶け込み商売を継ぐケイ。

 (最後の死に掛ける瞬間で)
 命とは、生き方を指している。松尾の在り方そのものを指している。
あいつはおれよりもはるかに馬鹿だ。頭も悪い。教養もない。おまけにやることなすこと間抜けときた。だが、一番大事なことは、その感覚で掴んでいる。肌で知っている。
 あいつは、おれよりも利口だ――。


 まさにそうで、勉強関係なしで、賢い人を見かける。頭が良い=悪賢い?という部分もあるかもしれない。だがラテン系で(江戸っ子で?)おおらかで、本も読まず(?)、感覚・本能だけで世の中を渡ってきた人間。アウトローではあるが魅力があるので自然と人間が集まってくる。

 なるほど、日本の教育やらシステムではなかなか育たない豪傑が、ブラジル辺りではゴロゴロいるのかもしれない(危ない人間もゴロゴロ…)。

 読書の際、これはと思った箇所に付箋を貼りながら読んでいるが、上巻の前半に多かった。

 アマゾン移民の衛藤がラッキーを掴むとき(レバノン人のハサン)。
 「飢餓寸前なのに物盗りになる度胸もない。かといって乞食にまで落ちぶれるには、ちっぽけなプライドが許さない……中国人とも韓国人とも違う。馬鹿正直に生きるだけが取り得の黄色人種だ」

(衛藤が助けられ)
「だがその相手は俺じゃない」
「それでいいんだ」平然とハサンは返した。「俺はその相手から受けた恩をお前に返す。お前も、この俺から受けた借りをいつかは誰かに返す。そういうふうにして世界はつながっていく」

(※ハサンは15年前ブラジルで飢えていたとき救われた)

  見栄っ張りで小心者の日本人に対し、おおらかなブラジリアン。そこら辺にいる日系ブラジル人もそうなのだろうか。

 何かマナウスへ行ってみたくなった(これを見ました ゆめぽろearth

 お金が足りないので戻ってこれませんね(本物のインディオになりますか)

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