インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

日本のコメ農業

2010-10-22 20:31:04 | 経済
  奄美大島災害について書きたいところだが、どうしても農民としては米の価格やら農業の現状が気になって仕方がない。米を買って食べる人(見込み客?)に妥当な値段で売っているわけであるが、話しているうちに消費者はスーパーとかにかなり不満があるようだ(だからまた売れた)。

 消費者は安くて美味しい米を食べたいわけであるが(当然)、価格競争で勝たねばならないスーパーは全農の米(広島なら「いーねくん」の奴)とかは高いので仕入れられないから(?)、得体の知れない米を流すことになる。「くず米」も大量にブレンドされることは必須で、消費者は「しまった、ケチるのではなかった」ということになるのである→ (くず米 充実貧乏生活

 品質という点でも、評価が難しい。我が家も毎年一等米であったが、今年は二等に下げられ(ニュースにあるように今年は猛暑でどこも恐ろしいことになっている)、親父は怒っていた(現場を実地で見ろ)。しかし二等だからといって、別に一等よりまずいわけではない。ただ極僅か多く虫が齧ったりしているだけである。傷が入っているのだが、農作物は工業製品と違う。農薬だらけでピカピカの作物と、虫が食べてボロボロだが農薬があんまりない作物では、どちらが評価されるべきか。ネットで調べても色んな記事がある。佐渡島の酒ブログ 1等米と2等米の違いとか、農薬耐性とか、植物自身の持っている毒素とか、  お店ばたけ 週刊ウンチク第184回(2004.9.16)「カメムシ歓迎!堂々の2等米、三つ星の3等米」

 また欧米のように、「大規模農業で経営の合理化を!」と言われても、日本は狭く、一気に刈り取れそうな平地のいいところは大都市と化している。オーストラリアとかから見れば、日本全体が棚田みたいなものか。

 大型機械を買っても毎月のローンが払えないし(収穫まで収入0円…)、そもそも活かす場所が少ない(いや、北海道辺りは別格か?)。日本の農業政策も、大規模な専業農家を支援するようだし(個別補償政策)、「作れば作るほど赤字になる」という現状を打開しようとしているのだろうが、作物があれだけの低価格では、どれだけ効率的な経営、合理化を進めようと、日本では高が知れているのではないのか。

 それでも消費者の方では「日本産は高い!」と思っているわけで、もっと値下げが望まれるわけであるが、生産者の方では「あんな値段では作れるか!(廃業して買ったほうがましだ!)」と、思っているのである。実際、この資本主義システムの中で、日本の農業(特にコメ)が維持できているのは、ほとんどが兼業だからであって、それ以外の何ものでもない。

 一番いいのは、自分たち(or 適正価格で予約を入れてくれている人)が食べる分だけ作る方法で、中途半端に余計な田んぼを持っていても、苦労するだけだ(我が家のケースも20年前と比べて収穫を半分に減らしている。基盤整備もあったが)。

 ということで、今年はバカ安いJAへの売値(概算金という)になっているから、「もう、作るのや~めた」ってな兼業農家が続出するのではないか。専業農家がそれらを引き継いでやって行けるかといえば、政府が税金をジャブジャブ出して支えなければ無理だが、米の値段は下がらない、財政赤字は増える…、あんまし意味がないような気がする。

 産業が空洞化して、第二次産業から第一次産業へ雇用がシフト、なんて、上手い具合に行くとも思えない。やはり食べ物なんて、人間の身体に影響を与えるものだから、新しい仕組みが必要であるに違いない。

 玄米とか、減農薬とか、食べるだけで医療費とか大幅に減ると思うのだが…(あまりにも多くの人がカップラーメンとか菓子とか買いすぎているような…それで経済が回っているのだろうが…)