~わさび農家の山しごと、山暮らし通信~

伊豆、下田のわさび農家です。
緑の山々と田畑の広がる、のどかな山里での暮らしを父ちゃんと母ちゃんが語ります。

まさかの春

2024年03月31日 01時06分02秒 | 日常


山里に春がやってきました。
頬を撫でる風は柔らかく、山のあちらこちらに淡く優しげな山桜が開いています。
夫が救急搬送されて10日が経ちました。
そう、実は夫、現在入院しております。



次男、卒業式の日、式に出席するため、その日は朝3時から仕事を始めました。
午後からの式には無事に出席。時折り居眠りしたり、
式終了後はサクッと再び仕事にいなくなったり、いつも通りだったのですが…。
その晩に寝られない、何かおかしいとブツブツ不安そうな姿。
私は卒業式の余韻に浸っていて、そんな声もうわの空で…。
翌日、色々あったのち、救急搬送され、脳梗塞と診断を受けました。



入院当初は、右手右足と発語が怪しく、悪化する恐れもある深刻な状況でしたが、
今は急性期を越えリハビリも始まり、体も徐々に回復しているようです。
少しほっとしています。



今春は長女と次男、2人の卒業、引越しそして入学を控え、
とにかく健康に乗り切ろうと思っていたところのまさかの事態…。
義父母の介護、子どもたちの新生活の準備、仕事も…
とにかくワンオペではキャパオーバー。
周りの方々の支えが心底ありがたく、存分に甘えさせてもらっています。
日常生活にサポートが必要で、徐々に衰えも見える義父母。
それでも必死にわさびの手間を買って出てくれるふたり。
懸命に家族のために…、とても助かっています。
またいつの間にか生活力をつけた子どもたちも、家事全般こなしてくれる強力な助っ人です。
今晩は男ふたりが作った素敵な晩ごはんでした。美味しかった。ありがとう。



何が起きても頑丈でやり切ってしまう夫に、本人も、私たち家族も過信していました。
「ひとり」の存在はとても大きくて、日常生活であんなこともこんなこともやってくれていたんだ…と
気づかされることばかり。
まさかの試練にもがく姿はとても切ない。
けれど10日ぶりに握った右手にはしっかり力が宿っていた。
やりたいことがまだ山盛りある方。きっときっと大丈夫。



今、起きていることの意味は分からなくて、ただただ必死に歩むしかできません。
巣立ちの春。家族はそれぞれ離れてしまうけれど、生命があれば大丈夫。
こんなに穏やかで心地よくて、わさびは生き生きと育っていて、
そんな春を家族7人で迎えられたのだから…。

母ちゃん
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